↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第二部 第四章 接触 × 価値観 境界の崩れ
190/201

疑問:少し安心しすぎてた?

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

–馬でもいい、灯でもいい。


暗い部屋の中で、イザベルもクッションの上で、落ち着ける場所を探すように身じろぎしている。

そんな様子を見ながら、ぼんやりとスズの言葉を思い出す。


どういう意味だろう?


でも、私には分からないのかも。

和さんの名前は出さなかったけど、誰に伝える伝言かスズは気付いていたと思う。

それなら、明日和さんにちゃんと伝えなきゃ。


今日アンジェラさんが、交渉人の報告を上げるついでに魔法世界へ一度戻ると言った。

すると日向と秀人も立ち上がって「一緒に行く」と言い出した。

交渉人といえば、和さんも同じ仕事なのだから、もしかしたら和さんに会えるかも。

そんな期待をしてしまうのは、もう止められなかった。


「アリスも行くかい?」


正直私がついて行って良いのか言い出しづらかったから、アンジェラさんがそう言ってくれて嬉しかった。

フォーラス家の人間として、私も悪い意味で目立っているだろうし。


昨日スズから、右腕が折れていると聞いた。

だから今日、尚弥さんにメッセージを送ってみた。

ちょっとした相談のつもりだったのに、また驚かされてしまった。


まさか、感覚がないなんて・・・

痛みすら感じないなんて、それはもう“怪我”じゃない気がした。

そう思うと、胸の奥が少し重くなった。


腕痛くないの?って、昨日質問した時のスズの反応に納得がいった。

そして和さんも、こういう気持ちが重なりに重なっていたのかもしれない。


モヤモヤするのか、悲しいのか、怒っているのか。

よく分からない気持ちが、ぐるぐる回りながら、意識は静かに暗闇へ落ちていった。


そういえば最近、白くてぼんやりした夢をよく見る気がする。


・・・・

・・・・

・・・

・・

・

・


あれ?

今日は違う?


暗くて静か。

薄い氷が張った湖の上に立っているみたい。

でも、不思議と冷たくはない。


ここは、どこだろう・・・?


–ようやく繋がったようだね。


声のした方へ振り向くと、そこには知った男が立っていた。


アディール・クラーレン。


「何か・・・?」


–君についてもっと知りたいと思っていてね。


クラーレンの低い声が、頭の奥を直接撫でるみたいに響く。


「別に、何もありませんよ。」


–山本梓の魂に共鳴したということは、君の魂はイヴに戻りたいのではないだろうか?


魂が、イヴさんに戻りたい?

今まで、私の意思とは別に魂の意思があると思ったことはない。

アリス・フォーラスと山本梓で分かれた魂って言われても、私は私だし、きっと梓さんも梓さん。


「そんなこと知りません。私はアリス・フォーラスです。

イヴさんはイヴさんだし、梓さんも梓さんです。それぞれ別々です。」


–どうしてそう思う?


どうして?

そんなこと・・・理由なんて。

私と梓さんは元々別々に生きてたし、その生まれ変わる前がイヴさんだとしても、私はイヴさんじゃない。


そんなこと、うまく説明なんてできない。


≪まったく。≫


透き通った声が響いた。


同時に、黒い湖の景色が少しずつ白く薄れていく。


≪ちょっと目を離した隙に・・・。≫


「勘右エ門さん・・・?」


白いカーテンの中で、勘右エ門さんの姿が見えた気がした。


≪少し呼び出されてて、すまなかった。まったく、スズに怒られちまうな。≫

カーテンだけが、水の中みたいに揺れているのに、勘右エ門さんの姿ははっきり見えない。


「あの・・・。」


≪まぁ嬢ちゃんはゆっくり休みなさいな。邪魔して悪かった。≫


カーテンもその輪郭が、空気に溶けていくようにぼんやりしていく。


これって最近よく見る景色・・・


声の方へ、手を伸ばそうとした。

その手は空気を掴んだ。


「ん・・・ん?」


最近は、だんだん朝日が昇るのも早くなってきた。

眩しい。


シーツの感触に、目が覚めたのだと気が付いた。

夢?


でも、クラーレンと・・・勘右エ門さんがいた。

それにスズのことも言ってた。


「んー・・・?」


昨日はなんとなく、最近見ない勘右エ門さんについてスズに聞いたけど。

何て言ってたっけ?

なんかお願いしてるとか言ってた気がする。


スズにお願いされて、勘右エ門さんは私の夢にいるの?

なぜ?


いや、そうだ。

クラーレン。


もしかして、クラーレンが私に何かしようとしているのを、勘右エ門さんがスズに頼まれて守ってくれてる?


