答え:一葉落ちて天下の秋も見えてくる
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
ナオから続いて、昨晩はアリスとも話ができたことで、少しだけ滞っていた部分が進められたような気がする。
けれど、それは私の中だけで整理して終わらせるものじゃない。
和ともう一度話すべきだと分かってる。
恐らく魔法世界でミランダ辺りに聞いてみれば、手掛かりは掴めるだろう。
とはいえ、探して会いに行くとなれば多少時間的に余裕が欲しい。
今週末にでもミランダに会い、シャロンのその後の進捗と合わせて、和の手掛かりを聞いてみようか。
ひとまずミランダへメールを送り、今できる調査を進めるため相談所の庭へ上がった。
「バース。行ける?」
バースがいる小屋の方へ顔を出すと、中からバースの子供のハウとデンが出てきた。
「寝てるー。」
「待ってー。」
帰ってきた時にも声をかけたけれど、また二度寝してしまっているようだ。
そうして、しばらくして寝ぼけまなこで出てきたバースを連れて、巨人の世界へと向かった。
「また大きい連中の世界か。」
大きなあくびをしながら、バースが後ろからつぶやく。
「今回は妖怪の話を聞く予定だよ。」
今回は圭達を連れて行くべきかとも悩んだけれど、圭達にはいまだにフォーラスの痕跡を追ってもらっている最中でもある。
それに、同じく巨人の世界から見つかったエルフがいた場所についても、調べてもらったりと、かなり色々重ねて頼んでしまっている。
地下へ降りると妖精が何匹か近づいてきた。
【あ。アーシャがー】
【アーシャ呼んでるー。】
【来れるー?】
「アーシャか。…明日でも大丈夫?」
エルフの方でも何かあったのだろうか、急ぎではないなら明日にしたいけれど。
【明日?】
【聞いてみる。】
【話し合いがあるってー】
【大事なっ?】
【大事!】
【一緒に来てーって。】
「分かった。」
話し合いの日時は、念のためアーシャに聞いた方がいいだろう。
妖精の話を頭に入れながら、通路への扉をくぐった。
巨人の世界では、相も変わらずトレーが迎えに来てくれていた。
前と同じようにポケットに入り移動し、妖怪達がいる家が置かれたテーブルへ降ろしてもらった。
「そういえば何の妖怪なんだ?」
「姿は人間と同じだったとは言っていたけれど、直接聞こうか。」
巨人からみれば、子供向けの人形の家の扉を開くと、一人の女が座っていた。
家の構造は、前回のエルフ達がいた家と同じように、玄関から入ってすぐにリビングになっているようだ。
「こんにちは。巨人から君達の話を聞いて、話を聞きに来た。」
妖怪の世界から入ってきたけれど、妖怪の世界に帰りたがらない妖怪。
「・・・私達は帰る気はない。」
「その理由を聞きたい。」
目の前の丸いテーブルの椅子に座る。
「なぜ?」
「巨人達が困っている。理由を聞かせてほしい。」
女は一見、普通の人間に見える。
何の妖怪かは分からない。
女は視線を落としたまま、小さく言葉を絞り出した。
「できることはやりたいけれど、サイズ的にやれることがほとんど無い・・・。
どうにかお願いできないでしょうか?」
「なぜ、ここに居座りたいのか聞きたい。」
「あなたは人間に見える。」
「そうだよ。それでも多少は、妖怪の世界についても分かってるつもり。」
女は少し迷っているようで、言葉を切ったまま沈黙が流れる。
敵意は感じられない。
巨人達からも多少私達のことを聞いているのかもしれない。
今は巨人達が用意したのか、薄手のコットンシャツを身に着けているが、それがかえって違和感になっていた。
直毛の黒い髪は肩下まで流れ、崑癒の家で着た和装の方が似合いそうだ。
そしてその彼女の後ろの扉が少し開いており、数名の視線がこちらを見ている。
「・・・今は、ここがやっと安心できる場所なのよ。」
ようやく目の前の女が口を開いた。
「妖怪の世界ではどこで住んでいたの。」
「あなたは・・・・地下に町がある場所を知ってる?」
