表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/30

祐一の嫌がる理由


 「つまりは他の4人が来てほしいって言ってるって事ですよね」



 祐一がものすごーく微妙な顔になったのに、その場の全員が気がついた。



「うんまあ、そうなんだけどね。当然ディレクターとか脚本家とかその辺りも祐一君には会いたがってるよ」


「でも、俺はあの人達にはあんまり会いたくないんです。特に主役連中には。向こうはどういうつもりで俺と会いたいのか理解出来無いです」



 祐一、渋面が凄い・・・



「仲が悪かったんですか」



 祐一の表情を見て、心配する麗奈。



「仲悪いっていうか」



 高崎もびっくりした顔になる。



「え、仲悪かったっけ?」



「兎に角、彼奴等にはニ度と会いたくないですね」


「もう言っちゃったら〜? なんで兄貴はそこで我慢すんだよ〜」



 祥三がシロを撫でながら高崎を睨む。



「兄貴は彼奴等に嵌められて()われそうになったんだよっ! だからこっちの芸能界にはいい印象がないのさ」





×××





 祐一はまあ、顔もスタイルも良かったし、性格も昔は素直で純情だった。

 芸能界に身を置こうという興味もなく番組終了後には一切ノータッチで生きて行くつもりでいた。だからなのか、他の4人から見ると余裕があるように見えたのかもしれない。


 番組の最終話を取り終えた日に、打ち上げと称して他の4人に誘われてホテルの個室で飲み会をすることになった。



「これで最後だな、って思ってノコノコ行った俺も甘かったんでしょうけど」



 そこで飲まされた酒に何やら仕込まれたらしく



「まあ、かぜ薬辺りですかね? 変に苦味ったですから」



 気分が悪くなり目が回ってしまい、そのホテルに泊まっていくように言われたらしい。



「でも、なんかおかしいって思ったんですよ」



 まあその辺りは忍者の勘であろうか。


 真夜中過ぎに大物()()が部屋に現れたのだが、その直前に祐一はその部屋からトンズラして、窓の外から一部始終を見たのだという。




「そいつが、電話をかけて約束が違うって言ってたんですけど、直ぐにホワイトとレッド役の奴らがやってきて、俺に薬は飲ませて確実に泊まった筈だって言い訳してましたね」



 昔の番組の出演者の醜聞を聞かされた高崎は真っ青である。



「2人は探してこいって言われて出ていきましたけど、そいつは残ってそのまま電話をして、推薦は取り消すからって4人の名前を告げてました。ああ、俺の身体を売って彼奴等(あいつら)、仕事を回してもらおうとしたんだなって気がついたんですよ。俺の携帯が部屋で鳴ってたけど、その俳優が出てましたね。いるわけ無いだろうって怒ってましたから、多分4人のうちの誰かでしょうね」



 祐一は肩を竦めた。



「翌日、携帯は警察に紛失届けを出しておきましたけど、帰って来ませんでしたね。まああの4人の番号とスタッフ以外の連絡先は登録してなかったので。それとクランクアップ後には処分するつもりだったんで、携帯はどうでもいいんですけどね」



 麗奈が心配そうに、そっと隣の祐一の手に自分の手を添えると、その手を祐一はギュッと握った。



「取り敢えず俺は無事でしたけど、なんで彼奴等(あいつら)が俺に会いたがってるのか訳がわからないですね」



 高崎に向けられた祐一の目は冷たかった・・・





×××





 「高崎さんも全然知らなかったんですね」



 麗奈は祐一の様子を助手席から伺う。



「あの人は知らないね。彼奴等が勝手に俺を餌にしようとしただけさ。ちゃんと調べたから分かってる」


「調べたの?」



 美奈が後部座席で驚いた声を上げた。



「美奈ちゃん、俺たち忍者だよ」



 呆れた声で祥三が隣に座る美奈に言う。



「そんなの朝飯前だよ」


「ワン!」


「そっか・・・。でもさ、私達は祐一さんと、あの番組に支えられたけどさ、中でそんな事があったって知ったら複雑な気分だよ」



 美奈が困った顔になる。



「まあ、俺は彼奴等(あいつら)と違って芸能事務所がバックに無くて、スタントの養成所の推薦だけで、高崎さんが直接連れてきた素人だから、やっかみもあったんだろ」



 祐一が、ため息交じりになってそう言うと、祥三が



「他にも色々あったんだぜ、俺は知ってるから」


「コラ」



 祥三の言葉に慌てて祐一が反応する。



「なになに? 教えて!」



 美奈が、雰囲気を読み取ってちょっとだけはしゃぐ。



「ホワイト役とピンク役が兄貴を取り合って毎回喧嘩になったりさー、レッド役の奴が兄貴にヤキモチ焼いて嫌がらせしたり、ブラック役が年中無休で兄貴に朝起こされてたり・・・」


「あ〜もう、止めろ」


「成程。Ninjaグリーン様以外はアタシにとっては糞だった理由が、今日分かって良かったわ」



 美奈がいい笑顔で言った。



「やっぱ子供心にさ、この人がヒーローだっ!って、涙流して感動したの間違いじゃ無かったよ。まあ、他はカ●って本気(マジ)で思ったのも間違いじゃ無かったんだけどさー・・・」



 美奈・・・やっぱり辛辣だと思うのだが、惚れてしまうとその辺りは全て『カワイイ』に変換されてしまうのが神谷の男の(さが)なのか、全くもって気にならない祥三。



『美奈ちゃん! 怒った顔もやっぱり可愛い!』



 とまあ、頭の中は兄の祐一と一緒で、お花畑一面に花が咲いているようだ。


 ・・・実に平和である。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