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第二十四話:真紅の指揮杖と、当主強奪の宣戦布告

兄の圧倒的な武威の前に、生徒会室は半壊。

しかし、実家の醜い内情を聞かされたアイラ会長は、怯えるどころか不敵な笑みを浮かべます。


守られるヒロインで終わる気なんて毛頭ない。

傷だらけの仲間たちを背に、アイラが指揮杖を構えて言い放った「とんでもない計画」とは――?


ここから始まる、生徒会総出の帝国逆侵攻劇!

熱いターニングポイントをお見逃しなく!


物語が大きく揺れ動く緊迫の展開を、ぜひ最後まで見届けてください!


兄が魔導剣を水平に一閃させた瞬間、目視すら不可能な白銀の斬撃波が部屋中を薙ぎ払う。

生徒会室の分厚い壁と天井が一文字に両断され、石壁の断面から火花が散りながら瓦礫が崩れ落ちる。

衝撃波だけで室内の書類や家具が粉々に吹き飛び、穏やかだった日常の空間が無残に破壊される。

崩壊する部屋の中で、リサが即座に多重の鋭利な氷槍を展開し、兄の四方から一斉射出する。

同時にセナが瓦礫の影を縫うように死角へ回り込み、魔導短剣で兄の死角を狙って肉薄する。

「会長には指一本触れさせません!」

兄は視線すら動かさず、最小限の太刀筋で氷槍を全て切り落とす。

さらに影から飛び出したセナの短剣を魔導剣の鍔で受け流し、流れるような蹴りの一撃でセナを吹き飛ばす。

セナはロッカーを突き破って倒れ込み、短剣を取り落とす。

吹き飛んだセナを受け止める間もなく、兄がアイラへ向けて歩を進める。

タクトが割って入り、全魔力を込めて斜め角度をつけた三重の偏向障壁を展開。

「僕がいる限り、アイラ会長には行かせないッ!」

兄は冷淡な瞳のまま、一歩踏み込みざまに上段から魔導剣を振り下ろす。

「――脆い」

偏向の反発力を乗せる暇すら与えず、絶対的な魔力密度の一撃で三重障壁が縦真っ二つに断ち切られる。


障壁を断ち切られた衝撃でタクトが床に膝をつく。

兄は止めを刺すでもなく、倒れた生徒会メンバーを見下ろしながら、強者ゆえの余裕というよりはどこか切羽詰まったような苛立ちを滲ませて舌打ちする。

「……時間がないというのに、くだらない意地で手間を取らせるな」

兄のわずかな焦りを見逃さず、アイラが指揮杖を構えたまま鋭く問い詰める。

「時間がない……? 兄様、どういうことよ。ただ連れ戻すだけなら、帝国最強のあんたがそんな焦る必要なんてないはずでしょ」

問い詰められた兄は冷徹な仮面をわずかに崩し、公爵家の切迫した現状を吐き捨てるように語り始める。


「……当主……父上が他国との怪しい軍事利権や禁術密売に手を出して、莫大な負債と中央からの疑惑を抱えている」

「無能な親族たちは私利私欲で暴走して、名門ヴァルハイトの名は今や失脚寸前だ」

「アイラ、お前を連れ戻すのは『家の誇り』のためではなく、隣国の強欲な老貴族との政略結婚の道具にして、裏資金と軍事支援を引き出すための最後の生贄にするためだ」

「父上も親族も狂っている。だが、ヴァルハイトの血を絶やすわけにはいかない。お前が犠牲になって泥をかぶれ、アイラ。それがこの家に生まれた者の最後の役目だ」

兄自身も実家の暴走を止められず、「アイラを生贄にしてでも家を延命させる」という歪んだ義務感に縛られていることが露わになる。

その情けない実態を聞いたアイラの表情から動揺が消え、冷たく研ぎ澄まされた怒りへと変わっていく。


兄の口から語られた「名門公爵家の落ちぶれた実態」と「政略結婚の生贄」という理不尽な真実。

膝をつくタクトや床に伏すリサたちが息を呑む中、半壊した生徒会室に冷え切った沈黙が落ちる。

