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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第二部 第四章 接触 × 価値観 境界の崩れ
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答え:連木で腹を切るよりは、できることなら

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

鳥居を経由して、再び怪異の世界に来た。

以前、ブライアンとブルースを見かけた場所の近くまで来ると、圭達は辺りを警戒するように見回し始めた。


「何か気になることはある?」


「少し私達の匂いもする。」

「ほんの少し。」


カル達の、狐の匂い?

あの時は狐を見かけた覚えはないけれど、どこかにいるのだろうか?


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スズ。・・・・・あっちの住宅街、変。」


最初に出てきた扉がある住宅街。

広い畑を横切って、近づく。


「歩き回ったけれど、私には分からなかった。」

「鬼の世界と重なっていることは分からないけれど、ここは神道が通ってる。」

「中には入れないね。」


住宅街に足を進めようとした時、三人が同時に立ち止まった。

神の道か。だから、この住宅街には妖怪が住めなくなってしまったのだろうか。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スズ。入ったらダメ。」

「分かった。」


道も家も整っているのに、相変わらずそこだけ時間が息を止めているように見えた。


とはいえ、ブライアンやブルースと出会ったのはこの住宅街の中。

入れないとなると、どうしたものか。


「スズ。あんた本当にこの中にしばらくいたんだとしたら・・・。」


カルがこちらに神妙な表情を向ける。


「いや、あんたの場合は、魂がどうなってるんだ?」


神の道は、今まで無かった場所でも、天災のようにふと現れる。

その名の通り神が通った。

ただそれだけで、生者にとっては災害と変わらない。


その領域に触れると、死に近い存在である妖怪は、最悪の場合消滅する可能性もある。

それ以外の種族でも地獄側の種族となれば、何かしら強い影響を受けるだろう。


生者が、神に近づきすぎてはいけないという意味なのかもしれない。


「今のところ、気になることは――。」


一つある。


神に関連したことなら、夜の商店街。

そして、その後に変な夢を見たこと。


童歌のことは、意味も分からない出来事として、すっかり意識の外に追いやっていた。


「とにかく、ここを探索できないとなると、他の場所を探した方がいいか。」

「でも実際に、魔法使いを見た場所だからね。少し確認できる範囲で、辺りを見てくるよ。

圭はここでスズと待ってな。」

「私は反対から。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった。」


カルが住宅街を右回りに進み、イェが左回りに進みだした。


あの時は、鬼の子供が住宅街の空地にいたのを見た。

子供の場合は、大人よりもその影響は受けづらいというから、大人に無断で入って遊んでいたのかもしれない。

そうだとしても、鬼側からはこの場所をどう考えているのだろうか。


それはともかくとしても、攫った生き物を置いておける環境ではないのだとすれば、フォーラスにとっても、ここは安全に扉を使うためだけの拠点だったのかもしれない。

それにあの時はまだクラーレンの通路を使っていたのだとすれば、今はもう違う場所に変えている可能性も高いし、ここにこだわり続ける必要はあまりないか。


まだ日も高いので、鬼も妖怪の姿も何一つ見えない田舎道。


廃墟となった理由も分かったのだから、次の場所へ移ることを考えると。

今回は、候補地を決めた順に回っていく事になるだろう。


私からはいたって普通の住宅街を眺めながら考えていると、何かが耳に入ってきた。


子供の声――?


複数?


そしてこれは、さっき思い出したばかりの…


–とおりゃんせ~とおりゃんせ~


–こ~こはど~このほそみちじゃ~


「…圭。歌が聞こえる。」


–てんじんさまのほそみちじゃ~


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・歌?」


–ちょ~ととおして くだしゃんせ~


圭は周りを見ながら、聞くことに集中しているようだけど。


–ごようのないものとおしゃせぬ~


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何も聞こえない。」


–このこのななつのおいわいに~


圭には聞こえない?

