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転生者はスキル《魔力操作》で楽しく暮らしたい!  作者: 遥響
第一章 転生少女の生きる道

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2話 薄氷の日常

ウェリラの村には四季がある。


この星には小さめの蒼月と大きめの赫月の二つが空に浮かんでいて、蒼月に基づいた暦が取られている。


夜に空を見上げれば澄んだ空に二つの月。心落ち着くようでありながら、どこか帰れない国を思い出させる風景に、少しばかり懐古に沈む日も時々ある。


それはさておき、この世界の一年は真冬にはじまり転生したのは春先で、今は春から徐々に夏へと変わっていくそんな季節だ。


花粉症がない春というのはこれほど清々しく希望に満ちた季節なのかと再認識して、もしこの世界でも発症しようものならば花粉という花粉を殲滅しようと思った。本当に。


村でおいかけっこをしたり、この世界では珍しく両親が行商人のオルトさんから買ってくれた革製のボールで鞠っぽい遊びをしたりと手伝い以外の時間は外遊びをする日々を送る。


ときどき喧嘩をしたり、気まずくなったり、仲直りしたり。


外で運動を積極的にしているのは楽しいからということもあるけど身体強化に加える魔力バランスの調整や感覚の把握という意味合いが大きくあって、このおかげでそこまで激しい動きでなければほぼ息切れしないくらいに身体強化が身についてきた。


こんな魔力操作の練習をしてきてようやくまともに剣を振り回したり、長時間戦闘を行うのに耐えられそうという目算が立つくらいにはなってきた。そろそろ剣とか攻撃に使える魔法の練習も考えようかな?



「お〜い。グレーウルフ狩ってきたよ〜」


アフラ兄さんが狩りで魔物を狩ってきた。


村の中でも兄さんはそこそこ腕の立つ方らしい。


その日から魔物の解体の手伝いもさせてもらえるようになった。


前世ではこういう命を扱う行為にほぼ触れたことすらなかったのもあって抵抗感がかなりあったが全力で感情を押し込んで…うう…。


刃物を入れて丁寧に解体していく。


試しに刃に魔力が通るのか試してみることにした。


やはりそのままだと通らなさそうだ。


金属に魔力が「浸透」するのかな?


一応人体でも適応はできたし色々なものにもまとわりついているし取り込めそうな気がしたので性質を色々変換してみながら試してみると実際に刃物に魔力を通すことはできた。


浸透させ方によって変わるのかと思い刃の部分に集中して通すと切れ味があがった!


刀身の方に通すのは多分耐久性が上がると思う。


今後は私にも任せると言って兄さんが一本短剣を預けてくれた。


よし。これで魔物を狩って解体して売り捌くのをいずれ1人でできるようになりそう。


…ちょっと、この周囲の魔物を一回みてみないとどのくらいの強さなのか確認しないとかな。



っと思ったんだけど向こうから来てしまった…。


少しした時の夜、けたたましい鐘の音に叩き起こされた。


この村に来てからは初めて聞いたけどかなり緊張感、警戒感を掻き立てる音だ。


これは襲撃が起きたときの合図だ。


こういうとき、私のような子供は家の奥で縮こまっているしかない。


「魔物の群れだ!村にも入ってきているから戦えるやつは全員出てこい!そうじゃないならこもってろ!」


外から注意喚起の怒鳴り声が聞こえてくる。


父さんと兄さんが出ていった。


息を殺して自分の部屋に籠る。


一応最後の保険で短剣は持ってきたけど使わないといいな…。


がっ…がっ…あおう〜!がっ…。


…扉を破壊して入ってこようとしてない…?


大丈夫だよね…?


どがん!


蹴破られた?!いや、まだきっと


ドガ!


「え、っあ…」


目の前の扉が破られ目の前には黒の狼が現れる。


ブラックウルフってグレーウルフより凶悪なんだけど?!


すぐに短剣を抜けるようにしておいてよかったよ、フラグなんて立てるもんじゃないよほんと!


「エリヤ!」


母さんが悲鳴に近い声をあげるが今は無視だ。


爪の引っ掻きを払おうと全力で短剣を振ると足に傷を入れられた。


これならワンチャン通るかも…!


攻撃を捌くのは無理そうなので頑張って避けて刺すしかないかな。


飛び込んでくる狼を避けて、腹に突き刺す!


グガ…


しばらく痛みに悶え苦しんでいたが、動かなくなる。


生きてないよね…?


よかった…。


「エリヤ…!生きてて…よかった…けど、危ないことはしないで…」


母さんが安堵に声を漏らしていた。そこに父さんと兄さんが討伐を終えたのか戻ってきたようだ。


「おーい!って、大丈夫か?アリア!エリヤ!…はぁ、良かった…ってなんだこれは?!」


「え…?!これは…?」


「ええと…」


「あなた、魔物が扉を破って入ってきたのよ!」


「よく倒せたな…よかった…。」


「それが、エリヤがやったのよこれ!」


「え、エリヤが?」


「そうよ。ね?」


「うん、そうだ…よ。死ぬかと思った…。」


「そうか…怖い思いをさせたな…。本当に…本当に生きててよかった…!」


その日は家族で生きていることを喜び合いながら、軽く修理と解体をしてから寝た。


この村では襲撃は割とあることでこの襲撃で死者が出ることも普通にある。


初めは魔物で村人が死んでいく事実が受け止められずに動揺した。


楽しく生きられるように、身を守れるだけの力が欲しい。


きっとこの村に甘んじて生きていく選択肢もある。


けれどそれはいつ死ぬかわからない恐怖に脅える日常だ。


そんな日常を私は認めない。認めたくない。


私が私として生きるために、明日に備えて戦うんだ。



「エリヤ、昨日ブラックウルフを倒したというのを聞いてちょっと信じられずにいるのだが、一度腕を見せてもらえるか?」


「うん、わかった。」


父さんに言われて短剣を構えて幾らか戦う動きを見せる。


「…これは5歳の動きではないだろう。もしかしたらスキル持ちかもな。」


ギクッ?!


「そうね。まぁ本人は無自覚に使えているようだし教会に鑑定を依頼するのは別にいいかしらね。」


この世界には双月聖教と呼ばれる宗教が主で教会がこのアストラル王国でもそこそこ勢力を誇っていたりするのだが、その教会で15歳で成人したら洗礼と称して鑑定を受けることがそこそこ一般的になっている。


そんなのに情報を抜かれたらどこで目をつけられるかわかったものではない。


有用性が気づかれなければリスクは低いと思うけど生きていくために力を伸ばすと目をつけられることは将来的には十分考えられるかな。


だから、今行くことにならなくて本当によかった。


「そうだな。万が一ということもある。ある程度剣の修練もつけておくか。他の子との練習に連れていくことにしよう。」


やった。これで他の子の腕もみながら調整と練習にできそう。


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