番外編.ライアンの波乱な人生1〜元王子1〜
城の廊下をリリアと元ヒロインは歩いていた。
リリアは早足で、元ヒロインはそれに必死に着いて行っている状況だった。
「リリア~、本当に会いに行くの?」
「・・・・・。」
「止めた方がいいんじゃない?」
「・・・・・。」
リリアは答えない。
ただ早足で歩く。
そしてある部屋の前に着くと、勢いよく部屋のドアを開けた。
「おとーさまじゃない・・・。」
そこにいたのはカテリーナとライアスの息子、ライアンだった。
部屋に入ってきたのが父のライアスじゃなかった事にライアンは落ち込んだ。
ライアンの言葉にリリアの顔が険しくなる。
そしてライアンは父ライアスに会うことは、この先・・・一生ない。
何故なら昨日、ライアスを処刑したから。
「ホーント、リリアの考えてる事ってわかんなーい。いつか敵になるかもしれないのに、わざわざ直接会いに来るとかさ。」
「アンタに言われたくない・・・親の仇の顔くらい、知っておきたいでしょ。」
「ああああああ!リリアって人間って理解できねー!」
元ヒロインは頭を抱えた。
リリアはライアンに近づき、ライアンの目線に合わせる為にしゃがんだ。
「私、貴方のお父さんを殺したの。」
「直球!!」
元ヒロインが叫ぶ。
「おとーさま、ころした?・・・ころしたってなぁに?」
「貴方に会えないようにしたの。貴方はお父さんに会えないの。これからもずっと。」
ライアンの目からポロリと涙が落ちると、ポロポロと次から次へと涙が溢れる。
「おとーさま、ライアンにあえない?ライアンがわるいこだから?」
「違う。私が・・・・・悪い子なの。」
「おねーさんが?」
ライアンは目をパチパチさせてリリアを見る。
「だから貴方は悪くない。悪いのは私。だから私を恨みなさい。」
ライアンは首を傾ける。
「?・・・わるいこはだめなんだよ?ごめんなさいすればいいこだよ!」
リリアは困った様に笑った。
「ごめんなさいはできないんだ・・・わるいこだから。」
「なんで?おねーさんはいいこだってライアンわかるよ?」
リリアはライアンを頭を優しく撫でた。
「ライアン覚えといて。私が貴方のお父さんを殺した仇だって。」
「おねーさん?」
リリアは優しく笑う。
「私、貴方にだったら、殺されていいかも。」
「リリア何言ってんのさ!!」
元ヒロインが目を見開く。
三歳のライアンには難しい言葉にライアンは分からなかったが、とても大切な話をしている事はわかった。
「この子を掃除夫として私の部屋を掃除させて。」
「なんで嫌いな奴の子供をそばに置くのさ!それにいつか寝首かかれるよ!?」
「それでいいの。私はそれ程のことをこの子にした。寝首をかきたければかけばいい。」
リリアは立ち上がり、ライアンに背を向ける。
「ホント意味わかんない!絶対ルシウス様もうるさいって!」
「アイツが私の意見を否定するなら殺すまでよ。なんの思入れもないし。」
「あーあールシウス様かわいそ!」
元ヒロインはライアンを見る。
「おチビちゃんこれ、あ・げ・る!」
元ヒロインは魔法でお菓子がいっぱい入ったBOXをポンッと出した。
「きゃあ!おねーちゃんすごい!」
「かわいいね~。これからはいっぱい会うけどよろしく!」
久しぶりのお菓子に目をキラキラさせるライアン。
ライアンのはしゃぐ声を背で聞きながらリリアと元ヒロインは部屋から出ていった。
その後、ルシウスはやはりうるさく、リリアに殺されそうになったが元ヒロインに止められたことで事なきことを得た。
そしてライアンはリリアの部屋の専用掃除夫として働く事になった。
三歳なので雑巾で床を下手くそに磨くしかできなかったが、ライアンなりに一生懸命だった。
「おチビ!今日も頑張ってるじゃん!」
元ヒロインはよくお菓子をライアンにあげた。
ライアンはお菓子をくれる元ヒロインが大好きだった。
「もとおねーちゃん!ありがとう!」
「どういたしまして!頑張れよん!」
「うん!」
だけどライアンにも苦手なものができた。
ルシウスと城の人達の目だった。
特にルシウスが苦手というか、怖かった。
何もしていないのに怖い目で見てくるから。
「あールシウス様!またおチビの事睨んでるー!最低!」
「当たり前だ!あの子供はあの2人の子供だぞ!」
「その子に手出したらリリアに殺されるからねー。」
「わ、わかっている。」
ルシウスはライアンの事でよく元ヒロインから注意を受けていた。
「リリアおねーさん、いたいいたいなの?」
ライアンはリリアの部屋を掃除するようになってから、リリアの寝る時間が長い事に気づいたライアンは、リリアが病気なのではと思った。
「まぁ、そんな所かな。」
「なおる?」
「・・・・・いつかはね。」
「リリアおねーさん、よくなってね。」
ライアンは寝ているリリアの頭を優しく撫でた。
数時間後。
リリアが目を覚ますと、隣で親指をおしゃぶり代りにして寝ているライアンがいた。
リリアは複雑な気持ちになった。
「まだまだ甘えたい年頃だからね、起こすのも可哀想だからそのまま寝かせといたよ。」
元ヒロインは苦笑いする。
リリアはライアンの背中をポンポン優しく叩く。
「物心着いたら殺しに来るのよ。」
「またそんな物騒な事を言う。」
ライアンは6歳になると周囲の人間の言葉から色々とわかってきた。
自分はリリアから特別扱いされていること。
ルシウスや城の人達が自分を見る目が怖かったのは、両親がリリアを傷つけたから。
そして大好きな父親を殺したのはリリアであると。
「リリア様・・・。」
リリアはよくライアンに自分を殺しに来る様に言った。
リリアがライアンに対して罪悪感を感じている事を、言われている本人が1番理解していた。
父親が大好きな気持ちは残っている、会えない事に胸が張り裂けそうな気持ちも残っている。
だが、どうしてもリリアを嫌いになったり、憎む気持ちが湧かなかった。
何故ならリリアが大好きだったから。
だから最近ではリリアが「私を早く殺しにきなさい。」というと。
「殺しません。そしたら僕は無職になりますから。」
と、返す様になっていた。
その度にリリアは複雑な顔をするのだった。
ある日の娼館。
「お母さんってこんな感じでしたっけ?」
「こっちのセリフ。」
三年ぶりの母子の再会。
お互いに色々あったせいなのか。三年ぶりのせいなのか。
まるで他人にあったような感覚だった。
「お前リリアに育てられたんだって?」
カテリーナはキセルの煙を吸う。
「元ヒロイン様にもですが。」
「だからか・・・。」
煙を吐く。
「ムカツクいい子ちゃんヒロインみたいで、腹たつ。」
「貴女いったいどんな事してリリア様を怒らせたんですか?誰も教えてくれないんですよ。」
「誰が言うもんか。」
「三年ぶりの再会ですが最悪ですね。」
「こっちのセリフだよ。」
リリアから母子の再会を許されたが、2人とも会わなきゃよかったと思ったそうな。




