疑問:それは、本当に救い?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
何かがおかしい。
“何かがおかしい”と話し合ってから、日向や秀人達と様子を見続け、数日が経った。
やっぱり何かがおかしい。
「・・・おかしいよね?」
「おかしい。」
「うーん・・・。」
三階の和室で、三人で顔を合わせる。
まず一つ目に、和さんの様子がおかしい。
二階の会議室に籠る事が増え、朝昼夜の料理の時以外はほとんど部屋から出てこない。
そして二つ目に、スズがカレンダーに何も追加しなくなった。
今までは、お昼ご飯でも怪異世界への移動でも、進捗確認でも、とにかく一日に一つは予定が追加されていたのに・・・。
そして三つ目。
これは私の時と同じで、スズが上の階にほぼ上がってこなくなった。
「それってつまり・・・。」
「喧嘩してるんでしょうね。」
イザベルが、言いづらかった言葉を続けた。
颯太君は、イザベルの後ろで昼寝している。
君は本当に帰らなくて大丈夫?
いや、今はそれどころじゃない。
「やっぱりそうだよね。」
「何があったんだろう?」
「何か気になる事あったかなぁ?」
確かに先週の買い物の時のスズの様子。
その後の和さんや尚弥さんの様子は、少し気になったけど、喧嘩するほどの理由になるのかは定かじゃない。
「仲直りするよね・・・?」
「原因が分からない・・・。」
日向が不安そうにつぶやき、秀人も不安な表情を隠しきれてない。
「いつもはこういう時って、どうしてるの・・・?」
私とスズが喧嘩していた時も、和さんは無理に口を挟まず、少し離れた場所から見守っていた。
けどその時も、スズとはちゃんと連絡を取り合ってたみたいだったし。
「うーん。下手に口挟むと、余計こじれるんだよね。」
「そうそう。和側から攻めると大体怒られる。でも、だからといって・・・。」
スズに聞くのも、かなりハードルが高いかぁ。
「時間が勝手に丸くしてくれるのを待つか。・・・アンジェラか尚弥に相談かなぁ。」
「尚弥が次に来るのは三日後・・・。」
少し遠いね。
「怒られるのは慣れてるんだから、カイルにまずは聞いてみるのは?」
「「うえぇぇぇ。」」
イザベルの案は嫌そう。
いや、私も怒られると分かって聞くのは、流石に嫌だよ。
スズに怒られたばかりで、更に和さんに怒られるのを考えたら――
「それなら、まずは原因だけでもサーズに聞いてみるしか、知る方法は無いんじゃないの?」
「・・・・うー・・・それも怖い。」
「まぁそうだけど・・・教えてくれるかなぁ?」
「それを言うなら、そもそもこんなことにはなってない。」
「「!!」」
「か!ずさん・・・。」
振り返ると和さんが立っていた。
「しばらく空けるかもしれないから、作り置きを――。」
「は!?待って待って!和!どこ行くの?!」
「しばらく空けるってどういうこと?!」
言葉が出なかった。
和さん、ここを出て行っちゃうの!?
「まだ予定は確認中。少し外が増えるかもしれないってだけだ。」
「はぁぁぁぁ!?戻ってくるよね!?」
日向の「戻ってくる?」の言葉で、和さんの表情が少し強張った。
それを見て、日向と秀人は同時に顔を合わせ、再び焦り始めた。
「え?和!?嘘だよね?ちょっと出掛けるって話だったよね?!」
「何?何があったの?どうしたの?!どういうこと?」
「ちょ!ちょっと落ち着け。そんな大げさな話じゃない。だから落ち着け。」
和さんの声は、自分でも答えを決め切れていないみたいに揺れていた。
「「落ち着けるかー!!!」」
「まぁ今の答え方じゃ、落ち着くのは、どう見ても無理な話よね。」
「キュウ!?」
階段の上から、ウーノ達も心配そうに降りてきた。
「わ、悪かったよ。言い方が悪かった。とにかく、作り置きを…。」
「作り置きなんて!う!うぁ!うぇぇぇぇ!!」
「そんな場合じゃなぁぁぁぁぁいいぃぃ!!」
とうとう二人とも泣き出してしまった・・・
「あ。あの和さん。本当に・・・?」
「あー・・・えーと。待て待て、二人とも落ち着いて。」
和さんに向かって二人が泣きついた。
「今落ち着けと言われても・・・かなり難しいですよ。」
二人の気持ちは分かる。
混乱してる時にどうこう言われても、落ち着けないものは落ち着けない。
セイ達も日向達の傍で、一緒に泣きそうになってきてるし。
泣き声が響き続けて、颯太君もようやく起きた。
「なななな?どうしたんだい?」
「あんたはちょっと静かにしてなさい。これ以上混乱させられた困るわ。」
和さんも、今はこれ以上喋ることはないみたいだけど、本当に?
