疑問:答えを急ぐ前に、自分と相手を見る?
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
昨日はガルシアさんの家に泊めて頂いた。
でも、以前少し説明して頂いた通り、死神の方は人間ではない。
なので、住居に普通にあると思っていたお風呂場もトイレもなかった。
そういったものは死神にとっての娯楽施設のようで、共有場所にまとめられていた。
まさか死神の世界で、銭湯みたいな場所へ行くとは思わなかった。
寝室も、休憩で使う程度らしくほとんど新品のような状態だった。
そんな一晩を過ごしながら、改めてガルシアさんが人間ではないのだと実感した。
「こちらへ。」
「あれ?あの建物ではないんですか?」
ガルシアさんの住んでいるマンションを出て、しばらく歩くと、前に入った大きな建物が見えてきたので、そのままそっちに向かうかと思っていた。
ところが、ガルシアさんは急に橋の方へ向かった。
橋の方・・・
つまり反対側に渡るという事。
それは、あの地上の見えない空を渡る・・・
「大丈夫ですか?」
「・・・はい。足元を見なければ・・・。」
風は強くないけど、落ちてしまえばどこまで行くのか分からない奈落。
歩く速度が落ちてしまうのは仕方がない。
「確かに基本世界や魔法世界では、こういった景色はありませんね。」
「・・・こ、これってどこまで落ちるんですか・・・というかどこかに到着するんでしょうか?」
見たくはなくても視界に映る、まるで空の上を歩いているような景色。
橋はしっかりした鉄でできているけど、軋む音が聞こえるたびに心臓が鳴る。
「はい。このまま落ちた場合には、地獄まで落ちます。
ですが、その前にまず影に拾われますし、仮にそれをすり抜けたとしても、到着する前に普通の人間の肉体は持たないかと思われます。」
「・・・・・・・」
もう反応ができない。
地獄まで落ちるって時点で恐怖一色なのに、落ちてる間に死んじゃうのか・・・
どれだけ高いの・・・
「ほら、もうすぐよ。頑張りなさい。」
「!本当だ・・・!」
イザベルに言われて、反対側の足場が近づいてきたので、つい駆け足になってしまう。
「はぁぁぁぁぁ・・・」
「もうすぐですので、中に入って休みましょうか。」
そうして視線を正面へ上げると、少し先に、美術館や博物館のようなホール型の建物の入口が見えた。
建物の外壁は白というより灰銀色に近く、磨かれた石と金属を混ぜたような質感をしている。
窓は少なく、代わりに高い位置に細長い採光部が並び、中の光だけが静かに漏れていた。
派手さはないのに、近づくほど圧迫感がある。
飾るためではなく、必要なものだけを積み上げて守っている建物、という印象だった。
「えぇ・・・まさかここでしょうか?」
「そうみたいね。」
ガルシアさんが階段を上っていくので、それに続く。
「大きい。」
最初入った建物も大きかったけど、そちらは縦に大きかった。
でも、この建物は横に大きい。
ガルシアさんが正面の扉をくぐると、外見の印象そのままに、吹き抜けの高い空間が広がっていた。
床は磨かれた石で、足音が小さく反響する。
壁際には案内板のような黒い板がいくつも浮かび、そこに白い文字や記号が静かに流れていた。
人の気配はあるのに騒がしくはなく、皆それぞれ必要な場所へ向かって歩いている。
図書館と役所と駅を混ぜたような、不思議な空気だった。
「ヒコ。」
「あ。ガルシア!丁度。」
フロアの正面の奥の方から、男の子?の様な黄色いスーツの少年が来た。
「その子が例の子だね。初めまして、ヒーコラ・アック。だいたいヒコって呼ばれてるよ。」
「彼女はミズメと呼んでください。」
「ミズメさんね。分かった。アリーから話は聞いてるよ。だいぶ揉めてるよね。」
「はじめまして。」
ヒコさんの後ろでは、黄色いスーツの死神達が何人も黒い板の前を行き来していた。
皆、手元の紙ではなく、浮かぶ文字や印を見て動いている。
ここが本当に“情報”を扱う場所なのだと、改めて実感する。
ヒコさんが手を招く。
出てきた正面の扉に入るようだ。
「アリーはこちらの情報部の責任者で、今回私にあなたの事をお願いしてきた方の一人です。」
歩きながらガルシアさんが話しかけてくる。
「・・・私は知らない方ですか?」
ガルシアさんに私の事をお願いしたって何をお願いしたんだろう?
