疑問:すれ違っているのは、どっち?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
狐の管理人さんの元に行くということなので、カルさんとイェさんが、私と和さんを狐に見えるように変えてくれた。
鏡で自分の姿を見ると、カルさんやイェさんとは少し違い、耳と尻尾のついた狐の姿になっている。
髪も黒くなり、見た目はまったく別人に見える。
これでまずは大丈夫なのかな?
和さんは、体格のがっしりした褐色の男性の姿になっている。
それに合わせて、洋服も着替えたりと、準備を進めていった。
因みに颯太君は、宗一郎さんにお留守番と言われて、かなり駄々をこねていた。
そして夕日が落ち夜を迎えると同時に、宗一郎さんと一緒に家を出た。
来た時と同じように、宗一郎さんの火が全員の足元に広がり、それが消えていく。
その青い火が消えると同時に、赤い灯りは、まるで夜の中に浮かぶ無数の瞳みたいに頭上へ連なっていた。
明かりに目が慣れてきて、辺りを見渡すと大きなお屋敷の入口の前に、全員で立っていた。
「わぁ・・・。」
その光景に思わず声が出てしまった。
両脇に立ち並ぶ赤い提灯の真ん中から、着物を着た狐がこっちに歩いて来た。
「お待ちしておりました。」
女性の狐は宗一郎さんに向かって、頭を下げた。
「こちらこそ急で申し訳ありませんが、ご調整下さりありがとうございます。」
「いえいえ。どうぞ。」
女性は笑顔で顔を上げ、奥へと案内するように進みだした。
赤い提灯に囲まれ、石畳の中を進んでいけば、大きな玄関へ辿り着く。
その引き戸が開かれ、中にも正座で並んで座った女性の狐達が迎えて下さっていた。
まだ来て数分だというのに、かなり丁寧に扱われているのが見ても分かる。
もしかして、宗一郎さんってかなり偉い人とかなのかな?
そんな宗一郎さんを先頭に、圭さんと和さんと進んで、その次に私とイザベル。
最後にカルさんとイェさんがついて、案内される部屋へと進んでいく。
沢山の狐の方々がいるけれど、みんな静かに動いており、不思議な雰囲気が流れている。
異様な空気にのまれながら案内の狐の方が開いてくださった襖をくぐる。
すると、広い畳部屋の奥に綺麗な女性が座っていた。
宗一郎さんは一度頭を下げ、口を開いた。
「こんにちは。この度は急なご挨拶失礼いたします。」
「構わんよ。ただ他に客が来ているので、早めに話を聞こうか。」
部屋の中央に宗一郎さんが座り、その後ろに圭さんが続いて座った。
「はい。昨日管理人の方が拾われた、人間の女性についてお伺いに参りました。」
「その質問には答えたな。拾ったが、それがどうした?」
「その人間は私の客ですので、宜しければお返しいただけないでしょうか?」
綺麗な女性は、静かに一息ついた。
「森で彷徨っておったが?」
「途中トラブルがありまして、はぐれてしまっておりました。」
嫌そう。そう思った。
女性の表情はそこまで変わらなかった。
けれど、その女性の狐の魂は宗一郎さんの言葉に反応して、空気の温度が一枚薄く冷えた気がした。
「それは、落としたお前が悪い。今は拾った私の物だ。」
「崑癒様。私達からもどうかお願い致します。」
「お願いします。」
すぐにカルさんとイェさんが頭を下げた。
「あぁお前らか。本当に今さっきの連絡だが、義母の知り合いらしいな・・・。」
やっぱり嫌そうにカルさんとイェさんにも目を向けた。
これは難しい感じがする。
少し行き詰まった空気の中、崑癒様と呼ばれた女性の近くの襖が開いた。
襖から狐の女性が入ってきて、崑癒さんに耳打ちする。
「・・・開き扉?そうなれば、奥の部屋しかあるまい。ついて案内を。」
「分かりました。」
入ってきた狐の女性は、そのまますぐに出て行った。
すぐに崑癒さんは、宗一郎さんへと向き直す。
「とにかく、渡す理由はないな。話は以上か?」
「手土産はご用意致しましたが、他にもご要望があればお伺い致しますので、どうかお返し願います。」
宗一郎さんが深く頭を下げたので、それに次いで全員で頭を下げた。
反応がないので頭を上げられないまま、沈黙が流れる。
「これ以上話す事はない。」
「彼女は、現在減ってきている語り手の一人とも言えます。どうか元の世界へお戻し頂けないでしょうか?」
宗一郎さんが更に続ける。
語り手?