そう考えると、辻褄は合う気がする。

見えない場所で守られてることに、慣れすぎてしまっている。

知らない部分で、いつもスズに助けられてるよ・・・


「おはよう。アリス。」


イザベルが起きたので、一旦予想はさておき、後日スズに聞いてみようかな。


「おはよう。イザベルー。」


布団を出て、顔を洗いに洗面所へ向かった。


「サイトの方、受付休みにしてあるかい?」

「したよー。」

「なってるよー。」


朝食や準備を終えて、最後に三階でアンジェラさんが確認したのを日向達が返した。


「いってらっシャイ。」

「気を付けテ。」

「いってラ。」

「キュウ」「キーキ」「キュ」

「「「いってきまーす。」」」


そうして、ウーノ達に見送られながら玄関を出た。

そういえば朝走った時にバース達の姿がなかったけど、元の世界に戻ったのかな?


小屋の方に目線がいった。


「あぁ。スズが今日開けることもあったから、一旦戻すって言ってたよ。」


アンジェラさんが私の疑問に答えてくれた。

本当に、私の表情は分かりやすすぎる。


「あとルーナは出てこないようにね。流石に死神だとは気が付かれないだろうけど、説明も面倒だから。」

「分かった。」


私の影の中からルーナさんが返事をした。


相談所の庭を横切ると、車かと思ったけど、どうやら電車で向かうらしい。

駅へ歩いて行くと、沢山のスーツの人達がすれ違っていく。


ちょっと遅い時間とはいえ、平日の午前中だもんね。


不思議そうにこちらを見ている視線と時々目が合いながら、電車に乗った。

アンジェラさんは、かなりカジュアルでTシャツにジャケットを着て、カッコいいお姉さん。

そして日向と秀人は双子らしく、同じパーカーを着ている。

私はこないだ買ったばかりの白いワンピースを着て、リュックの中にはイザベル。


これじゃ、やっぱり目立つよね。


「アリス。あんた、その姿で魔法世界の上層部に会うのは初めてかい?」


アンジェラさんが電車の入口脇に立ちながら、声をかけてきた。

魔法世界は、こないだ妖怪の世界に行く時に迂回した時通ったけど、その時はとくに誰かに会うこともなかった。


「そうだと・・・思います。」

「魔法省の連中がいる建物は通りすぎるけど、あんまり視線とか小言は気にしないようにしな。」


今の姿・・・

たしかに今は、アリス・フォーラスとしての姿をしている。

それってつまり、気が付く人や知っている人がいるってことだよね。


「・・・はい。」

「あんたは別に姿を隠したり、変えたりする必要なんかない。

それでも、表面上の情報だけで口を出してくる奴がいるかもしれないからね。無視しな。」


フォーラス家が魔法使いから、よく思われていないことは分かってる。

その末娘とはいえ、同じように思われるのは当たり前なんだろうけど、最近迷惑メールや魔法使いからの強襲もなくなって、正直ちょっと考えてなかった。


「大丈夫大丈夫!無視無視!」

「そうそう。僕達も一緒にいるから。」


アンジェラさんの奥から、日向達が声をかけてくれた。


「うん。ありがとう。二人とも。」


電車は数駅だった。

電車を降り、少し離れた場所にあるいつもの検問所へ入った。

検問所ではいつもの和さんと同じように、アンジェラさんが受付に向かって行った。


リュックからイザベルも出てきて、日向達と4人で椅子に座って待っていると・・・


視線が・・・


視線が痛い・・・


さっきまで電車に乗っていた時も、色々な視線を感じていたけれど、ここに入った途端感じた視線は、そんな軽いものじゃない。


アリス・フォーラス。


それが分かって、私を見ているのだとハッキリわかった。

それにアンジェラさんの方からも時々聞こえてくる。


「そうだよ。彼女がアリス・フォーラスだよ。何か問題あるかい?」


ううう。

やっぱり、私が来ること自体よく思われてないんだ・・・

かなり迷惑かけてしまってるのが分かって、アンジェラさんに申し訳ない気持ちが増していく。


「アリス。気にすることないわよ。」

「そうそう!気にしない気にしない。」

「無視無視ー。しっし。」


私の両脇に日向と秀人が座ってくれて、私の膝の上でイザベラも顔を上げている。


「でもやっぱりこんなに目立つんだね・・・。」


妖怪の世界を迂回した時は時間も遅かったから、まったくそういう認識が無かった。

本当にアンジェラさんに言われるまで、完全に油断してたよね。


夢でのクラーレンのこととも重なって、ため息が漏れる。


「ほら。行くよ。」


それでも1時間くらいしてアンジェラさんが戻ってきたので、どうにかやっとは入れるみたい。


「アンジェラさん・・・ありがとうございます。」

「気にすんな!ね。あんたが顔を下げる必要はないんだよ。」


笑いながらアンジェラさんは、私の頭を撫でてくれた。

日向達やアンジェラさんの雰囲気に本当に助けられてるなぁ。

うん。落ち込まないように、無視しよう。


検問所を出て、いつものエレベーターホールに出た。

