疑問:まだ結果は、分からない?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「「アリス!!」」
大声と同時に意識が勢いよく上がった。
「!!」
体も同時に跳ね上がり、ソファが反応して跳ねる。
「あれ?」
記憶が交錯する。
白い通路。
スズと進んでいった。
その先にあった、橋の交差点。
その先で、最後に抱きしめた・・・
「瓶!」
体を見下ろすと、瓶を抱きしめていた。
「・・・あった。良かったぁ・・・。」
胸の奥で固まっていたものが、ゆっくりほどけていく。
私は直接行ったわけじゃないのに、なぜ瓶があるのか分からない。
でも、そこにある今は静かな瓶の中に、確かに彼女がいることが分かった。
「瓶?」
日向達と一緒に、覗いてきているイザベルが不思議な顔をする。
「この瓶に、梓さんが・・。」
瓶を抱きしめながら、示してもイザベルは不思議そうな顔のまま。
もしかして、この瓶って・・・見えないの?
「分からないけれど、そこにあるのね?」
「・・・うん。あるよ。」
イザベルが、ソファの背もたれに飛び乗る。
台所へ向かって、声を上げる。
「和!スズを迎えに行って!」
「行ってくる。日向!秀人!頼む!」
「「了解。」」
和さんが、吹き飛ばす勢いで玄関を飛び出した。
「アリス。怪我はないみたいだけれど、他に変なところは?」
それを見送ったあと、イザベルがソファを降りて私に近づいてきた。
「大丈夫・・・。これって見えないの?」
「何も、見えないわ。」
瓶から感じる寂しそうな感情は、少しだけ落ち着いた感じがする。
≪普通には、魂は見えないわよ。≫
裏庭の窓から、風の精霊が顔を出す。
「・・・そうなんですね。」
≪でも、良かったわ。その子の悲しい気配は、時々こっちにも流れてた。≫
≪このままちゃんと帰してあげて欲しい。≫
炎の精霊も入ってきて、二人の精霊が瓶を見つめる。
「はい。」
腕の中に、確かに“重さのある存在”を抱きしめる。
それを見て、二人の精霊は微笑んで、そのまま消えていってしまった。
「ここに梓の魂があるの?」
日向がソファを回って、私の抱きしめている部分を見つめる。
「うん。」
「お邪魔ー。」
フィフさんの声が、玄関から入ってくる。
皆の視線がそちらに向く。
「また下着ぃ!?ヒナ!」
秀人が大声を上げ、それを聞いた日向が階段を駆けあがっていった。
戻ってきた?
ソファの背もたれから顔を出して、玄関の方を見る。
玄関からフィフさんが入ってきた。
そしてその後ろから、和さんが・・・
抱き上げていたスズを、リビングに下した。
スズは、所々焼け焦げた跡が見える。
しかも上半身が下着姿。
その姿に息を呑んだ直後だった。
リビングに立とうとしたスズが、倒れそうになった。
「スズ!!」
目が合った。
ほんの一瞬だけ。
安心したように、力が抜けた顔。
――戻ってきたんだ。
その実感が、その時ようやく胸に落ちた。
スズは完全に膝をついて座ってしまった。
「はぁ…ガルシアに、・・・連絡しよう。」
「少し寝ろ。」
「キュウ・・・」
一緒に近寄ったセイが、心配そうにスズに近づく。
肩に乗ろうか迷っているのかもしれない。
スズがセイに腕を伸ばそうとして・・・
伸ばした腕が、床に落ちた。
「キュウ!」
「寝ただけだ。」
その言葉に、張り詰めていた部屋の空気が一段だけ緩んだ。
日向が小さく息を吐いて、秀人も肩の力を抜いたのが分かった。
私も、ようやくちゃんと肺に空気が通った気がした。
寝たスズを和さんが持ち上げて、私がさっきまで寝ていたソファに下ろす。
「アリスさんは、大丈夫ですか?」
「はい!私は大丈夫です!」
一人掛けのソファに、フィフさんは重そうに腰を下ろした。
「何か手伝・・・。」
「いや、アリスちゃんは話を聞かせて。」
フィフさんに止められる。
一瞬だけ、瓶を見下ろす。
「!そうですよね・・・すみません。」
フィフさんの座っているソファとは、反対側にある一人掛けに座ることにした。
「秀人、氷水作って。」
「はーい。」
「洋服持ってきたよー。」
「そこにおいて置いて。」
和さんの指示に合わせて、日向、秀人が動く。
それをウーノ達も、静かに手伝い始めた。
ざわついていた空気が、少しずつ元の温度に戻っていく。
けれど、まだ何が起きたのかをちゃんと繋げられていないのは、私だけじゃないみたい。
「そっちは、任せるよ。それで?」
「あの・・・私の見えてた範囲なので、スズが怪我した理由とかは分からないのですが・・・。」
最後、スズに呼ばれたのは覚えてる。
でも、周りの様子はほとんど見えていなかった。
声の方向から隣にスズがいたと思うけれど・・・どうしてこんな火傷?