「言いたいことは分かっている。それは考慮しよう。だがひとまず――」
–ドゴォォォォォォォォォン!!
振動と合わせて、崑癒さんの奥の方から大きな爆発音が響いた。
「何だ?」
全員が顔を上げる。
崑癒さんの傍にいた狐の女性が立ち上がり、廊下へ飛び出た。
急に空気が変わるように、廊下の方でいくつもの足音がバタバタ聞こえ始めた。
そして、焦った表情の狐が部屋へ入り込んできた。
「崑癒様!先ほど開き扉へ案内した客が、こちらにっっ・・・」
その女性が何かに吹き飛ばされ、代わりに別の人物が部屋へ飛び込んできた。
その顔には見覚えがあった。
「こんにちは。あなたはこのあたりの管理者さん?」
「リュース!?お前っ!!」
和さんが驚くように立ち上がる。
リュース・・・さん。
以前、死神の人と話をしたいと言った時に少し揉めて、それきりになっていた。
まさか、こんなところで会うことになるなんて。
「ん?あれ?圭だっけ?スズのところの吸血鬼がこんなところで何をしてるのさ?」
私と和さんの姿はいつもと違うから、気が付いてないようで、その中でも知った顔の圭さんにリュースさんが気が付いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お前が何をしてる。」
「お前ら、仲間か?」
崑癒さんも立ち上がる。
「すみません。この男は仲間じゃありませんが、知った顔なんです。ひとまず、話を――」
和さんが前に出たところで、リュースさんの後ろから更に重い足音が響いてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・和。まずい。・・・・・アンデッドの匂いがっ・・・。」
「圭?!」
言葉と一緒に、圭さんが廊下へ飛び出した。
同時に、廊下の奥から狐の女性達が逃げるように走ってきた。
その奥から・・・何?
何か、黒い影のようなものが――
圭さんが黒い生き物へ向かって飛び出していく。
「崑癒様!!お逃げ下さい!腐れた妖怪がこちらへ参ります!」
「は?貴様!管簾のところにきた客だろう!何をした!?」
崑癒さんが耳と尻尾を生やし、体から赤い炎を立ち上げる。
リュースの方へ近寄ろうと足を踏み出したところで、黒い生き物が崑癒さんの傍にいた狐に襲いかかる。
「このっ!!」
崑癒さんの手から立ち上がった炎が、黒い生き物を弾くように吹き飛ばす。
焼け落ちた布の奥から、腐肉と骨が覗いた。
それでも動きを変えずに、のっそりと立ち上がる。
これは妖怪なの?
何かが起こってる!?
「イザベル!アリスさんと退避を!」
「わ!分かったわ!」
その混乱に紛れて、逃げようとするリュースさんに和さんが目を向ける。
「リュース!何をした!?」
イザベルと一緒に廊下へ出る。
廊下は建物全体の部屋の外側にあるようで、出ると目の前に庭が広がっていた。
その廊下の左奥の方では、圭さんが狐の人達が逃げるのを手伝いながら、黒い生き物を庭の方へ吹き飛ばすのが目に入った。
私達の後ろからカルさんとイェさんも続いて廊下へ出てきて、周囲の様子を確認している。
「待ちなさい。そのまま向かっても、この領域の玄関は許可がなければ開かない。」
私達の後ろから宗一郎さんも出て来て、廊下から庭へ飛び降りた。
飛び降りた広い庭の奥の方からも、さっきの黒い生き物が何体かが、のそりと庭へ降りてくるのが目に入った。
それを気にする様子もなく宗一郎さんは、移動の時と同じ青い炎が体から上がり、それは上空へと上がっていく。
「そうだな。ひとまず庭へ降りよう。アリスこっちに。」
「う、うん。」
カルさんとイザベルが、廊下から庭へ降りる為の階段の方を指したので、それに続いた。
でも、和さんと圭さんは?
