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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第三章 理解は救いにならない
124/201

疑問:偶然知ってしまう事の方が困る?

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

2日前に、フィフさんがお昼に来てこう言った。


「少し出かけてくるけど、すぐ戻るから、まあ適当によろしく。」


和さんは圭の同行も提案していたけど、フィフさんは「大した用事でもない」とだけ言って、そのまま出て行った。


そして今日も今日とて、日向達は出掛けて行ったけど、今日はのんびり裏庭の川に足をつけていた。


「なんだか、こんなにゆっくりしていて良いのかな?」

「魔力のコントロールも頑張ってきてるし、少しくらいいいんじゃない?」


そうなの。

最近は目を閉じなくても、ちゃんと意識すれば見えるようになってきた。


風が吹くたび、川面の光が、誰かの視線みたいに揺れていた。


「んー。でも相変わらず和さんや日向達が、使っている魔法は細かすぎてさっぱり分からない。」

「文字が分かってくれば、少しは分かるかもね。簡単なのは教えてあげるわ。」

「お願いします。イザベルせんせっ・・・」


イザベルに返事をした途端、何かが頭に響いた。


「アリス?」


音じゃない。


体の奥で、鐘のような振動が鳴り響く。


「・・・っあ?」


体を起こそうとするけど、地面の位置が分からない。


「アリス!?」


イザベルの声は聞こえるのに、同時に何かが・・・流れ込んでくる。


「もっともっと苦しんで。そして死んでくれないかな?ねぇお願い。」


温度のない声が、直接内側に触れてくる。


誰?


「カイル!!」


イザベルの声が遠ざかっていく。


「ねぇいつ死ぬの?」


まるで刃物のような言葉。


なんでそんなこと言うの?


「私はあなたが憎い。」


言葉より先に、剥き出しの憎悪だけが突き刺さる。


誰を?


あなたは誰をそんなに…


――暗転


ん…


遠くで誰かの足音が、遅れて響いた。


一歩踏み出したはずの感覚と、実際に床に触れた感触がずれる。

半拍遅れて、重みが戻ってくる。


「……あぁ、これか」


視線を上げると、少し離れた位置でブルースが壁にもたれていた。


「気づくの早いな」

「遅れてたら困るでしょ」


フィフさんの声が聞こえる。


どこから?


周囲の輪郭がわずかに揺れている。

空気の密度が、場所ごとに歪んでいる。


ところどころ、現実の噛み合わせが悪い。


「まだ崩壊じゃない。観測用の揺らぎだ」

「観測って言えば許されると思ってる?」


ブルースは肩をすくめた。


距離感がおかしい。

近くにいるはずなのに、自分の体じゃないみたい。

フィフさんの声が、すぐ近くで聞こえるのに姿が見えない。


これ・・・フィフさんの視界?


「許される必要はない。必要なのはデータだけだ」


フィフは小さく息を吐く。


「で、今回は何を知りたいの」

「お前が崩れない理由」


即答だった。


この人が…ブルース・フォーラス?


「壊れかけても戻る。感情が揺れても座標が保たれる。その境界を見たい」


前に聞いたスズの話とは、少し焦点が違う。


床の揺らぎが、ほんの少しだけ強くなる。

視界の端がわずかに歪む。


「つまり、限界まで近づけたい?」

「そうだ。内容には興味ない。耐え方だけが欲しい。

崩れ方の手順が分かれば、疑似的な再現にも近づける。」


フィフさんが少しだけ笑う声を出す。


「やっぱり趣味悪い」

「効率的と言ってほしいな」


沈黙が落ちる。

遠くの音が、二重に重なって聞こえた。


「このままでも測れるでしょ」

「自然崩壊は誤差が多い。再現してくれた方が正確だ」


「……再現ね」


足元の感覚が少し軽い。

重力のかかり方が、ほんの少しだけ違う。


「条件は?」

「短時間でいい。お前が意図的に不安定になる。その間フィールドは維持する」


「終わったら?」

「閉じる。これ以上揺らぎは広げない」


フィフさんが下を向いたようで、視線が落ちる。

床の輪郭が、波打つように揺れていた。


「……ほんと、スーに聞いた通り、研究者向きになったね」

「そう見えるなら成功だ」


小さく息を吸う。


崩れる直前の感覚を思い出す。

感情をわずかに揺らすだけで、世界の密度が変わる。


「短時間だけ」

「十分だ」


空気が一段階重くなる。

空間の歪みが、静かに収束の形を取り始めた。


フィフさんは目を閉じる。


あたりは真っ暗。


わずかに揺れる気がする。

世界が一瞬だけ、静まり返った。


ブルースが小さく息を吐く。


「……やっぱり落ちないか」


ブルースのその言葉を最後に――


フィフさん?


