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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第二部 第四章 接触 × 価値観 境界の崩れ
156/201

疑問:違いの幅は、大小さまざま?

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

和さんの作ってくれた焼きそばをお昼ご飯に食べながら、スズが颯太と話しているのを横で聞いていた。

というより、気になって自然と会話に耳を傾けてしまった。


颯太君からはお母さんの了承もあるから、しばらくここにいたいとのこと。

スズはそれを聞いて少し考えてから了承していたけど、朝の騒ぎを見ていたみんなは、少しだけ複雑そうな表情をしていた。


「さっきのことはひとまず収まったと思うけど、またあんまり問題を起こすようなら、追い出すよ。」

「うぅぅ。分かったよ。気を付けるからー。」


そんなみんなの表情を見たからなのか、スズが最後に念を押してくれたから、大丈夫かな?


「まぁまぁーしばらくは僕か日向も一緒にいるようにするからー。」

「そうそう。勢い余っちゃう年頃ってやつよー。」

「任せるよ。」


こういう時の日向達は安心できる。

なんだかんだで、いざって時は二人ともちゃんとしてるもんね。


「えぇー!僕はスズちゃんと一緒にいたいんだけどー?」

「今日、明日は多少付き合うけど、平日と来週は無理だよ。」


スズは食べ終えて、最後にスープを飲みながら答えた。


「和、解体場所どうなった?」


さっきまでの空気を切り替えるように、スズが次の話題を出した。


「あぁ。一応、バース達の小屋の前に用意したよ。」


解体?

一体何を解体するのでしょう?

ちょっと不穏な単語が気になる。


「解体するのー?」

「バース達の肉の確保になるか、獲物をいくつか解体してみようかと思って。」


「え?何を?」

「グリフォン。」

「グリフォン!?良いよ!」

「美味しそう!」


「お、美味しそう!?」


つい突っ込んでしまった。

グリフォンって一度だけ、一瞬見た気がするけど、かなり大きくない?


「凄いね。スズちゃん。意外と野性的な面もあるんだね。」


いや、問題そこじゃないよね?

ちょっと流石に、私は遠慮しておこう。


スズや日向達は午後にまた庭へ出て行き、私は和さんと食後のコーヒーを飲みながら三階に残った。


ウーノとドゥエ、トレの大きい子達は和室の方で、ノートを開いて日本語の勉強をし始めたので、三階には静かな空気とコーヒーの香りが漂う。


さて、私は午後はどうしようかな?

魔法の勉強を進めようか、何か家のことでも――


「少し質問したい。」


ふと、足元から声がした。


死神のルーナさん。


会った時と同じ白い髪と黒いスーツで、その姿を現した。

同時に、台所に立っている和さんの視線がこっちを向いた気がする。


「どうぞ?」


ルーナさんはさっきまで、スズが座っていた私の正面の席について、さっきまで颯太君達が座っていた方を見た。


「さっきから見ていて、気になった。

生者は、どうして自分勝手な者がいても、一緒に暮らそうとするの?」


「・・・えっと。それは颯太君のこと?」


ここまでの話の流れからだと、ルーナさんの言う“生者”が誰を指すのかは、嫌でも予想がついてしまう。


「そう。颯太。その生者に限らないけれど、ここにはそこにいる黒い生き物や吸血鬼もいる。それぞれ、生態が違う。生活に支障がある場面もあった。」


確かにウーノ達や圭さんとは、生活面で違う部分もあるけれど。


「それなのに、わざわざどうして一緒に暮らすの?」

「ふん。それを聞いてどうするのよ?」


イザベルが、テーブルに上がってきた。


「・・・気になった。生者は、自分勝手が強すぎる面があると私は思ってる。」

「あの死神のビルにいる責任者達とは、関係がない質問ってことで良いのかしら?」


イザベルが慎重に確認してくれた。


「関係ない。これは私の質問。報告書には書かない。約束する。」


ルーナさん個人の質問かぁ。

それなら普通に話して大丈夫かな?


「ルーナさんがさっき言った。自分勝手が強すぎるっていうのが、今朝の颯太君のことなら、ちょっと違うかな。」


ルーナさんは、イザベルから私に視線を移す。

白い髪が揺れる。


「颯太君の場合は、まだ経験が少ないから、正しいことや間違っていることの判断ができていないことが多いだけなんだと思う。」


「・・・それでも、個体ごとの差異が大きい以上、同じ衝突は繰り返されるのでは?」


なるほど。

大人になっても、お互いのいざこざは起きるもんね。


「そういうこともあるよ。だから、それが分かり合えないって、最初から割り切る人もいるよ。

でも颯太君の場合は、それが本当に分かり合えるかどうかを知っていく為に、少し時間がかかる段階かなぁと。」


会ってすぐに、お互いが分かり合える人間なんていない。

だから話し合っていくことが大事だと思うんだけど、ルーナさんの答えになってるかな?


