疑問:記憶は過去にあるけど、未来もこれから?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
怖かった。
そう思うのに、何が怖いのかはうまく言えない。
シャロンお姉様のどこが怖いのかも、思い出せない。
ただ、怖かった。
あの目で見られると、答えを間違っちゃいけないんだと感じる。
「アリス。」
「・・・・ごめん。」
毛布にくるまっていると、イザベルが様子を見にベッドへ上がってきた。
「気にしないで、少しは落ち着けた?」
ここには、あの瞳はない。
ここは、自分の部屋。
イザベルもいる。
それが分かって、やっと息が戻ってきた。
「・・・うん。みんなは?」
というよりも、お姉様はまだ一階にいるのかどうかが気になってしまう。
「お母様が魔法使いを呼んだから、少し前にあの女を魔法世界に連れて行ったみたいよ。」
もうここにはいない。
「そっか・・・。私何もできなかったけど・・・大丈夫かな?」
「気にする必要はないわ。」
スズ達が呼んだのだから、何か目的があったと思うのに。
あの部屋に入って、ろくに話もせずに、すぐに出てきてしまった。
ガッカリされてしまったかな・・・?
死神との会議で、折角褒めてくれたのに。
毛布から顔を出すと、部屋の中は真っ暗だった。
もうそんな時間なんだ。
「お腹空いてない?日向がおにぎりを持って来てくれてるわよ。」
テーブルの方を見ると、お盆にラップが掛かったお皿やお椀が乗っている。
夕飯の時間も過ぎてしまってるんだ。
「・・・そんなに経ってるんだ。イザベルもお腹空いてるよね。食べよう。」
ベッドを下りて、床に座った。
ラップの中にはおにぎりが2つ。
お椀には冷めてしまったお味噌汁。
それとイザベル用のお皿も揃ってた。
温かくはないのに、口の中に味があるだけで少しだけ落ち着く。
静かにご飯を済ませて、お盆を持って階段を下りる。
廊下も階段も薄暗く、静まり返っていた。
台所でお皿を片付けていると階段を上ってくる足音が聞こえた。
体が一瞬で強張る。
もういないはずなのに、もしかしてと思ってしまう。
「こんな遅くに上がってくるのね。」
「奇遇だね。」
イザベルが階段を覗いて声をかけると、返って来た声に安心した。
スズだ。
「二人はこれから寝るところ?」
「多分お風呂に入るわよね?」
「あ。うん。」
片づけを終えて、階段の方へ立ち寄る。
「それなら一緒に行こうか。」
スズと一緒に階段を静かに上がり、脱衣所に入った。
「今日は、状況を確認せずに声をかけてごめん。」
洋服を脱ぎながら、スズが声をかけてきた。
「ううううううん。ごめん。こっちこそ何もできなくて……。」
「アリスが謝る必要はないわよ。本当よ。先にこっちの様子を見なさいよね。」
「そうだね。先に様子を見てから、シャロンの方に行くべきだったよ。」
「いやいやいや!こっちこそ何もできなくってごめんなさい。」
スズと目が合う。
「とにかく、元気なら良かったよ。」
「・・・うん。大丈夫。」
その言葉を聞いて、ようやく自分が責められていないのだと分かった。
それだけで、胸の奥の固さが少しほどける。
そう言ってお風呂場に入る。
体を洗ったり、イザベルを洗い終えてから、広い湯船に入った。
ちょっと気まずい・・・
「来たの?」
湯船に向かってくるスズが、入口の方を振り返った。
「挨拶。」
別の誰かの声がした。
女の子?
湯けむりに隠れて姿が見えない。
「美弥が挨拶に来たって。」
「みや?・・・・・美弥さん?ってあの?」
座敷童って日向が言ってた子!?
よく見ると小さな女の子の姿が見えた。
「え?え?は、はじめまして。」
「こんにちは。」
今まで気配だけだった相手が、
こうして声と姿を持って目の前にいるのが不思議だった。
でも、怖いとは思わなかった。
湯船の中で、私とイザベル。
そしてスズと美弥ちゃんがいる。
不思議な状況。
「はじめまして、イザベルよ。」
美弥ちゃんは、真っ黒の髪が濡れている。
まるで日本人形のように、ふっくらとした小さい顔。
「ねぇ。私も魔法使いなんだけど。この家の中で魔法使いたいわ。」
イザベルは相変わらずの単刀直入だね。
「んー。考えとく。」
「なんでよ?こんだけしばらく過ごしてるんだから、無害なのは分かるでしょ?すぐに使わせてくれてもいいじゃない。」
「猫のままの方が可愛い。」
「は?そんな理由?」
確かに、イザベルの姿ってもう猫の方が慣れてるもんね。
「じゃあ。猫のままでいるから、魔法使わせてよ。」
「んー・・・。」
「ちょっとスズ。ダメなの?」
美弥ちゃんがなかなかOKしてくれない様子に、イザベルが矛先を変えた。
「妖術は使えるから、困る事ないんじゃない?」
「よ・・・?そういえばそうね。」
ん?
