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世界は誰の夢か  作者: 光幽 擬名
第一部 第三章 理解は救いにならない
105/122

答え:地を易うれば、皆然る事が多すぎる

大まかに進めながら細かいことで追加していったりと

後からあれもこれもとなる事もありそうで

実際そんな事もないかもしれない。

そんな感じでただただ妄想・空想を書いてみてますので

あ。これ無理だわと思った場合には無理せず止めておきましょう。

体にあった小説をお選び下さい。

「ミランダ。」


「は?!急に来るなんて聞いてないけど?」

「ついでだから、ちょっと寄ったらミランダが出てきた。」


 フィーのいた世界から帰って、バースを相談所に戻した後。

元々、今日予定があった魔法使いの500年代層へ顔を出すために、魔法世界を回っていた。


一応その内の一人に、和が嫌がっているブラン・アーケンもいたが、アルフ爺の魔法と生臭坊主の神様の加護もあるから、前回同様に何事もなく調整した30分間が過ぎた。

そして、その次の予定に入っていた魔法使いが、もともと魔法省に行く予定だったというから、魔法省の外にある近場の喫茶店でさっきまで話をしていた。


そのついでに魔法省へ立ち入り、外交部の周辺を歩けばミランダがいるかもしれないと思った。

なんとなく立ち寄ってみたところ、すぐに本人が出てきた。


「あぁ。聞いてるわ。本当に色々手回ししてるみたいね。」

「そうそう。面倒事になりそうな場合は、すぐに手を引いてるから、あんまり数は多くないけど、無いよりはいいだろう。」


今でも稀に相談所に、面倒な魔法使いが来る。


そして前よりもカイル・ヴィンセントがいる事を、事前に知っていることも多い。

なので、下手な敵対行動はしてこない代わりに客という形で、面倒な事を言ってくるとヒナ達が先日も愚痴っていた。

こういった面倒事が、再びフォーラスの誰かの襲来などとタイミングが被ろうものなら、面倒な事この上ない。

解決するべき優先順位としては高くないとはいえ、少しでも早く落ち着いてほしい事の一つではある。


「えぇ。おかげで進められる部分も増えてきたと思ってるわ。その辺で少し話しましょ。」


魔法省内の廊下の途中にある、休憩所に立ち寄る。


「イザベルから少し聞いたけど、アリス・フォーラスは完全に魔法使いのフォーラス家として扱って良いのかしら?」


売店でコーヒーを購入して、ミランダが帰ってきた。


「そうだね。そればかりはどうしようも無い。魂は元々彼女のものだったし、今や肉体も彼女本人のものだから、死亡時の37歳と扱うのはどうかと思うけど、魔法使いアリス・フォーラスには違いない。」