ここは、水の中?


動きづらい。


息が…くるしい。


肺に息が入らない・・・


吸い込もうとすればするほど、水が入ってくる・・・


呼吸が――


息が――


・・・


「アリスさん!!」

「っは!!あああ!?っつ・・・!」


体が跳ねる。


一気に酸素が流れ込んできた。


「はぁはぁ・・・はぁはぁはぁはぁ・・・はぁはぁ。」

「落ち着いて、大丈夫です。」


和さんが背中をさすってくれるのが分かる。


「はぁはぁ・・・はぁ・・・」


少しずつ落ち着いてきた気がする。


「はぁはぁ・・・か・・・和さ・・・。」

「はい。急がないで、大丈夫です。」


女の人の声と…そして、フィフさんの声。

とにかくフィフさんについて伝えなきゃ・・・!


「あ・・の・・・はぁはぁ・・・フィフさんが・・・」

「フィフ?」

「はぁ・・・フィフさんは・・・どこに・・・?」


先日出掛けたきりで、まだ帰ってきてないはず・・・。


「フィフはまだ・・・、俺の方で、探します。ひとまず中に入りましょう。」


和さんが、私を抱き上げる。


さっきの声は、確かにフィフさんだった。

多分、夢じゃない気がする。

フィフさんを探さなきゃ。


–カチャ


裏口に入ってすぐのソファに、和さんが私を下ろしたところで扉が開く音が聞こえる。


「和!!フィフが倒れてた!」

「フィフ!大丈夫!?」

「みんな落ち着いテ」


「は!?こっちに運べるか?」


日向と秀人が、両脇からフィフさんを運んで入ってきた。

和さんは階段を上がってすぐの、和さんの部屋に誘導する。


「アリスは落ち着いてからにしなさい。」


私も起き上がろうとすると、イザベルに止められる。


「はい。アリスさんは休んでいてください。イザベル頼むよ。」

「分かったわ。」


そう言われてしまっては、無理に起き上がるのはやめた方が良いよね。

再びソファに体を乗せて、深呼吸する。


「二人は水を持って来て、日向はアリスさんにも持って行って様子を見てあげて。」


和さんの指示が飛ぶ。


「「分かった。」」


二人の声や、バタバタとする音にだけ耳を傾ける。


「アリスどうしたの?水飲める?」


ソファの背もたれの方から、日向が顔を出す。


「私は大丈夫だよ。フィフさんは?」


日向がソファを回ってきて、コップの水をテーブルに置いてくれた。


「怪我は見当たらなかったけど、家のすぐ前でうつぶせに倒れてたの。」


さっきのブルース・フォーラスとのやり取りを思い出す。


「…大丈夫かな。」

「呼吸はしてた。意識はなかったけど、様子をみよう。きっと大丈夫だよ。」


呼吸も十分落ち着いたので、ゆっくり体を起こして、ソファに座る。


「はぁ…ありがとう。」

「何があったの?」


「・・・分からない。さっきフィフさんとブルース・フォーラス・・・?が夢みたいに出てきて・・・。」

「ブルース・フォーラス?」


確か・・・


ウーノ達を世界に帰そうとした時に見た、あの男の人だった気がする・・・


でも雰囲気は少し違った・・・?


日向が持って来てくれた、コップの水を口にする。


「多分・・・フィフさんの視界を通して見ていた感じで・・・ごめん。なんだか・・・ぼんやりしてて・・・」

「いいのいいの!無理しないで!ちょっと様子見てくるね。」


日向が立ち上がると、扉が開く音と秀人の声が聞こえる。


「あ。フィフ大丈夫?」

「大丈夫。さっき一瞬、意識も戻ったんだよ。でも、今はもう一度寝ちゃったから、しばらくは和の方で様子を見るって。」


「良かっタ。」

「安心。」

「フー。」

「キュウ」「キー」「キュ」


しばらくは静かにしていた方がいいだろうし、ひとまず落ち着いた気がする。

和さんがフィフさんを見てる間に、みんなでそれぞれ交互にお風呂を済ませながら、夕飯の支度を進めた。


そういえば、あの女の人の声。

あまりに冷たく、固い響きで、音そのものより感覚の方が残っている。


誰かに死んでほしいと、憎んでいると、その言葉の冷たさも怖かったけど――


それ以上に、重く響く感覚の方が怖かった。


あれは、一体誰の声?

そして、誰に向けていたの?


