答え:虎穴に入らずんば虎子を得ずなことも多々
大まかに進めながら細かいことで追加していったりと
後からあれもこれもとなる事もありそうで
実際そんな事もないかもしれない。
そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので
あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。
体にあった小説をお選び下さい。
「ただい・・・」
「・・・・」
階段上から、ヒナとヒデの視線を感じる。
そして、ミーティングの予定を前倒しに変更した和。
少し間を置く。
玄関の階段に座っているアリスとその横にイザベル。
あれから5日が経過。
これでも続いた方だろうが、まだ答えられる状況ではない。
二人に視線を向けずに、地下への扉へ進む。
アリスが口を開く。
「・・・ねぇ。今、何を考えてるの?」
少しだけ間を置いて答える。
「整理してる。」
「・・・何を?」
「これからのことを。」
短い沈黙が落ちる。
「それって、私も入ってる話?」
視線だけ向ける。
「入ってる。」
「・・・じゃあ、教えて。」
小さく息を吐く。
ここで言葉にしてしまえば、余計なものまで渡す。
「今はまだ、言葉にする段階じゃない。」
「・・・そう。」
声は静かだけど、納得はしていない。
それでも、そこで引いた。
「でも、決めたことはある。」
「なに?」
「今は、巻き込まない。」
すぐに返ってくる。
「それは無理だと思う。」
少しだけ眉が動く。
「もう巻き込まれてる。」
その通りだ、と内心で思う。
「・・・だから、離れるってこと?」
「距離を調整するだけだ。」
「同じ意味に聞こえる。」
「違う。」
短く否定する。
「離れるつもりはない。」
アリスは少しだけ目を伏せる。
「・・・でも、隣にいる感じはしない。」
言葉が止まる。
それは正しい感覚だ。
「今はそうかもしれない。」
「・・・今は、って?」
少しだけ考えてから言う。
「必要な時間だ。」
アリスはしばらく黙る。
「・・・分かった。」
本当は分かっていない声。
「でも、分かろうとはする。」
その言葉に少しだけ視線を戻す。
「それで十分だ。」
「十分じゃない。」
すぐに否定される。
「私は、ちゃんと知りたい。」
「知るべき時が来たら話す。」
「その時、私は隣にいる?」
少しだけ間。
「いる。」
今言える中では、それが一番正確だった。
その一言で空気が少しだけ緩む。
アリスは小さく息を吐く。
「・・・じゃあ、待つ。」
「無理をする必要はない。」
「するよ。」
少しだけ笑う。
「しないと、ここにいられない気がするから。」
答えは返さない。
地下へと降りる。
「・・・はぁ」
彼女にとって優しい対応ではないことは分かっている。
だが、今は優しさで状況が良くなるとも思えなかった。
それなら、やることは決まってる。
予定のミーティングを終え、魔法世界の扉へ入る。
寝室の扉をくぐりリビングにいる人物へ声をかける。
「やぁ。待たせたかな?」
「・・・初めまして」
「初めまして。まずは名前を聞こうかな?」
「メルティ・スコット」
「それで?そのスコットさんは、何の用かな?」
先日、この家に手紙を残した魔法使い。
見た目には、どこにでもいる魔法使いにしか見えない。
ただ、2週間前の自分を見ているようで、睡眠不足の様子。
「・・・助けてください。」
「具体的に。」
「・・・もう何日も、まともに寝てないんです。目を閉じると、あの場所の音がする。」
手が震えている。
「・・・時間がないんです。・・・いつこの世界に帰れるかどうかも分からなくなる・・・。」
「メルティ。何を契約した?」
視線が床へ落ちる。
「・・・・・・逃げたかった・・・。あの場所から・・・・・・・・。ただ・・・」
「何を渡した?」
「・・・・友達・・・を・・・・・。」
「ならもう契約は終わっているだろう?」
「・・・・」
「事実は消せない。」
「・・・・・迎えが来るんです・・・。」
「フォーラス家から?」
彼女は頷く。
その反応は怯えというより、もう何度も同じ夢を見た人間の顔だった。
メルティ・スコット。
スコット家の次女。
圭の経歴調査では、スコット家は一代前にフォーラス家の依頼者である可能性がある。
そして数週間前に、メルティは行方不明。
家族からの調査依頼が警察には出ているらしいが、進捗はない。
家族からの能動的な動きはみられない。
彼女は静かに頷く。