言い合う姿や喧嘩する所は見てきたけど、それでも和さんがここを出て行くイメージはなかった。
多分それは日向と秀人も同じで、全く予期してないことだと思う。
そして二人の泣き声は収まるどころか大きくなっていき、とうとうセイ達も泣き出してしまった。
場の空気も、みんなの感情も、どこへ落ち着けばいいのか分からなくなっていく。
だからといって、和さんも困った顔のまま前言撤回をするようなこともしてくれない。
それが、余計に二人の不安を煽っていくようにしか見えない・・・
「これは、しばらくは話は無理ね。」
「・・・仕方ないよ。」
二人にとって、和さんもスズも大事な家族。
それは、どちらが欠けてもダメなこと。
数時間後。
さすがに泣きつかれた日向と秀人、そしてセイ達はそのまま寝てしまった。
途中タオルを持ってきたりしたけれど、それも使い切って目も鼻も真っ赤にしたまま寝てる顔は、痛々しい。
「言い方が悪いってだけじゃないわね。」
「・・・すまん。」
ウーノが、二人とセイ達に毛布をかけてくれた。
「とにかく、ちょっと作り置きを下におろしたいので、アリスさん・・・手を貸してもらえませんか?」
「・・・分かりました。」
和さんは、譲る気のない顔のままだった。
そのせいで、私もちょっとふてくされた返事をしてしまった。
冷蔵庫からいくつか作り置きされたタッパーを取り出し、お盆に乗せる。
和さんはコーラ等の炭酸飲料を手に階段を下り始めたので、お盆を持ってその後ろを黙ってついて行った。
「本当になんなのよ?」
階段を下りながら、イザベルが投げる。
「まぁ。ちょっと、僕も迷うと言いますか。」
「迷う?何を今さら迷ってるのよ?」
「・・・えーと。なんでしょうね。」
「はぁ!?あ!ちょ!」
和さんは、イザベルの質問から逃げるように地下への扉を開け、そのまま入っていった。
地下は入ってくる日差しも少なく、ちょっと暗くなってきていた。
右奥にある冷蔵庫を和さんが開くと、舌打ちが聞こえた。
少し離れた場所からも見えた。
飲み物以外、ほとんど手つかずだった。
つまり、スズがほぼ食べてないってことだよね。
「ちょっと圭の方に、直接持って行ってきます。」
和さんはそう言うと、再び階段の方に向かい、更に地下へ降りて行った。
「・・・どうしよう。」
ひとまずタッパーの積んだお盆を、パソコンのあるデスクの上に乗せた。
そういえば、スズが普段いる地下一階。
イザベルもいるけれど、一人でいるのは初めてかも。
何となく色々な所に視線がいってしまう。
日向達と起こしにきた時に、スズが眠っていたソファ。
そこには毛布が置かれていて、クッションが枕のような位置にある。
やっぱり普段から、ここで寝てるんだろうなぁ。
そのデスクとソファの周りは、所々に資料や本が積まれている。
古そうなものから、最近っぽいものが山のように積まれ、ちょっと触れば崩れてしまいそう。
というより、すでに崩れかけている山もあった。
このデスクを中心に、右奥の冷蔵庫から反対側のソファまで。
スズの生活範囲は、その数メートルに折り畳まれているみたいだった。
「なんて言うか・・・。」
「こういう部分は、意外と雑よね。」
≪そうなのよぉ。≫
「!?」
階段の方を振り返ると、白い精霊が浮いていた。
「・・・・・。」
≪良かった。あなたは見えるのね。不思議な子ー。≫
「アリス?」
イザベルは見えない?
そういえば、精霊の世界でも見えてなかった。
なんで私だけ見えるんだろう?
≪あなた魔法使いなのね。でもちょっと違う感じ。≫
どうしよう。
あんまり話さない方が良いかな?