「それは、予想がついてるから良いよ。分かる範囲でお願い。」
あ?
そうなんだ・・・。
それなら、ちゃんと一から話そう。
「最初に、通路をスズと進んで――」
頭の中で整理をしながら、最初にスズと通路を進んでいく状況から話し始めた。
しばらくして、橋が4つ繋がる交差点のような先を抜けた。
そして、その後のこと。
でも進んでいった先について説明しようとした時、言葉が詰まる。
あの時、感じたことや見た景色を伝えようとすると、どうしても説明が曖昧になってしまう。
上手く伝えられそうな言葉を選ぶ。
梓さんの感情。
そして、梓さんの記憶で見た景色にブライアンがいたこと。
この瓶には確かに梓さんがいると感じていること。
「瓶ね。こっちには見えないけれど、とにかく回収できて良かったよ。」
「はい。フィフさんも、ありがとうございます。」
フィフさんが、溜息ともに体をソファに沈める。
少しの間、誰も喋らなかった。
「こっちは、5分が過ぎたあたりでスーの声が途切れた。そしてもう一つ繋いだ先で、圭が通信が切れたと言ってきた。」
その後、和さんと合流して橋を渡ることにしたと・・・
するとブライアンに追われたスズと出会い、急いで戻ってきて今に至るということだった。
「ブライアン?なんで、フォーラスがいるのよ?」
「スーの話じゃ、あっちはあっちでクラーレンの本命の通路を探していたらしい。あいつらは今、自分たちの疑似通路を作り出したいみたいだからな。」
イザベルの質問に、フィフさんが答えた。
偶然にしても、嫌な偶然だよね。
でも、ブライアン達に梓さんの魂を持っていかれなくて良かった。
「っ・・・。いた・・い。」
和さんが肩に濡らした布をつけると、スズが起きてしまった。
スズが目だけ開いて、状況を確認する。
見た目からしても、染みそうだもんね・・・
「火傷は相談所で、尚弥に見せた方が良いな。」
「・・・・ん。」
それでも痛みよりも眠気が勝るのかもしれない。
再びスズは寝落ちそうになっている。
「スー。もう一度寝る前に、死神呼んどけ。」
「・・・・ん。」
スズが、体を起こしスマホを取り出す。
「その前に腕を上げろ。」
和さんが上から服を着させる。
多分、日向の服みたい。
オレンジ色の派手なパーカー。
「うわ・・・お前、すげぇ似合わない。」
「・・・・ん。呼んだ。・・・ぐぅ。」
そのまま、力が抜けるように沈む。
スズは座った状態のまま眠りに入ったみたい。
「これは、しばらく起きないな。その辺の部屋で寝かせてこい。」
「みんなありがとう。そっちの棚に焼き菓子入れてあるから、それも食べて良いよ。」
和さんがスズを抱き上げる。
台所では日向と秀人、ウーノ達がお茶を用意してくれてたみたい。
「え!?なんだろう?スズ大丈夫?」
「あ!クッキー!尚弥にすぐ見せる?」
「二人トモ落ち着いテ。」
「セイも連れていケル?」
「キュウ!」
「ひとまず、深い怪我はなさそうだよ。セイおいで。」
「キュウ!」
「騒がしいねぇ。」
フィフさんが、呆れながらつぶやく。
「これでも、静かな方よ。」
確かに、スズが寝てるので、みんないつもより小さめの声で喋ってる。
今もクッキーをお皿に並べながら、こそこそと楽しそうな声が聞こえる。
「まぁいいや。とにかく、俺が手伝えるのはこんなところだろう。後は、死神待ちだな。」
そっか・・・
じゃあ、この事が片付いたら、フィフさんとはお別れってことになるのかな?
