答え:和して同ぜずも、選択は自由に
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
家の中へ入ると、5人のエルフがこちらを待つように集まっていた。
見た目にも年齢の幅があり、10代前後から50代前後の男女。
巨人の話では、妖怪の世界から入って来たけれど、妖怪の世界へ戻ることを拒んだ為、対応に困っているとのこと。
「まずは、自己紹介をさせてもらう。私はスズ。サーズ、スーなどと呼ばれている。」
「・・・こんにちは。アドリスだ。」
エルフ達は、テーブルの向かいに並ぶように腰を下ろした。
真ん中にいる40~50代くらいに見える男のエルフが返事をした。
「初めまして。私は今の妖怪の世界とのトラブルについて調べているけれど、同時にエルフからの失踪者についても相談を受けている。」
「エルフから?」
まずはwalkerの説明。
そして、エルフのアーシャから受けた相談内容を、大まかに説明した。
「信じられないが・・・と、とにかく私達は自分達の世界へ帰れるのか?」
「望むのなら、帰れることは約束する。
だけど、その前によければ、あなた達が妖怪の世界に行った経緯が知りたい。」
話している男の右側に座っている幼いエルフ。
睨むような視線をこちらへ向けながらも、その隣に座る女性のエルフに身を寄せている。
「ここにいる私達は一つの町に住んでいる顔なじみだ。数か月前に――」
エルフの男が話した内容をまとめると。
数か月前、街でドラゴンが急に暴れ街中が混乱している時。
その混乱に乗じて、今こちらを睨んでいる幼いエルフを攫おうとした男が現れた。
それを近場にいた、ここにいる4人が追いかけたが、その先は妖怪の世界。
なんとか幼いエルフは回収できたが、襲ってくる妖怪から逃げ隠れを続け、やっと見つけた通路が巨人の世界だった。
「妖怪の世界で出会った他のエルフ達が、私達の代わりに犠牲になった。
・・・せめて、還してやりたい。」
「最初に街中で、子供を攫おうとした男は?」
「・・・魔法を使えるようだったが、見た目はお前のような姿をしていた。」
エルフの中には、魔法使いを知らない者もいる。
そうした者にとって、人型の種族といえば妖怪やドワーフ、獣人などになる。
つまり、私のような基本世界の人間と魔法使いの見分けは、魔力以外では判断しづらい。
「妖怪の世界では、どの地域にいたか覚えているだろうか?」
妖怪の世界で起きたことを細かく質問していきながら、内容を圭にメールで送る。
「お前はあの人間。この子を攫った者とは違うのだろうが・・・。」
「正確には違う生き物になる。私は魔法を使えない。」
男のエルフは、慎重に言葉を選ぶように続けた。
「・・・あれも気になっているが、次があれば二度目は見逃す気はない。
・・・だが、それよりも妖怪に襲われたエルフのこと・・・。
できれば彼らの体を、私達の世界へ還してやりたい。」
妖怪の世界で、亡くなったエルフの遺体。
家族や知り合いへ還したいという気持ちは分かるが――
「今は、生きている者を優先させてもらいたい。もしもその途中で見つかった場合には、回収はする。」
「・・・・・・・そうか。」
男のエルフは、肩を落とし言葉を漏らす。
「あの!私達からもお願いします!・・・・おかげでこの子も助かったんです!どうか。」
幼いエルフに寄り添っていた女性のエルフが、言葉を挟んだ。
それでも、同じ言葉を繰り返すしかない。
「見つかった場合は、努力はする。けれど、生きている者を止めてまで優先する訳にはいかない。」
「・・・・・助けてくれた人なの。」
幼いエルフは、ずっと私を睨んだままつぶやく。
「気持ちは汲む。それでも、全てが約束できるわけじゃない。」
「・・・二人とも、やめなさい。」
話していた男のエルフが宥めに入るが、二人の表情は変わらない。
「以上だろうか。教えてくれて助かった。それでは、今すぐ出る準備をして貰いたい。そのまま戻すよ。」
「分かった。すぐに用意する。」
男と同時に、椅子から立ち上がる。
「・・・・。」
–バシン!!