「イザベル・・・。あの、精霊がね・・・。」
「いるのね。ちょっとマズそうなら上がりましょう。」
イザベルが階段の方へ足を向ける。
≪えぇー少し話したいだけよ?警戒しないでー。≫
イザベルについて行こうとすると、精霊は私の正面に回ってきて、悲しそうな表情を見せる。
と言われても、これ以上踏み込むのはまずい気がした。
≪ねぇほんのちょっとだけ。お願い。≫
少し寂しそうな声に変わる。
う。ダメダメ。
「ダメ。離れて。」
≪いつもここにいる子のことが、気になるんでしょ?≫
スズのこと?
無視して階段を上がろうとしたのに、つい顔を上げてしまった。
≪きっとあの子。あのままじゃダメよ。≫
「ダメってどういう意味?」
この数日、スズの姿を見てない。
何かあったの?
≪放っておくと、手遅れになるかもしれない。
あの子、自分で行く方を選ぶ顔をしているもの。≫
気になってしまい、振り返り体が止まる。
「アリス、ダメよ。とにかく上がって。」
イザベルの声に引き戻される。
≪あなたは、あの子のことが気になるのよね。≫
気になる。
でも、ダメだ。
またスズに怒られるとか、そういう話じゃない。
ここで立ち止まったら、余計にまずい気がした。
階段を上がる。
≪きっと連れて行かれちゃうわ。≫
なんでそんな・・・
「!・・・っそ!」
「アリス!」
≪今ここで見ないままにして、本当に平気?≫
精霊の・・・声?
精霊の声のはずなのに、前に会った精霊達とは空気が違う。
地上への扉。
この扉を開いたら・・・どうなるの?
和さんは、このまま離れていって。
スズもいなくなるの?
そうしたら・・・
ドアノブに手をかける。
≪頷くだけでいいのよ。それだけで。教えてあげるから。≫
「・・・そうじゃない。私は、ただ――」
そこで言葉が詰まった。
知りたくないわけじゃない。
止めたい。
力が入らない。
どうしたらいいのか分からない。
精霊が、やわらかく笑う。
≪ええ。十分よ。≫
その瞬間、足元に白い光が広がった。
体が引かれる感覚と、ほとんど同時だった。
後ろから何かが強く踏み込んできて、次の瞬間、目の前に誰かの温度があった。
–ん・・・
明るい日差しの中で、上から大きな影が覆いかぶさっている。
–・・・何が・・・?
そう思ったら、それがそのまま言葉になった。
–待て!彼女は了承してないだろ。なんで連れてきた?
上から守るように、私に覆いかぶさっていたのは和さんだった。
気持ちがそのまま言葉になる。
じゃあ、本当に連れてこられたんだ・・・。
≪だって、否定はしなかったわ。それは了承よね?≫
–な!それは無理がある!他の精霊は?
和さんがやや怒り気味に返した。
花畑の真ん中にいるみたい。
どこまでも続く花畑。
先が見えない。
イザベルの姿もない。
–和さん・・・
状況や和さんの言い方からも、ここに無理矢理連れてこられたのだとすぐ分かった。
和さんは私を庇う姿勢のまま、少し体を起こした。
その手は、安心させるように私の背中をさすってくれる。
–とにかく戻せ。
≪どうして?ここにいれば、きっと幸せよ。≫
–それを幸せだと決めるのは、あなたじゃない。彼女だ。
≪そうね。あなたの希望じゃないわね。≫
白い精霊は、悪びれる様子もなくふわふわ漂っている。
周りの様子は、精霊の世界なのかもしれないけれど、前に行った場所とは全く違う場所。
どこまでも続く花畑は、美しいのに、出口のない夢みたいで怖い。
≪でも、有限なあなた達にとっては、ここが良い場所なのは確かでしょう?≫
–それを決めるのはあなたじゃない。
≪分からないわぁ。ここにいればずっと好きなものと一緒にいられるのに。≫
前に見た事のある精霊と、今ここにいる白い精霊はたぶん全く違う。
–彼女をあまり怒らないであげて欲しい。
低い声が響いた。
この声は、聞いたことがある。
白い精霊の後ろから、ふと現れた黒い影の様な姿。
–私が彼女にお願いしていてね。
–アディール・クラーレン・・・
和さんが、私の体を強く引き寄せた。
–ただ少し、彼女と話す時間が欲しかっただけだよ。
相変わらず顔色の悪いまま、黒いコート姿はこの花畑の中で浮いていた。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