–カチャ


「…お。ありがとう。夕飯作ってくれたのか。」


みんなお風呂を済ませて、夕飯を並べていた時に、和さんが部屋から出てきた。


「フィフ大丈夫?」

「まだ寝てるけど、ひとまず変化はないよ。一晩様子を見てみて、変化次第では相談所に連れてって、尚弥に診せるよ。」


和さんが、私に視線を向ける。


「アリスさんは、大丈夫ですか?」

「はい!私は大丈夫です。」


あれから特に何も起こらなかったので、普通の状態に戻ってる。


「何かあれば、すぐに言って下さい。アリスさんも違和感があれば、尚弥に相談しましょう。」

「分かりました。すみません。ご心配をおかけします・・・。」

「いえ、何かが起こっているのに、気が付いてない感じがするので・・・あんまり緊張し過ぎは良くないですが、用心はしておきましょう。」


確かに、和さんの言う通り、どこか不穏な感じが残る。


ブルース・フォーラス。


どんな人なのかは、正直よく分からなかった。


静かめな夕飯と寝支度を進めて、今日は早めに部屋に上がった。


フィフさん大丈夫かな?


そう思うと同時に、スズの事を思い出した。


スズも大丈夫かな?


あれから、こっちでも4日経った。

つまり基本世界なら1週間ぐらい経ってることになる。


死神の事も分からないまま。


・・・やめよ。


これを考えると、絶対焦るしって分かってるし・・・


静かな風の音だけが、部屋に満ちている。

虫の音も殆ど聞こえない静けさに意識が沈んでいく。


ふと、毛布の動きが肌に伝わる。


何か・・・


動いたような・・・


「・・・ん」


・・・?


目を開こうと思ったら、目元が暖かくなる。


――誰かの息?


・・・でも怖くない。


まだ、寝てていいと言われている気がする。

そう感じると再び、意識が沈み始めた。


–ダメだ。彼女を引っ張らないで。


–連れて行ったら、俺もスーも怒るよ。


–うん。ダメ。


「…ん。」


ふと、目が覚めた。

辺りを見ると、まだ暗い。


のどが渇いた気がする。

イザベルが寝ている横を静かに通って、部屋を出る。


–ギシ・・・ギシ・・・


階段を下りる音が響く。

薄暗いけど、足元が見えないほどではない。

誰もいないリビングの台所へ歩いていく。

棚からコップを取り、保冷庫に入っている水を入れる。


「・・・ふぅ。」


コップを水道の水で、軽く洗って、乾燥用の場所に置く。

落ち着いたところで、階段を上がろうと振り返る。


何かが、聞こえる。


どこからだろう?


耳を寄せると、多分外から聞こえる気がする。


玄関の方へ近寄ると扉の向こうから、誰かの声が聞こえてきた。


「全く、抜け目がないな。」


「…彼らの性分。」

「保険で連れて行ったけど、連れて行くやつを間違えたな。」


フィフさんと・・・スズの声。


「とにかくそっちの状況も分かった。あの時のまさにクラーレンそのもの。

・・・ったく、こっちからすれば、いい加減にしろってんだ。」

「おかげで、動きは読みやすくはなる。だが、確実に知識を増やしている事にもなる。」


–ドサ


「あんなの二人も三人もいらないよ。」

「そうだな。クラーレンの方で手綱を握ってくれれば良いけれど、その様子も見ておいた方が良いだろう。」


アディール・クラーレンの話?

内容がよく分からない。


「それで?お前の検証の方はどうだった?」

「少し条件が見えた気がする。もう一度タイミングを見てお願いしたい。」


「あー・・・やるしかないか。」

「指定の場所がある。」

「どこ?」

「・・・」


話が変わったみたいだけど、その内容もさっぱり分からない。

あんまり盗み聞きしていると、ちょっと気まずい。


戻ろう……


スズの相変わらずの声も聞けたし、良かった。

でもきっと朝にはもういないのだろうなぁ。


足がなかなか階段に進まない。


それだけで十分だったはずなのに。


扉から離れたはずなのに、次の言葉だけはやけに鮮明に聞こえた。


「私がイヴを殺した場所。」


聞こえてしまった。


息をのむ。


スズが・・・・・・


–タッ


足音がひとつ鳴った。


もしかしたら聞こえてしまったかもしれないけど、気にする余裕が無かった。

急いで階段を上って、そのまま布団にもぐった。


「…ん?アリス・・・?」

「ごめん。イザベル。水のみに行ってただけ。」

「ん・・・」


イザベルが少し起きてしまったので、謝る。

再びイザベルが静かになり、さっきの言葉が戻ってくる。


スズが・・・イヴさんを・・・?


どうして?


なんで?


ぐるぐると方向性のない思考が回り続ける。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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