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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第三章 理解は救いにならない
146/201

疑問:私にしか分からない答え?

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

扉をくぐると同時に、じめっとした生温い空気。


「わぁ?ってどこ?」

「移動用に借りてるワンルーム。」


そこは何も無い一室。

スズが扉を押さえたまま、こちらを振り返って答えた。


飛行機で移動してないから、旅行って感じはしないなぁと少しそう思った。

けれど、さっきまでの温度と明らかに違う感覚に、急にテンションが上がってきた。


「なるほど。」


扉から順々にみんなが出てくる。

日向、秀人、尚弥さん、そして最後に和さん。


「あはは!せっまーい!」

「あつーい!ほこりっぽーい。」


そして私の足元にはイザベル。

と、影の中にはルーナさん。


スズの案内に沿って、レンタカーを借りた。


東京よりは高いビルや高級そうな建物が少ない風景。

それでも、ごく普通の街並みのはずなのに、空の広さや道路沿いの植物の色が少し違う。


その中で、いつもと違う部分を探しているだけで楽しくて、ずっと外に目が向いてしまう。


ホテルに向かう途中、日向達が気になった食堂に入った。


「わぁ。何々?沖縄そばあるー?」

「あるみたいだよ。」


和さんがメニューを回してくれたので、日向と秀人と私で一つのメニューを覗く。


「沖縄そばで。」


スズはメニューを見ずに、そのまま決めちゃった。

でも、私も折角来たのだからまずは同じものにしようかな?

他にも聞いたことがある、野菜炒めや煮込み料理も気になったけれど、結局沖縄そばにしてしまった。


注文を待っている間、つい気になる質問を隣のスズに投げかける。


「スズの家族のお家は、この辺なの?」

「いや。地図からみるともう少し下の方の住宅街。車で1時間ぐらいだから、明日私だけで、行ってくるよ。」


やっぱり一人で行く予定だったよね。


「えー?会えないのー?」

「両親挨拶できないのー?」


それに反応して日向と秀人が残念がる。


「挨拶したいの?」

「折角だし?」

「いつもお世話になっておりますー?」


スズがちょっと悩む。


「どういう設定でも、二人の説明がしづらい。」


確かに基本世界の人間としては、日向と秀人の見た目は17~19歳ぐらいかな?

つまり未成年に見える。

それを会社員として勤めるスズが実家に連れてきたとなると、なんて説明すればいいんだろう・・・?


そしてそれを思うと、私なんてもっと難しいんだろうなぁ。

日向と秀人よりも若く見えるし、オッドアイの金髪。


こうして、並んで座っている姿ですら、傍から見てどういう繋がりなのか想像しづらいにも程がある。


「むー。隠し子?」

「それにしては年齢が高い。」

「んー。連れ子?」

「既婚の嘘は、流石に難しい。」


「通ってるジムとかの友達ぐらいが、無難じゃない?」

「確かに、そういうコミュニティ関係の説明なら楽そう。来たいなら連れて行くけど、どうする?」


尚弥さんの案は確かにありかも。

和さんは、その隣で苦笑いしてる。


「ちょっと~気になる~。」

「できれば~気になる~。」

「分かった。行くときに声かけるよ。」


「待って待って!?私達だけ?アリスはー?和ー?」

「折角だし、みんなでー。尚弥も行こうよー。」


料理が運ばれてきた。

大きなラーメンのようなお皿から、だしの匂いがする。


「気になるけど、流石に全員で行くとなると多くない?」


私も気になっているとはいえ、ご両親の方も急に大勢人が来たら困るだろうし。


「俺は行かない。」

「マジっすか!ご両親への挨拶スルー。」

「そんなご無体なぁぁ。本当に良いの?」


カツオ出汁が染みてて美味しい。

上に乗ったお肉もジューシーだし、平たい麺は厚みもあって、意外とお腹にたまるかも?


「まぁ悪ふざけなしで考えるなら、現状結婚したりする予定がないなら、止めといた方が良いかもね。」

「っぶ!」


確かに、ご両親の方を混乱させるだけにしてしまうのは、宜しくないよね。

結婚かぁ…しなさそう。


今も三人の会話を気にする様子もなく、食べ続けるスズ。


「日向と秀人とアリスぐらいなら、いいんじゃない?4人で行って来れば?

僕と和はホテルのラウンジとかで、酒でも飲んでゆっくりするよー。」


確かに4人ぐらいなら、まだ大丈夫かもしれない?


「分かった。アリスは良いの?」

「できれば行きたい!」


即答で返した。

スズは、不思議そうな顔をしている。


「分かった。」


食事を終えて、再びホテルへ向かって走っていく。

街並みには、徐々に潮の香りと一緒に海が入ってきた。


東京でも海は見た事があるけれど、その色は全然違った。

同じ日本の海なのに、青やエメラルドグリーンを含んだ宝石の色みたい。


日向達と色々喋りながら、所々の疑問にスズが返事をしてくれる。


ホテルへ一度立ち寄り、荷物を部屋に置くと再びロビーで合流した。

和さんがずっと運転してるけれど、大丈夫かな?

もしかして、他に免許持ってる人がいないのかも?


