答え:象がわすれられなくても、蛙の面にはただの水
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「何よ。アリスも返事してたじゃない。」
「させたんだ。」
短く返し、閉じた応接室の扉を一度だけ見る。
あの一瞬の硬直が、頭の奥に引っかかって離れない。
気遣いが足りなかった。
入ってきた時から、動きが小さかった。
その小さく震えた姿を捉えるのが遅かった。
溜息をつく。
「これ以上ろくな情報を出す気がないなら、これで終わりにしよう。ミランダ。」
「もう少し時間がかかるわ。」
魔法世界からの回収が来るまでは、まだ時間がかかるか。
「まったく余裕がないのかしらね。どこまで話したかしら?」
ソファの上でくつろぎながら、流し目で私の方へ目を向ける。
「記憶の引継ぎが上手くいかなかったお前の母親。クラン・フォーラスがクラーレンの通路を参考にして作った通路の製造時に死んだと。」
クランの存在と死亡について以外は、山本梓の魂を回収したあとに、クラーレンからも聞いた話。
「そうそう。クラーレンっていう男の通路も、魔力や生命力をかなり持っていかれる面倒な代物だったわ。
でも、やっとできたと思った私達の通路は、悪魔の力を借りたせいか分からないけど、最低でも人一人分の命が代償として必要だったのよ。」
いずれの疑似通路にも、大きな代償が必要になるのか。
今まで、クラーレンの通路を使う魔力確保の為にも、大量の魔法使いを攫っている。
その被害が大きくなることは、嫌でも予想がつく。
「とはいえ、クラーレンはあなた達walkerの事を雑に扱うと怒ってきたり、記憶の保管方法を調べるとかで、色々な種族を集めるなんて面倒なことを命令してくるから。
それに、アリスのこともただの失敗作とは見てなかったわね。あれが何に変わるのか、まだ見極めたがっていたもの。」
ブライアンやブルース、そしてクラーレンが漏らした内容とブレはない。
「お父様もお兄様も、二番目のwalkerの回収が無理な場合の為に、通路の作成は急いでたからあのまま使っていくんじゃないかしら。」
「その通路の解析をしたお前を、ブルースが簡単に切り捨てるとは思えない。」
ブルースが、そんな代償が大きく使いづらい状態の通路のままで、この先も無理に進めるとは予想できない。
「そうよ。だから解析を見直しすることになったけど、クラーレンと分かれちゃったでしょ?
メインの通路の解析もできないのに、私にどうしろっていうのよ。」
「他の方法を探し直すとなった場合でも、お前の解析能力は必要なはず。」
魔法使いにできる解析の範囲は、エルフができる解析に比べて限られている。
「この体がそこまで持たないからよ。新しく作った通路は、お母様と私の魔力を吸収してでき上がったわ。」
体が持たない。
そうなった時に、思いつきそうなこと。
「…再び殺して記憶を引き継ごうと?」
クラーレンは、クランという母親の引継ぎに失敗したとはいえ、シャロンやブルースの記憶は確実に成功している。
だが既にクラーレンと手を切った彼らだけで、それができるのだろうか。
「クラーレンができるのだから、できる方法はあるのだと言い出してたわ。
でも私はアリスみたいに実験にされるなんて、ごめんよ。」
シャロンは、軽く肩をすくめる。
結局、彼女もフォーラス家の一員ということだろう。
殺人者が、殺される側に目を向けられるなら、そもそも殺人者にはなっていない。
「他には?」
「他?何かしら。あぁ。クラーレンに言われて攫った子は、だいたい怪異の世界にいるみたいね。」
「どこ?」
以前、妖怪の世界に偶然行った場所を思い出す。
あの辺りだろうか。
「私は知らないわ。ブライアンとブルースお兄様にでも聞いて。」
「魔法使いは?」
魔力確保の為に、フォーラス家側で攫っている魔法使い。
「最初は悪魔の世界の地下迷宮に突っ込んでるみたいだけど、その後のことは知らないわ。」
怪異の世界で、ブライアンが回収してたのは恐らく魔法使い。
