疑問:前よりも前向きになれたかな?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「アリスー!今日はどうするー?」
「ごめん。今日も、家にいようかな。」
「体調悪い?」
「ううん。全然大丈夫!明日は一緒に行くよ。」
日向と秀人に、誘われたけど、出掛ける気分にならず断ってしまった。
「分かったーゆっくりしてねー。」
「いってきまーす。」
「キュウ!」「キー」「キュキュ!」
「気を付けテー。」
「いっテらっシャい」
今日も、元気な声が家に響く。
「どうしたの?」
「ん?いやいや、特に何でもないんだよ?」
「ふーん?」
「いやいや。」
イザベルが、疑いの目を向けてくる。
視線から逃げて、ソファに体を預けるように倒れ込む。
「カイルー。」
「!なんで和さん!?何もないってば!」
ソファから顔を上げて、イザベルに返事をする。
「で?」
「・・・・・・んー・・・・」
–ボフ
再びソファに倒れる。
–私がイヴを殺した場所。
その言葉だけが、頭の奥に引っかかって離れない。
繰り返し思い浮かんでしまう言葉。
「・・・ねぇイザベルさん。」
「なによ?」
ソファの背もたれにイザベルが乗る。
「人を殺すって、やっぱり罪になるのかな。」
「は?何言ってんの?誰か殺したいの?」
「いやいや。そうじゃないんだけど・・・」
イヴさんってどんな人だったんだろう?
「なんなの?百面相してるわよ?」
「むむ・・・」
今さらだけど、イヴさんがいなくなった経緯を知らない。
だって、明らかに聞きづらすぎる。
「一応言っとくけど、殺人は犯罪よ?アリス。」
「うっ!・・・わ、分かってるよ!」
「なになに?誰か殺したいの?」
「うわ!」
「いつの間に・・・」
裏庭の窓から、フィフさんがひょいと顔を出していた。
「それならまず、場所だね。証拠が残らない場所。」
「えええ?」
「次に、裏切らない共犯者がいると良いね。」
「だ!誰も殺しませんからー!」
フィフさんは窓から、上がってきた。
「そうなの?」
「そうなんです!」
冗談めかして言っているけど、ちゃんと返しておかなきゃ。
「それは良かった。」
窓の淵に腰を掛けながら、目を細めてこちらを見る。
「少し時間があるよ。聞きたいことはある?」
「・・・・・。」
フィフさんは多分、昨日の事を言ってる。
「無いなら、それでもいい。」
ソファに座りなおし、フィフさんに向き合う。
「・・・本当に教えてくれるんですか?」
「俺は嘘はつかないよ。」
「そういう意味じゃなくて、教えて良いんですか?」
「聞かない方が良いと判断するかどうかは、君次第。」
「アリス?」
イザベルがソファの背もたれから、横に降りてきた。
聞きたい気持ちは、確かにある。
でも、フィフさんが言う通り、聞かない選択肢もある。
それに、こういうことは、ちゃんと本人に聞きたい気持ちがある。
首を横に振る。
「・・・聞かないです。」
「そう。」
知ってしまったことは消えない。
でも、それをどう考えるかは、自分で決めていいはずだ。
フィフさんが手を上げる。
「?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フィフ。」
後ろから圭さんが、呼ぶ声。
「行こうか。時間だ。」
そう言うやいなや、圭さんが前に出てきて、フィフさんを背負って飛んで行ってしまった。
「・・・・」
圭さんいつから後ろにいたんだろう。
もしかして、もともと話す時間なんてなかったんじゃないだろうか。
フィフさんは、私が聞かないと思っていたのだろうか?
