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全てを奪われたヒロインは転生悪女に復讐する  作者: 鈴木べにこ


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72.ルシウスルート3〜ヒロインを救え3〜

 その後、学園は突如帝国に支配されパニックなったが直ぐにルシウスが騎士を使って強制的に鎮静化させた。


 そしてルシウスが学園の理事長に就任。同時にカテリーナの盗作を証拠つきで発表。


 学園を私物化。リリアへのあからさまな贔屓が始まる。


 生徒達は理事長から目をつけられたくないと、リリアから距離を置くようになる。


 リリア、いじめられてはないが孤立するようになる。


 

「ルシウスさん!私をほっといてください!」


「そう言われてもな・・・どこにどんな輩がリリアさんを狙ってるかもしれないと思うと、居ても立ってもいられない!」


「誰も狙いません!」


「我は心配で心配で!」


「ルシウスさんのせいで私友達できないんですよ!」


「我がいるから良いではないか。」


「よくない!」



 リリアは頬を膨らませ怒る。


 突然ルシウスの表情が真剣になった。



「いいか、帝国の騎士団長とアルバルガの王子と異世界からやってきた執事を名乗る男には注意してくれ!特に危険なのは騎士団長!奴は上司の我がいながらリリアさんに手を出そうとは・・・やはり直接殺すか。」


「やめてくださいよ!また例の乙女ゲームの話ですか?もうルシウスさんが助けてくれたんですから、私とお母さんの不幸がなくなったんですよね?感謝してるんで私のことはほっといてください。」


「無理だ。愛してるから。」


「なんで腹立たしく感じるんだろ?」



 リリアの拳が震える。今にもルシウスに手が出そうだった。



「リリアさん何が欲しい?我とか。」


「友達と平和な青春。」


「もう揃っているではないか。」


「何処が!!?」



 本気でボケるルシウスにツッコミを入れるリリア。


 結局ルシウスのせいで卒業まで友達はできなかった。


 卒業後、リリアは魔道具開発の研究所に就職した。



「今日新しくなった社長が皆さんに挨拶したいそうです。」



 リリアは上司の言葉に嫌な予感がした。



「我が新しい社長のルシウスだ。励め。そしてリリアさんは我の隣に常にいるんだ!社長命令だ!」


「・・・・・。」



 リリアのビンタがルシウスの顔に炸裂した。


 そして次の職場にもルシウスが新社長として現れた。


 だからリリアは即辞めた。


 リリアはルシウスのストーカー行為にうんざりしていた。


 今日のルシウスは男爵家の前に豪華な馬車を止めてリリアを待っている。



「リリアは凄いわねぇ、まさか帝王様に惚れられるなんて。凄い美形で驚いちゃった。」



 エミリアがのほほんと笑う。

 

 渋い顔をするリリア。



「美形でもストーカーはごめんよ。」


「でも助けてくれたんでしょ?転校初日に意地悪な子達から。」


「・・・・・。」



 今だに乙女ゲームのことは理解できない部分が多いが、盗作されていたこと、自分が危険な目にあいかけたのは分かった。


 娼館に母子共に送られた未来もあったと聞いた時は血の気が引いた。



「ルシウスさんって見た目クールなのに、中身変なんだよなぁ・・・・かっこいいのに残念。」



 リリアは小さくため息をついた。



「帝王様って案外愛嬌あって可愛いわよね。見て、こっち見て手を振ってる。」



 エミリアの言葉に顔を上げる。


 窓越しにリリアを見つけたルシウスは笑顔で手を振っていた。


 

「愛嬌?お馬鹿さんにしか見えないんだけど。」



 ジト目のリリア。



「ふふ、うちの子は罪な子ね。帝王様うちのお茶飲むかしら?」


「え~!家に入れるの~?」


「いいじゃない、お茶くらい。」



 リリアは嫌そうに肩を落とした。


 屋敷の門を開けてリリアは無表情でルシウスを見る。



「ルシウスさーん!お茶どうですかー?私の提案じゃなくてお母さんの提案ですからね!」


「リリアさんのお母様が!?もちろん飲みます!何杯でも我は飲みます!」



 リリアは舌打ちをした。


 ルシウスのリリアをストーカーする日々は相変わらず続いた。


 リリアの転職する先に必ず現れるルシウスも帝都では定番になりつつあった。



 だがある日、リリアが買い物をしている時。


 たまたまルシウスが黒いローブの金髪美女と一緒にいる所を見てしまった。


 ルシウスと金髪美女が何か会話をしていた。


 すると次の瞬間、金髪美女がルシウスの頬にキスをした。



「はい?」



 固まるリリア。


 その瞬間ピンクの光がリリアから眩く発光した!



