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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第三章 理解は救いにならない
110/122

疑問:どこから間違ってしまったの?

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

「えっ?」

「どうぞ。あの場所にいるのはあまり良くないので、移動しました。中へどうぞ。」


先日メモで指定された場所に行くと、そこにはリュースさんだけがいた。


正直、迷った。

行くべきじゃないって、分かっていた。


足を止める理由はいくつもあったのに、それでも見えない糸に引かれるみたいに来てしまった。


でも──ここで逃げたら、もう何も知れない気がした。


そして、リュースさんが近くの店の扉に入るのを見て、私も後を追った。

でも、その先は明らかに店の中ではなかった。


もしかして、交渉人のドアに入っちゃった?


扉の先は、スズのように通路になっておらず、すぐにどこかの部屋。

もうずいぶん前のことみたいに感じるけれど、ブライアンと一緒にいたあの詐欺師の悪魔が、わたしの家の玄関から魔法世界へ繋いだ時のことを思い出した。

この部屋もあの時とは違うけど、ソファの置かれた応接室みたい。

しかも今回は、既に中に人がいて、その姿から見ても死神だと思った。


でも、彼女の姿はない。


「あ。あの。ガルシアさんは・・・。」

「あぁガルシアさんは、残念ながら都合が合わなかったようです。」


サラッと、リュースさんが答える。


「・・・そう。ですか。」

「何か聞きたかった事は、ガルシアさんじゃないと難しそうですか?」


「・・・いえ。そんなことは、すみません。初めましてアリス・フォーラスと言います。」


そこにいたのは、男性と女性の二人。

どちらもガルシアさんと同じ、紫色のスーツを着ていた。

前回会った、エルさんやバレンさんは違う色を着ていたから、役職や仕事によって違うのかもしれない。


そういうことなら、今目の前にいる二人とも、ガルシアさんと同じく魂の回収などをしている死神ってことになる。

男の人は、私の正面のソファに座っていて、女の人はその男性が座っているソファの後ろに、立っている。


「初めましてアリスさん。私はレイ・チェジールと言います。」

「ケイト。」


「は。初めまして、レイさんケイトさん。あの・・・」

「ねぇ?先にこっちの要件から、済ませて良い?」

「え?はい。なんでしょうか?」


どう話そうか悩んでいると、ケイトさんがやや強い声で言った。


「ケイト。怖がらせてるよ。」

「別にどうでも良いでしょ。回収すればそれで終わる話。こんな面倒事はさっさと済ませましょう。」


え。

回収?まって。


「リュース。ガルシアがいないのなら、悪いけど私達は戻るわ。」


イザベルが、後ろに立っているリュースさんへ向かって、話しかける。


「そうなんですか?でも折角ですし、少しぐらい聞いてあげてくれませんか?」

「ダメよ。それにお店だと思って入ったけど、ここに移動するとは聞いてないわ。話を聞くとしても、あの場所に戻ってからにして。」


イザベル・・・

ありがとう。


「困りましたねぇ。どうしますか?」

「どうでも良いわ。帰っても良いけど、いくつか質問に答えて。それだけで良いわ。」


「・・・あの。」

「アリス。ダメよ。帰りましょう。」

「あ。うん。すみません。」


イザベルについて振り返り、入って来たリュースさんの扉に近づく。


「あなたは自分を、生者だと思いますか?」


男性の声。

レイ・チャジールさんが、多分私に向かって質問してきた。


「・・・え?」

「アリス!答えないで!」


・・・どうしてこうなったの。

とにかくイザベルの言う通り、帰らなきゃ。


「すみません。リュースさん。申し訳ありませんが、帰してください。」


リュースさんは私を無視して、私の後ろの死神に声をかける。


「そうですか。どうするんですか?」

「お前次第だろう。そのドアはどこに繋がってるんだい?」


繋がってない?


「は・・・。」


昨日まで喫茶店で話していた時のリュースさんとは、雰囲気が全く違う。

笑っているのに、その笑みだけが顔に貼りついた仮面みたいに見えた。


同じ声なのに、ここまで違って見えるなんて思っていなかった。


「そんなの。面倒だし悪魔の世界で、いいんじゃないかな。」


・・・悪魔の世界?


ダメ!

そんなの絶対ダメ!


そう聞いた瞬間、伸ばそうとしていたドアノブから手を引いた。


「はっ!流石に繋げないだろう。お前。」

「まぁね。でも怪異の方に繋げられるから、そこで引き渡しちゃっていいかな。どうせ回収するんでしょ?」


私の様子を見て、リュースさんが楽しんでいるのが伝わる。


「そんな顔をするんだ。やっぱり実際に立たされると違うね。」


この扉の先が悪魔の世界じゃなかったとしても、せめて魔法世界じゃないと困る。

私たちには、自力で帰る方法なんてないんだから。


「回収する事は決まっているわけ?」

「ん?どうだろうね?君も知りたいのかな?猫さん。」


「・・・どうでも良いわ。」


「ん?本当に、何も聞いてないみたいだね。」

「面倒くさい。早く答えればいいのよ!」


ケイトさんの手から鞭のような影が伸びて、こちらに向かって跳ねた。


「!!」


当たる!