妖術使ってるの?
「そういえば、最初からお母様と連絡とれてるわね。それは良いの?」
「使えないと困るでしょ?」
「言われてみれば、・・・なんとなく使ってたわ。」
「でも、アリスも魔法の練習をするし、使えるようにした方が良いかもね。美弥。」
「むー。」
美弥ちゃんが悩んでる表情で、顔を半分湯船に沈めた。
可愛い。
「・・・猫のまま?」
「いいわよ。別にこっちの方が楽だもの。」
「家壊しちゃダメだよ。」
「分かってるわよ。」
「・・・じゃあ。」
そういうと美弥ちゃんが、湯船から手を出す。
小さい手から赤い光の糸が伸びてきた。
その糸が、イザベルと私の周りを巻き付くようにくるくる泳ぐ。
何本か巻き付いてきて、体に触れると思った瞬間。
光の糸は泡のように弾けて、空気中に消えた。
「これで使えるようになったみたいね。ありがとう。」
「ありがとう。美弥ちゃん。」
実感はないけど、使えるようになったのかな。
「さて、先に失礼するね。」
「!あ!待って・・・私も。」
いつもスズはお風呂上がるのが早い・・・
ちゃんとあったまった?
スズが上がると、すかさず美弥ちゃんもついて行ってしまった。
まだ会ったばかりだからかもしれないけど、ちょっと寂しい。
でもスズについていく美弥ちゃんは、親について行く子供みたい。
やっぱり可愛い。
上から、変な声がした。
「――――ぁぁぁあああああああ!!!!!」
次の瞬間、
–バシャァァァァァァン!!!!!!!
大きな水しぶきが立った。
「ええええ?何!?」
「アリス!」
急にお湯を頭から被ったので、手で拭い目を開いた。
目の前にはスズの背中。
「……子供。」
スズがつぶやいた。
まだ少し波打ってるけど、水しぶきが上がった方に目を向ける。
「ぶはぁぁぁぁ・・・げほっ!げほっ!お湯!?」
洋服を着てびしょ濡れだし、半分湯船につかっているから分かりにくいけど、確かに子供みたい。
「誰?どこから来た?」
「はぁ・・・へぁ・・・あ?あ。ちゃんとたどり着けてる。えーとおねえさんに会いに来た!」
声は、男の子か女の子か分からない。
髪が肩下まであるから、多分女の子かな?
10歳ぐらいに見える。
「誰に?」
「だからおねえさんだよ。一回目が合ったじゃん。忘れちゃった?」
この子はスズに用があって来たの?
「……死神の住居街か。死神の子供?」
「ちがうよー。あそこにいたのはぐうぜんだったけど、おねえさんに会いたくて探してたんだ。」
「…どうやってここに入った?」
「え?上から?」
子供は空を指差す。
確かに上から落ちてきたけど・・・どこから落ちてきたの?
そしてなんで無事なの?
–ガラッ
和さんと圭さんがお風呂場に入ってきた。
「!!!は?風呂入ってんのか!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あばばばば!!!!」
「…ひとまず上がろう。アリス大丈夫?」
「うん!私は大丈夫だよ。」
子供をスズが湯船から引っ張り上げ、ひとまず上がろうと脱衣所へ向かった。
「和。」
「ああ。ちょっ・・・待て待て。」
和さんと圭さんはバタバタしながら、その子を引き取って外に出て行った。
「何なのよ・・・。」
「何だろうね・・・。」
脱衣所に入ると、美弥ちゃんの姿はもうなさそう。
スズが急いで髪も乾かさずに、タオルを片手に出て行ったので、急いで乾かして階段を下りて行った。
三階へ降りると、和さんのTシャツなのか大きめの服を着たさっきの子。
男の子だったんだ。
「死神の世界で会った?」
「そうそう。このおねえさんと目が合ったんだよ。」
「だから?」
「なんだよ。分かるだろ?だから会いに来たんだよー。」
「なんで?」
「おいおい兄ちゃん、そこまで言わせるのは野暮だぜー。」
和さんと不思議な言い合いをしている。
「いや分からん。なんで目があったくらいで、会いに来る?