あの場所をもう一度調べた方が、見つけるのは早いかもしれない。
「ねぇ~私結構ちゃんと喋ったでしょう?ちょっとは、優遇して欲しいんだけど。」
「何故、優遇されると思う?」
「え~じゃあもう答えないわよ?」
緊張感のないわがままな子供。
アリスに会いたいと、会うまで何もしゃべらないと言い出した。
断りを重ねていたが、終いにはこのまま二度と会えないのだから最後にと言い出す始末。
この女は感情が読めない。
恐らく人を殺す時も、今と同じ表情で感情を変えることなく行うのだろう。
痛みを知らないというより、知っていても自分のものとして数えない。
「好きにすれば良い。こちらとしても不要だと判断すれば、悪魔の世界にでも投げ捨てるだけ。」
「へ~。そういうことが出来ちゃうタイプなのね。」
シャロンは笑顔のまま、目だけを更に細める。
「ちぇ。見誤ったかしら。あの4番目の子を助けようとするあなたは、もう少し人情がある感じがしたけれど。」
「相手によって対応を変えるのは、当たり前。」
特に人を殺せる人間に対して、配慮をする必要などどこにもない。
「walker以外が殺されても気にならないって、本当なのね。」
「そもそも話が違う。お前は殺す側だろう。」
「違うわよ。ブルースお兄様が言っていたわ。アリスと梓、二人分の死亡履歴を死神側から目立たなくするために、別の人間を一人挟んで書き換えようとしたって。」
三人目。
ブラッドの提案から、ブルースが認知した案。
二人分の死を消し、その上に別の一人の死を重ねる。
「でもその人間、クラーレンに引き渡す前に、私達が保管用に使っていた空間ごと壊れて消えちゃったのよ。」
空間破壊。
魔法によって切り出した空間ごと、魂の時間が途切れた。
偶然壊れたのか。
それとも、最初から誰かが壊す前提で動いていたのか。
「いずれも既に起こっている以上、関係ない。」
「ふーん。つまんない子ね。どうせなら5番目の子に会いたかったわー。」
ずっと黙っていたミランダが、こちらに近づいてきた。
「スズ。来たわよ。」
「分かった。」
この先は、魔法使いの解析で良いだろう。
迎えに来た回収担当の魔法使いにシャロンを引き渡し、ミランダもそのまま一緒に去って行った。
今のフォーラス家は、母と長女が欠け、父親と長男と次男が残っている。
元々軸に動いていた3人が残ったという形だろう。
命を代償にするとはいえ、通路を完成させた。
シャロンの言葉からすると、それは単なる移動方法としてではない可能性も見られた。
通路が何かをする手段ということだろうか。
「スズ。」
和が階段から降りてきた。
「シャロンは引き渡した。」
「みたいだな。」
「アリスは?」
「部屋に運んだけど、ベッドの上でずっと怯えたまま。イザベルと日向に頼んでる。」
一人の来訪で、あそこまで動けなくなる。
それだけで十分、こちらの見積もりが甘かったと分かる。
恐怖は記憶に残る。
そして記憶が薄れても、体だけは案外しぶとく覚えている。
「シャロンについての情報が少なく、アリスに対する関係を軽く見積もりすぎた。」
ここまでフォーラスの事を調べてきた中で、長女のシャロンの情報が出てくることはほとんど無かった。
それによって、ブライアンやブルースに比べて軽く判断した。
「俺も事前に確認しておけば良かった。」
和の表情はいつも通り落ち着いていたが、声だけが少し硬かった。
二人の様子は、明らかに属従関係だった。
「…ひとまず、ミランダからの情報は、和の方でも確認して欲しい。」
「分かった。ブライアン達の方は?」
クラーレンも現状の居場所を知らない。
また妖精に探してもらう方法もあるけれど。
「目立つ動きが無い限り、こちらからも対応は難しい。
今は、いくつかのトラブルが重なっていることと、魔法使いや他の種族が集められている可能性の高い、怪異の世界に行く方向で考えておいた方が良いと思う。」
その間に、見つける可能性もあるだろうし。
「またか。圭と?」
「そうだな。圭とカル達を連れて行こうと思う。」
