答え:事新しからず、周知の事実
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
会議の翌朝。
死神からの公文書がメールで送られてきた。
目を通す。
前回確認した内容と会議の追加分。
全体の内容そのものには差異はなさそうだ。
そう思ったところで、最後の方にある小さな一文が目に入る。
最後の項目「今後の類似した現象が起きた場合について」。
その最後――walkerが関与した場合に当たっての注意事項
–こちらへの情報提供に伴い、walkerが関与する事象対応については、協議参加をもって必要な情報共有および対応協力の意思確認がなされたものとする。
「情報提供…ね。」
会議参加を承諾し情報提供に協力したのだから、相応の責任を請け負えと言ってるようにしか見えない。
ここで、会議で確認した範囲を越えていると差し戻したところで、全員の印が揃う時期が再び分からなくなる。
アリスや梓に直接関与する追加項目ではない以上、今ここで噛みつく優先度は低い。
見送るべきだろう。
今は、飲み込むしかない。
だが、この一文は覚えておくべきだろう。
–ブブブ
和からの連絡。
1日置いて無事にアリスの熱が下がったようなので、今日戻る予定とのこと。
了承の返事と出掛けることを伝え、通路へ入った。
そういえば、昨日相談所に帰った時、勘右衛門に絡まれたのを思い出した。
そろそろアリス達が帰ってくることを告げると、それならと少し前にナオと話したチョコレート作りについて言い出した。
「ここに載ってるふぉんだんしょこら?ってのが、気になってんだよ。折角だし作ろうぜ。」
お菓子のレシピ本を開きながら、指を指す。
「そのチョコレートは、初めて作るには手間がかかるのと、私は作れませんよ。」
「なんで?ここに載ってる通りにすればいいんだろ?」
そう言って書いてある材料や道具を並べ出した。
最近では、たまに自分で食事を作っているからか、一通りの場所も分かって始めていく勘右エ門を横目に、開いたレシピを見る。
二種類のチョコレートを作る必要があるので、書いてある量は他のレシピよりも多い。
そもそも、既にチョコレートとして出来上がっているものを、さらに別の菓子に作り替える工程が何故こんなに長いのか。
少し前に日本へ入ってきたばかりの頃は、板のまま食べるか、せいぜい牛乳に溶かす程度だった気がする。
そして、そんな手間を経たとしても、売っている商品の方が美味しい。
「ほらこれ混ぜて。」
そう言って渡されたボウルをカウンターで混ぜる。
言われた通り混ぜていれば、勘右エ門が横から徐々に生クリームや粉を追加していく。
しばらくすると次に別のボウルを渡されたりして、気づけばずっと混ぜていただけだった気がする。
「ふんふん?あとはこれを間に挟んで?焼けばいいんだな。意外と簡単じゃん?」
本当に器用な男である。
庭の障害物にも色々な細工や物が増え、もはや大人も楽しめるアスレチックのような状態になりつつある。
満足そうに最後の過程を進めていくその姿は、到底神には見えないだろう。
「今度はこのミルフィーユってやつとかも作ってみたいな。」
「材料も限りがありますので、今度和にでも相談してください。」
オーブンに入れて、ひと満足したのか開いたレシピ本の他のページをめくる。
放っておけば、庭同様に無限に何か作ってしまいそうだ。
「分かった分かった。まぁ今日はこの辺にしとくよ。人数分作ったから、明日食べてみようぜ。」
何が気に入っているのか、この気まぐれな神は未だに居座っている。
今回、アリス達が精霊の世界に行く時に、ひとまずバース達を世界に戻した時も。
バース達と次に合流する時の為に、犬笛のようなものを用意してくれた。
扉を出て、それをポケットから取り出し吹いてみる。
私の耳には聞こえない。
だが、しばらくすると遠くから土煙が立ち昇るのが見えた。
そしてその姿も徐々に見えてくる。
土煙の中で、白いフェンリル。
「ようやく来たか!」
「スズー!」
「わーい。」
バースの子供のハウとデンも連れて、いつもと同じく3匹で現れた。