先日、目の妖怪につれられた場所を思い出した。
「見た事はある。私が見た地下の町は、貧困的な生活をしているように見えた。」
「そう。地下の町はいくつかあるけれど、どこも地上の上流達から逃げてきた妖怪ばかりだから、生活はほとんどがギリギリだと思うわ。」
上流の妖怪から逃げて移り住んでいる、妖怪達ということか。
「そこよりもここが安心できるということか。」
「えぇ。そうよ。」
地下の妖怪。
弱い種族。
居場所を失った者達。
たった一つの話なのに、世界の歪みが輪郭を持ち始めていた。
「だけど、それはここが巨人達の一つの建物の中だからという理由だよ。
外へ出れば大きな生き物が沢山いる。巨人に踏みつぶされる危険もある。
君達をここにずっと置いておくのは、彼らにとっては負担でしかない。」
巨人にも色々ある。
勝手に入ってきたのだから、放っておけばいいという意見もある。
それでも、できるだけトラブルを避け、無事に帰って欲しいと、ここをトレー達が用意した。
「分かってる。だから、何か方法がないか・・・。」
だからといって、受け入れ始めればきりが無くなる。
彼らのように地下に住んでいる妖怪は、多くいるとなればそれを全て受け入れる訳にもいかない。
「自分の世界のどのあたりの地下街に住んでいたか教えてもらえる?」
ひとまず、そのエリアの管理者に話が聞ければいいけれど。
たとえ管理者に頼んでも、すぐに解決する問題ではないだろう。
目の妖怪のような考え方を持つものを集めて、できれば地上で安全な区域を作り出すくらいしないと、継続的に起こることになる。
正直少しずつ関与し始めているとは思うけれど、いまこれを時間をかけて対応するのは難しい。
とはいえ、ここまできて放っておくこともできない。
「今は、ここに何人いるの?」
「私を含めて、10人居るわ。・・・お願いします。帰りたくないんです。」
「とはいえ、ここは本来君達の世界じゃない。
ここにはここのルールがあって、君達を受け入れるのは難しいと言っている以上、本来の世界で生きていく方法を見つけるべきだろう。」
女は黙り込んだ。
…和なら、違う言い方をしたのかもしれない。
「ひとまず状況は分かった。こちらでも一度用意をして改めて迎えに来る。巨人に連絡を入れるから、準備はしておいて欲しい。」
「・・・・。」
顔を上げそうな様子は見られないので、椅子を立ち上がり後ろの扉からそのままバースと出て行った。
「自分の世界だというのに、帰りたがらないというのもあるんだな。」
家を出ると部屋の中にトレーの姿が見えなかったので、しばらくテーブルの端で待っているとバースが話しかけてきた。
「フェンリルには分かりにくいだろうな。弱い種族には生きづらい環境が多くある。」
「お前も弱い種族だろう?」
「他の世界の種族と比べればそうだけど、私の世界では違う。」
私の世界とは比べられない、そもそも世界が違いすぎる。
「お前のところにいる吸血鬼といい、同じ同士でも追い出すというのは、儂には理解できないな。」
「それも妖怪という生き方の中で生まれた、一つの方法だろうな。」
能力を引き継いでいくことが、妖怪にとっては生きていく上で重要なこと。
その強弱の中で、プライドも勝手に生まれていくだろう。
それはつまり管理者からも排他的に取り扱われている可能性がある。
「…良くないな。」
「そうだな。良くないぞ?」
先日の崑癒の家で聞いた話。
通路使用の為に、妖怪を攫う目的で動いているフォーラスからすれば、そんなのは良い獲物だろう。
わざわざ管理者を先に襲って、エリアの妖怪を攫おうとしていたのであれば、まだそういった地下の妖怪には気が付いていないのかもしれない。
だがもしも気が付けば…
相談所へ戻ると、バースには庭に戻ってもらい、私は再び通路へ戻った。
–カチャ
距離も短くすぐ出た先は、魔法世界の私の家。
「ブラッド。」
台所の方へ向かって名前を呼ぶが、反応はない。
