疑問:大事にしてくれるからこそ、悩む?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
冷たい感覚に、引き寄せられる。
「ん・・・?」
顔を動かすと、何かが顔の横に落ちた。
「?」
何があったんだっけ?
今何時?
あれ?
昨日は夜眠れなくて、何となく部屋を抜け出して森を走ってたら、フィフさんが声をかけてきた。
それで、家に戻ったら、何故か起きてきてた和さんの様子が変だなぁと・・・
そう思って、もしかしてってスズに電話してみた。
そしたら・・・スズが!
スズ!?
は!
–バサッ!
「スズが!」
「やっと起きたの?・・・サーズなら、そこで寝てるわよ。」
イザベルは、私の寝ている大きなベッドの端で丸まっていた。
私はそのイザベルの視線を追って、背を向けていたベッドの反対側へ振り返る。
スズが寝てる!
掛け布団をかけず、その上に倒れ込むように寝てしまっているのが気になるけれど・・・
広すぎるベッドの、私とは反対の端で、スズは確かに普通に寝ていた。
「え?ええ?何があったんだっけ・・・?」
「ふん!知らないわよ。アリスは朝からいないし、やっと戻ってきたと思ったら、サーズが運んでくるし。私の方が、説明して欲しいぐらいだわ!」
うう。
イザベルは、かなり機嫌悪そう。
確かに、変なこと話せないから、ちょっと遠ざけちゃってた。
怒るのも無理はない・・・
「ご、ごめん。イザベル・・・。」
「サーズにも、ここ最近のアリスの事は大目に見て欲しいって言われたけど、一体何なのよ?大体あんた達、喧嘩してたんじゃないの?」
喧嘩・・・
それはそうなんだけど、それよりも大きい事があったせいで、そっちはまったく気にしてなかった。
そうだ。
フィフさんの家で、スズに電話が繋がって、やっと会えて、それで安心して泣きまくって、寝たんでした。
「でも、どう説明したらいいのか・・・。私もよく分かってないんだよね。」
イザベルが近寄ってきた。
「何よそれ。じゃあ何で泣いてたのよ?」
「うーん・・・それは、スズが心配だったからで・・・。」
「何の心配よ?」
「…わた、しが戻れない可能性があったから、ふぁ…心配させたんだよ。」
低い声が返事をする。
スズの方を見ると、まだ眠そうに瞼を動かしている。
「ご、ごめん。うるさかったよね。」
「……気にしなくていい。」
イザベルが、スズの方に寄る。
「ちょっと?戻れないって、何かあったわけ?」
「……ん…ちょっと、ミスして存在が消えかけた…。だから、アリスを、心配させた、ん…」
「はぁ?どういう事よ?どうやったら存在が消えるのよ!?」
イザベルは、スズの眠そうな様子を無視して、大声でまくし立てる。
こ、これは、結構怒ってる・・・
「んー…通路でいろいろ試して、て…座標がない場所で落下したから…おそらくは…世界消滅と同じ現象が、起きた…から…」
スズの瞼は重そう。
「ほら、スズも眠そうだし、イザベル・・・後で聞かない・・・?」
「ふん!アリスが起きたら説明するんでしょ!」
「ぐふっ!」
「イザッ・・!」
イザベルがスズに飛び乗った。
うわわわ・・・・
イザベルも結構怒ってる・・・どうしよ
「…イザベル。」
「何よ?ふん!」
「…ごめん。分かった…話、しよう…。…まずは?」
スズが、泣く泣く体を起こす。
「まず、何があったのよ?」
「…まず、山本梓の魂を探す方法の仮説として、座標のない空間である可能性を考えた。」
スズの頭が揺れてる。
「その具体的な内容は・・・。」
眠そうな顔のまま、いつもよりも、ゆっくりと丁寧に話し始めた。
フィフさんも説明してくれた二人が探している、座標のない空間について。
その“座標のない空間”という言葉は、確かクラーレンも口にしていた。
だから、そこは不安定な場所だと・・・
そこにフィフさんが言う通り魂が、あるのかもしれないのだとしたら、スズはまた行くってことだよね・・・
「落ちてからの間は、意識ハッキリしていない部分もあるから・・・」
「スズ・・・」
「ん?」
話の途中で止めてしまった。
「あの・・・」
「…和も同じ顔をしていたよ。どうやって回収するかは、一度方法を考えようかと思ってる。その為にも良かったら、アリスの話を聞かせてもらえないかな?」