ミランダさんに会いに行く時や外に出る時は真ん中をそのまま直進だったけど、アンジェラさんは左側の通路へ進んでいった。

その後ろを日向達とついて行った。


別の建物に繋がっている通路みたい。

しばらくすると両脇に窓がある通路に入り、その窓の外には地上に広がる道路や歩いてる人が見える。


「こっちは初めてかい?」


アンジェラさんは前を進んでいるのに、時々私達の方も確認するように振り返る。


「私は、初めてですね・・・魔法省とは違う建物なんですか?」

「まぁ管理的に分割してるわけじゃないけどね。この建物の上の方に私達交渉人が、普段仕事してる場所がまとまってるんだよ。」

「そうなんですね・・・。」


和さんやスズの口からも、よく聞いていた”交渉人”って仕事だけど、実際詳しいことは何も知らない。


「こないだ妖怪の世界でリュースを捕まえただろう?あのこともあってちょっとバタついてるだろうね。」


そっか。

リュースさんも確かに交渉人だった。


妖怪の世界で和さんが捕獲して、気絶させたまま相談所の小屋に投げ込まれたところまでは見たけれど、きっと今は魔法世界にきてるんだよね。


「和はどこかなー。」

「和を探すぞー。」

「あんまりキョロキョロするんじゃないよ。余計目立つだろう。

ちゃんと聞いてきてあげるから、二人とも大人しくアリスの傍にいときな。」


建物に入ると同時に、あたりを見渡し始めた日向と秀人。

さっきのエレベーターホールほどじゃないけれど、確かに人が多い。

このどこかに和さんもいるのかな?


そのままエレベーターに乗り、上へ上がっていく。

乗ろうとしていた人達はいたのに、私の姿を見た瞬間、誰も入ってこなかった。

なんかすみません・・・


「まずは18階で、報告書を出す。そこで和・・・カイルのことも聞いてみるから、あんた達は傍で静かにしてなよ。」

「「はーい。」」

「分かりました。」


エレベーターを降りると、昔の会社のことを思い出す。

大きなフロアの中で、仕切りがあって区切られているけれど、まるで部署が分かれるようにデスクが沢山ならんで、その中で仕事している人達。


昔営業部で働いていた時も1部・2部って分かれてたけど、今みたいに仕切りだけがあって、フロア内では50人以上が常に喋ってた。

そんな思い出と同じ、賑やかな雰囲気が広がっていて、ちょっと懐かしくなってしまう。


アンジェラさんは、そんな中を一直線に進んでいくので、人にぶつからないようについて行く。

その時でも、私の顔が見えた人はすっごく凝視してくるのが分かった。


「大丈夫?」

「うん。」


迷わないように日向が手を伸ばしてくれたので、その手を握った。


「あ。いたいた。」

「やっと来たか。ってなんだなんだ?その子達は・・・。」


アンジェラさんの呼び声に反応して、40代半ばくらいの男性の人が手を上げた。


「知ってるだろ。スズのところの子だよ。」


誰もスーツではないので、その男性もシャツとジャケットといったカジュアルな恰好。

だけど、横流しにして整えられた髪やガタイが良いので、ちょっと怖い感じにも見える。


「あぁ。なるほど。その子がアリス・フォーラスか。」

「ひとまず、報告書。」

「はぁ。毎回毎回まとめて渡してくるんじゃない。確認するのが大変なんだ。」


それはよく分かる。

部下の資料や報告書をまとめて渡されると、チェックする方が大変ですよね。

それより、上司と思われる方の発言を無視して良いのかな・・・?

私のこと言ってたよ?


「そりゃ仕方ないね。メールでも下書きは先に送ってるんだから、あんまり変えちゃいないよ。んで、こっちの報告書については――」


アンジェラさんがそれぞれの報告書や資料について説明をし始めたので、日向達と少しだけ離れ、邪魔にならないように窓際の方に移動した。


「ここが基本世界担当の交渉人が集まってるなら、和もいそうなのに・・・。」

「確かに。でも僕らが歩いて気が付かない訳がないと思う。逃げられたかな?」


そっか。

たしかに同じ部署なら、和さんもこのフロアにいる可能性は高い。

でも、人数は多いけれど、座ったりしている人も多く、その人達を見ていても和さんの姿は見当たらない。


「逃げる可能性はあるわよね。」


私達が来たことに先に気がついちゃったら、和さん・・・逃げるかなぁ?


「ひとまず、そんなところだね。んで、カイルは今どこにいるか知ってるかい?」

「カイル?カイル・ヴィンセントか。そういえば、先日戻ってきてたな。」


しばらくして、ようやく終わりそうな雰囲気と共にアンジェラさんが質問を投げかけた。


「いなさそうだな。上の階にでも行ってるんじゃないか。」

「なんで上?」


上の階にも交渉人の人達がいるのかな?


「リュース・ジェロフトは怪異側も担当してたし、今回見つかったのはそっちだっただろう。色々話を聞くついでに、手伝いに入ってる。」

「ふーん?ありがとさん。」


話が終わって、アンジェラさんと一緒に来た道に戻った。


和さんどこにいるんだろう?

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。