疑問:でも結局は、私の土台かも?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「は?ちょっ、ちょっと待って!スズさん!」
「?」
昨日話せなかったので、改めて時間を確保し、帰宅してきたスズを三階での夕飯に誘った。
「確かに、最近お昼ご飯をスケジュールに入れてくれてないのは分かってたけど・・・。
待って。ちゃんとしたご飯、最後に食べたのいつ?」
和さんの作り置きのおかずを温めようとした時。
「できれば雑炊かうどんが良い」と言いながら、台所に入ってきたスズの言葉が引っかかった。
棚からうどんを見つけ出し、スズは何事もないように鍋を火にかけ始めていた。
いつもうどんとか雑炊とかになる時と言えば、思いつくことは一つだった。
「いつだろう。あぁでも、今朝コンビニのパンを食べたよ。」
「パン…。まぁそれはおいといて、その前は?」
昼食のことも、朝食を適当に済ませたことも言いたいことはある。
けれど、それよりも――
「その前は…妖怪の世界が挟まってるから、その前になるけど……。」
その前を思い出さないといけない?
つまり妖怪の世界にいる間、まともに何も食べてなかったってこと?
「はぁぁぁぁ。」
今和さんの気持ちが、少しわかってしまった。
トラブルがあったのは仕方ない。
でも放っておくとスズは、生きる為の最低限すら平気で後回しにしてしまう。
「キュウ?」
「落ちないようにね。」
セイがカウンターから覗いてきたので、スズが声をかけた。
ん?
「待って。スズなんか腕おかしくない?」
明らかに左腕しか使ってないし、右腕はちょっと膨れて見える。
「今、右腕骨折してる。」
「はぁぁぁぁ!?ちょ!うどんは私が作るよ!もうスズは座って待ってて!」
「キュウ!?」
腕が折れてるなんて聞いてないんですけど!?
っていうか分かりづらい!
三角巾もなく、長袖の片側が少し膨らんで見える程度だった。
尚弥さんが昨日来たのは、そういうことがあったからなのね。
スズを台所から追い出し、うどんの続きを引き継いだ。
「ごめん。」
スズはセイと一緒にカウンターへ座った。
「謝らなくてもいいから、先に言って欲しかった。」
こんな短時間で何度驚かされるのか。
まだ隠してる怪我があるんじゃないかと、逆に怖くなる。
「他に何かある?」
「…多分ない。」
本当かな?
最後にわかめや卵を入れながら、うどんを仕上げた。
夕飯の時間も過ぎ、日向達やアンジェラさんは風呂へ上がっていった。
料理を終えた三階は、急に静けさが広がったように感じる。
「ありがとう。」
この後のスズのスケジュールには、ミーティングは入れてない。
「とにかく、まずはゆっくり食べて。」
私は自分の為にコーヒーを用意して、スズと一緒にカウンター席についた。
食べ始めるスズに目を向けると、スズは左手とは思えない滑らかな動きで、スズはうどんを口へ運んでいく。
慣れ過ぎでは?