そっか。
少し安心できた気がする。
この二日間は、何をしていたかあんまり覚えてない。
もしも、二度とスズが戻らないかもしれないって、そうなったらどうしようって・・・
スズが、固く握る私の手を上から包む。
「心配かけて、ごめん。」
「・・・ほ、本当に・・・。ばかぁ・・・。」
スズの体温。
それが消えないうちに確かめるように、体を寄せた。
ちゃんとここにいる。
そう分かっているのに、どこか輪郭が薄い気がして、確かめるみたいに服を握ってしまう。
目を逸らしたら、そのまま朝の光に溶けて、形ごと失ってしまいそうで怖かった。
「なるほどね。アリスの様子が、おかしかった理由は分かったわ。」
スズが背中を撫でてくれる。
ここにいるって感じる。
でも、少し目を離したら、また薄くなって消えてしまいそうな気もする。
「つまり私達は、サーズのことを忘れていたのね・・・。」
「忘れてたというよりは、知識が消えていたという感じかな。」
「・・・どっちでも良いわよ。そんなあっさり消えてしまうのは・・・嫌ね。」
「そうだね。イザベルも迷惑をかけた。」
スズの服を握る。
「ふん。私は忘れてたんだから、何もないわよ。」
スズの腕が、遅れて私を包み込む。
「・・・クラーレンは、私の事を夢みたいな状態って言ってた・・・。」
スズの存在を確認しながら、あの時のことを思い出す。
「クラーレンもあの場所にいたのか。」
「・・・うん。フィーの時とかアルファーさんの家でも見たから・・・間違いないと思う・・・」
スズが背中をさすってくれる度に、気持ちが落ち着いてくる。
「白い橋をスズが渡るのが見えて、その後ろをクラーレンがついて来た・・・。」
スズが進んでいくのを見ていたこと。
クラーレンが“不安定な場所だ”と言っていたこと。
そういう断片を、思い出すままに口にする。
「夢の状態でも、アリスは私のことを掴めたのか。」
スズが頭の上で、つぶやく。
「・・・そういえば、クラーレンもそんなこと言ってた気がする・・・。何で掴めるのか?みたいな・・・?」
「あの空間だけの偶発的なものなのか、それともアリスの特異性なのか。フィーに夢で触ったことは?」
フィーに会った時は、どうだろう?
「触った事ないかも。もしかしたら触れたのかな?」
「分からない。あの時は恐らく、妖精同士の空間ゲートで夢を繋いでいたんだと思うから、通路とは環境も違う。機会があれば試してみたい。」
もう。
スズは本当にいつも通りなんだから・・・
でも手の動きが、心配してくれてるって分かるからいいけど。
「いずれにしても、アリスがあの場に介入できたことは、大きい。」
「・・・山本梓の魂があるかもしれないから?」
フィフさんも言った言葉。
「そうなると考えられる理由としては、十分だと思う。
山本梓の魂を回収できれば、今アリスと梓で混ざっている問題を、少し切り分けられるかもしれない。
そうなれば、フォーラス達が見ている“イヴの再現”も、そのままでは成立しにくくなる。」
それは、スズが改めてあそこに行くべきと思うってことだよね。
スズの服を握る手が、じわりと熱を失っていく。
「…心配させてるのは、分かってる。」
「・・・でも、行くんでしょ?」
方法は考えてくれるって言ったけど、あの場所に行くってことに変わりはない。
戻ってきたばかりなのに、またどこか遠くへ行ってしまう気がしてしまう。
こういう時、私にも良い方法が、思いつけば良いのに・・・
「…そうだね。できれば行かせて、欲しい。」
「・・・・」
言いづらそうにしてるのは分かってる。
それに、スズがそう考えるのはどう考えても分かってるのに、私が言わせた。
「ごめん。」
「・・・・」
なんて返事すればいいのか、分からない。
ここ数週間ほとんど会ってないし、喋ってなかったのに・・・
そして、今はこんな近くにいるのに・・・
「・・・スズ。」
「ん。」
「死神の事は・・・、私ができることがあればもちろん手伝うけどさ・・・。
事情もあるって何となくわかるから、むやみやたらに聞いたり、口突っ込んだりしない。」
「うん。」
「隣にいてくれるって言う、スズの言葉も信じてるけど・・・。でも、寂しい。」
「…うん。ごめん」
何が言いたいんだろう?
