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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第三章 理解は救いにならない
123/201

答え:賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

フィフに伝えた仮説は、私の中でも高い可能性があると考えている。

だが、過去のクラーレンの思考経路からの推測である部分が多く、確証に至る情報は、まだ一つも掴めていない。

そして条件を探るとしても、座標を持たない世界以外となると、私から試せるのはwalkerの通路か、条件次第で発生する空間くらいしかない。


違和感を感じたなら、まずは既に知っている方法から潰していくしかない。


世界を移動する方法は、walker通路だけじゃない。

交渉人のドアという手段もある。

だがあれは、座標がある程度魔法省の管理下にあり、イレギュラーは完全に監視される。

そう考えると、フォーラスやクラーレンが関与している可能性は低い。


死神の影移動や、妖怪の火車も違う。

あれらは移動手段であって、魂を維持する空間にはなりにくい。


私は、クラーレンの疑似通路に入る手段を持たない。


つまり消去法で残るのは、自分のwalker通路だけだ。


–カチャ


通路は目的地を設定しない場合、walkerの通路として繋がらない。


開いた扉の先は、本来の部屋である、ただの物置部屋。


扉を閉めて、改めて鍵を差す。

目的地は、魔法世界の自分の家。


–カチャ


扉の先は、いつもの白い通路。

入らずに再び扉を閉じる。

そして、もう一つ。


鍵を差しなおす。


この通路は、目的地を複数設定することも可能。


魔法世界。

怪異世界。

ウーノ達の世界。

バース達の世界。


ひとまず4つぐらいで良いだろう。


–カチャ


通路の景色は変わらない。

扉をくぐる。


目的地との距離に応じて、通路の形は変わる。

私の通路は白くて分かりづらいが、最初の分岐点が現れる。


右側へ進めば、魔法世界。


左側へ進んでいく。

しばらくすると再び分岐する。


右側へ進めば、怪異の世界。


このまま進んでも同じだろうと、怪異の世界への扉を開く。


なぜこの道を選んだ?


「・・・」


自分の意思より先に、足がそちらへ向いていた。


選ばされたのか、自分で選んだのか、その境界が曖昧になる。


–カチャ


「失礼。」


扉の先の空気が、わずかに重い。

誰かが使った後みたいな、嫌な気配が残っていた。


ここは、遠く昔に住んでいた場所。

ただの物置の様にみえる。

誰かが、この家を使っているのかもしれない。


近くに魔法世界の入口や基本世界への境界もあるので、元々このあたりは、妖怪が少ない。


扉をくぐり、部屋の中央に立ったと同時に足元が光る。


「!」


これは、何度も見てきた光。


設置魔法の発動。


とっさに反射的に光から逃れようとしたが――


間に合わない。

そう判断した瞬間には、もう遅かった。


眩しい光の中で、完全に目をつぶらないように、目元を手で覆いながら様子を伺う。

魔法による移動。


光は徐々に落ち着いて行くとともに、目の前のソファに座る男。

それ以外の物も、窓すら存在しない、閉じた空間。


「…偶然、には見えない。」

「安心して欲しい。攻撃するつもりはない、でも長くなればここは壊れる。」


ブライアン・フォーラス。

そして隣にヴェラが立っている。


この部屋、扉がない。


「安心できない。」

「まぁそうだよね。大丈夫。僕なら壊れることを止められる。」

「目的は?」

「君と話がしたい。」


ブライアンが足を組む。


何も用意はない。


この空間がもし、座標を持たないのだとした場合。

もしも壊れてしまえば、どこに投げ出されるか分からない。


「答えられることなら、聞こう。」

「壊れる前に、答えてくれればいい。」


空気が一瞬だけ、静まる。


「まずは聞く。」

「君が持っている、もっとも古い記憶は?」


床の軋む音が響く。


「おおよそ1万年くらい前。」

「1万年生きて、死んでを繰り返しているって事だよね。」

「そうだな。」


軋む音が耳に響く。


床が抜けた場合どうなるのか。


「その記憶、解析をさせて。」

「全ての記憶を一気に引き抜くことはできない。」

「クラーレンも?」

「できないと言っていた。」


ブライアンが顎に手を当てる。


場所の情報は…


体の感覚が少し遠い。

立っているのに、足の感覚が薄い。


「…私の」


ブライアンが遠くに見える。


手に力を込める。


「っ!」


「…自分で干渉を切れるのか。」


ブライアンからの精神干渉?


