疑問:不安が重なって、どこまでも?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
–パシンッ
大きな破裂音と同時に、急に頭の痛みが止まった。
「はぁ・・・はぁ・・・・・・?」
まだぼやけている視界のせいで、周りの様子が掴めない。
階段前に立っていた人は・・・?
「大丈夫だから、落ち着きな。」
女の人?
そうだ。
まずはとにかく落ち着かなきゃ。
深呼吸する。
「はぁぁぁぁ。・・・・はぁぁ。」
イザベルは?
日向達はどうなったの?
「あ。あの…。」
目の前にいる女の人の気配に、手を伸ばす。
「アンジェラだよ。落ち着いてからでいい。
そこの黒い子は動けるかい?水を持って来てあげな。」
「分かっタ。」
「キュウ?」
アンジェラさん?
そうだ、会った事ある。
暖かい手が背中をさすってくれる。
良かった。
アンジェラさんが来てくれた。
誰かに任せていいと思えた瞬間、ようやく息ができた。
「はぁ・・・。」
「アリス。持てル?」
目の前に差し出されたコップを受け取った。
「ありがとう・・・ウーノ。」
少しずつ落ち着いてきた呼吸。
視界も広がっていき、ようやくウーノの姿とアンジェラさんが見えた。
「まったくどうなってんだか。」
「あの・・・下に日向達とイザベルが。」
「あぁ会ったよ。ちょっと下で魔法使いと戦ってたから、そいつらを小屋にしまったら戻ってくるよ。怪我もなさそうだったし安心しな。」
三人とも怪我はない。
良かった。
魔法使い・・・
そういえばあの男の人は?
「さっきここに立ってた男は、逃げたみたいだね。
あれは魔法使いじゃないから、ちょっと今追いかけるとなると面倒だから、後回しにさせてもらったよ。」
アンジェラさんが、続けて教えてくれた。
「・・・すみません。ありがとうございます。」
「アンジェラー!・・・え?!みんな?!!大丈夫?」
「ひとまず閉まってきたー。・・・え?なんで?誰か入ってきた?!」
「アリス!何があったの?」
三人の声も上がってきた。
三階の階段前も焦げた跡や、少し血の跡が目に入る。
「お疲れ。色々片付ける前に、ちょっとだけ先に状況を整理しようか。」
みんながダイニングテーブルについた。
ウーノ達が、台所で飲み物を用意してくれてる。
アンジェラさんが中心になって、日向達やイザベルの状況を聞き始めた。
「急に魔法使いが何も言わずに攻撃してきたから、庭に吹き飛ばして相手してたの。」
「それが思ったより手間取った。日向を中に戻すべきだった・・・ごめんなさい。」
「玄関が空いてたから、私もそれに参加した形ね。
人数も多かったし、二人ともまともに動ける状況じゃなかったわよ。」
それよりも話してる二人に、怪我した様子もなさそうで良かった。
イザベルがフォローを入れたけれど、二人はちょっと凹んでしまっている。
「まぁ対応できるあんた達がいたから良かったよ。
その魔法使い共は、魔法世界から来た感じだったかい?」
隣に座った日向の頭を、アンジェラさんは撫でながら質問した。
ウーノが配ってくれたコーヒーを受け取った。
「分かんない。でも、ちょっと違う感じもする。若い人もいたけど戦いに慣れてた感じ。」
「少し前に来た魔法使いとは、似てない。もしかしたら所属とかが違うのかな?」
前に相談所へ来た魔法使いとは違う?
「イザベル。ミランダには連絡したのかい?」
「えぇ。すぐ回収に来るわ。」
イザベルがテーブルに上がってきた。
まだ食べ途中だった夕飯は、冷めてしまったまま残っている。
「カイルに連絡は?」
「まだ返事ない。」
「スズは?」
「同じく。」
「はぁ。そうかい・・・。それで?三階では何があったんだい?」
日向達とイザベルが私の方を見た。
今度は私が説明する番・・・だけど、なんて説明したらいいだろう。
「えっと、階段から知らない男の人が上がって来て・・・。
あ。違う。ちょっと見たことある人だったんですけど・・・。
と、とにかく、その人がブライアンに操作されていたみたいで。」
「ブライアン・フォーラスか。」
ブライアンの声で、なんて言ったんだっけ?