・・・分からない。
「アリス。何を聞こうと・・・聞かない方がいいのかしら?」
「うーん。・・・もう少し自分で考えようかなぁ。」
内容が内容だから、つい動揺してしまったけど、ここでまた焦ったら良くない気がする。
答えの出ないまま考え続けながら、ソファに沈み込む。
「この世界に来て、凄く普通にしてるけど良いのかな?」
「何が?」
不思議な光景は色々あったけど、生活は相談所にいる時と同じ。
「なんかのんびりし過ぎてる気がして・・・。」
「もっと忙しい方が良いってこと?」
そういうとスズみたいな仕事好きって感じがするけど。
「まぁ何事もバランスかなぁって。」
「…アルフの爺のところにいた時も、こんな感じだったじゃない。」
そういえばそんな気がする。
「なんというか、スズは相談所で今も仕事してたりするんだなぁって・・・。」
「気まずいわけね。」
フィフさんとの会話を聞いていても、何かを進めている感じがした。
それにスズなら、きっと平日は普通に仕事に行ってると確信できる。
「最初は、何もできないから手伝えること手伝いたいって思ってたし、何かやることがあると、自分の役割がある気がして・・・。」
「役割がないと、自分の場所がないって感じがする?」
と、言われると。
「・・・そう感じる自分が情けない気も。」
私はなんでここにいるんだろうかと・・・
「今、明確に何かやるべき事があるわけじゃないけど、何かあった時の為に努力はしてると思うわよ?」
英語の勉強は、本もノートも相談所に置いてきちゃったしなぁ。
魔法も言語をなんとなく、基礎から教えてもらってるけど・・・
「私がやる事ってまだまだ小さすぎて、申し訳ないぐらい手助けにもならない・・・じゃん?」
今すぐの力になるには、全く及ばない。
「これまで学ぶタイミングがなかったから、それを焦っても仕方ないと思うわよ?それにアリス。」
「んー?」
だらけた姿勢のまま、イザベルの方に視線を向ける。
「あなた、前は基本世界の人間の感覚だったでしょうけど、今は魔法使いなのよ?」
「うん?」
「聞いたところ、年齢は30歳ちょっとのまだまだ子供。」
「うん?」
年齢は、基本世界の基準では比べようがないけど、魔法世界は100歳ぐらいで成人扱いって言ってたし、相当子供の年齢なのは分かる。
「もし寿命を全うして800歳生きると仮定しても、あと750年以上生きることになるのよ?それなのに、こんな30歳ちょっとで焦ってどうするのよ?」
「・・・な、なるほど?」
確かに、もしも幼稚園児が
「これからの人生に向けて、まだまだ努力が足りなくって・・・どうしたらいいでしょうか?」
などの人生相談してきたとしても「いやいや、人生まだまだこれからだから」という話。
「それは、確かに、言われてみればそうなのかも・・・。」
「でしょ?それでも日々少しづつ積み重ねてるんだから、始めたばかりで焦りすぎ。」
「そ。そっかぁ・・・」
「それに、参考にする相手が悪いわ。」
イザベルが、ソファで寝そべる私の顔まで近づいてきた。
「スズとフィフなんて、私達が比較対象にすることが、そもそも間違ってるわ。」
「あー・・・それは経験則や積み重ねってことでは、一生かけても足元にも及ばないよね。」
比べる相手が、悪いかぁ。
そんな二人でも、もちろん未来の事は分からない。
知らない事もある。
そう言ってくれたフィフさん。
言われてみれば、それは当たり前の話なんだけど・・・
気が付けば、どこかでスズは何でもできるような気がしてた。
何でも知っているような気がしてた。
落ち着いて考えれば、そんなわけないのに・・・
「そもそも、明確な目標はあるの?」
「うっ・・・うーん。確かにいつまでにここまでっていう、期限とか中間点とかはまったく考えてないですが・・・。」
「それで、ぼんやりした感覚で不安がってるなんて、見た目通り子供よ。」
「・・・ぐ。はい。おっしゃる通り。」
社会に出て、そういうことをちゃんと学んで、やってきていたはずなんだけど。
相談所に来てから、あまりの周りとの違いを感じて勝手に諦めて、私自身が自分を甘やかしていたのかもしれない。
それなら・・・
よし!
気合を入れて、ソファの上で体を起こす。
「じゃあ!まずは目標だよね。英語はまず電話対応ができるようにするのを、相談所に戻ってから1ヵ月!ぐらい?を目安に・・・」
「まぁある程度、決まった単語を覚えていけば、無理じゃないと思うわ。」
「魔法は・・・魔法文字って、どのぐらいで覚えられる?」
「そうねぇ。基礎だから、こっちは丁寧に覚えた方が良いから・・・3ヵ月ぐらいかしら?」
ふむ。
やっぱりそれなりに、時間がかかるんだなぁ。
「じゃあ。まずはそれを目安にしてみる!」
「そうね。良いと思うわよ。後は肉体作りね。」
「は!」
そういえば、最近朝走ったりすることも全くしていなかった。
森は、日向達としばらく歩き回ってみて分かったけど、結構広い。
相談所の庭一周分ぐらいなら、十分走れる距離は安全な範囲が確保できそう。
「朝走る!」
「ひとまずは、そんな所じゃないかしら?」
確かに、詰め込み過ぎはよくない。
ここではちゃんと朝走って、午前中は掃除や洗濯手伝って、午後勉強していけばいい。
「いつもありがとう。イザベル。」
「いいわよ。魔法文字を教えながら私も復習になるし、それにアルファーの爺が言ってたように、設置魔法を一から作るって事も私もやってみたいもの。」
そっか。
イザベルだって、ずっと勉強してきても、まだまだ勉強することがあるんだもんね。
基礎を勉強中の私が、焦るには早すぎる。
設置魔法って、よく日向達や和さんからも聞くけど・・・
「設置魔法を一から作るって、そんなに大変なの?」
イザベルが、ちょっと考える。
「・・・そうねぇ。例えば焚火で料理するっていうと、きっとやったことなくても、大体のやり方は思いつくでしょう?