「今相談所に食材がないから、三匹であの場所に戻るかは後日になるけれど、ひとまずバースに付き合ってほしい。どうだろうか?」
「儂は構わんぞ!」
「えー。」
「お留守番?」
今日顔を出す場所を考えると、バースに付き合ってもらっておいた方が良いだろう。
ハウとデンは留守番になるけれど、用が終わればバースもここへ戻すのでしばらくの間だけ、付き合ってもらった。
バースが耳を生やした人間の姿になったのを確認して、再び通路へ入る。
「そろそろ焼いた肉が恋しい。頼むぞ?」
「できるだけ用意はするけれど、食べる量が多いから、肉の確保が大変。」
「ふむ。」
バースが少し考える。
「それでは、儂らが狩った獲物ならどうだ?」
「それを解体しないといけないだろう。和に聞いてみるけれど、ドラゴンの解体とかは恐らく難しいよ。」
嫌そうな和の表情が思い浮かぶ。
「鳥や牛ならいいか?」
「鳥ってグリフォンとかだよね?あと牛も多分ケンタウロスとかのことを言ってる?」
「無理か?」
バース達が住む世界は、以前アリス達がブラッドに投げ込まれたような神獣の多い世界。
「そうなると普通の鳥や牛の解体とは違う。まずは相談するよ。」
「頼んだぞー。」
進むにつれて、通路の幅が上下左右広がっていく。
「それにしても不思議な場所だな。お前の匂い以外何も匂わない。」
「生物がいる場所ではないから。」
最後に普段の二倍の大きさの扉を開く。
「そういえばどこへ行くのだ?」
「巨人の世界。」
「ぬ?」
暖色の強い光が目に入る。
ここは夕方のようだ。
大きな建物というと少し分かりづらいけれど。
ここで生きている生き物に合わせた大きさの建物の足元を、まるで鼠のように進む。
それなりに大きいバースですら、サイズ的には猫としても小さくみえるだろう。
――巨人。
神話ではギリシャ神話あたりが有名だろうか。
大地から生まれた存在として、エルフが風や水の精霊と相性が良いように、巨人は木や土の精霊と相性が良い。
その為、妖怪としての性質を持つ反面、神獣に近い性質を持つ者もいる。
怪力の印象が強いが、彼らは魔力や妖力も高い。
そんな場所に来た理由。
「妖怪側とトラブルになってるらしい。珍しく相談が来たから直接話を聞きに来た。」
「相談か。それなら喧嘩にはならなさそうだな。」
–ドォォォォン
–ドォォォォン
生き物の歩く振動が、地震のように伝わる。
このサイズの生き物にも、喧嘩をする意気込みは消えないようだ。
「そもそも喧嘩を避けるように動いてるから、喧嘩前提の時点でダメだろう。」
「まぁそれもそうなのだが。」
広い道には入らず、裏道。
といっても、数十メートルの幅のある道の端を進み、一つの建物の角にある私たち用のサイズの扉の前の呼び出しの鈴をならす。
「巨人の世界というと生き物全てが大きいのか?」
「この世界は、ほぼそうかもしれない。あまり私サイズの生き物を見たことはない。」
猫も犬も、そして虫も植物も基本大きく。
こちらを食すという目的を持ってはいないものの、怪我をすることは多い場所ではある。
目の前の扉が開いた。
その扉をくぐり、さらに目の前の階段を上る。
「そこまでサイズが違うというのに、妖怪とトラブルになるのか。」
「妖怪にも巨人族はいるから、一部ではあるものの共存関係があるからね。」
階段を上った先の扉を開く。
「待ってたよ。」
大きな声が響いた。
「待たせた。」
扉の前には、私達のサイズとしても少し大きいテーブルと椅子。
その上にマイクが置いてあるので、それを通して返事をする。
目の前には20代半ばぐらいの男。
そしてその奥にも何名かがこちらを見てきた。
部屋全体は東京ドームのようで、奥まで見渡す気も起きない。
「それでは、まずは一から説明しようか。」
20代半ばの男。
確か、トレーと言っただろうか。
巨人は妖怪同様に、長命な生物に含まれる。
この男も1000年以上前に一度会った時と比べても、あまり姿は変わらない。
そのトレーの話では、最近妖怪の世界と繋がる入口が増えている。
その為、一部の住宅街や家の中でも、急に妖怪が現れる。