「目星は、前回行ったって場所か?」
「そうだな。ブライアンやブルースがいた場所は、探しておいた方が良いだろう。」
あの天狗にも、もう一度話を聞いてみても良いかもしれない。
「死神のこともあるし、和にはそのままアリスについてもらえると助かる。
魂との関与ができるとなれば、自身で身を守る事もできるようになっておいた方が良い。」
「魔法の特訓を組むか。」
いずれ魔法世界で暮らすことも考えれば、その方が良い。
「様子を見ながらでいい、だができて困ることはない。」
「分かった。ここ最近、勉強を頑張ってるし、問題なさそうだよ。」
「頼んだ。」
和とはその場で分かれて、地下へ降りる。
フォーラスの話をしていると、空気のどこかがまだ冷えたままに感じる。
それでも、立ち止まっている余裕はない。
圭達にも、和にした内容と同じ説明をした。
「あらら大変。ここはどこかしら?あなたはだあれ?まぁまぁ落ち着きなさいなお嬢さん。ここについて教えてあげようじゃないかい。不思議な帽子をかぶったウサギさん。
ここは君の知っている所と少し混ざっているのだよ。角が生えた子供達を見たのは当然。
まるで普段君が座っているあの場所のようだね。ははは。
ちょっとちょっと何笑ってるのよ?そんな落ち着いてる場合じゃないじゃない。
いやいや、だからこそ色々な繋がりが出てしまう場所なのさ。」
圭は怪異の世界と聞いて、以前私が行った場所の調査結果について物語を紡ぐ。
ブライアンやブルース、そして天狗と会ったあの場所は、怪異と鬼の世界が重なっているのだろう。
それによって、この相談所のように色々な場所と繋がりがあるということ。
「フォーラスが拠点にしそうな場所を、いくつかピックアップできそう?」
「それはいくつかしてみてるわよー。」
「これー。」
カル達が、操作しているパソコン画面を指す。
16か所の候補地を指した情報が、可能性順に並んでいる。
「結構多いね。これを回っていきたいけれど三人は、それで良い?」
「おう!ファミリー。おめぇさんの行く気満々の目で何を言ってやがんだ。ぅおい!それを今さら止めるおいらじゃねぇぜ?てやんでぇ。同じ船に乗ろうじゃねぇか。
ベイベー達がこうしてプランまで立てて、こちとら準備を進めてるんだぜぇ?
これは行かねぇわけがねぇ。だがよぉあんちゃん。
おいら達も頭に角のある仲間さんたちも、あぶねぇっちゃああぶねぇよ。んだからよ。
Hey!ベイベー。君たちの手を貸してくれないかい?スイーツ?」
圭はすでに、その方向では考えてくれていたようだ。
リスト順に回ることは問題ないらしい。
「あいあいハニー。私達なら、あなたを妖術で変身させることができるから、匂いだけ対策を準備する必要はあるけれど、圭と行くよりは安全に行けると思うわよ。」
「任せろい?」
カル達、狐の変身術は他の人間も変身させられるのか。
「なるほど。それは頼みたい。ありがとう。匂いについては前回同様に、圭の匂いでも用意しようか。」
「吸血鬼の?分かった。ちょっと私達の方でも考えとくよ。」
「いつ行くの?」
やはりタイミングは週末になるけれど、次の週末までは準備する時間が短い。
「来週の金曜日を予定として進めておいて欲しい。」
三人の了承を得て、階段に戻る。
ひとまずは場所探しなので、調べまわる感じにはなるだろう。
仮にそんな場所へ、他の世界の種族や魔法使いが集められているのだとすれば、逃げられたとしても逃げ道を探すのは難しい。
妖怪の世界に出られたとしても、鬼の世界に出られたとしても、多くの種族は餌になるだけだろう。
だからこそフォーラス側からすれば、証拠隠滅する必要性もなく利用しやすい場所と選んだのかもしれない。
助かるために選んだ先で、その未来ごと潰れることなど、彼らには関係ないのだろう。
家族である妹を殺し、母を犠牲にすることすら厭わないのだから。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