心臓の音が大きい。


部屋はベージュ色の筈なのに、視界に、白いノイズが走る。


足に力を入れる。


–ダンッ!!


「…記憶の提供はできない。質問は・・・以上?」


息が切れる。


わずかに感覚が戻る。


床の軋む音が大きくなった。


「ヴェラ。お前が干渉してみて。」

「かしこまりました。」


「…っ。」


その直後――足の力が抜ける。


膝が床につく。


視界がぼやける。


「薄いですが神の加護があるので、長くは続けられません。」


息が――詰まる。


苦しい。


「…っがは!」


床に手をつく。


視界に広がる赤が、現実を引き戻す。


「…む、いみ。だ。」


鉄の味。


「なんで。記憶が抜けない?こないだは少しは、抜けたのに。」


ブライアンの声が遠い。


「今回の方が条件は揃ってるはずなのに。」


腕の力も抜ける。


自分の吐いた血に、体が落ちる。


「これ以上は、無理そうです。」

「分かった。」


「っ・・・はぁ・・・はぁ。」


ようやく力が入った。


腕に力を戻し、体を起こす。


「なんで、お前の記憶が抜けない?お前の記憶の内容じゃない。抜けない構造そのものが欲しいんだ。」


同じwalkerでも、同じ構造ではない。

だからこそ、こいつはそこを見たがっている。


「・・・ら・・ない。・・・・・・はぁ。クラー・・・レンにでも・・聞け・・。」


背中の壁に寄りかかり、無理矢理、上体を起こす。


「どうされます?このままここを壊せば、勝手に死なれるかと思いますが。」

「そうだね。記憶が抜けない以上、どうしようもない。元の場所に戻して。」

「よろしいのですか?」


確かに、今のまま放置されれば、それで終わりだろう。


体には少しずつ力が入ってきているが、視界が大きく揺れている。

まだ立ち上がれそうにはない。


「今殺すと、観測価値を失う。」

「分かりました。」


白い光。


「…自力で切るのか。それは想定外だった。」


これはブルースなのか、クラーレンなのか、研究者側の問題に感じる。

フィーがいない以上、これ以上観測対象を減らせないのだろう。


…フィフも危ない。


「っ・・・う・・」


光の明るさのせいで、頭が痛い。


暗くなるのを待っていると、背中の壁の感覚がなくなった。


–ドサ


どうやら元の場所には戻されたらしいが、目的が・・・


今考えるのはやめよう。


・・・・・・・


駄目だ。


ここで気絶したら、まずい。

数が少ないとしても、ここは怪異の世界。


「っぐ・・・」


膝に手を置き力を入れる。

立ち上がるだけで息が切れる。


入ってきた扉を開く。


繋げたままなので、そのまま白い通路に向かって扉をゆっくりくぐる。


力は戻ってきてる。


「はぁ・・・っ・・」


壁に縋るようにして、一歩ずつ進む。

入った時よりは時間がかかったけれど、どうにか地下に戻り、そのままソファになだれ込む。


–バフッ


意識が沈む。


・・・


「―――、――。」


…声が聞こえる


遠くから、懐かしい声が滲んでくる。


「鈴。鈴って良いね。」


スズね。いいんじゃない。


「なぁ鈴。お別れだ。多分もう戻ってこれない。」


お前も行くのか。


「鈴に会えて良かった。」


それなら、良かった。


「もしももう一度会えたら、―――。」


聞こえない。

遠すぎる。


「―――。」


聞こえない。×××。


最後になんて…


「…ズ!」


「スズ!大丈夫?」


「…な、お。」


目の前に尚弥の顔が広がる。


「意識はあるな。外傷は・・・。」


「…っかは。ない。尚弥、怪我は・・・?」


体を起こす。

尚弥には数日前に、お見舞いに行ったばかりだった。

医者からは、頭の怪我の後遺症もなく、良好だとは聞いていたけど、退院したのか。


「・・・僕の心配はありがとう。こないだ会ったばかりだろう?」


あきれ顔。


「…まだ平日だとおもうけど。」

「そうだよ。変なメッセージがきてるけど、和がスズに連絡したら返事がないって言うから、見に来たんだよ。」


変なメッセージ…?