「っ!なんだこの光は!?」



 近くにいたルシウスは目を細くして、光の元を見る。


 そこには怖い顔をしているリリアがいた。



「ルシウスさん、貴方散々私を口説いてストーカーして学園で友達を作らせなかった癖に、自分はそこの女性とランデブーですか?自分だけ何楽しんでるんですか?凄くムカつくんですけど。」



 ルシウスの勘が言っていた。


 このピンクの魔力は死ぬやつだと。



「リ、リリアさん、何か誤解があるようだ!こいつは魔塔主で仕事でたまたまここに来ただけだ!お前が突然キスなんてするから誤解をされたではないか!?」


「ダーリンこの人怖ーい。」


「お前のダーリンじゃない!!離せ!!」



 金髪美女は身体をくねらせてルシウスの腕に掴まる。


 リリアはさらにピンクの光を発光させた。



「あれ?何?あれ?あれ?あーれーー!!!??」



 金髪美女は宙に浮いた後に何処か遠くに飛ばされて行った。


 するとリリアの身体から出ていたピンクの光は消えた。



「もういい。」



 リリアは後ろを向いて歩き出す。



「リリアさん?どうしたんですか?ちょっと待ってリリアさん!」



 ルシウスはリリアを追いかけて、リリアの肩を掴んで振り向かせた。



「・・・っ!!」



 リリアの目には涙が浮かんでした。


 ルシウスは顔を真っ青にさせた。



「すまないリリアさん!我は別に浮気をーー」


「浮気の話じゃありません!!」



 リリアは叫ぶ。



「じゃ、じゃあ何が?」



 リリアがルシウスをキッと睨んだ。


 たじろぐルシウス。



「私、ずっと頭の中ぐちゃぐちゃなんです!」



 リリアは両手を強く握った。



「もっと私らしくいたいのに!乙女ゲームやら口説いてくるやら盗作の話やら孤立するやらストーカーされるやら!それであの女の人とラブラブでーー」


「ラブラブじゃない!」


「貴方のせいでずっと頭の中ぐちゃぐちゃよ!もうこんな私イヤだ!こんなの私じゃない!貴方なんてキライ!大キライよ!!」



 リリアの目から大粒の涙が次から次へと溢れる。


 ルシウスは目を見開く。


 ルシウスはそこでやっと自分のアプローチがやりすぎたと気づいた。


 そして乙女ゲームやら盗作やら未来で不幸になる話やらも納得はしても、まだリリアには受け止めきれてないことにも気づいた。



「すまない・・・ただ我はリリアさんが好きな気持ちが止まらなかったのだ。色々とちゃんと説明して話せばよかった。すまなかった。」



 ルシウスは頭を深く下げて謝った。


 リリアは涙で赤くなった目でルシウスを睨む。



「もう私の前に現れないでください。」


「それは無理だ。愛してるから。」


「消えてください。」


「無理だ。」


「じゃあ私が消えます。」


「待て待て待て!我が悪かったから消えないでくれ!」



 先程のピンクの光を見たルシウスは、リリアがその気になれば自分の前から消えてしまうだろうと焦り出す。


 そして頭をフル回転させた。リリアに嫌われないようにするにはーー



「友達からお願いします。」



 右手を差し出し頭を下げるルシウス。


 手が震えてた。



「・・・・・・。」



 ルシウスは頭上にリリアの視線を感じた。


 どれくらい経っただろうか。


 しばらくして右手に柔らかい感触を感じた。



「友達からですからね。ストーカーは止めてください。次やったら即絶交ですから。あとちゃんと色々説明してください、途中で口説かないで。」



 ルシウスはリリアを抱きしめたい衝動を抑えた。



「分かった、リリアさん。」



 それからのルシウスはアプローチをささやかにして、ちょっとずつリリアとの距離を縮めた。


 ちょっとずつ。


 ちょっとずつ。


 するとリリアもちょっとずつ心を開いていった。




 そして数年後。


 ルシウスは帝都でも1番のレストランを予約した。


 食後。


 リリアの前に指輪を差し出した。



「結婚、してください。」



 リリアは指輪を見つめる。



「普通は付き合ってください、じゃないの?」



 ルシウスは下を向いた。



「こればっかりは我慢ができなかった。」



 リリアは小さく笑った。



「ルシウスさんらしい。」



 指輪をはめた。



「はい、ルシウスさんと結婚します。」


「シャアアアアアア!!!」



 レストランにいた客が全員立ち上がって拍手をした。


 こうしてルシウスとリリアは結婚した。


 国をあげての盛大な結婚式で歴史に名を残した程だった。



「異世界の我ありがとう!リリアが不幸になる前に救うことが出来たぞ!お前も頑張れ!」


「誰に言ってるの?」


「異性界の我だ!」


「異世界か・・・。」



 リリアは、不幸のどん底に落ちて母を失って復讐心と共に帝国の魔塔主になった異世界の自分の話を思い出した。



「異世界の私にも幸せになってほしいな・・・。」


「ああ、なるさ!向こうにも我がいるからな!」


「うん、そうだよね!」



 2人は寄り添いながら青空を見上げるのだった。







 その様子を異世界からスクリーンで見ていた元ヒロインとこっちの世界のルシウス。



「この世界のルシウス様ウケるアハハハハハハ!!!!ストーカーだしピュアバカ!リリアもピュアで可愛い~!ハハッ!」



 元ヒロインは腹を抱えて笑った。



「よかったあ~!じわわぜになっでよがっだぁ~!ズビー!」



 ルシウスは大泣きで鼻垂らしてる。



「ねぇ・・・さっきからうるさいんだけど。」



 2人が騒ぐせいで起きるリリア。


 元ヒロインは直ぐにスクリーンを消した。



「なんでもなーい。」


「なんでもないぞ!ズビッ!」



 リリアは不機嫌そうな顔をしていた。



「あっそ。」



 リリア興味なさそうに再びベットに横になった。



「(我も、頑張るからな!)」



 異世界の自分のように、自分も頑張ろうと思ったルシウスであった。


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