そのほとんどが迷子で入り込んでいるので、喧嘩沙汰になることはまだ少ないけれど、苦情が多くなっている。
その対策として、一つ一つ入口を閉じるようにしているが、それでも一向に減らない。
そして、先日はまとめて入ってきた化け猫と巨人の世界の猫が喧嘩になり、互いに数匹が死亡してしまったという。
その結果。
妖怪側からも正式な連絡が入り、どうしたものかと困っているという。
「入口が増えている場所というのは、特定のエリア?」
「いやあまり絞れない程度に広い。」
トレーが、部屋の奥の方に目を向ける。
奥には、どうやら地図のようなものが張ってあり、そのトラブル場所を示しているようだけど、見えない。
「トラブルは今どのぐらい上がってきている?」
「既に100件を超えている。」
かなりの数。
それは確かに、大きなトラブルが起きるのは時間の問題だったのだろう。
「分かった。同様に妖怪の方にも話を聞く。ひとまずは、今の対策を継続する形で問題ないと思う。」
巨人の方でエリアが絞れなくても、妖怪の方では違う可能性もある。
あちらから対策ができるならその方が早いだろう。
「具体的には難しいか。」
「そりゃすぐには無理な話だろうさ。」
他の巨人がつぶやく。
「そうか。頼んだ。それともう一つ。」
トレーがこちらに視線を戻す。
「帰る事を拒む妖怪が、増えてきている。」
「…どこに?」
逃げてきているのか、何か事情があるのか、そういうことも一部ではあるだろうけれど。
「妖怪と共存しているエリアの一部に、避難所使ってまとめているが、そこでも何やら揉めていると聞く。」
「トラブルになるなら、強制送還は?」
共存ができないのであれば、元の場所に戻ってもらうしかないだろう。
「数が増えた事もあって、管理人側の手が回っていない。このままにすれば、回収も手が回らず、放置になる妖怪が増えると予想できる。」
トレーの意見に同意を示す。
その可能性は確かに高い。
「現状の入口の位置をまとめた資料とトラブル内容。あとは、その避難所の詳細についてそれぞれ資料を頼む。
具体的な状況が分かっていない以上は、明確に今、解決策を提案するのは難しい。」
「分かった。後から送るよ。」
「以前にこのようなことがあった事はありますか?」
トレーの隣に座っていた巨人が、こちらに質問を投げかける。
「巨人の世界がまだ人口が少なかった時期は、この世界の妖怪もそれなりに多かったから、あまりこういうことが問題になる機会が少なかった。」
「なるほど。確かに、人口は増加傾向ですから、過去と比べるのも難しそうですね。」
状況に合わせた対応は、必要になるだろうな。
一通り内容を確認したので、戻ろうとしたところで一つ気になった。
「念の為の質問だけど、その中にエルフが混ざっていたりする?」
「エルフ?」
トレーが手元の資料に目を落とす。
「一部いるみたい。妖怪とは少し違うけれど、混ざって入ってくることは稀にある。何か気になる事ある?」
「現在、行方不明になっているエルフがいるから、その情報も個別に送って欲しい。」
「分かった。」
エルフは天国側に住んでいる事が多い。
地獄側である、妖怪の世界や巨人の世界に入ってくること自体が稀だろう。
アディール・クラーレンやフォーラスによって攫われたエルフが、逃げて迷い込んだ可能性もある。
巨人の世界を出て、バースを世界に帰す。
相談所の地下へ戻ると、季節の変わり目ということもあり、まだ外はやや明るい様子。
今回の巨人からの相談と合わせて、隣接する妖精や鬼の世界等。
そして主に交渉人がいるので、あまりこちらには相談はこないけれど、魔法世界でも妖怪の世界とのトラブルが増えていると聞く。
今日の話を圭に説明して、妖怪の世界についての調査。
そして、いずれにしてもタイミングを見て、早めに妖怪の世界に行くべきだろう。
デスクの脇に、バースのお礼用の肉を詰め込んで、既に空になったリュックを置いて階段を上がる。
それぞれに存在する生活圏が荒らされれば、大きなトラブルになることは目に見える。
そこまで好戦的ではない巨人とはいえ、実際に暴れてしまえば手が付けられなくなる。