そのことが少しだけ寂しくなって、視線が落ちると自分の影が動いた。
いつもの姿で、ガルシアさんが現れた。
「お邪魔いたします。」
「…お前、まだスーといたのか。」
私のソファの脇に立つガルシアさんに、フィフさんが声をかけた。
「はい。お久しぶりです。スズとはあの時以降から、時折連絡を取ることがありますので。」
「ふーん。まぁいい。それよりそっちのアリスちゃんが持ってる瓶を確認して。」
二人も知り合い?
ガルシアさんがこっちを向いた。
私の抱いている瓶を見た一瞬だけ、驚いた顔をした気がした。
「…失礼します。」
「はい。」
ガルシアさんに瓶を渡す。
その中身を見るようにガルシアさんは、瓶を持ち上げて覗く。
「…持ち帰り後改めて確認をいたしますが、こちらでお間違え無いようです。山本梓さんの魂です。」
その言葉を聞いた瞬間。
胸の奥で張りつめていたものが、ようやく切れた気がした。
ガルシアさんが、瓶を丁寧に抱きながら私の方を見る。
「こちら、このままお預かりさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「・・・はい。よろしくお願いします。」
少しの間だけ抱いていただけだけど、胸元に無くなった瓶の感触と一緒に何かが抜けた気がした。
「この度はご回収下さり、誠にありがとうございます。こちらは確実にお持ち帰りさせて頂きます。」
ガルシアさんが頭を下げた。
「はい。お願いします。」
瓶を見つめる。
ちゃんと彼女の帰るべき場所へ、帰してあげて欲しい・・・
「かしこまりました。こちらを頂いた中で、大変恐縮ではございますが・・・。」
ガルシアさんは顔を上げて、続ける。
「?」
「今度の金曜日の会議に、アリスさんの参加の指名がありました。・・・そのご参加について、スズに確認できればと思っておりました。今、彼女はどちらに?」
「寝てる。なんで彼女の参加?」
フィフさんが、いつもよりキツい声で、答える。
もしかして、嫌いなのかな・・・?