「・・・一応は先に通してある書類上は、被害者扱いにしてるけど。言い訳が減るわね。」


フォーラス家の完全な関係者、という意味では、確かに彼女がその一員だと見られてしまう可能性は高い。

だが、基本世界の人間とは扱えない。

残念ながら、魔法世界の人間ということになる。


「分かってる。でも、公式ではフォーラス家は消滅したって事にしているなら、生き残りの彼女一人が残っているのも、公表するとおかしな話になるだろう?」


「…見た目はね。」

「アリス・フォーラスはフォーラス家とはいえ被害者。それなら、仮に最後の生き残りだとしても、当時のフォーラス家として扱うことも家に帰す事も、どうだろうか?」


「・・・どこか当てはあるの?」


じゃあ、彼女をどこへ帰すのかということ。


「魔法省所属にするつもりはない。

あくまで保護対象として、どこか身元のはっきりした家に置く方がいいと思ってる。」


つまり、現実的にも信頼できる場所が必要になる。


「爺やエリーザも考えたけど、流石にまだ100歳にも満たない、彼女の面倒をお願いするのは年齢的に難しい。

今声かけて回ってる500年代層も、候補にはしづらい。そうなると・・・。」


「・・・・」


ここはハッキリ言っても良いのだけれど。

ちゃんとした話なので、下手にミランダを怒らせたくはない。

多少、言葉を選んでみる。


「彼女はイザベルとも、相性は良さそうだ。」

「はぁ・・・。」


ミランダも予想がついていたのだろう。


「既に私の子供達は年齢的に大きいから、子供が一人増えたところで困りはしないけど・・・そもそもあの子は、それでいいの?」


「まだ何も言ってない。彼女には今はまだ死神側の問題の方が、大きいだろうから。

ただ、最終的には本人に選ばせるつもりだよ。」


可決案の正式な書類がどのぐらいで来るか分からないけれど、その内容をちゃんと確認してから改めて、彼女とは今後に向けた話をした方が良いと思ってる。


「そっちも今日は朝から、イザベルが愚痴を言っていたわよ。」


「…まぁそうだろうね。彼女を今、中途半端にしてしまってる。」


「・・・まぁいいわ。本当に彼女の意思を確認して、それでも問題ないのなら、うちで引き取っても良いわ。」

「ありがとう。助かる。」


ミランダは話が早くて助かる。

本人には言わなかったが、最初から頼むなら彼女だと決めていた。

現在も現役であることや、イザベルを見ていても、彼女が母親としてしっかりしている事は明白。


私からは本日確認した山本梓の魂について。

ミランダからは、フォーラス家を知っている一部の人間が、少し離れた場所に住んでいる事を聞いたので、その情報や住所を確認しておく。


「また、連絡する。」

「えぇ。ちゃんと来る前に連絡しなさい。」


休憩場を出て来た廊下に戻り、オープンフロアでミランダと別れた。

時間経過が基本世界の倍の早さなので、500年代層に会ってミランダと話して既に数時間が経っている。

そうなると基本世界の時間も、夕方に差しかかる頃だろう。

帰ろうか。


このまま帰る為に検問所から帰るとなると、基本世界側に出る検問所の外からは、相談所までの距離が遠い。

自分の通路から帰るか。

街中を歩きだし、念の為に残している魔法世界にある自分の家へと向かう。


「あ!!!」


あ?


「お前!!探したんだぞ!!」

「あぁ。久しぶり。元気そうだね。」


歩いていた歩道の反対側から大きな声がしたと思ったら、こっちに向かって魔法使いが走って来た。


アイザック・トルストイ。


先月に奴隷になっている所を見つけ、父親が殺された件で相談を受けていた魔法使いの子供。

出会った当初は奴隷だったこともあり、痩せて怪我もありぼろぼろだったが、今は元気な普通の少年。


「久しぶり!じゃねぇよ!!俺からはお前のところに行く方法がねぇから、どうすればいいか分からなかったんだよ!」

「そりゃそうだ。」


本来は交渉人や外交官など、一部の役職の魔法使いしか、基本世界に行く権利も方法もない。


「っていうかお前、目どうしたんだよ?」

「あぁ。ちょっとね。アイザックこそ家から、この街ではだいぶ遠いと思うけど?」

「俺は今こっちにいる親戚のところで、働かせてもらってるんだ。稼がねぇといけねぇだろ?」


確かに場所としては、田舎寄りにあるアイザックの家の地域では、未経験でできる仕事を探すのは難しいだろう。

そう言う理由で都会に出てくる若者が多いのは、魔法世界も基本世界も同じということだな。


「偉いね。まぁ引き続き、無理なく頑張り給え。」

「おいおいおい!じゃあこれで!・・・じゃねぇ!勝手に終わろうとするんじゃねぇ。」


手を上げて別れようとすると、止められる。


「・・・雇わない。」

「な!なんで分かった!」

「いや分かるよ。」


前回、どんな話で終わったと思ってるんだ。


「くっ・・・。っていうかお前はここで何してんだよ?」

「帰るところ。この先に家を借りている。」

「は?お前こっちに住んでんのか?」

「違うよ。」


下手な説明をすると、そのまま後ろをついてきそうだった。


「先に言っとくけど、ついてきても無駄。」

「な!なんでだよー!」

「だいたい、さっき親戚のところで、働かせてもらってるって言っただろう?そんな気易く辞めていいものではないだろう。」


「・・・そ、そうだけど」

「家族にも言わずに、勝手をするのも良くない。

ちゃんとそういう事を、全部自分で責任が取れるようになった上で、前にも言った通り危ない場所だから、自分の身は自分で守れるようになってからだ。それからなら話を聞いてやる。」