そもそも名前は聞いたことがない。
「以前の会議にも参加してましたが、一番奥に座っていた男性です。」
会議の景色を思い出すけど、怒鳴っていたビリーさんやちょっと固そうなレムさんって人以外は、あまり覚えてない。
「彼は、ガーディ元議長と同じく長い方ですので、今回の会議でもバレンの案には比較的前向きです。
ですが同時に、曖昧な状況下でのあなた自身の意向も、尊重したいとおっしゃっておられました。」
会議で一言も話さなかった方も多くいたけど、全員が反対って訳ではなかったんだ。
「あなたに公平な情報を提供した上で、少しお話されたいとおっしゃっておりましたが、そこはお断り頂いております。」
「・・・?」
「今のあなたは、外から答えを渡されても、今はまだ受け止めきれないだろう、とも。
まずは、答えそのものより先に、ご自身がどう流れてきたかを見た方が良い、と。」
つまり、今回ここで私の少し先を見せてもらえるのは、そのアリーさんのおかげ、ということなんだと思う。
だけど、お話する事はお断り・・・?
「ですので、情報部であなたの周辺の流れを確認する許可は出ております。ご安心ください。」
なんだか分かったようで分からない部分もある。
ガルシアさんの今までの説明の仕方を見ていると、今の説明は、わざと輪郭を曖昧にしているように聞こえた。
「どーぞー。」
ヒコさんが、通路の途中にある高級感あふれる扉を開く。
「し、失礼します。」
室内も高級そうな応接室。
こういった場所はどうしても緊張する。
テーブルには一冊の本。
「ミズメさんお座りください。」
「は!はい。」
ソファに座るけど、本が気になる。
もしかしなくても・・・?
「これは少し珍しい動きをしていたから、ところどころ虫食いみたいに抜けている場所はあるけど、アリス・フォーラスのここまでの流れと、少し先の事が記された本だよ。」
反対側にヒコさんが座る。
「この本に記されている過去は変わりませんが、未来は可能性の高い予測です。ですので、現在のあなたの動き次第で変わります。」
「・・・そうなんですね。」
なるほど。
完全に確定した未来ではないって事なんだ。
「死神の場合は、主に死亡の可能性が高まった人間を、いち早く見つける為に使っているものです。その為、僕達も全てを知りません。
今回アリーは、あなたに今ここで何かを決めてもらう為ではなく、まずはあなた自身の流れを知る材料として、これを見せるよう指示しました。
現時点では、まだ正式な結論も、検討中の案もあなたにお伝えできません。
ですから、今日は答えを出す場ではなく、確認する場だと思ってください。
何を選ぶにしても、材料が足りないまま決めれば、また見誤りますから。」
「・・・」
「なので、話すことも一旦見送りになりましたが、
これをあなたが見たからと言って、こちらから何かを要求する事はありません。
ただし、見えた内容が全てでもありません。抜けている部分を、勝手に確定と思わないでくださいね。」
「未来の内容を勝手に変えても良いって事よね?」
「はい。もちろんです。」
私の自由にしていい。
「・・・なんでそんなに、してくださるんでしょうか?」
本来、こういうルールは厳しそう。
なのに自由に見て、好きにしていい。って言われると逆に気になる。
「僕は、以前の2番目の話の時の事はあんまり知りませんが、借りは返さないといけない、って言ってましたよ。」
借り・・・?
誰から借りた借りなんだろうか。
でも、“2番目の時”という言い方をするなら、スズに借りがあったということになるのかもしれない。
そして、今回ガルシアさんは2人分のお願いだと言っていた。
「ガルシアさん・・・。これってスズのお願いですか?」
「そうだとした場合、どうされますか?」
どうするか。
特にこの事を確認したところで、どうこうっていう意味はないのだけど・・・
結局、私は和さん達にも・・・そしてスズにも見放されずに、見守られている。
私が好きに自由にしている事も含めて・・・
どこかで怒りたい気持ちもあったけれど、やっぱり子供だったのは私の方なんだろうな、と思った。
「ひ・・ひとまず確認しても大丈夫でしょうか?」
「はい。思念物の為、本に記録された思考を読む形になります。睡眠に近い状態ではありますが、害はありません。
もし終わらせたい場合には「停止」あるいは「ストップ」というように止める事を考えて頂ければ、そのまま終わらせられます。」
おっと。
普通の本じゃないんだ・・・
でも害はないし、終わりたいときはそう考えれば終わる。
それだけちゃんとわかっていれば大丈夫そう。
「分かりました。ありがとうございます。」
テーブルから、外側の部分も重厚で厚みのある本を持ち上げる。
かなり重いけど、ゆっくり開く・・・
一ページ目に「アリス・フォーラス」という名前。
二ページ目に出生。
三ページ目を開いたところで——
・・・
記憶のない幼少期の映像が映り、その中には幼いブライアンの姿も見えた。
ブライアンはちょっと弱気な様子で、兄と呼んでいる人といつも一緒にいる。
兄のブルースは父に似て骨格ががっしりしているが、知性的な印象を持ち合わせている。
私から見た二人は頼れる二人のお兄様だった。
そして、シャロンお姉様。
私には姉がいた。
金色の波の様な綺麗な髪をたなびかせて、よく一緒に買い物や近くの町へお出かけに連れて行ってくれた。
優しいお姉様。
父や母も優しく、二人ともいつも笑顔に見えていた。
でも、私には分からない言葉で話している時や、知らないお客様が来ている時は家の空気は重く、私は部屋から出る事はできなかった。
大きくなるにつれて、魔法を使う事が楽しくて、庭で魔法の練習をしたり、友達と見せ合いっこしたり楽しかった記憶。
でもある時から誰も笑わなくなっていった・・・
そして数年後・・・
お父様に呼ばれた日・・・
私は・・・
――見たくない
そう思った瞬間、ページが進んでいく。
所々の様子を一気読みするように映像だけが早送りで流れる。
そして、テレビを消した時のように真っ暗になった。
・・・どうなったの?