「会社の人に心配されてるんじゃない?」
「キーボードに手を乗っけているだけで、意外と気が付かれない。」
器用な・・・。
「痛くないの?」
「…痛くはない。」
一瞬悩んだように間が空いた。
「・・・スズ。」
「それより、話したいことがあるんでしょ?」
いつもならもっと自然に誤魔化すのに、今日は妙に取り繕えていない。
「はぁ。・・・そうだけど。なんか色々心配になってきた。」
そりゃあ最低限のラインは分かってやってるんだろうし、こうして左手でどうにかできてるんだろうけどさ。
和さんがいないと、スズってこんなにも自分を放置しちゃうんだ。
「とにかく、まずは謝りたい。」
「…状況はなんとなく分かったよ。」
精霊の世界といい、怪異の世界といい、危険性もよく分からない世界に飛び込んだことで、スズに以前注意されたことと反対のことをしてるとは思ってる。
「それでも、私も和さんの気持ちなんだよね。」
「うん。心配かけてごめん。」
スズは箸を一旦休めながら、私の方に顔を向けた。
「怪異の世界は、基本世界とも魔法の世界とも距離も近いから、どうしても私と一緒にいれば他世界の中でも、関与する機会は増えてしまうと思う。たまに客にもいるし。」
「・・・・スズ――」
「私から言える事は和にも言ったけれど、アリス達の気持ちはありがたいけど、来るべきじゃなかった。」
来るべきじゃない。
そう言われることは分かってた・・・
覚悟していた言葉なのに、真正面から向けられると胸の奥がぎゅっと縮こまった。
「ごめんなさい。」
「私は、アリス達に同じことをさせたくない。」
「うん。」
「だから、和とは折り合いをつけられる話じゃなかった。」
折り合いがつけられなかった。
だから、和さんはここを出て行ってしまった。
「・・・スズが言っていることは正しいと思う。」
やっぱりスズも同じ。
ただお互いに心配をしてるだけ。
「とはいえ、私もナオにも昨日説教されて、それでも未だに答えが出てない。」
「・・・答え?」
スズの答えはもう決まっているのかと思ってた。
「全て綺麗に白黒つけられるわけじゃない。見方が違えば、同じ物事でも急に答えを変える。
それをそれぞれ受け入れていけばいいと思ってた。」
同じ物事でも答えが変わる。
それはよく分かる。
ルーナさんの答えも、颯太君の答えも、それぞれに正しい答えだと思う。
「スズにとって、答えはいくつかあってそれが選べないってこと?」
「たぶん和が求める答えに対して、私は選ぶことから逃げてる。」
答えから逃げてる?
スズが?
「・・・怖いから?」
「怖いから。」
それはきっとスズにしか分からない怖さ。
私がどれだけイメージしようとしても届かないモノだと思う。
「まぁそんな時間はもったいないから今を選べばいいんじゃないかと、バースにも言われたけれどね。」
「あー。確かに、バースさんっぽい。」
バースさんは、凄く直感型っぽい。
「私ね・・・ちょっとちゃんとした説明じゃないかもしれないんだけど。
スズやフィフさんは、すっごく優しいと思うんだよね。」
基準や感覚は違う。
妖怪。
妖精。
死神。
みんな違う。
だから色々噛み合わないことや分かり合えない部分もある。
「優しい?」
「色々な世界で違う価値観があることも含めて、スズ達がそれを考慮してることが凄い。」
自分とは違うと割り切ったっていいのに。
どうせ分かり合えないと諦めたっていいのに。
「私はスズのことを、なかなか分かってあげられてないと思う。」
言葉では理解できていても、やっぱりイメージしようとするとどこかで想像がつかなくなって途切れる。
「だけど、私達のことを凄く考えてくれてる。だから、スズ達のことを同じ目線で見ちゃうのかもしれない。
もしかしたら、スズだったら分かってくれるかもって・・・。」
スズなら、きっとこちらへ歩み寄ってくれるって、どこかで期待してた。
「甘えちゃってるんだと思う。」
「アリス達に、私やフィフのような基準を置くのは違う。だから甘えだとは…。」
やっぱり優しい。
「ううん。これは私の意見だけど、甘えてた。」
そうするしかなかったんだろうけれど、自分を外さないで欲しい。
スズの気持ちも大事にさせて欲しい。
「だから、私ももっともっと気を付けるし、和さんが行き過ぎだと思った時には、こないだみたいに絶対に止めに入るって約束する。
あと、まだ分かってない事もやっぱり多いから、その時はまた怒って欲しい。」
分からないままで終わりたくなかった。
「だから教えて欲しい。」
「…何を?」
「スズがどうしたいかを。」
本当はやりたいことや実は嫌だと思うことをちゃんと知りたい。