「えっと・・・。」
「アリス?」
イザベルが私の顔を覗く。
ブライアンの声で、なんて言ったんだっけ?
頭の奥で何かが引っかかる。
でも、そこへ意識を向けた途端、また頭蓋の内側が軋みそうで。
「アリスの真名で、命令をしていた。」
ルーナさんが静かにつぶやいた。
真名?
名前のこと・・・だよね?
でも、ただ名前を呼ばれただけじゃない。
もっと別の、奥を掴まれるような感覚だった。
「・・・あぁ。そりゃあ知ってるか。」
アンジェラさんは、納得するように溜息をついた。
「・・・アリスは大丈夫?どこか気になる事は?」
「う、ううん。今は大丈夫。さっきは頭が痛くて、割れそうだったけど・・・。」
なんて言ったんだっけ?
アリス・・・じゃなかった。
でも、確か精霊の世界でも、呼ばれた名前を・・・
「ひとまず尚弥が来たら診てもらいな。命令は何だったか覚えてるかい?」
「えと・・・。」
・・・ダメだ。
うまく出てこない。
「人を探してるようなことを言ってた。名前は、シャロン?」
「はぁ。なるほどね。逃げられたシャロン・フォーラスを探してるのか。」
代わりにルーナさんが答えてくれた。
「・・・上がってくる。」
ルーナさんがそう言ってまた階段の方を見た。
その視線に皆の視線も振り返った。
「キュウ!?!?!?」
セイが、驚きながら手すりから飛び降りた。
その様子を見て、安心した。
同時に予想通りの人が、階段を上がってきた。
――のだけど、その姿を見た瞬間、息が止まった。
いつものスーツ姿だけど、とにかくボロボロだった。
所々破れて、血も滲んでるように見えた。
そんな姿のスズに日向達が椅子を倒して駆け寄った。
スズは状況が気になる様子だったけれど、とにかくまずは応急処置と言うアンジェラさんの言葉に従って、みんなそれぞれが動き始めた。
しばらくして少しだけアンジェラさんと話をしたスズは、気を失うように寝てしまった。
その後、すぐに尚弥さんが来てくれたので、なんとかみんな徐々に落ち着きを取り戻した。
「ひとまずあんた達は、風呂に行っておいで。」
落ち着き、夕食を片付けたところで、アンジェラさんが声をかけた。
「分かったー。」
「颯太も大丈夫?」
「僕は何ともないよ。アリスちゃんの方が心配だよ。」
いつもより静かな颯太君の様子に、みんな少し驚いていた。
でも、多分一番驚いていたのは颯太君本人なんだと思う。
「ったく。カイルの返事がないんだけど。」
「…あっちも、何かあったのかもしれないですね。」
アンジェラさんと尚弥さんは、スズを和室の方で寝かしながら、話し始めた。
スズも怪我して帰ってくるし、別々に襲われた可能性があるってことかな?