風圧同士が正面から噛み合ったような破裂音。
中央のテーブルに亀裂が走り、乾いた音と共に真っ二つへ裂けた。
「な!何してる!?」
「何素直について行こうとしてるんだ!おかしいだろ!こいつも攫った男の仲間かもしれないってのに!」
左側に座っていた、気の強そうな男のエルフが立ち上がった。
「ふん。それは儂が約束してやる。こいつはお前らをお前らエルフの世界へ戻すだろうし、魔法使いじゃないぞ。」
「!!お前。フェンリルか・・・。」
「「「「!!」」」」
空気が凍り付いたように、エルフ達の表情が強張る。
バースは私の後ろから、一歩足を前に出した。
今の姿では獣人にも見えるバースの正体が、フェンリルだと気づいた瞬間。
エルフ全員の顔色が変わった。
「ふん。こいつは魔法が使えん。攻撃なら儂が受けてやる。」
「・・・・はぁ!?なんでフェンリルが、魔法も使えない生き物に従ってるんだ?」
「すみません!こいつは、不安が前に出ただけで・・・。」
真ん中のエルフの男。
アドリスが、バースに向かって頭を下げた。
「なんだ?それを指導できなかったのは、お前だろう?
それにお前。その男の攻撃を止める気はなかったな。」
「・・・・申し訳ありません。」
「っち。すみませんでした・・・。」
割れたテーブルを挟んだまま、重苦しい沈黙だけが落ちた。
「バース。良いよ。とにかく出る準備をして、家の外へ出て来て。」
先にバースと一緒に入ってきた扉を出た。
「ふん。左の男は、ずっと攻撃できる状態でいたぞ。」
「彼らにとって、今この状況では不安も大きい。仲間も亡くなって、魔法使いとの見分けがつかない私には、不信感もあるだろう。」
気まずい顔のままのエルフ達を連れ、来た時と同様にトレーに元の部屋まで運んでもらった。
「戻ってもらえるなら良かった。隣の妖怪にも話を聞いてほしいが、改めるか?」
「そうだな。まず彼らをエルフの世界に送った方が良いだろうし、改めて来る時に連絡する。」
来た道を戻り、最初の入口にバースと私、そして5人のエルフを招き入れた。
その間もエルフ達は、誰一人喋る様子はなかったので、気にせずアーシャの居る家への扉を開く。
–カチャ
「失礼。」
扉の先は、いつものリビングが広がる。
「待ってたよ。5人いるわね。一人一人名前を聞いても良いかしら?」
アーシャは既に7人分の紅茶を並べ、テーブルで待っていた。
相手がエルフということもあるからか、アドリスを始め5人は素直に喋り始めた。
「あなた達の住んでいる街までは、少し距離があるわね。明日手配するわ。」
順調にアーシャが話を進めていく。
「今日は部屋を用意しておくから、そこで過ごしてもらえる?」
「分かった。よろしく頼む。」
「あの。妖怪の世界で死んだ仲間なんだけど・・・。」
落ち着いたからだろう。
さっきと同じ話を繰り返し始めた。
「それは、別世界である以上。できることは限られるわ。」
「!・・・でも!私達エルフの仲間よ?!」
仲間意識が高いことは良いことだろう。
それでも、限度はある。
押すべきか引くべきか判断ができない彼らに、それを納得させるのは難しい。
「あなた達がここへ帰ってこれたのも、彼女の手があったからよ。今はそれで満足して頂戴。」
「フェンリルも連れてるのに、なんで助けてくれないの?」
幼いエルフが、相変わらず私を睨んでいる。
「これ以上の説明は、私からしても納得できないだろう。アーシャ。以上?」
席を立つ。
「えぇ。今回はありがとう。・・・また宜しく。」
アーシャも、少し面倒くさそうな雰囲気を滲ませる。
扉を開き、バースより先に足を進めた。
5人のエルフ達は、私が部屋を出るのも気にせず話し続けていた。
「彼女は他の世界へ移動できるんだろう?なんで、妖怪の世界の仲間を――」
「スズ、行って。」
「なら、我々だけでも街に戻って、改めて妖怪の世界に・・・。」
「やめなさい。他世界とのトラブルは、他のエルフにとっても困るだけよ。」
–パタン
「いいのか?」
「何が。」
扉を閉じた途端、バースが口を開ける。
「あの攻撃してきたエルフは、復讐する気にしか見えん。」
バースが言う通り、幼いエルフは、分かりやすく睨んでくるだけだったが、攻撃してきた男のエルフは私のことなど関係なく、今すぐにでもやり返したいと言わんばかりの表情だった。
「それも含めて、アーシャに任せるしかない。今の状態で私達が何を言っても、逆効果だ。」
「うむ・・・。それもそうか。」
妖怪の世界とエルフの世界もいくつか繋がる場所がある。
なので、そういったトラブルは過去に何度かあった。
けれど、そこに基本世界の私が入ったところで、そもそも話を聞いて貰えない。
どちらの種族も、“自分達”という輪を強く持つ以上、時々起こってしまうこととして受け止めるしかないのだろう。
今回は、更にそこへフォーラスが絡んでいることが、別問題として残るけれども。
「改めて、巨人の世界へは後日行く予定だけど、バース達は一度世界に戻ってもらって、また迎えに行ってもいいかな?」
「ん?儂は構わんが、行ったり来たりと忙しないな。しばらくだけなら、あの庭でゆっくりしても良いぞ?」
それにはこっちの食料問題がある。
「和に相談してみるよ。」
「ふふん。お前はあの男の前だと、少々頑なようだな。」
頑な、だろうか?