圭さんは廊下から他の部屋へ入っていったのか、低い振動とぶつかるような音が響いているけれど、その姿は見えない。
さっきまでいた部屋の奥では、壊れた襖の間から和さんがリュースさんを引き留めながら、崑癒さんと揉めているのが見えた。
どうしよう?
でもとにかく、私がここにいてもできることはない。
宗一郎さんの傍に向かって、先に庭へ降りておいた方が良いよね。
イザベラ達が進んでいった階段の方へ足を向ける。
狐達が逃げ、圭さんがいなくなった通路の奥へふと視線が向いた。
――その時。
一瞬、時間が止まった気がした。
通路の奥に、知らない狐の姿があった。
崑癒さん達の傍にいた女性の狐達とは違う恰好をしている。
誰・・・?
距離があるせいか、輪郭がぼんやりしている。
少し胸がざわついた。
見覚えがある輪郭だった。
その狐は、私と目が合った瞬間だけ動きを止め、すぐに視線を逸らして別の通路へ消えようとした――
今にも消えそうなぼんやりとした輪郭――
それって――
–ゴォォォォォォォォォン!!!!
大きな轟音と共に突風を吹いた。
そんなことを気にしている場合じゃない。
奥へ進んでいった狐に向かって、とっさに思いつく言葉を口にした。
「あのっ!スズ?もしかしてスズ!?」
その狐に声が届かなかったのか、別の通路へと完全に姿を消してしまった。
追いかけようと足をむける。
「アリス!!何してんの!急いで!!」
轟音の中、イザベルの大声が響き、カルさんに腕を掴まれた。
「今っ!スズがっ!多分スズがいたの!!」
「はぁ!?ちょっ・・・」
急に何かが視界をよぎり、庭に飛び出してきた。
驚いて、イザベルと一緒にそっちに視線を向けると、リュースさんだった。
揉めていたはずの和さん達の部屋から、誰かに投げ飛ばされたようで、受け身もとれないまま庭に投げられ、うめき声をあげている。
「イザベル!!拘束!!」
「っな!ちょっ!」
部屋から和さんの声が響き、イザベルが焦ったように反応する。
先に庭に降りていたイェさんが、リュースさんを抑えるように体の上に飛び乗った。
リュースさんからさらに低いうめき声が上がる。
「違うんです!俺達は、こいつらとは本当に関係ないんです!」
「それを判断する方法が無い以上、ここで逃がすわけにはいかない!!火車!!何をしている!」
崑癒さんは怒りを表情に浮かべ、和さんに襲い掛かってきている。
「恐れ入りますが、一度この領域を壊させて頂きます。ひとまず全員退避させるべきです。」
宗一郎さんの青い炎は上に伸びたまま上空で、何かにぶつかるように広がっている。
青い炎が触れている“見えない天井”のようなものから、ヒビ割れる音が響き始めた。
さっきの狐。
そんな中、どうしてもさっき見た狐が気になってしまう。
階段の前で立ち往生していた時。
–ゴォォォォォン
崑癒さんの部屋から、更に大きな爆発音が響き渡った。
「圭!!!ひとまず退避するぞ!」
土煙の中、和さんの声が響く。
その時。
空のヒビが大きく割れ、その奥からはさっきと同じ空がもう一度姿を現した。
圭さんが庭へ飛び出し、ついでのように庭の奥から近づいてくる黒い布を殴り飛ばした。
和さんも部屋の煙の中から姿を現す。
それを見て、宗一郎さんの青い炎が全員を囲むように伸びた。
「あの!さっき、スズが――」
待って・・・
逃げた方が良いのは分かってるけれど・・・
最後に、さっき見た狐の姿がどうしても頭を過る。
私達が今、狐に姿を変えているように。
もしもスズも姿を変えているのだとしたら――
狐の屋敷の喧騒が、暖炉の火が弾ける静かな音へ塗り替わっていく。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