–バシン!!


「・・・結界?」

「っち。」

「アリス!ドアはダメ。窓から逃げるわよ!走って!」

「う!うん!」


逃げなきゃ!


「お待ちください。」

「え?」


一瞬、影が揺れた。

でも何も起きない。


遅い──そう思った瞬間。

足元の影が裂けた。


そこにガルシアさんが現れた。


「ガルシア!?なんでここが!」

「ケイトはともかく、レイを野放しにするはずがないでしょう。」

「なっ!!」

「アリスさん。移動しましょう。」


ガルシアさんの後ろから、別の知らない死神の人が現れ、レイさんとケイトさん二人を拘束しようと影を伸ばした。


「え!?は。はい。」


ガルシアさんに、手を引かれる。

その足元から現れた影に、引き寄せられた。


ここにいるより、今は言われた通りにした方がいいはず。


そう思って、ガルシアさんの手に引かれるままに影の中へ入った。


影に落ちていく感覚に、体がさらわれる。


落ちる。


とっさにイザベルを抱きしめ、衝撃に備えた。


–ボスン


ん?


柔らかい?


「到着しました。」

「え?」


見たことがないベッドの上。


ここは?


「私の家です。」

「え?」

「なんであなたの家?」

「影で繋げる以上、私が把握していて、なおかつ今すぐ安全を確保できる場所がここしかありませんでした。」


なるほど。

影の移動も、おそらく指定先は自由じゃないってことだよね。


「そうなのね。助けてくれてありがとう。」

「いえ、こちらの問題もありましたので、お気になさらないでください。」

「あ。ありがとうございます。」


助けてもらった事には変わりないので、イザベルに続いてお礼をする。


「リビングへどうぞ。何か入れます。」


ベッドから降りて、イザベルさんに続く。


ガルシアさんの家・・・?


確かに一人暮らしの1LDKみたい。


リビングは広めでソファとテーブル。

そこへイザベルと一緒に座る。

ガルシアさんはキッチンに入っていった。


ソファは水色のシーツが掛かっていて肌触りの良い感触が肌を撫でる。

テレビは無いけど、昔のレコードを聴くための機材や本が並ぶ。

そんな棚の脇には観葉植物もあり、本当に誰かの家の中だと改めて実感する。


リビングはベランダと繋がっているようで、大きく開いたベランダの入口からは心地よい空気も入ってくる。

少し落ち着けた気がするけど、それでも知らない人の家にいる時の不思議な緊張感が残る。


–ピロン


ポケットから音がする。


「私からも今ご連絡したので、よければ早めに返事をしてあげた方がよろしいかと思います。」

「え?は。はい。」


和「アリスさん。大丈夫ですか?」


和さんからのメッセージ。

短い文なのに、そこに滲んだ焦りだけはすぐに伝わった。


すぐに大丈夫なことを返事する。

さっきの事、気が付いてたのかな?