「・・・悪魔・・・はもう・・・嫌・・・。」
悪魔の世界に連れていかれ、契約を結び、逃げ延びた。
だが、その報酬として知り合いを差し出した。
「家族の元へは?」
「・・・・か・・・帰れるわけがない・・・・あいつらは・・・私を・・・フォーラスに・・・」
家族がフォーラス家に彼女を提供した。
「警察に保護してもらっては?」
「・・・・無理・・・だって。私・・・知り合いを・・・。」
まぁ保護という名の確保になるだろう。
「それを背負ったまま進むのは、嫌だろう。」
「・・・・・・・どこかに逃がして・・・ください。」
「知り合いを殺した事から、君も逃げるの?」
家族と同じように。
「・・・じゃあ・・・!じゃあ!!どうすれば・・・どうすれば良いんですか!?」
「償わないで逃げたいなら、私にできる事はない。」
彼女はリビングの床へ座り込む。
「それなら・・・どうすれば・・・・・・。どうすれば・・・・どうすれば・・・」
「まずはフォーラス家や悪魔が接触してくる可能性がある以上、警察に保護してもらった方がいい。」
「警察に行ったら、家に連絡が行く・・・!それだけは、駄目!」
「今の君に選べるのは、どこで捕まるかじゃない。誰に先に身柄を押さえられるかだ。」
彼女の視線は、目的を持たず迷っている。
「そ、それなら・・・代わりに・・・。」
「私が行ったところで、君に迎えが来る事や君の帰り場所がない事は、変わらない。」
「・・・・・・・」
–コンコン
その後、何も言わなくなった彼女を、こちらで呼んでおいた魔法世界の警察へ引き渡す。
外で、何かが擦れるような音がした。
彼女の肩がびくりと跳ねる。
しかし、彼女は大きく暴れる事もなく、静かに連れていかれた。
彼女の責任は彼女自身で果たすしかない。
スコット家については、ミランダにも伝えているし、私の役目はここまでだろう。
それよりも、問題は彼女がここへ来た事。
確実に何かある。
だが、現状のフォーラス家が直接魔法世界へ来るのは難しいはず。
なら、彼女をここへ寄越した目的は何だ。
相談所へ戻ろうと、リビングの扉をくぐる。
「・・・・」
扉をくぐったはずなのに、帰るはずだった風景だけが、どこかで切り落とされていた。
ひとまず部屋を出ようと、入った扉を再びくぐる。
「・・・」
さらに、違う場所。
私の家の廊下ではない。
可能性としては彼女と話している間に、魔法使いの移動ドアか交渉人のドアに切り替えられた。
方法はどうあれとにかく、まずは場所の特定と帰る方法をどうにかするしかない。
再び扉に向き、鍵を差す。
…扉の条件が合わない。
別の扉を探すしかない。
スマホは圏外。
この部屋は、少し古びた木造住宅の一室に見える。
住居の中に人の気配はない。
家の中を見て回ると、どうやら出た最初の部屋は、一戸建ての2階。
それぞれ扉の条件を確認して回るが、この家の中には条件にあう扉はない。
仕方ない。
玄関から外へ出る。
–ガラ
「・・・」
夜気は湿った布みたいに重く、肌に貼りついてきた。
外壁から外の様子を伺う。
辺りに人が歩いている様子はない。
それどころか周りの家にも人が住んでいる気配もなく、出たばかりの家と同じく古びた木造の家々が、息を潜めたまま並んでいた。
廃墟・・・?
気を付けながらも辺りを探索に進む。
何か聞こえる。
誰かが喋っている声。
「・・・ろそろ帰ろうー。」
「もう遅いよー。」
「はーい。」
子供・・・鬼にみえる。
ここは、鬼のいる世界?
家が立ち並ぶ、その間にある小さい広場で、子供の鬼が遊んでいるようだ。
もしもここが鬼の多い世界だとしたら、見つかってしまうのはまずそうだ。
つまり、爺の加護を抜けて、別の世界に連れていかれたのか?
子供達が行こうとする方向は、避けたい。
ひとまず、もと来た道に戻ろう。
すると、反対側からも誰かが歩いてくる。
近くの建物の外壁に隠れる。
「・・・ぁ?」
「・・・・・ね。」
聞いたことがある声?
その声の主は、私が最初にいた家に入るようだ。
距離に注意しながら、その声が建物の中に入った事を確認して、近づく。
「帰って来てなさそうー。」
「・・・逃げたようですね。」
「あーあー。折角移動用に確保しておいた子なのに。」
ブライアンとヴェラ。
罠ではなく、彼女が元々ここに戻ってくるように、設置しておいた扉に、私が入ってしまったのだろうか?
「3番目の家に、わざわざ行くなんて馬鹿だよねぇ。」
「なんで教えたんですか?」
「え?何となく、逃げ場っぽくは見えるでしょ?