「・・・全然すぐじゃねぇ。」


そりゃそうだ。


「誰でも来れば入れる場所じゃない。

お前が困ってたから助けたのと、受け入れるかどうかは別の話だ。」


アイザックは、まだ若すぎる。

火の近くに寄れば、熱さより先に光に目を奪われる年頃だ。


「今度、改めて日向達と遊びに来るよ。まずは今できる事をしっかりやれ。じゃあな。」


借りている家に向かって、枝分かれの道を曲がる。


「・・・また!会えるんだな!」

「和がお前の家の連絡先を知ってるからな。」

「分かった!またな!」


一応は、納得してもらえたようだ。


日向達もアイザックとはまた会いたそうにしていたし、次に会った時にでも個別の連絡先を交換すればいいだろう。

実際の相談所の危険さも大変さも、その方が日向達から自然に伝わる。

それでも本当に来たいというなら、その時に考えればいい。


–カチャ


「・・・」


町はずれにある、小さな借家。

この家には、基本的に魔法がかかっていない。


私にとってはそれが当たり前なのだけど、この世界ではそうではない。

だから、本来長期外出する場合の魔法使いの家は、埃が被らないようにする為に、清掃用の魔法がかかっている。


だが、この家は埃だらけの筈…だった。


それが、なぜか魔法使いにとっての“普通の状態”だった。


――埃一つない綺麗な家。


それは留守の気配ではなく、手の入った静けさだった。


魔法使いからしたら、気が付かれないようにしたのだろうけど、こちらからは逆に気が付く理由でしかない。

しかし設置魔法などが仕掛けてあったところで、私にはそれを探知する方法は今はない。

これは入らずに出てしまった方が本来は安全なのだが、魔法世界の私の拠点を知っている人は少ない。


特にここは長く滞在していた時に、使っていた昔からの拠点ではなく、一時的に仕方なく戻る事になった時に急遽用意した場所。


この場所を、確実に知っているのは、まずはフィー。

そして、それによって知っているフォーラス家。

それ以外は、誰が知っているのか知らない。

なんなら和や日向達ですら、この場所は知らない。


つまり、高い確率でここに入ったのは、フォーラス家の関係者か、そこから場所を知ったクラーレンあたりだ。


「・・・」


もしもそうだとすれば、この家の中に入った途端に、どこかへ転移させられる可能性がある。


今この状況で、悪魔の世界などに飛ばされてしまうのは勘弁願いたいが、それは前回のフォーラス家を探索した時の地下同様に、別世界への転移の場合は回避できる。

そうすると、転移されたとしても魔法世界内。

罠が攻撃系だったとしても、同じく爺達の防護がある。


だが、アディール・クラーレンについては、何をしてくるのか予測がつかない。

再び呪いを仕掛けられるのは困るが、一応、対応方法は多少分かっている。


リスクは残る。

だが、ここを捨て置けば相手の意図を一つも拾えない。

今は、その方が後で面倒になる。


–ギシ


–パシィィ!


前回の地下と同じ、別世界への転移を拒む反応が走る。

やはり別世界への転移罠だったのだろうか。

ということは、罠を仕掛けたのはフォーラス家側。


そのまま、綺麗な家の中を探索する。


この家は最近用意したことと、その後すぐにフォーラス家に連れ去られてしまったので、家具も物もほとんどない。


寝室のベッドの上に手紙?

見覚えはない。


–ペラ


「・・・」


そこに書かれていたのは、たった二行だけだった。

日付と時間。


5日後・・・


手紙は読み終えると燃えはじめる。

床に手放し、灰になるのを見送る。


「!」


振り返る。


一瞬。


視線を感じたと思ったが、扉は入った時のまま半開きで、そこに人影はない。

廊下も確認するが、気配は感じられない。


敵意というより、確認するような視線だった。

だからこそ余計に気味が悪い。


「…帰るか」


相談所の地下へ戻り、いくつかミーティングを済ませた頃には、日付が変わっていた。

風呂を済ませて三階へ降りると、一人分の夕食が置いてあった。

言葉の代わりに、湯気だけが待っていた。


「いただ・・・こんばんは。」


早速食べようとしたテーブルに、イザベルが乗って来た。


「・・・・ふん。」

「アリスの事はお願い。」

「分かってるわよ!」


言いたいことがある事は、その態度からも明らか。

わざわざ寝室を抜け出して、待っていたのだろうか。


「何あんた。まだ雑炊なの?」

「この時間は。美味しいよ。」

「あっそ。で?」


夜が遅い食事になる場合は、和は軽いメニューにしてくれることが多い。

あまり重たいモノだと食べきれないから、助かる。


イザベルの様子では、あんまり本題からずらす話をすると、怒鳴ってしまいそうだ。

そうするとアリスの寝ている4階にも響いてしまう。


「事情がある。今はアリスに言えることがない。

だから、当分は会わないようにするつもりだ。その間も彼女のことは頼む。」


「・・・今すぐは言えないってどういう事よ?」

「今すぐ説明した時に、彼女が希望する事や行動によっては、結果的に彼女によって不利益になる可能性が高い。

それに、今のあの子は自分の事となると正直すぎる。知った上で動けば、多分隠しきれない。」


「・・・だから今は言えないのね。ならいつなら言えるのよ。」

「死神側の問題だから、正確には分からないけど1週間ぐらい?」


流石に、1週間も黙って待つ訳ではないけど…


「分かったわ。でもちゃんと謝ってあげて。泣かせたんだから。」

「…分かってる。でも、イザベル達がいるから安心できるんだ、ありがとう。」

もしもお時間があるようでしたら

一文二文、はたまた評価頂けたら

ちょっと凹んだり、めっちゃ喜んだりします。

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