でも言葉が出てくる・・・
「忙しいのも分かるけど・・・ずっと会えないのは、不安。」
「…ごめん。」
スズに謝らせたいわけじゃない・・・でも、言葉が次々出てくる。
「言いたくない事は、言わなくてもいいから・・・少しは一緒にいたい。」
「分かった。」
かなりわがままな子供みたいなこと言ってる。
「これって、かなり迷惑・・・?」
「迷惑じゃないよ。」
スズの返事は早い。
「・・・実は、嫌だったりする?」
「嫌じゃないよ。」
少し前に、イザベルに言われた言葉を思い出す。
私、やっぱり、かまってちゃんだったのかも。
「本当に?」
「本当。」
「・・・言わせてる?」
「ちゃんと、私の言葉で言ってる。」
顔を上げる。
「少しは腫れが引いたと思ったけど、また真っ赤。痛くない?」
スズの手が、頬を撫でる。
冷たくて気持ちいい。
「ん。スズは何で、私のことを助けてくれるの?」
スズは少し考えて、口を開いた。
「…最初は、基本世界の人間が、魔法世界の問題で被害を受けている普通の被害者、だと思った。」
つまり、普通の相談所の相談として考えてたのかな?
「でも内容を調べれば調べるほど、問題が大きくて、最初会った先輩である山本梓の『帰りたい』ということに、たどり着けなくなった。」
そういえば、悪い情報ばかりでごめんって、言ってたのを思い出した。
「アリスが、頑張って今の状況を受け止めてくれてたから、今のアリス・フォーラスとして生きていく道を、ちゃんと選べる状態にしたいと思ってる。」
スズが、私の頭を撫でる。
フィフさんは明らかに、私や和さんでさえも子供扱いするけど、今までスズってあんまりそんな感じしなかった。
でも、やっぱスズからすると、私って子供なんだろうなぁ。
「私は…」
スズが、ちょっと言いづらそうに言葉を考える。
「中途半端に投げ出してきたことも多い。」
「そうは見えない。」
思わず否定の言葉が出た。
スズが少し笑う。
「死神の私への反応や、フィーのことを見てもそう見える?」
「んんん。全部はそりゃあ、分からないよ。それに、全部結果が上手くいくなんてことも無いと思う。」
色々な事をやっていけば、成功と同じように失敗だって必ずあるんだ・・・
私も、こんな当たり前のことなのに、気が付かないフリをしていたけれど。
「そう考えてくれるなら、嬉しい。」
もしかしたら、他の人もついつい、スズが何でも成功すると思っている部分があるのかもしれない。
「アリスのことも、どうなるかはまだ分からない。」
スズの目が、ほんのわずかに揺れる。
水面みたいに。
「私は、中途半端にするつもりは無い。でも、最後がアリスにとって、どういう結果になるのかは分からない。」
スズだって分からない。
「スズ・・・。」
「うん。」
「スズって、確かに心配性かも。」
「そう?」
だって、それって・・・
「それは、私の問題だよ!色々考えてくれてるのは、すごく嬉しいけど、そこまでスズの責任にしなくていいの!」
「また、よくない結果になる可能性だってある。」
「分かるよ?だから、もしそうなったらきっと、私は凹むだろうし悲しむだろうけど。それは別なの!」
「もちろん感情に対してまで、とやかく言うつもりはないけれど…」
あ。昨日の電話の言葉を思い出した。
スズにとって、大切な人に含まれてることを自覚して、嬉しいのは私も同じなんだけど。
そうじゃない!