兄は当然のようにアイラへ手を伸ばそうとする。

「理解したなら大人しく来い。これがお前の運命だ」

しかし、アイラから返ってきたのは悲鳴でも涙でもなく、乾いた冷笑。

「……はっ。くだらない」

兄の手がピタリと止まる。私の瞳からは先ほどまでの恐怖や動揺が完全に消え失せ、底冷えするような研ぎ澄まされた光が宿る。

「誇り高きヴァルハイト公爵家が聞いて呆れるわね。自分たちの無能で首が回らなくなったからって、逃げ出した娘を生贄にして延命? ……情けないにも程があるわ」

それを聞いた兄は激昂する。

「貴様に何がわかる! 家を守るため、血を繋ぐためには誰かが泥をかぶらねばならんのだ!」

苛立ちを露わにする兄に対し、アイラは真っ直ぐに視線を射抜く。

「泥をかぶるんじゃない、ただ現実から目を逸らして腐った親父に盲従してるだけでしょ! 自分の力で家を正す覚悟もないくせに、私を巻き込んで『これが義務だ』なんて格好つけないで!」

痛烈な正論を突きつけられ、帝国屈指のエリートである兄が一瞬言葉を詰まらせる。

私はゆっくりと魔導指揮杖を構え直す。

さらなる魔力が指揮杖の切っ先に集まり、今度は怒りに任せた荒い光ではなく、極限まで統制された真紅の輝きが半壊した部屋を照らし出す。

逃げる令嬢から「自らの意志で運命を切り開く支配者」としての覚醒だ。


兄がその気迫に気圧されつつも、冷徹さを取り戻そうと魔導剣の切っ先を私へと突きつける。

「どれほど言葉を飾ろうと、無力な学徒に何ができる」

アイラは視線すら逸らさず、真紅の魔力を纏わせた魔導指揮杖を一閃させ、兄の剣先を甲高い金属音とともに真っ向から弾き飛ばす。

兄の腕が跳ね上がり、完璧だった構えが崩れる。

「くっ……アイラ、貴様……何を――」

弾いた勢いのまま、私は指揮杖の切っ先を兄の眉間へピタリと突きつける。

「連れ戻されるなんてまっぴらごめんよ。……でも、帝都には行ってあげるわ」


「……何だと?」

「生贄になるためじゃない。私がヴァルハイト公爵家の次期当主になって、あの腐った親父と無能な親族を全員玉座から引きずり下ろして粛清するためよ!」

逃亡者から一転、公爵家の頂点を力づくで奪い取ると宣言する圧倒的な気迫だ。

「ば、馬鹿な……! 一学徒の小娘が、帝国最高位の公爵家を乗っ取るなどと……正気か貴様!?」

常に冷徹だった兄が初めて声を荒らげて激しく動揺する。

その背後で、膝をついていたタクトが口元の血を拭いながらニヤリと不敵に笑って立ち上がる。

「いいですね、それ。俺たちの会長らしくて最高だ」

リサが埃を払いながらメガネをクイと上げ、セナが短剣を鞘に納め、ノアとセリアが顔を見合わせて立ち上がる。誰一人として恐れず、全員の瞳に不敵な闘志が宿る。

私が不敵な笑みを浮かべ、生徒会の仲間たちを振り返る。

「生徒会臨時業務よ。あんたたち、私の『実家乗っ取り《クーデター》』……最後まで付き合いなさい!」

「「了解、アイラ会長!」」

守られるだけの存在を脱し、帝国中枢へ逆に殴り込みをかける生徒会6人の熱い決意が固まった。

なんかね、プロット書いてて「これアイラ連れ去られたら奪い返しに行くでしょ?同じ展開やん、お前プロット下手くそか?」って自己ツッコミ入れて、ない引き出しを必死に引き出して考えて考えて「アイラ、お前なら家を乗っ取れる(!?)」ってなってこうなりました。俺の引き出しどうなってんねん。

すみません小説書くの初めてなもので……引き出しのバリエーションが少ない少ない……

そんな中頑張って書いてるので見守ってくれると嬉しいです。

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