表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》  作者: 昼ライス
Season 1 ~ヒーロー誕生~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/36

第30話 マナ覚醒

これにてSeason1は終幕です。

明日から、Season2が開始します。


毎日20時投稿

秋葉原。


中央通り。


夜の街は、まだ騒然としていた。


砕けたガラス。


倒れた看板。


崩れた外壁。


戦闘の痕跡が、街のあちこちに残っている。


その中を、ARC隊員たちが動いていた。


装甲車。


投光器。


隊員たちが被害状況を確認している。


「この区画、クリア!」


「負傷者なし!」


無線が飛び交う。


その中央。


神谷一佐が立っていた。


彼はゆっくりと空を見上げる。


秋葉原の夜空。


そこには、もう何もない。


歪曲球体も。


侵略体も。


黒い裂け目も。


すべて消えていた。


数秒。


神谷は黙って空を見ていた。


その時。


遠くから、金色の機影が降りてくる。


ヴェスパー。


白と黄色の装甲。


四枚の光翼を広げ、ゆっくりと高度を下げてくる。


街の上。


静かに降下してくる黄金の機体。


神谷は無線を取った。


「ヴェスパー」


短く呼びかける。


わずかな沈黙。


そして。


魔導変声機を通した声が返ってきた。


『こちらヴェスパー』


神谷は小さく息を吐いた。


「……見事だ」


それだけ言う。


少しの間。


通信の向こうで沈黙が続く。


そして。


『任務完了』


短い言葉だった。


ヴェスパーは再び上昇する。


黄金の機体が夜空へ戻っていく。


神谷はその背中を見ていた。


侵略は止まった。


少なくとも、今は。




HIVE格納庫。


転移陣の刻まれた円形フロア。


床に刻まれた巨大な転移陣が、静かに光を帯びていた。


幾何学模様の線が順番に輝き始める。


空気がわずかに震える。


研究員の声が響く。


「転移反応確認」


「帰還座標、固定」


次の瞬間。


転移陣の中央で空間が歪んだ。


光が弾ける。


その中から現れたのはヴェスパー。


白と黄色の装甲の機体が、ゆっくりと姿を現す。


二メートルの機体が転移陣の中央に着地した。


金色の複眼が静かに輝いている。


格納区画の照明が、機体の装甲を照らした。


戦闘の痕跡がまだ残っている。


左脚ユニットの欠損。


装甲の焦げ跡。


だが。


機体は、確かにそこに立っていた。


リゼリアが歩み寄る。


「帰還確認」


その瞬間。


ヴェスパーの装甲に、淡い光が走った。


機体全体が、静かに発光する。


魂融合の解除。


機体の輪郭がわずかに揺れる。


そして。


ヴェスパーの前に、もう一つの人影が現れた。


神谷悠真。


彼は数歩よろめく。


リゼリアがすぐに支えた。


「大丈夫?」


悠真は軽く息を吐く。


「……なんとか」


少し疲れた笑い。


「今回は、さすがにきつかった、です」


悠真は振り返る。


すぐ後ろ。


ヴェスパーが静かに立っている。


戦闘を終えた機体。


悠真はその姿を、しばらく見上げていた。


リゼリアが言う。


「お疲れ様」


悠真は小さく頷いた。




管制室のモニターに、世界地図が表示されていた。


各地の観測点から、データが次々と送られてくる。


数値が更新されるたび、画面の光点が増えていく。


研究員が声を上げた。


「マナ濃度、上昇しています」


別の研究員が続ける。


「日本だけではありません」


モニターに表示された地図。


日本。


アジア。


ヨーロッパ。


アメリカ。


観測点の数値が、世界中で同時に変化していた。


研究員が驚いた声を出す。


「全球規模です」


管制室にざわめきが広がる。


リゼリアは、画面を見つめたまま言った。


「……そんな」


歪曲球体の崩壊。


マナ爆発。


そのエネルギーは、秋葉原だけで終わらなかった。


モニターのグラフが、次々と更新されていく。


研究員が言う。


「マナ濃度、これまでの観測値を超えています」


「世界中で同時に上昇中」


リゼリアが小さく呟く。


「地球全体に……広がってる」


隣でモニターを見ていた直哉が、静かに言った。


「歪曲球体は」


「異世界と直接つながっていた」


モニターの数値がさらに上がる。


マナ。


異世界のエネルギー。


それが今、地球へと流れ込んでいる。


直哉が続けた。


「その接続が崩壊した」


リゼリアが画面を見つめる。


そして、静かに言った。


「……だから流れ込んだ」


モニターの地図。


世界中の観測点が、次々と光っていく。


研究員の声が震える。


「このレベルのマナ濃度は……」


リゼリアは小さく息を吐く。


「想定外ね」


「このマナ濃度だと……」


言葉が途切れる。


管制室が静まり返った。


悠真が聞く。


「どうなるんだ?」


リゼリアは少しだけ考える。


そして、静かに言った。


「人が変わるかもしれない」


管制室に、静かな沈黙が落ちた。




夜の秋葉原。