「・・・颯太という生者が、未熟であることは分かった。しかし、それ以外でも生者は戦という暴力によって、強さで自分勝手を通す場面も見てきた。

それでも、一緒に暮らそうとする理由が分からない。」


急に大きな話に変わった気がするけれど、ルーナさんという死神の視点からは、生者という括りでは同じように見えているのかもしれない。

ルーナさんの中では、それは全部同じ“生者の選択”なんだ。


「それぞれの性格や譲れない部分から出る行動を、自分勝手と括っているわけね。」


ルーナさんの言う”自分勝手”。


「そう。私利私欲が混ざった行動。

未熟だからではなく、分かっていて押し通す場面も見た。

特に死が近くなると、他の生者を踏んででも生きようとする者は珍しくない。

それは自分勝手ということではない?」


死の間際。


確かに、自分の死が目前に迫った時は、そういう選択をしてしまうこともあるかもしれない。

誰だって死にたくはないのだから。

目の前の生き残れる選択が例えどんなものだとしても、状況次第ではもしかしたら選んでしまうのかもしれない。


「・・・死ぬ間際の選択を、普段の選択と同じ基準では見られないと思う。」

「どうして?同じ生者がする選択なのだから、同じではないの?」


うーん。

確かに同じ人間がする選択という意味では、同じなのだけど・・・

場面があまりに極端過ぎる。


「生きるか死ぬかの時の選択が、我がままになるのは仕方ないじゃない。」

「仕方ない?生者にとっては、許される選択になるということ?」


許されるとか、許されないとか、そういう基準じゃないというか。

どう言ったら伝わるんだろう。


多分、ルーナさんにとって気になってる部分がそこな気がする。

何故人は、死を前にすると自分本位な選択をするのか。

それなのに、どうして一緒に生きようとするのか。


でも私からすると、普段生きている時にする行動や選択と、死を前にした時の行動や選択は、どうしても一緒にできない。


あ。

これって、つまりそういうこと?


少し前に、スズと和さんが喧嘩していた理由。

尚弥さんは生きる長さによる違いかもねって言ってた。


そして、あの白い世界で橋から落下した後のスズの選択。

死を前にして、誰もがそれを嫌がっている状況でもスズは進むことを選んだ。


「・・・全員じゃないかもしれないけれど、多くの生きている人達は、死にたくないと思ってる。」


スズはそこに、私達や和さんとは違う“死の受け止め方”がある。


「自分が生きる為に、他の生者が死んでも良い?」


スズなら、他者を犠牲にするくらいなら、自分が死ぬ側を選ぶ気がする。


「それしか無い場面もあるかもしれない。でももちろん、全員が生き残れる方法があるならそれを選ぶ人が多いと思う。」


何かを、犠牲に生きるのは辛い。

あの橋で、梓さんの魂が取り戻せたとしても、もしも代わりにスズがいなくなってしまっていたら――


「でも、死んだら終わりだから。自分だけでも生き残る方法を選ぶかもしれないし、誰かを犠牲にするぐらいなら、自分が死ぬことを選ぶかもしれない。」


その選択が、他の人からは自分勝手と言われるかもしれない。


「その選択が間違ってるとか間違ってないとか、その時のその人にしか分からないことだと私は思う。

後から非難されることもあると思うけど、そういう瞬間って、きっとすごく大変な状況だから・・・それだけで、その人の全部が分かるわけじゃないよ。」


これが、ルーナさんへの答えになるのかちょっと不安。


「・・・・と、私は思うよ?」

「それが、生者の本性って言う死神もいる。」


本性かぁ。

確かに本質に近い答えを選ぶかもしれないけれど・・・

そしてそこから開き直る人もいれば、反省や後悔をする人もいると思う。


「でも、生きている限り、選択は変わっていくものじゃない?」


「・・・。」


ルーナさんは、ちょっとだけ眉を寄せて考え込み始めてしまった。


やっぱり私達と死神の人だと、死に対する見方がかなり違う気がする。

そもそも食事も睡眠も必要としない死神という存在は――


「死神は死ぬの?」


イザベルが質問を直球で投げた。


「力の消耗はある。だから、定期的に入れ替えは発生する。」

「消耗したら、あなた達は消えるのかしら?」

「消える。」


影のまま、消えてしまう?


「それはあなた達、死神にとって恐ろしいことではないみたいね。」

「しょうがないこと。時間経過とともに必ず起こる事。」


ルーナさんは、当たり前のことのようにただ口にしている。


「サーズや圭に近いわね。あなた達にとっての消失と私達生者にとっての死は、同じもののようで違うものだわ。だから、その過程の捉え方が違うわ。」


そうそう。

だから、普段の選択と、死を前にした時の選択は、やっぱり別物だと思う。


「いつかは死ぬのに?」

「いつか死ぬとしても、生きられる今を生きたいわ。

とにかく、そんな場面での結果から、生者が自分勝手だと感じるのはそういう理由よ。

私達からすれば、そんな場面で私達を判断して欲しくないのよ。」


「そう。あの颯太という生者と同じように、今の私では、あなた達のそういった基準が分かっていないということ・・・か。」


ここにいると、何を基準に正しいとか間違っているとかが決まるのか。

颯太君みたいな小さな価値観の違いから、死神や長命種みたいな根本的な違いまで。

ここにいると、その幅の広さを何度も実感する。


スズや圭さんのその基準は計り知れない。

それに魔法使いですら、私が今まで基準にしていた基本世界の人間としての基準だった寿命は八十年くらい、という時間の長さの何倍もある。


少し前にイザベルに言われて、私があと900年くらいをもしも生きるとなると思うと、まだ私にはそれがあまりに長すぎて実感がない。


それくらい離れているそれぞれの基準を全部理解するなんて、かなりの無理難題に思えてしまう。


「正しいか間違っているかと、白黒決められることではないと思いますよ。」


台所からコーヒーのポットを持って、和さんが出てきた。


「死神としての見方や捉え方も、一つの在り方だと思います。

でも、それは今の見方や捉え方であって、それも時間や時代が進めば変わる事もありますよね。」


話し込んでしまって、すっかり飲み干してしまった私のマグカップに、和さんがおかわりのコーヒーを注いでくれた。


「ルーナさん。誰にとっても正しい答えなんてありません。」


「・・・それなら、どうやって生者は正しい判断をするの?」


ルーナさんの問いに、少しだけ空気が静まった。

和さんは、台所に一番近いダイニングテーブルのいつもの椅子に座った。


「これも、数ある見方のうちの一つでしかありませんが――」

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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