一瞬、見た事がある顔が映った。
赤いスーツ・・・
そうだ。アルファーさんの家で見た死神。
それは一瞬で再び暗闇に戻る。
あ・・・れ?
ここは?私の家?
一人暮らししたばかりの様に、段ボールが残るワンルームが映る。
そっか、ここから山本梓って事なのかもしれない。
入社したばかりの会社に向かい、新入社員として緊張しながらも挨拶。
明るい笑顔や優しい先輩、ちょっと怖い先輩。
朝の満員電車。
金曜日はたまに飲みに行く事もあったり、そして別の部署で出会った・・・
あ。違うんだ・・・
・・・・そっか
そうだ・・・
家族ができていく流れも、映像としては映る。
でもそれは、私が“そう思い込んでいた形”をなぞっているだけみたいに曖昧だった。
だから分かった。
結局、ワンルームから3LDKに移った私は、ずっと普通に一人で暮らしていたんだ。
外から見せられると、継ぎ目だらけだったことが嫌でも分かってしまう。
はぁ・・・
お隣さんから変な顔をされていた事が不思議だったけど、そりゃそうだよね。
たった一人で暮らすには広すぎるマンション。
あれ?この人誰だろう?
たまに会社で現れたと思ったら、時々私の家にも来てるみたい・・・
会社の友達とかかな?
覚えてない。
そして月日が流れていく・・・
あの日の電車が来た。
遠くからレールを擦るような低い音が響き、
暗いホームの先に、白い光が二つ揺れながら近づいてくる。
やっぱりプラットフォームには、スズしかいない。
風が先に吹きつけて、スズの髪が揺れる。
電車はホームへ滑り込むように止まったけど、どこか現実の電車より静かで、まるで最初から“ひとり分”しか用意されていないように見えた。
スズはこっちに気が付いてない様子で、電車に乗る。
私も合わせて乗ろうとした時、足を踏み外した。
扉は、私が乗る事を想定していなかったみたいに浮き上がり、私が落ちそうになったところを、スズが腕を掴んで中へ入れた。
気絶している私をおぶって次の駅で降り、和さんを呼んで相談所へ向かう。
そこからは私の最近の記憶が続いていく・・・
ブライアン・フォーラス
フィー・・・
ウーノ達やアンジェラさん、アイザック君。
相談所で色々な人に出会い、年末年始を過ごしたり今のように死神の世界にきたり、ペガサスさんに乗せてもらったり・・・
もうすぐ今になる・・・
未来は少しだけって言ってたけど、一体どのぐらいなんだろう?
この死神世界から、相談所に帰ったらどうなるの?