そうなると、返事がまだない和さんの方が今は心配。
「分からないんだから、心配し過ぎてもしょうがないわ。アリスはひとまずお風呂に入って休みましょう。」
「・・・うん。」
–
ほとんど全員が階段を上がっていったので、三階はアンジェラさんと眠っているスズ。
そして僕。
「アンジェラさんは偶然ですか?」
「違うよ。今日スズから一度戻ってきて欲しいって、連絡があったんだよ。」
日向達から、スズと和が喧嘩してるってことはチャットにきていた。
いつものことだろうと思って、仕事を優先していたけれど、何かあったのだろうか。
「僕の方では、喧嘩してるらしいとは聞いてましたが、先週までは大丈夫そうだったんだけどね。」
その時の和は、颯太の件もあって少し不安定には見えた。
それでも、ここまで拗れるようには見えなかった。
いつかはどっちかに最終的な決着をつける日がくることではあるけれど、まだ時間がかかるだろうと。
「あぁ。私にも来たよ。日向達が半泣きしながら夜中に電話してきて、和が出て行くかもしれないって言ってきてたよ。」
「は?なんでそこまで・・・また、極端な。」
和のことに関して、スズならむやみやたらに放っておくこともしないだろうから、ひとまずは折り合いをつけると思っていた。
それがまさか一週間もせずに、出て行くことにまで話が進むとは。
何か進ませるようなことが起こったってことだろうなぁ。
「最近の二人の状況は知らないけど、まぁそういうこともあるだろうさ。
そこは状況次第では、日向達の方を宥めた方が良いかもしれないと思ってね。
様子を見に戻ってきたら、庭では日向達が魔法使いと戦っててね。
階段を上がれば、今度は知らない男が立ってる。
誰が敵かも分からなかったから、とりあえず吹っ飛ばしたって訳さ。」
「・・・で、その方は逃げたんですね。」
アンジェラさんは、大雑把というより豪快だ。
普通なら話を聞く場面なんだろうけど、アンジェラさんは先に拳が出るタイプらしい。
いや、日向達が既に戦闘中だったんだから、そういう状況でもないのか。
「最初は、その男は魔法使いかと思ったんだけどね。どうやらよく見たら違うみたいだったから、あんまりそれ以上怪我をさせるのもまずいと思ってね。」
少し苦笑いはしているものの、悪気が無い様子が見て取れる。
しばらくここまでの様子を話してはみたけれど、アンジェラさんも久しぶりに帰ってきたこともあり、分かったことは少ない。
みんなが寝静まったタイミングで、アンジェラさんもお風呂に上がって行った。
それにしても、小さいけれどガラスの破片を抜いたり、点滴を打ったりしているのに、スズはまったく起きる気配がない。
いつもなら、不機嫌そうに一度は目を覚ましそうなものだけど。
ただの寝不足だろうか?
日向と秀人が、静かに下りてきた。
「尚弥、このままここで寝る?お布団持って来る?」
「そうだね。今日はこのまま寝ようかな。ごめん、お願いしてもいい?」
お腹すいたし、何か食べようかな。
台所へ行くと、冷蔵庫の中には作り置きのタッパーがいつもの倍以上ある。
本当に出て行くかは別にしても、ここをしばらく離れるつもりはあったみたいだな。
…そこまで追い詰められてたのか。
「…はぁ。一言相談ぐらい寄こせ。」
ご飯は残っていたので、チンジャオロースが入ったタッパーを温めた。
「スズ、大丈夫?」
スズの横に秀人が布団を敷いて、日向がスズの方に近寄っている。
「切り傷が多いから、念の為輸血はしてるけど、大きな怪我はないよ。って、日向。ちょっとおいで。」
スズの顔に手を伸ばした日向の袖が捲れて、すり傷が見えた。
「なんで言わないの?ほらおいで。」
「・・・ちょっとだったし。ごめんなさい。」
「秀人は?」
「ちょっとだけ。この辺ぶつけた。」
膝に痣ができている。
「二人とも和がいない分、頑張ってくれたのは分かるけど、無茶し過ぎちゃダメだよ。」
「「・・・・・・。」」
和の名前を出すと、二人の表情は一段と暗くなった。
「和。帰ってくるよね・・・?約束したもん・・・。」
「このままいなくなるのは・・・いやだ。」
普段は明るい二人だけど、戦争を経験してきているからか、怪我などに対してはどこかずれている部分はある。
そしてその分、大事な帰り場所である、ここへ敵が来たり問題が起こると過敏に反応する。
「このまま戻ってこなけりゃ、みんなで殴り倒してでも迎えに行かないとね。」
「それは私も参加しようかね。」
アンジェラさんが、お風呂上がりの濡れた髪のまま降りてきた。
「尚弥ありがとう。二人とも、心配なのは分かるけど、あんた達が倒れたって良いことは無いよ。ほら寝るよ。」
「・・・はぁい。ありがとう。おやすみー。」
「・・・尚弥。ありがとう。おやすみ。」
「おやすみー。」
静かに三人で階段に戻っていった。
日向や秀人、そしてスズ。
全員、限界の少し先を“まだ大丈夫”で踏み続けている。
「こんな時に、お前がいなくてどうするんだか。」
ため息を吐く。
いるだけで、日向達やアリスさんがどれだけ安心してるか、あいつは分かってない。
それは多分、スズ自身も同じなのに。
・・・なのに、当人同士だけが、一番それを分かっていない。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