でも確かに和への返答に対して、なかなか答えが出ず、慎重になっている自覚はある。
「生き物としては、基本世界の人間と魔法使いという意味で近いけれど。
結局はあのエルフ達と同じように種族が全く違うほどに、同じ時間を進められる長さに限りはある。
…どこかで、終わりを前提に線を引かなければならなくなる。」
「ふむ?だがお前からすれば、それは他の生き物全てに当てはまるだろう?それこそ儂とも。
それを割り切っておったら、儂はここにおらんな。」
それは距離の問題だろう。
いつかは終わると分かっている前提で・・・
だが、和に対してそれを前提にできなかった。
だから?
回避している?
「…受け入れると言って、諦めたつもりだったけれど、結局はまた割り切ろうと線を引いているのは、私の方か。」
「む?」
足が止まった。
今の関係のままでは、どこで区切りを付ければいいのか分からない。
その責任を負えない。
「つまり、いなくなることに立ち会える覚悟がないんだ。」
「ふむ。それは難しいな。」
バースが私が止まったことに気が付き、振り向いた。
「どうあがいても、儂らはお前と共には行けんからな。」
それは言わずと知れた当然のこと。
だからこそ、限りある未来を私に求められても、私には答えられるものなどない。
私の先には、お前はいない。
「だが」
バースは、いつもと違う静かな声で続ける。
「嫌でも勝手に進んでしまうのだから、そればかり目を向けては、今がもったいぞ?」
「…ふ。お前らしいな。」
バースの言葉を聞いて、少し気が抜けた。
足を前に進める。
「なんだ。凹んでいるようだから、人が珍しく真面目に考えてやってるというのに。」
「いや、褒めてるんだよ。」
「む?そうは聞こえんかったぞ。」
相談所の地下への扉を開けた。
アーシャにも相談して、妖精の数は減った気がする。それでも、視界の端ではまだ淡い光が跳ねていた。
「今日はありがとう。ひとまず、庭に戻っていてくれ。また伝えに行く。」
「うむ。・・・?」
そのまま一緒に地上への階段を上がると、上から軽い足音。
「スズ!帰ってきたんだね!」
日付も変わった遅い時間に、颯太が抱き着くように階段を降りてきた。
「聞いてくれよぉ!爺ちゃんが戻って来いってうるさくってさ!話聞いてくれないんだよぉ。」
「会いに戻ったの?」
爺ちゃんというと、山本宗一郎のことだろうか。
「夜たまに帰ってるんだけど、今も引っ張って来てさ。だから、スズ――」
颯太の言葉が途切れた瞬間、床が消えたみたいに、足元の感覚が抜け落ちた。
「…!?」
内臓ごと天地を振り回されたみたいに、上下感覚が砕け散る。
急に耳元で風が吹き荒れ、周りが聞こえない。
ここは、空の上?
身動きが取れず、見える範囲を見渡す。
隣にいたバースの姿はない。
颯太も見えない。
地上だと思われる方には、街の光が散らばって見えるが、それどころじゃない。
これは流石に――“落ちる”以外の未来が思いつかなかった。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