「そういえば、どこ行くの?」


私も知らないや。

車へ向かいながら、尚弥さんが聞いてくれた。


「まぁ折角だし、ひとまずは水族館かと思ってるけど、行きたい場所ある?」


「んー泳ぎたいけど、まだ泳ぐと寒いかなー?」

「まだ海開きしてない。」

「そっかぁ。じゃあ魚見に行こうー。」


気温は、東京に比べれば高いけれど、風もあるし泳ぐとなると少し寒そう。

水族館といえば、観光地としても耳にしたことがあるし、楽しみ。

飲み物やアイスを買って、車に乗り込んだ。


「和。まずは来た道を戻る。」


行きは尚弥さんが助手席に座っていたけど、道案内にスズが座るみたい。

距離は思ったより近かったみたいで、すぐに到着した。


薄暗い館内をゆっくり進む。


小さな水槽。

大きな水槽。

青い光に照らされた通路を抜けて、しばらく歩いた先には、まるで海の一部が切り取られたようなホールにたどり着いた。


頭の上まで水が広がっているみたいで、少し息を潜めたくなる。

なんか、フィフさんの通路みたい。


水の中を歩くような感覚が重なって、つい思い出した。


邪魔にならない場所で、立ち止まって大きな水槽を見渡していると、スズが横に並んだ。


「なんか。フィフさんの通路みたい。」

「あぁ。あそこも海の中に近い感じがするね。」


薄暗い館内の不思議な雰囲気に背中を押され、ずっと言いたかったことが漏れた。


「あの時。”邪魔”?とかって・・・嫌な言い方してごめんなさい。」

「謝らなくていい。私は時々、言葉を選び損ねる。」


謝らなくていい。

フィフさんにも、少し前にスズにも言われた言葉。

確かにどちらも怒ってはいないのだろうけれど、許しを請う為に言ったつもりじゃない。


「あの時の私も言葉を間違えてると思った。不用意にスズを傷つけたと思った。」


「…そう感じるアリスだからこそ、ちゃんと選べる形にできて良かったと思ってる。」


スズの目線は水槽を見つめている。


選べる状況。


数日前に死神の会議に立った時。

初めて参加した時と見える視界の広さがまったく違っていた。


「山本梓の魂を助けたのも、アリスとして今生きているのも、アリスだからできたことだよ。」


「・・・そうかな・・・?」

「そうだよ。」


時間が違い過ぎて、できない事の多さに押されていた気がしていたけど、少し喜んでいいのかな?


一際大きな水槽のガラスへ、スズが静かに進み始めた。

その輪郭は、水と混ざるように、輪郭がぼやけていく。


いつかのみんなの記憶から、フッと消えるようで・・・


このまま触れなければ、どこかへ流れていきそうだった。


「スッ――」


「ねぇアイス売ってるー!」

「食べに行こー。」

「僕も。」

「食べ過ぎないように。」


日向達に誘われて、本日二度目のアイスを一緒に食べた。

和さんの言う通りこういう雰囲気だと、ついつい食べ過ぎてしまう。


お土産コーナーでは、魚のぬいぐるみなどを見ながら、ウーノ達へのお土産選びをしてみた。

でも、ウーノ達って何が好きとかあんまり分からないかも。


「うーん。無難にお菓子?」

「大きいぬいぐるみはー?」

「試しに買ってみるー?」


なかなか難しい。

何とかそれぞれ選んで、外へ出ると意外と時間が経ってた。


少し日差しの落ちた光が、目に焼き付く。


スズもフィフさんも答えを知っている訳じゃない。

未来のことは誰もが初体験。


–君の答えは君だけのモノだよ。俺達でも分からない。


私の答えは私にしか分からない。


私が迷っていたのは、正解がないことじゃなくて、自分で選んでいいのか分からなかったからかもしれない。

それを私なりに選べたんだと、会議が終わった今になって、やっと実感できた気がする。


帰り道。

窓から徐々に明るさが落ちていく海の景色。

変わらないモノが無いように、答えが既に決まっていることの方が少ない。

分かっているようで、分かっていないことも多い。


「疲れた?」


尚弥さんが隣から声をかけてくれた。


気が付けば行きに比べ静かな車内。

振り返ると日向と秀人は、後ろの席でお互いに倒れ掛かって寝ていた。


「少し・・・テンションが上がり過ぎましたね。」

「はは。たまには良いんじゃない。」


「尚弥さんが少し前に言っていたこと、本当にそうだと思いました。」

「ん?」


「二人とも心配性です。」


運転席と助手席にまでは、聞こえない声で話す。


「でしょ?」

「でもバランスが良い感じもしますね。」


和さんが心配する部分とスズが心配する部分は違う。

だからこそ、両方いて安心する。


「心配性が二人揃ったら行き過ぎるだけじゃない。」


車の外ではほとんど喋れないイザベルが、突っ込んできた。


「確かに。でも珍しく今回心配したのは、アリスさんなんでしょ?」

「・・・そういえばそうですね。」


今回、スズが橋から落ちた時には、和さんが怒るタイミングもなく、フィフさんと私が結構色々言ってしまっていた。


「でも今回はイレギュラー・・・だと思います。」

「どうだろうね?まぁ、色々できる事が多い反面抜けてることも多いので、アリスさんのようなポジションも大事ってことですよ。」


「そう・・なんでしょうか・・・?」


「それは何となく分かるわ。」


イザベルの言葉に、少しだけ首を傾げる。

私の立ち位置も、きっと後から分かることの一つなのかもしれない。


スズは答えるべき答えがあれば、ちゃんと答えてくれる。

だからといって、何でも聞いて良いわけじゃない。


スズと一緒に寝た時に聞いた、イヴさんとの関係。

そしてまだ聞けていないこと。


知りたいことと、今触れていいことは、同じじゃない。


でも、それは本当に今聞く必要ある?


もちろん必要な場面だと思ったら、聞くべき時もあるだろうけれど。


きっとそれは今じゃない。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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