でもコンロから作って、料理するっていうとどうかしら?」
「な!なるほど・・・コンロの作り方・・・。」
確かに、既に出来上がっているものを、一から作り直すとなると・・・
本来は、その製品の製造業者や科学などの専門家の力が必要。
「つまり魔法使いさんが使ってる設置魔法は、誰かが昔に作ったものって事になるんだね。」
「そうよ。大学や研究施設とかで、魔法研究をしている魔法使いや、血族で専門的な知識を持った家がそれぞれ検証したり、個々に発表したりして増えていってる感じよ。」
なるほど。
それは基本世界の新発見や薬を作り出したりするのと、近い感じがする。
大学院や専門施設の研究員。
「それってイザベルも、そういう凄い人達になろうとしてるってこと?」
「凄い人達・・・カイルやアルファーの爺は、そっち側よ?」
「?・・・そっか!?」
アルファーさんも確かに、スズと一緒に設置魔法を作ったとか言ってた。
あれ?
「カイルさんって、和さんも魔法を作って・・・あ。料理の時の魔法?」
「・・・」
イザベルが、ため息をついて膝に乗ってきた。
「アリス。もしも魔法世界で魔法使いと話す時に、そういうことを知らないのもあれだから、この際ちゃんと説明するわ。」
「うん?」
イザベルの背中を撫でる。
「カイルは自分で、設置魔法を作れるぐらい凄いってことは、今さらなんだけど。
カイルが有名になった原点はね。『共通認識された単語なら、イメージを省略できる』
そう発表したことよ。つまり——詠唱は不要だって証明したの。」
「・・・・?」
「アルファーの爺のところで、ちょっと話したけど、火のイメージはハッキリしてるわよね?」
「うん。」
火と言えば、こう。
水といえば、こう。
そういう単語ごとにイメージしやすいものは、多分私もイザベルも同じ認識だと思う。
「瞬発魔法としてよく使う攻撃魔法っていうのは、魔力を使ってイメージを構築すること。だから、そのイメージをしっかりさせる必要はとても重要なの。
だから、これまでは”赤く、煌々と燃えたぎる炎”とかって、ちゃんと説明をセットにした詠唱が魔法を発生させる時には、常識だったのよ。」
「なるほど?」
「でも、”炎”ならこう、”火”ならこうっていう単語を、言葉に紐づけた完全イメージができるようになれば、”炎”って言うだけで、そのイメージと発声した”炎”を繋ぎ合わせて、発動することができる。っていうこと。」
「・・・つまり、魔法使い自身が、事前にイメージを紐づけて決めた単語は、発声はその一文字分だけで、良いってこと?」
「そういうこと。」
何となく分かった。
魔法を発動する時の言葉が、「赤く煌々と燃えたぎる炎」ではなく「炎」だけで、済むってことだよね。
「でも、かなり難しいわよ。練習も集中力も必要。結局は、詠唱しながらイメージを構築する方が楽、って考える魔法使いも多いわ。」
「そうなんだ・・・でも攻撃なら早さって、大事じゃない?」
「大事よ。だから、できるできないの差は広いわよ。」
そうだよね。
特に攻撃ってなると、早さは勝負の分け目な気がする。
「知らなかった・・・和さん。やっぱり凄いんだね。」
「まぁ私も、教材で名前を見たことがある程度で、見た目を知らなかったから、実際に会ってもまったく気が付かなかったわ。」
「確かに、私も教科書に載ってる著名人に、直接会っても気が付かないかも。」
芸能人なら分かるかもしれないけど、夏目漱石さんに直接会っても、写真は見たことあっても気が付くかなぁ・・・?
「実際こうして会って魔法を使う姿を見て、納得よ。
料理ですらオリジナルの設置魔法。詠唱する相手の魔法の妨害。それらを、さも簡単そうにやってるのが非常に憤慨だけどね。」
「私、和さんがいつも普通そうにしてるから・・・。きっとアルファーさんの家に行かなかったら、そういう普通じゃないことに、ずっと気が付かなかったよ。」
他の魔法使いを知らない私は、確かにイザベルが言ってくれなかったら、基準が和さんになってるから、魔法世界の人の基準からは大きな認識の違いがまだまだありそう。
「そういうわけだから、カイルも目標にするのは止めときなさい。」
「わ、分かった。」
コンロでも何でも、自分で一から作っちゃう専門家かぁ・・・
目標にしてしまったが最後、壁は高そう。
–ふわっ
裏庭の方で、何かが通り過ぎた気がした。
影?
いや──羽?
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