あの家、今使ってないから行ったところで、あの子には戻ってくるしか選択肢ないし。」
「・・・もし3番目と接触したら?」
「まぁそれならそれで、警察に行っちゃうか、運が良ければ、3番目を連れてきてくれるかも?って感じ。」
「・・・どちらでも良かったという事でしょうか?」
「あの子一人ならヴェラが迎えに行けばそれで終わりだったけど、魔力も少なかったし何か他の魔法使いとかでも、引っかかれば良いかなぁとね。
どうせ逃げた先で困り果てたら、助けを求めるしかなくなるし。」
捨て駒扱いか。
「まぁもう一度脅してみてもいいかもね。子供全員貰えるなら、移動通路1回分の魔力ぐらいあるだろうし。」
「・・・誰かが、来ますね。」
アディール・クラーレンの疑似通路は使用するたびに、著しい魔力、あるいは生命力を消費する。
使い捨て用の魔法使い。
この家は、いくつか繋げている場所のハブになっているのだろうか?
「あ!おかえりー戻ってきたんだね。」
「・・・・。」
誰かが来たらしいが、声が小さいのか聞こえない。
「さ。行こうか?」
「・・・・。」
「帰せ?どこに?家族を代償に逃げたのに、帰り場所なんてあるの?」
「繋ぎましたよ。どうぞこちらに。」
さっきの私の家にいた女性の話。
前に地下迷宮の保冷庫で聞いた、三人の魔法使い達の話。
ブライアンは魔法使いを迷宮に連れていき、悪魔と契約を交わさせて一度逃がし、その代償を支払った魔法使いを再び回収。
逃げ場がなくなれば、裏切る行動をする可能性は減る。
おおよその予想通りではあるものの、酷い話に変わりはない。
だからといって、私がここで出たところで、助ける事は難しい。
せめて逃げ道が確保できているのなら、情報収集のためにもここで接触してみてもいいのだろうけど、それが無い以上はブライアンにもヴェラにも見つかるのはまずい。
「あー通路の解析がもう少し進めば、あの男の指示に従わなくて済むのに・・・」
「そこはシャロン様達の状況次第ですね。」
「今は繋げる先を一つ増やすだけでも、毎回誰かの魔力が要るんだよねぇ。
自前で回すには足りな過ぎる。」
シャロン。
シャロン・フォーラス。
フォーラス家の長女。
彼女も兄同様に死亡が確認された筈だが、これも同じく記憶の移動をしたということだろうか。
という事は・・・
「・・・何か。」
「ん?」
ヴェラの警戒する声。
バレたかもしれない。
離れよう。
急ぎ足で隣の住居に入り、裏口から反対側の道に抜ける。
ブライアン達の居る最初の場所から、今は距離を離したいが、この辺りの場所に住んでいる鬼がいないのだとしたら、できればこのあたりで扉を見つけたい。
下手に移動して、鬼が住んでいる場所に出てしまっては、一度見つかったら最後、逃げるのはかなり難しい。
夜もどんどん深くなっていく。
誰にも何も言わずに来てしまったから、早めに帰りたい。
最初の家の位置を気にしつつ、いくつかの住居の扉を確認していく。
何件目かも忘れるぐらいで入った、とある住居の二階から外の景色が目に入る。
ここは住居地エリアの外れの方、なのかもしれない。
窓の向こうには畑が並び、その奥に山々が見える。
どうやらここは、鬼だけの世界ではないらしい。
提灯のようなものや、黒い靄のような怪異も飛んでいる。
スマホは、相変わらず圏外。
怪異の世界とはいえ、かなり田舎の方なのかもしれない。
恐らく私の家にあったのは、魔法のドア。
直に魔法世界と怪異世界が繋がっている場所を、一度経由して、あの木造の家に繋げた。
確認不足とはいえ、私には魔力がないので、前回は反応しなかった。
だが今回は、あの魔法使いがいたせいで、その魔力に反応して起動してしまったのか。
と、そんな所だろうか。
ブライアンの言い方だと、私が今はあの家を使ってないと思っていた口ぶりだった。
だから、ブライアンも想定外か。
それなら私が来たことは、しばらくはバレないと思うが、長引けばこのあたりにフォーラスの拠点がある可能性が高い以上、関係者の誰かにバレる可能性は出てくる。
だが、逆に利用できるなら彼らの拠点であれば、条件に合う扉の一つや二つあるだろう。
このあたりの空き家は、大体どれも構造が似ているから、このまま探しても運が悪ければ一つも扉がない可能性もありそうだ。
それなら、何も持っていないこの状況では、フォーラスの拠点を見つける方が、帰れる可能性は高いのかもしれない。
だが、フォーラス家の魔法使いであれば、多少隠れたりすることが通用するが、問題は悪魔の場合はそう簡単なことではない。
現状、ヴェラと一緒に行動しているブライアンとの接触だけは避けた方がいい。
ここで拾える情報は大きい。
だが、帰れなければ意味がない。
それでも、このまま手ぶらで戻るには、惜しすぎた。
もしもお時間があるようでしたら
一文二文、はたまた評価頂けたら
ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。