戦闘の痕跡が、まだ街のあちこちに残っている。


中央通りから外れた裏通り。


ネオンの光が、濡れたアスファルトに反射していた。


数人の男たちが歩いている。


瓦礫の脇を通り過ぎる。


その先頭にいたのは、背の高い男。


鷹宮蓮司。


戦闘の様子を、遠くから見ていた男だった。


彼は立ち止まる。


ふと、空を見上げる。


夜空。


さっきまで広がっていた光は、もう消えていた。


だが。


空気が違う。


蓮司は眉をひそめる。


「……なんだ」


胸の奥に、妙な感覚があった。


熱。


体の内側で、何かが流れている。


蓮司は拳を握る。


次の瞬間。


ミシッ。


鈍い音がした。


足元のコンクリートに、細い亀裂が走る。


蓮司が目を細める。


ゆっくりと、もう一度拳を握る。


今度は、はっきりと音がした。


バキッ。


アスファルトが砕ける。


隣にいた男が驚いた。


「おい……」


蓮司は自分の拳を見ている。


指を開く。


また握る。


腕の筋肉に、力が流れる。


さっきまで感じたことのない力。


蓮司の口元が、ゆっくりと歪んだ。


「……面白え」


ネオンの光の下。


裏通りに、低い笑い声が響いた。




管制室のモニターには、依然として世界地図が表示されていた。


観測データが、絶え間なく更新されている。


研究員が声を上げた。


「新しい反応です!」


別の研究員が画面を確認する。


「人間の体内マナ反応を検出」


管制室がざわめく。


悠真が振り向く。


「……人間?」


研究員が頷く。


「はい」


「各地で同様の反応が出始めています」


モニターの地図。


世界中に小さな光点が現れる。


まだ少ない。


だが、確実に増えている。


リゼリアが画面を見つめる。


「始まった」


悠真が聞く。


「何が?」


リゼリアはゆっくりと言う。


「マナ覚醒」


その言葉に、管制室の空気が変わった。


直哉が腕を組んだまま言う。


「このマナ濃度だ」


「何が起きたって不思議じゃない」


モニターの光点。


世界中で、少しずつ増えていく。


リゼリアが小さく息を吐いた。


「これから」


「もっと増えるわ」


悠真がモニターを見つめる。


世界地図。


新しい光点。


そして、静かに言った。


「……世界が変わるな」


管制室のモニターの光が、静かに広がっていた。




格納区画。


その広い空間の中央に、ヴェスパーが立っていた。


白と黄色の装甲。


黄金の複眼は、今は静かに消灯している。


戦闘の痕跡。


焼けた装甲。


欠損した左脚ユニット。


それでも機体は、堂々と立っていた。


格納庫の照明が、その姿を照らしている。


悠真がゆっくりと歩いてきた。


機体の前で立ち止まる。


見上げる。


二メートルの機体。


蜂のような流線型フォルム。


背部ユニット。


折り畳まれた光翼。


悠真はしばらく黙っていた。


その時、足音が近づく。


リゼリアだった。


悠真の隣に立つ。


同じようにヴェスパーを見上げる。


少しの沈黙。


リゼリアが言う。


「これから忙しくなるわね」


悠真が小さく笑う。


「そうでしょうね」


モニターで見た世界地図。


増え続ける光点。


覚醒者。


そして。


異世界。


悠真はもう一度ヴェスパーを見る。


「でも」


小さく呟く。


「守らないとな」


格納庫は静かだった。


だが。


世界は、もう動き始めていた。




了解しました。

**震源が秋葉原だけに限定されている印象を避ける**ためにも、ここは「どこかの街」にした方が世界規模の変化が伝わります。

その前提で **シーン8を書き直します。**


---


### 第30話


### シーン8 夜空


夜の街。


どこにでもあるような都市の一角。


車のライトが道路を流れ、ビルの窓がいくつも光っている。


人々は、まだその変化に気づいていない。


その上。


夜空。


暗い空の中に、小さな光が浮かんでいた。


淡い光。


マナ。


それはゆっくりと空へ上がっていく。


一つ。


また一つ。


見逃してしまいそうなほど小さな光。


だが確かに存在している。


やがて。


その数は増えていく。


街の上空。


無数の光が、静かに漂っていた。


カメラが引く。


街の空。


さらに引く。


都市。


そして――


世界。


夜の空のあちこちで、小さな光が浮かび上がっていた。


マナ。


異世界から流れ込んだエネルギー。


その光が、静かに広がっていく。


新しい世界の始まりを告げるように。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


現在、別作品として

『不遇スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する』

というダンジョンファンタジーも連載しています。


意味不明と言われたスキル【球術】で戦う主人公と、鍛冶職の少女がダンジョンを攻略していく物語です。


もしよろしければ、そちらも覗いていただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