「まだまだ力不足だとは思うけど、できれば一緒に考えたい。
スズの気持ちも含めて、みんなが納得する方法を。」
「……。」
あ。
真面目な話をし過ぎて、うどん完全に伸びちゃったかも。
「ごめん。私のせいで伸びちゃったよね。うどん食べきれそう?無理しなくても良いからね。」
「アリス。あんた良い事いったばっかりなんだから、そういうことで崩さない方が良いわよ。」
ここまで静かに聞いてくれていたイザベルが、呆れた声を出した。
「え?ごめん。」
それを見て、スズが一瞬だけ微笑んだ気がした。
「…ありがとう。ナオにも似たようなこと言われたよ。
私がちょっと意固地になってしまっているのかもしれないって、改めて思ったよ。」
確かにスズって頑固な部分もあるもんね。
「また無駄的な?」
「そう。アリスにもバレてるんだね。」
スズは、感情より先に“必要かどうか”で物事を選ぶ。
大事なことを考えたり、慎重に考えたりすることが多いからだだとは思うけれど、そのせいで取捨選択がかなりはっきりし過ぎてる感じもする。
自分自身のことも。
「私としては・・・わがままだけど、スズにもスズのこと大切にしてもらえたら嬉しい。」
「別に雑にしてるつもりはないんだけどね。」
「・・・・・・それは、あんまり同意できないかな。」
「そっか。気を付ける。」
スズがなんとかうどんを最後まで食べきったので、お皿を片付けてそのままお風呂に誘った。
その途中で、セイはウーノ達の部屋に送った。
「そういえば、その腕でどうやってお風呂入ってるの?」
「左腕は動くから。」
「サーズ。それあんまり答えになってないわよ。」
イザベルが、私の代わりに呆れた返事をしてくれた。
「私も入っていい・・・?」
ルーナが出てきた。
「うん。一緒に入ろ。」
「・・・。」
ルーナはスズの方が気になってるよね。
「私がすすめたことだし、気にしなくていい。」
「ありがとう。」
一緒に階段を上って、お風呂場に入ると、再び驚かされてしまった。
長袖長ズボンで分からなかったけれど、スズの体にはかなりの包帯が巻かれていた。
「待って。思ったより怪我多くない?!待って、これってお風呂入っていいの?」
「今朝も入ったよ。明日の朝病院寄って、ナオに診てもらう予定だから大丈夫。」
服を脱ぐというより、怪我を覆う包帯を一枚ずつ剥がしていくようだった。
「はぁ・・・。無理しないでね・・・って言ってももう遅いよね。」
痣は青黒く滲み、ところどころ赤みを帯びて痛々しかった。
右腕を補強してる包帯は、流石に取りにくそうだったから手伝った。
その後も、お風呂も頭や体を洗ったりするのを手伝いながら、時間をかけて湯船に入った。
「ありがとう。」
「・・・いつでも手伝うから、もっと早く言って欲しいぃぃ。」
「…できるだけ、気を付ける。」
和さんがどれだけスズを支えていたのか、今さら実感してしまう。
「そういえばグェンさんって人が来るって聞いたよ?」
「あぁ。アンジェラが呼んだんだろう。」
「どんな人なの?」
机の中は沢山の資料やメモ、写真でいっぱいだった。
でも一つ丁寧な内容で、細かく妖怪や魔法使い、基本世界の人間の人達のことが書かれてた。
「そうだな。一言でいえば、ロマンチストかな。」
「ロマンチックなの?」
「古代研究をし始めたのもそれが理由だったからね。
相手の個人といわず、その祖先や流れ着きがどんなものか知りたいって言って、今はあっちこっち行ってる。」
なるほど。
そう言われてみると、文学者とか研究してる人ってそういう一面があるのかもしれない。
「だから、アリスと相性は良いかもね。」
「そっか。ちょっと会うの楽しみになりそう。」
「多少変わった面もあるけれど、きっとアリスならうまくやれると思う。」
「うー。ハードル上げないでぇ。」
でもそれって裏を返せば、ここにいる人やスズに関連している人が、みんな良い人達だからだと思うんだよね。
「いつ来るかは知らないけど、まぁ気楽に話してみればいいよ。」
「分かったー。」
お風呂から上がって、私とイザベルは四階の部屋へ、スズは地下へ降りて行った。
ようやく、ちゃんと向き合って話せた気がした。
昨日までかなりバタバタしてたから、スズもきっと一旦は落ち着いて考える時間が必要な感じがする。
和さんがいつ戻ってくるか分からない不安はあるけれど、多分今は急いでも良いことはない。
和さんが戻ってくるまで、私もやれることをやるしかない。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