それは、良くない。


–おふだをおさめにまいります~


「圭。離れよう。」


–いきはよいよい~


そう言うと、圭はすぐに私の手を取り、羽を生やす。


–かえりはこわい~


歌がもうすぐ終わる。

足が地面を離れようとした時。

童歌だけが、すぐ耳元で続いた。


–とおりゃんせ…


瞬間、体の輪郭が抜け落ちた。


見えない。

聞こえない。

さっきまであった圭の手の重みも、どこにもない。


風の感覚も、洋服を着ている感覚も。


そもそも今立っているのだろうか。


声を出そうとした。


口の感覚がない、動いているのか分からない。


――けい。


のどが動いている感覚がない。

考えられている以上、時間は止まっていないはず。

となれば、今私の体はどうなっているのだろうか。


座標の外に落ちた時の感覚とも違う。


手足の感覚がないので、精神だけが別の場所にあるのだと仮定したら、体は圭の傍にあれば良いけれど。


明確な理由は分からないけれど、原因は一つだろう。


あの童歌。


昔の日本の歌として有名なものだろう。

その内容は、いろいろな解釈が残っているが、元はシンプルな意味だったはず。

そして幼い体の時に、何度か誰かの声で聞いた気がするけれど、その時は少しリズムも歌詞も違ったような…


歌が原因だとすれば、前回聞いたタイミングと関連するのは、神に関するところだろうか。


体があれば、溜息をついていただろう。


こちらがいくら境界線を引いたところで、それがまったく通用しない相手もいる。

勘右エ門や商店街で会った彼らは、それを多少は弁えている。

だけどそれも一律ではない。


魔法使いや妖怪、悪魔。

基本世界の人間からすれば、どれも脅威でしかない存在。

だが、それらですらまだマシに見えるのだから不思議なものだ。


だからこそ、これだけは常に対策を残しておく必要がある。


–カコーン


木魚を打ったような、乾いた音。


煙のような揺らぎ。


鐘の中にいるような大きな振動。


どこへ流されているのか分からない。


振動の奥で、関係のないはずの記憶が浮く。

いや、関係がないわけじゃないのか。


遠い昔。

まだ世界が一つしかなかった頃。


本来五つしか存在しないはずの“何か”を、あの時は見た気がした。


あれは、五つという存在になる前に――


【それを頂戴します。お通りなさい。】


男性とも女性ともつかない声が頭に響く。


と、同時に眩しい日差しが目に入る。


「・・・・。」

「あ。起きた。」

「起きた。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スズ。」


視界に、圭の顔とその奥にカルとイェが入ってくる。


「…どのくらい経った?」


圭に支えられていた体を起こす。


場所は変わっていない。

住宅街と畑の間にある、田舎道。


「15分は経ってないかな。何があったんだい?」

「そうか。まだ明確には分からない。これに関しては後で確認するとして、ひとまず次の場所に移動しよう。」


「体調は?」

「変わりない。」


イェが心配そうに覗いて来た。

体調面に変わりはない。

無くなったモノは、直接的に体調に変化を与えない。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・帰らない?」

「ひとまず、問題ないよ。候補地は、時間が許す限り確認しておきたい。」


圭が少し悩んで、私に向けて背中を下ろした。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すぐ言って。」

「分かった。カル達も行ける?」

「はいはい。」

「あーい。」


圭の肩を掴んだ、はずだ。


圭の背中に乗り、改めて地面を離れる。

カルとイェは人から鳥に姿を変え、その後ろからついて来た。


圭の背中にいるとはいえ、前方に見えてきた山が数秒で後ろに消えてしまうくらいには、その飛行速度は早い。

そうなれば、体が受ける風も強くなる。


それが体に当たっていることは、髪や洋服がなびく様子からも一目瞭然。

けれど、私はそれを感じていない。


風も、温度も、何も。


引き戻して貰った代償は、”感覚”ということだろう。


圭の肩を掴んだ感覚といい、手の感覚もない。


これはまた、困ることになる。

悲しそうな嫌そうな、更に不機嫌そうな表情が混ざった顔を思い出す。


――あいつなら、気づく。


それでも、伝える気がおきない。


その後、夕方が近づく時間まで候補地を回ったが、大きく気になる事は見つからず、近くの町の中で扉を見つけ、相談所へ戻った。


「今日最初に行った場所なんだけど、もう少し調べたい。」

「分かった。」


カルが、相談所の地下へ戻ると同時に、少し近づいてそう告げる。

妖怪の世界に入って最初に言っていた、匂いのことが気になるのかもしれない。


「だけど、あんたは流石に明日は休んだ方が良いよ。明日は私とイェだけで行ってきてもいいだろう?」

「あんな速度で飛び回って、絶対疲れてる。」


二人と一緒に、その二人の後ろから圭も同じ表情をしている。


「体調面では、特に問題はないよ。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スズ。」


感覚が無いせいで、自分と身体の位置が少しずれている気がする。

多少疲労はある気がするけれど、特に変わりない気がしている。


だが、ここは止めておいた方が良さそうだ。


「分かった。じゃあ、明日は鳥居まで送るよ。」

「おう。宜しくー。」

「うんうん。」


カルとイェはそう言って、地下への階段に向かう。

圭が最後に視線を残し、その二人について行った。


何も情報無し。


攫われる時期は世界の時間によっても違うから、すでにかなり経過している可能性もある。

もう遅い可能性もあるが、それも分からないのだから、できれば探したい。

そして、あの場所に関しては、鬼にも話が聞ける機会があれば聞いておきたい。


デスクに座り、メールを一通送った。


やっぱりシャロンの話を、聞くべきだろうか。

だが、無駄足どころか罠の可能性もある以上、リスクの方が高い。


焦ってる。


まだそこまで進められていないのだから、少し落ち着くべきだ。

消耗ばかりして、無駄なことをしている可能性もある。

だからといって、焦って行動しても碌なことにならない。


何もできない。

その事実だけが、じわじわと鬱陶しい。


あの場所に神道が通っていたのは、単純に運が悪かった。


……そう思いたいだけかもしれない。


気がつけないとはいえ、一度あの場所にいた私に、すでに引っかかる要素があったのだろう。

あの場所は、カル達に任せた方がいい。

既に遅いのかもしれないけれど、近づかないに越したことはない。


–バサ


机に置いていた資料が、床へ落ちた。

手が触れたことにも気づかず、そのまま資料を払い落としてしまっていた。


「…。」


歩く事は、普段よりも意識的に行うことになるけれど、こういった意識が抜けている場面では、特に気をつけないといけないな。


見えている。

動かせる。


それなのに、自分の体が半歩遅れてついてくる。

そんな感覚が、一番厄介だ。


確証はない。それでも、怒られるだけでは済まない気がしていた。


…いや、あいつは怒らないか。


神に引き寄せられた時、戻るには結局、神に頼るしかない。

運任せにするくらいなら、代償込みでも帰る手段を用意しておいた方がいい。

それが、私にできる最善策だった。


それでも、やっぱり伝える気がおきない。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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