まだ出てきたことはないが、いる可能性があるというケーリー・フォーラスの場所を確認したい。
恐らくは拠点となっている可能性も高い。
ケーリー・フォーラス。
現フォーラス家の当主。
既に魔法世界では消えた家系となるけれど、シャロンの話からしても父親と長男、次男で動いていると思われる。
その妻クラン・フォーラスが、死んだとは言っているがそれも事実かは定かではない以上、いる可能性も考えておいた方がいいだろう。
当時のフォーラス家が全員、記憶を引き継いだ形で存在しているとしても、先日崑癒の家で見かけた知らない顔の三人の魔法使いとは数が合わない。
魔法使い側の協力者あるいは、強制的に協力させている魔法使いは何名かいるのだろう。
そういえば、リュースもどうなっただろうか。
一応妖怪の世界でもそういった警戒を促してはもらったけれど、上位の妖怪がどこまで指示に従うか。
最近の天狗や狐達の反応を見る限りでは、あまり期待できそうもない。
地下街がいくつか存在するとしても、それぞれのエリアの管理者達に、地下街の管理状況や保護体制について確認していくべきだろうか…
ひとまずブラッドが来た時の為に、次に来る予定の日時を紙に書いて、テーブルに置いた。
妖怪の世界の現状は、外から見ている私ですら、小さな亀裂が連鎖して、すでに取り返しのつかない場所まで広がっているように見えた。
だけど、範囲の狭い情報範囲から、それに気が付いている者は少ない。
再び相談所へ戻り三階へ上がると、アリスが待っていたようにダイニングテーブルの正面に座っていた。
「…ただいま。」
「おかえり。ご飯にしよ。」
アリスは椅子を立ち上がり、台所へ入って行った。
スケジュールの調整といい、昨日の様子といい、その動きはまるで和のようだ。
「待っていないても良いよ…?」
「好きで待ってただけだから。」
まだ日付は変わっていないけれど、すでに日向達もアンジェラもいない遅い時間ではある。
「何か手伝おうか?」
「大丈夫。座って待ってて。」
表情は普通に見えるけれど、昨日から時々呆れた表情を見せる。
「放っておくと碌な生活をしないって、アリスは心配してるのよ。」
「…そうかな?ごめん。」
時々忘れてしまったり、何かに集中すると食事を抜いてしまう時もあるけれど、最低限は気を付けているつもりなんだけど。
でも、恐らくそれを口にしたら怒られるような気がする。
「あ。そういえば、アンジェラさんから伝言。」
「うん。」
お湯を沸かしながら、アリスがこっちに顔を向けた。
「明日は昼に日向達と魔法世界に行ってくる。」
「アリスも?」
「うん。一緒について行こうかと思ってる。ダメかな?」
「いや、問題ないよ。気をつけてね。」
何の用かは、深く聞かない方がいいだろう。
アンジェラの場合は、普通に仕事の用事もあるだろうし。
それなら、バース達はひとまず自分の世界へ、戻っておいて貰った方が良いか。
「スズからも伝言があれば伝えておくけど・・・。」
伝言。
それはきっとアンジェラに対してじゃない。
「…それなら、じゃあ…。」
少し考えて、口に出す。
あいつなら、恐らく意味は分かるだろう。
「…馬でもいい、灯でもいい。…かな。
でも、私もそのうち会いに行くつもりだし、伝えなくてもいい。」
「・・・それって。あ。ごめん。何でもない。」
アリスがちょっと考えながら、お茶漬けを用意してくれたので、カウンターから受け取った。
「ありがとう。」
「そういえば、最近勘右エ門さん見ないけど、出かけちゃったの?」
気まぐれな神だけれど、今は違う。
「今はちょっとお願いをしてる。あんまり気にしなくても良いよ。」
「・・・そっか。」
けれど、それなりに時間が経つか。
状況は一度聞いておいた方が良いかもしれない。
フォーラスの件や宗一郎の件、妖怪の問題と色々重なってはいるものの、これは最優先事項なのだから。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