すぐに既読がついたのも、少しだけ申し訳なかった。


「カイル・ヴィンセントさんと吸血鬼の方も、あの交渉人を追っていたそうです。ドアに入った直後に侵入を試みたようですが、接続先が不安定で追跡が遅れたとのことです。」

「・・・そうなんですね。」


和さんはちゃんと把握してくれていたんだ・・・

私の行動を無理に止めずに、見守ってくれていたってことなのかもしれない。


「現在も、あの交渉人と呼ばれる魔法使いの経路を追跡中だそうです。」


見守るだけじゃなくて、危なくなった時には、ちゃんと追ってきてくれていたんだ。

それなのに私は、自分一人でどうにかできるつもりになっていたのかもしれない。


結局・・・私は、自分で帰る方法も、自分で守る力もない場所まで踏み込んでしまった。

知りたいだけでは、足りなかった。


それに、リュースさんの事も。


信じてきっていたわけじゃない。

でも、疑ってもいなかった。

それなのに私は、簡単にあの場所へついて行ってしまった。


本当、私は何をしてるんだろう。


ちゃんと気を付けたつもりだったのに、全然足りなかった。

イザベルにも、和さんにも、心配をかけるだけの結果になってしまった。


「はぁ・・・」


ガルシアさんが紅茶を二つと、イザベルの水をテーブルの上に置く。


「見たところお怪我はなさそうですね。ご無事で安心致しました。」

「ありがとうございます・・・」


ガルシアさんは一人掛けのソファに座る。


「このまま基本世界はお送りいたしましょうか?」

「・・・あの。」


本当ならここで帰る事をお願いするべきなのだけど、ここでガルシアさんと話せたことで、やっぱり聞いておきたい。


もし私の魂の事が、もう決まってしまっているのなら、きっと今さら何を聞いても意味はない。


でも、まだ決まっていないのなら・・・


何が問題なのかを知らないまま、ただ決められるのは嫌だ。

もし変えられる可能性があるなら、その方法を知りたい。


「残念ながら現在、正式な事は決まっておりません。なので私からお答えできることは何もございません。」

「・・・え?」


決まっていない。

その言葉に少しだけ息がしやすくなる。


終わっていないなら、まだ私は“結果だけを受け取る側”ではないのかもしれない。


ガルシアさんは紅茶に口をつけて、一息いれる。


「前回少しお話させて頂いたように、いくつかの方針案の否決を確認し進めたのですが、各管理長全員の印が揃っておりません。

その為、正式なものになる前に、今回のケイトやレイのように、急ぎあなたに接触しようとする死神が出ております。」


さっきの二人の死神を思い出す。


「殆どは捕まえられたのですが、レイはケイトの協力のおかげなのでしょう。どこから抜けたのか死神世界を抜け、アリスさんへ接触いたしました。」


「・・・そう、なんですね。」


そこにリュースさんも関わっていた。

でも、ガルシアさんも細かいところまでは分からないと言ってくれたし、これ以上この場で困らせるのも違う気がした。


「分かりまし・・・。」

「ご自身の事なのに、結果がなかなか決まらない状況は困りますよね。」


帰る方向に考えていたけど、話しの雰囲気が変わった気がした。


「・・・はい。」

「お急ぎで帰る必要がないようでしたら、少し話が聞けるかもしれない者に聞いてみますか?

決定そのものには触れられなくとも、判断材料に近い情報であれば確認できる可能性がございます。」


「・・・それは、責任者とかお偉い方ですか・・・?」


折角のガルシアさんの提案なのですが・・・

死神の偉い人に会っても、正直あまり良い事を聞ける気がしない。


「いえ。アリスさんにとって、直接的なお話ではないかもしれませんが、死神のある部では生者の近い未来を一部観測している部署がございます。」

「え・・・っとそれって私が行っても大丈夫・・・なんですか?」


「本来はあまり良くありませんが、今回は二人分のお願いでもございますので、多少は問題ございません。」


二人分?

誰のことだろう。

そして・・・私の近い未来が見れるってこと?


・・・それはある意味私が欲しい答えに繋がる可能性があるけど、実際の内容が分からない以上怖い。


「正直、怖いですけど。見てみたいです・・・。」

「分かりました。それでは、そちらには私から連絡を入れますので、明日伺いましょうか。

本日は、先ほどの寝室をご利用ください。」


ガルシアさんは本当にスズに似ていて、話が進むのが驚くほど早い。


「へ?ここで泊まっていいんですか?」

「本日中に別の安全な滞在先を手配するのは難しいため、アリスさんが問題ないようでしたら、私は構いませんよ。カイル・ヴィンセントさんへのご連絡は私からもお送りしておきます。」


急にいいのでしょうか?

ガルシアさんは、まるでその予定で進めていたように見える。


「そうですね。昔も一度同じような事がありましたので・・・」


「・・・同じことですか?」


それって、私みたいな人が昔にもいたって意味?


「はい・・・」


ガルシアさんの目は私を見ているのに、別のどこかを見ているみたい。


「アリス・フォーラスさん。」

「はい。」

「前回の会議に一緒にご参加されていたので、もしお答えできればとお伺いいたします。」


私の魂についての会議。


「あなたなら、彼らをどうやって説得しますか?」

「せ・・・っとく・・・」


あの会議に参加していた死神の人たちを説得する方法・・・


バレンさんの提案を通すとしたら・・・


私は・・・


自分の事を回収を見送ってもらう為に・・・


どうすればいいんだろう。


「・・・もし、私だけなら多分無理です。だって私は、何に反対されていて、何を認めてもらえればいいのかも、まだちゃんと分かっていない。」

「諦めますか?」


「・・・・。」


それは諦めてしまう事と同じ事。

私は自分の事を諦めるの?


「ちょっと意地悪じゃない?だって私達はあなた達のルールを知らないのよ?反論する情報がないわ。」

「そうですね。本来は難しいという判断が妥当だと私も思います。

私も同じ状況でしたらきっと諦めておりますので、意地悪なご質問になってしまいましたこと、お詫びいたします。」


それでもこの質問をしてきたって事は・・・


「スズは、諦めなかった・・・ということでしょうか?」


ガルシアさんが目を細める。


「私は当時はまだ、そういった事を知る事ができる立場ではございませんでした。

なので、実際のところ彼女がどうしてバレンやエル、他の死神との関係を繋いで、当時の責任者であるガーディ元議長達と、あそこまで死神相手に対応できたのかは存じ上げません。

ですが、その過程で彼女が多くを失った事だけは、後から聞き及んでおります。

死神側が彼女を個人的に敵対視するのは、彼女が初めてそこまで対応できたからなんでしょうね。」


死神にとって、対立してきた初めての人間・・・


それはやっぱりすごく遠い。でも、遠いままじゃ終わりたくない。


間違えたのは、今回だけじゃない。

きっともっと前から、大事な何かを取りこぼしている。

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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