手元にあったスマホを開く。


「あぁ。書いてる途中で送ったみたい。」

「でも、何かあったね。ひとまず着替えよう。」


スマホで、寝落ちしてたと送っておく。


「…ナオ。和に・・・」

「診察してみてからだね。何があったの?」


「…精神介入だとは思うけど、…口洗ってくる。」


血が張り付いていて、喋りづらい。

ひと眠りしたおかげか、体は問題なく動く。


顔と口を洗ってきて、汚してしまったので、ソファのシーツも片付ける。


「んで?」


冷蔵庫からペットボトルの水を二本出し、一本はナオに向かって投げる。


「ありがと。」

「…魔法だとは思う。状況だけ説明する。」


ソファの脇に座ったナオに向かって、デスクの椅子に座りながら話し始める。

通路について調べていた流れは、大雑把に説明し、その後のブライアンに会ってからの流れを、体の状態を含めて細かく説明していく。


「…という感じで帰ってきた。ナオは大丈夫?」


「ふむ・・・は?僕?僕は、退院後はしばらく休暇をもらってるから、ゆっくりしてたよ。水は普通に飲めてそうだね。何か違和感は感じる?」

「特にはなさそう。」


「最近吐く事も多いから、水分補給と食事は気を付けて。様子を見ようか。」


いくつかきてる、和からのメッセージにも返事をしていく。


ナオが立ち上がるのを、横目で見送っていると…


「何してんのさ。ご飯作るから上行くよ。食事できなきゃ、和に伝えなきゃね。」


「・・・」


ついていく。

尚弥は、玄関に置いてあったビニール袋を持って、階段を上がる。


「本当に珍しく、静かだねー。」

「そうだね。」


いつも階段を上がっている最中でも、日向や秀人、最近ではウーノ達の声が聞こえてくることも多かった。


「お湯沸かす。」

「はーい。あ。冷蔵庫にうどんあるから、茹でようか。」


鍋を取り出し、水を入れる。


「そういえば、スズって料理ちょっとはできるんだっけ?」

「カレーとかなら。」

「僕とあんまり変わらないかもね。」


ナオの表情は明るい。

おでこにガーゼが残っているが、それ以外は見えない。


「残った分の卵は、冷蔵庫入れとくよー。」


二つだけ台の上に置かれている。

ネギを切って、あとは…何を入れるのだったか。


「この辺の食材もいれちゃおうか。」


ナオが、しいたけや白菜や豚バラを取り出す。

何でも良いのか。


「なんかすごい量のチョコレートあるね。」

「多分作る用だから、そのままで。」

「そういえば、バレンタインなんてあったねぇ。」


お湯が沸騰したので、うどんを入れる。


「スズはチョコレート作るの?」

「この量あるし、黙って使ってもバレなさそうではある。」

「え?作っちゃう感じ?」


冷蔵庫の下半分側を埋めているチョコの量を見て、考える。


「何かつくろうか。でも、もう少し目処が立ったらだろうな。作ると賞味期限が早い。」

「うーん。スズらしいっちゃ、スズらしい。」


うどんをほぐしながら、適当に具材を入れていく。


「ナオこんなんだから、週末はそのまま休んでて良いよ。和達が戻ってくる時は、連絡する。」

「んースズがいるんでしょ、来るよ?」

「ちゃんと治ってからでいい。」


ナオや食器を出す。


「それに…なに?」


顔を上げると、ナオがじっとこっちを見ていた。


「このまま問題なさそうなら、「問題なかったよ」って連絡しといてあげるから、週末は僕もゆっくり六階で過ごすよ。」

「…分かった。」


今は静かだし、確かにゆっくり過ごすことはできるだろう。


「お。珍しく何か作ってるじゃん。」

「召し上がりますか?」

「ご相伴させていただきまーす。」


神様の分と三人分用意する。

そういえば、久しぶりに誰かと食事をする気がする。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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