「正確な理由は不明ですが、回収部・保管整理部、そして一部上層部からの指名です。
スズの同席条件として、アリスさんの参加が求められています。」
「山本梓の魂が、そこにあるのに?」
低い声。
「…おっしゃる通り、条件が変わったと思われます。ですが、同席条件ということもあり、その場合スズの同席も難しい可能性がございます。」
「いつもいつもそちらのルール。本当っとにイライラするよね。」
いつの間にか静かになっていた日向達も、台所からこちらを見守っている。
和さんも、階段を降りて来てこちらに気が付いた。
「申し訳ございません。」
「はぁ…だけど、君にはどうしようも無いんだろう?それなら、それには俺も同席させろ。ガーディもいるんだろうな。」
深いため息とともに、フィフさんが自分の同席を追加する。
「…かしこまりました。ガーディ元議長も参加される予定です。」
「スーには俺から伝える。それで?用は以上?」
そこからは言葉にしなくても、早く帰って欲しいと態度で伝えている。
「はい。よろしくお願いいたします。」
ガルシアさんは、フィフさんに頭を下げる。
そして再び私の方を振り返る。
「この度は本当にありがとうございました。スズにもそうお伝えください。失礼致します。」
そう言って、影の中に沈んでいった。
静まる空気。
和さんが近づいて来た。
「アリスさんも会議に参加・・・ですか?」
「ご指名のようだな。参加したことはあるの?」
和さんは、さっきまでスズが寝ていた横長のソファに座った。
「少し前に一度だけですが。その時は、バレンさんという死神の案を提案する為に、アリスさんと一緒に参加しました。」
「バレン・・・ね。その時にガーディは?」
少し静かに日向達が、テーブルに紅茶を並べてくれた。
クッキーのお皿を秀人から受け取る。
「いえ、ガーディさんは元議長とだけ伺っておりますが、会ったことはありません。」
「今回のバレンの提案とは別に、検討材料の追加の為に、方針案がいくつか上がったことは?」
和さんと目を合わせる。
それは、聞いてない。
その私達の様子を見て、フィフさんがまた溜息をついた。
「言葉足らずめ。通すつもりがないから、スーも言う気がなかったんだろう。」
「それは何ですか?」
バレンさんの案以外の案が、上がったってことなのかな?
「面倒だけど、前提から話すよ。死神の中にも、ざっくり保守と変革の派閥がある。」
現在の秩序を優先する人達と、新しいものを取り込もうと変化を求める人達・・・?
「その分かれは今は大まかに、イヴの時に担当していたガーディ達の世代が保守派側に多い。そして、今の若い世代には変革派が多い。」
「だから、前回と同じ対応で、同じ結果を求めるのは難しいと?」
確かに世代による変化は、どこの世界にもあるのかもしれない。
「今回、検討材料の追加を出したのは、殆ど現世代側だろうな。」
「内容を知ってるんですか?」
バレンさんの案から、追加して出された案の内容について。
「俺は細かくは知らない。その概ねが、アリス・フォーラスの回収に向けた情報収集案だったらしい。」
「・・・私ですか?」
少し安心していた空気が、詰まる。
つまり、バレンさんの提案してくださった、山本梓さんの魂を先に輪廻転生に進める案。
それとは、完全に方向性を真逆に考える為の案ってこと?
「それに挟まってきたのが、元議長のガーディ。基本は保守的な考え方をしているが、あくまで死神の秩序を守る事を、最優先に考えている男。
だからこそ、方針を長く宙ぶらりんにはしない。秩序が乱れるくらいなら、誰かを切ってでも話を畳みに来る。」
「ん?それなら、どちらかといえばその新しい方針案に対して、反対派になるのでは?」
和さんの言う通り、フィフさんはガーディさんに対して、何かを気にしてるけれど、今の話と繋がらない。
「そうとは聞いてるけど、どうだかな。あの男は腹黒過ぎる。それに話の流れがおかしい。」
分かりやすく考えるなら、バレンさんの案側の保守派。
追加の方針案側の変革派。
ガーディさんが保守派なら、和さんが言った通り、私もひとまずこちら側だと思ってしまう。
「過去の功績者で、しかも保守派のガーディが反対に立った。それなら普通は、もっと早く話が畳まれてる。
なのに、未だに会議が長引いている。その上で、今になって現世代側からアリスの出席要望まで出た。
明らかに流れが、素直じゃない。」
「元議長ということもあり、今の責任者全員をまとめるのは難しいだけというのは?」
「それはつまり下手すると、変革派の意見が通ることになるな。」
それは、私の回収・・・ってことになる。
「今回山本梓の魂が揃ったことで、特に問題なく進む可能性もあるだろうけれど、それにしても動きが遅すぎる。注意するに越したことはないだろ。」
「…まぁそうですね。ここまで来て、アリスさんの回収になるのは困ります。」
まだ、どうなるかは分からない。
無意識に胸元を押さえる。
さっきまであった瓶の重さは、もうない。
それでも。
――ちゃんと、渡せた。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