でも、ここまで見ても全部が分かる訳じゃない。
抜けているところもあるし、未来は確定じゃない。
それなのに私は、分からないところを埋める前に、焦って答えだけを取りに行こうとしている。
そう思った時、ふと日向の言葉を思い出した。
「今度もし話す時に、何考えてるか分からないって思ったらね。
手を見てみて。握ってる時は何かを我慢してる・・・更に洋服を掴みだしたら、何かをこらえてる。そんな感じ!」
スズはズボンを握っている。
でも、分かった気になってるだけかもしれない。
手の癖一つで、全部を測れるわけがない。
そして先日の映像を見ても、手は握っていた。
・・・私は自分の事ばかりに視線を向けて、スズを見ていなかった。
今になってそう思う。
でも、それだって後から落ち着いて見ているから言える事で、あの時の私は、自分の事でいっぱいだった。
アイザック君の時と同じなのかもしれない・・・
時間が必要なんだ。
焦ったところで、必要な情報がすぐ手に入る訳じゃない。
スズはスズなりに、時間をかけて進めていたのに、私は答えだけを先に欲しがっていた。
・・・ちゃんと謝りたい。
でも、謝った瞬間に“何も変わらない”って突きつけられるのが怖い。
それでも、目を逸らしたままにはしたくない。
私を邪魔なんて言ってない――私が勝手にそう受け取った。
「いる」って言葉も――私は自分で遠ざけて、勝手に届かない場所に置いた。
……そうだったのかもしれない。
でも、そう言い切ってしまうのも、また怖い。
それでも――次に会ったら、ちゃんと目を見て話したい。
(その時、謝れるかどうかは、まだ分からないけど。)
そしてリュースさんの話に乗せられて、知らない死神の人に会って、ガルシアさんに助けてもらった。
和さんからの連絡やガルシアさんの珍しい説明の仕方。
きっと、どこかにスズの意向も入っている・・・
ふと映像が少しだけ白くなる。
ここから未来って事?
まだ確定していない、予想の世界・・・
相談所に帰る私。
三階から大きな音が響き、日向と秀人が降りてきた。
二人は尚弥さんが攫われたと言っている。
攫われた?!
和さんは既に探しに出ている。
相談所で待っていると……スマホに連絡がくる。
『間に合わなかった』
間に合わなかった・・・?
どういう意味・・・?
胸の奥が嫌な音を立てる。
和さんが戻ってくる。
でも、何が起きているのか、うまく繋がらない。
ただ、スズも無事じゃないらしい、という事だけが引っかかった。
和さんがゆっくり話し出す。
ところどころ聞き取れる言葉だけが、頭に落ちてくる。
リュース。
間に合わなかった。
基本世界。
見つけた時には——
「……かなり状態が悪くて」
その先の言葉が、うまく聞き取れない。
病院へ運ばれた、という話は分かった。
でも、その後の説明が、まるでノイズがかかったみたいに遠い。
重い空気が流れ、みんな静まり返っている。
誰もはっきりした言葉を言わないのに、
部屋の空気だけが、結論を押しつけてくる。
……あぁ。
そういうことなのか。
スズと話すタイミングもないまま、
和さんと何か揉めている声が遠くに聞こえる。
何か数日前の私とスズみたいな空気。
アンジェラさんが——
そこで映像が白くなる。
あ……もしかして、ここまで……?
未来は確定じゃない。
さっきそう聞いたばかりなのに、それでも胸の奥の嫌な感覚だけは消えない。
もし変えられるなら、今すぐ動かなきゃいけない。
「っ!!!」
「!」
夢の底から急に引き上げられたみたいに、体がソファの上で跳ねた。
「・・・・あ。」
「おかえり。アリス。」
「・・・た、ただいま・・・・・・」
「大丈夫?」
「・・・・・・」
ガルシアさんと、えっと確かヒコさん。
違う!
「こんなことしてる場合じゃない!!大変!!イザベルすぐに戻らなきゃ!!」
「は?どこに?相談所?」
「そう!尚弥さん探さなきゃ!基本世界にいるみたいなの!探しに行こう!」
「待って待って!状況が分からないわ。尚弥が基本世界にいるのは当たり前じゃない。」
急に立ち上がった私に、イザベルが驚く。
「リュースさんが・・・尚弥さんを・・・!どこかで怪我してるの!探さなきゃ!」
「先日の交渉人ね。それが未来で見えたのね。落ち着いてアリス、ちゃんと整理しましょう。
一旦ガルシアさんが飲み物を用意してくれたので、ちゃんと説明して。すぐに探せばまだ間に合うかもしれないわ。」
息がうまく整わない。
でも、ただ騒ぐだけじゃ何も伝わらない。
確かに、ここ最近焦っても良い事はなかったけど・・・これは急がないと・・・
でも明確な場所も分からないし、確かにちゃんと説明しなきゃ・・・
「リュースとは、昨日のレイとケイトと一緒にいた魔法の子ですね。それなら、あの二人も噛んでいるかもしれません、尚弥さんという方は基本世界の方ですか?」
「そうよ。基本世界の普通の人間。」
「それなら、魂が追えます。こちらの問題と関わっているのでしたら、探すのをお手伝いできるかもしれません。」
そっか・・・
もしガルシアさんに手を貸してもらえたら、あの影みたいに、すぐに行けるのかもしれない。
私一人が焦ってもしょうがない、まずは落ち着いて説明をしなきゃ。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




