3-2場「ピンポン パンポン」:注意喚起の放送の音
文化祭翌週の昼休み。ゲリラ放送は
「ピンポン パンポン」
という、テレビでおなじみのメロディで始まった。ただし、このメロディ、学校では始めて聞く。
続いて男の声
'テス テス、本日は晴天……だと思う、っていうか、この部屋からじゃ天気が確認できないんだけど'
それから、10秒ほど待っただろうか、今度は女の声で
"今日は特別に、文化祭のハイライトをお伝えしようと思います"
という宣言がなされた。
男の声も、女の声も、声優さんかと思うほどに奇麗で明瞭だ。
OBにでも頼んだのだろうか
'えっ、そんな企画、あったっけ'
"いや、今、思いついたの"
'誰がやるんだよ'
"放送部員に決まってるじゃないの"
今日の担当と言えば、うちの学年は確か弦矢と弓美。
そういえば、放送の声、何となく、2人の声に似ている。
意外と才能があるものだと感心するも、違和感も残る。声の質、チャイム、ゲリラ的内容。
'オレ、全然そんな視点で見て回ってないぞ'
"大丈夫よ、わたしが全部やるから"
'すげーな'
"褒めなくて良いわ、だって人気のあった出し物だけだから"
'人気って、人数?'
"そうよ"
'で、どこの出し物?'
"うちのクラスの「漫花壇」よ"
'ちょっと待て。オレ達が担当した2時間の間に、花壇に来たの、たったの11人だぞ。そのうちの半数が先生方だし'
"だからよ。税金を払っている人だけが投票できるって、大正時代の法律に書いてあるわよ"
'税金要項って、1925年に撤廃されているよね'
"でも成人しか投票できないのは変わらないわ"
'じゃあ、3年生の半数も投票権があるよな'
話が文化祭のハイライトから遠ざかったと思ったら、声をそろえて
'"皆さん、18歳になったら選挙に行きましょうー"'
5秒おいて
"ユミと"
'ツルヤの'
'"お昼トークでした!"'
'ところで、どうして、こんな鶏頭狗肉の内容に?'
"ほら、うちのクラスの「漫花壇」は場所が悪くてほとんど誰もこなかったでしょ"
'たしか集客数は文化祭でぶっちぎり最低だったような'
"でも植物は文化祭の後も伸び続けるから、今でも、来週でも見れるのよね"
'そこで、顧問の先生にゴマすって、この放送を見逃してもらうって魂胆なのか'
"駄目な時、叱られるのはツルヤの役目ね"
'最後まで酷えな'
確かに、他のクラスや部の発表と違って、「漫花壇」だけは継続的で、しかも成長する。
この街の産業とか先生方の興味とか考えたら、このゲリラ放送も、お咎め無しだろう。
これは、頑張った2人をねぎらうべきだと待ち構えていた。
しかし、2人は5限目になっても戻って来ない。
その代わり、漫画のような顔立ちとスタイルをした「映像らしき姿」が2人(2体?)、教室に入って来た。
そして、弦矢と弓美の席に座ったのだ.
怪訝な顔をしたのは、今朝の違和感に気付いた数より少なく、そのまま、クラスに溶け込んでしまった。
次話は明日