いやいや。その前に死神じゃないのになんで死神の世界にいたんだよ?」
「あぁ。そりゃあちょっとした冒険ってやつだよ。へへ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・普通の人間に・・・・・に見える。」
ダイニングテーブルに子供を挟んで和さんと圭さんが三人並んで、反対側の席からスズが髪を拭きながら様子を見ていた。
「ここにはかわいい子がいるんだね。ブロンズの君もかわいいよ!もっと成長したら、また会いたいね。」
見た目としては、同世代だと思うけれど。
「・・・なにあれ?」
「いや、とにかく一つ一つ確認か。まずどうやって上から入った?結界は壊れてねぇ。」
和さんがさっきの驚きからか、いつもより雑に整理している気がする。
「結界ー?わかんないよ。おねえさんに会いたいなぁって、移動してたらあのお風呂に落ちたんだよ。
それよりおねえさん。濡れた姿もきれいだね。名前教えてよ。僕は颯太っていうんだ!」
「スズ。」
スズはいつも通り。
「お前も。どう来たかもまだ分からねぇ奴に普通に教えてるんじゃねぇ。
じゃあどこから来たんだよ。」
「来た場所っていうか家は、あたりにのっぺらぼうとかろくろ首とか妖怪がいっぱいいるぜ!」
「は?まてまて、圭?」
圭さんもその言葉に驚いた表情を見せ、もう一度颯太君を見つめた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少し・・・・妖怪の匂いは少しはあるけど、・・・ほとんどしない。」
「お前親は?」
「おいおい!兄ちゃん。こうして僕がいるってことは親もいるに決まってるじゃんー。
ねぇスズちゃん。良かったらこんど僕んちにこない?」
どうやら颯太君は、スズ一直線だね。
「いちいちスズを引っかけに行こうとするな。まずはこっちの話からだ。」
「ええー男との話なんてつまんないよー。どうせならスズちゃんと話したーい。」
颯太君。
ませてるなぁ。
椅子に座った短い足が、床につかずに揺れているのが見える。
「親は今君がいないことで、心配してないの?」
「たまにこうして冒険することはあるから、怒られるのも慣れたもんだよ!
男は冒険にでる方が成長するってもんだよ。」
みんな眠くないのかな?
私は正直眠いよ。
「つまり無断で出てきたと。」
「秘密しゅぎってやつだね!スズちゃんは人間?」
「人間だよ。…ひとまず情報出なさそう。夜も遅いし、寝てから明日話そうか。」
「そうだな。じゃ――」
「じゃあ一緒に寝てくれない?夜って人肌が寂しくなるじゃん?
ほら僕ってまだ子供体温ってやつだから、一緒に寝ると温かいよ。」
和さんの返事に乗せて、颯太君はすかさずスズについて行こうとする。
ある意味凄い。
「うるせぇ。お前はこっちだ。」
「ええええ。僕一人じゃ寝らんないよぉぉ?」
和さんに、引っ張られて階段を上がっていった。
「…圭。調べておいて。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・了。」
それを見送って、圭さんとスズも立ち上がったので、やっと眠れそう。
「アリスも遅くまでごめん。明日の朝はゆっくりした方が良い。」
時計を見れば、もう数時間もすれば朝日が昇りそうな時間。
「スズもお疲れ・・・。なんか色々。」
昼に勘右エ門さんが言っていた言葉を思い出した。
確かにここにいると、なかなかイベントが絶えない気がする。
ようやく部屋に戻ると同時にベッドに潜った。
「おやすみ・・・。」
「おやすみ。イザベル。」
スズや美弥ちゃんと話せたおかげで、すでにだいぶ落ち着いてきてたけど。
最後に颯太君の出現まであって、気が付けばいつも通りに戻った気がする。
昔のフォーラスの記憶は、まだ整理ができてないことが多い。
全部が嫌な記憶だったわけじゃないけど、それでも良い記憶も悪い記憶も一緒に出てきてしまいそうで、まだ引き出しを開ける気がおきない。
でも、新しいこともどんどん起きるこの場所で、新しい記憶で、少しずつ上書きしていけばいい。
そしたらきっと、過去の嫌な思い出ともちゃんと向き合える日が、ちゃんと来る気がする。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