「私が凹んだり、悲しんだりすることに、スズも一緒に悲しんでくれるのは・・・う、嬉しいけど!それまでスズが、自分の責任として抱え込まなくていいから!」
スズと目を合わせる。
「…なるほど。責任の範囲を誤ってるかな?」
「多分ね。そう思った。」
–ぐぅぅ
私のお腹から音が鳴る。
「ありがとう。お昼過ぎてるから、お昼ご飯聞いてみようか。」
「・・・・うん。」
スズがもう一度私の頭を撫でて、動き出した。
私のお腹め・・・。
そういえば、今日は朝ごはんも食べてなかったんだった。
「イチャイチャ終わったかしら?」
「イザベルも、待たせた。降りようか。」
「イチャイチャ!?」
た、確かに、落ち着いて考えれば・・・
私がスズの胸元に泣きついて、背中をさすって貰ったり、頭を撫でてもらったり。
・・・違う意味で、顔が熱くなる。
「違うから!違うからね!」
「夜も一緒に寝るんでしょ?合ってるじゃない。」
え?!
「それは、約束したから。」
スズが部屋の扉を開く。
その足元をイザベルが抜ける。
「・・・いいの?」
「いいよ。まずはお昼ご飯にいこう。」
フィフさんの家で、安心してつい出た言葉ではあったけど、ちゃんと覚えててくれていた。
「カイルが、変な顔してたわよ。」
「フォローはしておくよ。」
二人と一匹で階段を下りる。
「キュウ!!!!」
セイが、テーブルの上を跳びはねた。
「ああああ!遅い!」
「やっと降りてきた!」
「キーキ!!」「キュキュ!」
「久しぶリだ。」
「スズダ。」
「懐かしイ?」
日向達がいたので、一気に騒がしくなった。
そんな懐かしい雰囲気に、安心感も重なってきた。
「久しぶり。元気そうだね。」
スズのいつもの声。
–カチャ
「うわぁ・・・。来るタイミング間違えた。」
玄関からフィフさんが、嫌そうな顔で入ってきた。
「お昼ご飯残ってる?」
「あるよ。日向達はソファの方に行きなー。ちょっと人数が多すぎる。」
「「ぶーぶー」」
日向達は、文句を言いながらもどこか楽しそうに、台所の反対側にあるソファの方へ、ウーノ達と移動していく。
フィフさんは中央のテーブルに座った。
「俺も、ご相伴させてー。」
「はいはい。スズとアリスは顔でも洗っておいで、スズ寝癖付いてる。」
和さんの言葉で、スズの頭を見る。
本当だ。
少し伸びた髪の毛が、首の先で変な方向にはねてる。
「キュウ」
「こっち?ありがとう。」
無事にスズの肩に乗りついたセイが、洗面所の場所を教えてる。
「アリス。仲直り?」
日向が、ソファ越しに耳を寄せてくる。
「まぁ主因はまだ、解決してないけど、いちおー?」
「そうなの?でも良かった!」
日向は、特に気にしてくれてたよね。
「うん。心配させてごめんね。」
「ふっふっふ。アリスが喧嘩してると、私や和がスズに喧嘩を、吹っ掛けられなかったからね!」
なるほど?
「和は、抜け駆けしてるけどね。」
「そう、それ!アリスにも後で教えてあげるね。」
秀人がニヤっとしている。
和さん抜け駆けしたの?
何のことだろう。
「アリスー。洗面所使ったよ。どうぞ。」
「あ!うん!」
スズの声で振り返り、洗面所へ向かう。
こんなやりとりの方がやっぱり、好きだなぁ。
胸の奥に、静かに居場所が戻ってくる。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