更に鬼まで入ってくる可能性すらあるとなれば、想像もしたくない。
「キュウ!」
三階へ上がる階段から、セイが落ちてきた。
器用に私の頭の上に到着し、肩へ降りる。
「セイ。危なイ。」
「キュウ・・・」
ウーノは真面目だが比較的おおらかな性格なので、こういう時に注意するのは2番目のドゥエのようだ。
ウーノ達は分担しながら、夕食の手伝いをしていた。
「おかえり。」
「ただいま。」
台所を覗けば、和と目が合った。
「夜も少し出かけてくる。今日中には帰ってくる予定。」
スケジュールを押さえていた夜の商店街に行く予定を告げる。
「やたら出かけるな。明日はミーティング三昧?」
「そうなる。」
外出が増えればどうしても偏りはできる。
「夕飯、今食べる?」
「できてるならお願いしたい。」
カウンターからご飯と味噌汁を順番に受け取っていき、最後にサバの味噌煮。
「アリスの熱は?」
「今朝引いてからは元気だよ。尚弥も診てくれたし、問題は無さそう。」
和の表情も軽い。
これなら、バースの提案を伝えてみようか。
「今日、バースに会いに行ったんだけど。」
「うん?」
ウーノ達が、テーブルにご飯や味噌汁を並べ始めた。
アリス達もそろそろ降りてくるのかもしれない。
その様子を見ながら、一通り伝えると和は予想通りの渋い表情を返してきた。
「…グリフォンとかって解体?いや・・・そりゃあできるんだろうけど。俺はしたことないぞ。」
「まぁそうだろうね。でも一匹でも肉としては量があるから、断る前に和に確認した。」
「グリフォン・・・食べル?」
「キュウ?」
ウーノも気になるのだろうか。
「大きい鳥や牛という扱いとしては、一応私でもできると思うけれど、手間がかかることを考えると、和が無理そうならやめておこうか。」
「…おれは、蛇や魚ぐらいしか解体したことがないから、一度見てみたいかな。」
確かに見た事もないのであれば、判断しにくいか。
「なら、一度やってみようか。ただ、場所が必要だから、それも庭に作る必要がある。」
「分かった…それっぽいのを作ってみる。」
それこそ、暇そうな勘右エ門に相談してみても良いかもしれない。
「あ。スズー。」
「おかえり?ただいまー?」
「おかえり。」
ヒナとヒデ。
そしてその後ろにアリスとイザベル。
と、いつもの順番で階段を降りてきた。
「もう夕飯先に食べてるしー。」
「早いよー!降りるのー?」
「ごめん。この後少し出掛けるから、一緒に食べるのはまた今度で。」
「・・・そうなんだ。」
アリスも表情と声から、残念そうに返してくる。
その表情が変わる事を願って、考えていた提案を口にする。
大きな問題が続く時ほど、動けるうちに息を入れておいた方がいい。
「そういえば、近々予定を調整して、沖縄に行こうと思うんだけど、みんなどうだろうか?」
「「え!?沖縄!?!」」
アリスも驚いた表情に変わり、「えぇ?」とこちらに近づいて来た。
「そこに今の実家がある。一度顔出しに行く予定だから、ついでに1~2泊どうだろう?」
「行きたい!行ってみたいー。」
「行ったことないから楽しみ!」
「実家!?」
「そういえば、当たり前だけど実家ってあるのよね。」
ヒナ達はシンプルに返事を返すが、アリスとイザベルの疑問点は違ったようだ。
食べ終わった皿をカウンターに戻すと、和とも目が合い「聞いてない。」という顔をしている。
急ぎのようでもないので、このタイミングで問題ないだろう。
「帰ってきたばかりだし、返事はゆっくりで大丈夫。予定は来週あたりだから、直前にまででも考えてもらえれば良い。」
「分かった。できれば行きたい!」
「キュウ?」
セイが顔を覗いて来た。
「ごめん。ウーノ達は、厳しい。他の世界に行く時はちゃんと誘うよ。」
「キュウ・・・。」
「仕方ナい。」
基本世界で、ウーノ達の姿はあまりに目立ちすぎる。
飛行機は必要ないけれど、レンタカーやホテルの予約はしておいた方が良いだろう。
慌ただしい時ほど、休む段取りまで先に決めておくに限る。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




