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魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》  作者: 昼ライス
Season 1 ~ヒーロー誕生~

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第27話 観測完了

毎日20時投稿

HIVE管制室のモニターには、秋葉原の戦闘映像が映っていた。


夜の電気街。


ネオンの光の上空で、二つの機影が激しく交錯している。


ヴェスパー。


そして、人型の機械生命体。


衝突。


火花。


衝撃波がビルの壁面を震わせる。


オペレーターの声が飛び交う。


「戦闘継続中!」


「中央通り上空!」


「両機とも高度二百メートル!」


如月直哉は、黙ってその戦いを見届けていた。


だが。


リゼリアの視線は、戦闘そのものではなかった。


モニターの端。


秋葉原の夜空。


そこに黒い球体が浮かんでいる。


歪曲球体。


ゼファルが現れた時のものだ。


リゼリアが小さく眉を寄せる。


「……あれ」


誰も気づいていない。


ARCも。


自衛隊も。


HIVEの管制室ですら。


皆、戦闘を見ている。


だが。


歪曲球体は、まだ消えていない。


リゼリアが低く言う。


「拡大して」


オペレーターが操作する。


映像がズームされる。


黒い球体。


空間がねじれるような、歪み。


だが、リゼリアの表情はさらに険しくなる。


「……変」


その言葉に、近くの研究員が振り向く。


「どうしました?」


リゼリアはモニターを指した。


「歪曲球体って」


「侵略体が出現したら消えるでしょ」


研究員が頷く。


「はい」


「これまでは、すべてそうでした」


リゼリアの視線は、画面から離れない。


秋葉原の夜空。


戦闘の背後。


そこに、球体は静かに浮かんでいる。


消えない。


まるで。


そこに留まる理由があるかのように。


リゼリアが言う。


「解析かけて」


オペレーターが端末を操作する。


モニターの画面に、解析データが流れ始める。


数値が次々と更新される。


波形解析。


空間歪曲パターン。


そして。


一つのグラフが、異常な形を描いた。


研究員が声を上げる。


「……これは」


リゼリアが画面を覗き込む。


歪曲球体から、微弱なエネルギー波が伸びている。


まるで。


どこか別の空間と、回路のように繋がっているかのようだった。


リゼリアが小さく呟く。


「……閉じてない」


視線はモニターから離れない。


秋葉原の夜空。


小さな歪曲球体が、静かに脈動している。


その内部で、空間がわずかに揺れていた。


そして。


その向こう側には――


確実に何かが繋がっていた。


リゼリアが小さく呟く。


「……もしかして」


秋葉原の夜空では。


ヴェスパーとゼファルの戦闘が、まだ続いていた。




秋葉原上空。


ネオンの海の上で、二つの機影が激突した。


火花。


衝撃。


ヴェスパーの機体が弾かれる。


空中で姿勢を崩す。


だが次の瞬間。


背部の光翼が強く輝いた。


推力。


機体が急旋回し、体勢を立て直す。


黒い影が迫る。


ゼファル。


一直線の突進。


拳。


ヴェスパーが横へ滑る。


すれ違いざま。


前腕装甲が開く。


スティンガーブレード。


刃が閃く。


ゼファルの肩部装甲へ突き込む。


火花。


刃は弾かれた。


ゼファルの反撃。


蹴り。


衝撃。


ヴェスパーの機体が吹き飛ぶ。


夜空へ弾き飛ばされる。


回転。


ネオンの光が流れる。


背部翼が再び噴く。


機体が止まる。


空中で姿勢を取り戻す。


黄金の複眼が前方を捉える。


ゼファル。


黒い機体が、静かに空中に立っていた。


追撃はない。


赤い単眼が、ヴェスパーを見ている。


まるで。


観察しているかのようだった。


わずかな静止。


次の瞬間。


ゼファルが動いた。


突進。


黒い機体が一直線に加速する。


拳。


ヴェスパーが回避。


横へ滑る。


反撃。


スティンガーブレード。


刃が振り抜かれる。


火花。


ゼファルの装甲が削れる。


だが浅い。


ゼファルの腕が振り払われた。


衝撃。


ヴェスパーの機体が後方へ弾かれる。


夜空に火花が散った。


その時だった。


ゼファルが止まる。


赤い単眼が静かに光る。


ヴェスパーを見ている。


だが。


攻撃は来ない。


静止。


数秒。


そして、機械の声が響いた。


「観測完了」


夜の空に、その言葉が落ちる。


ゼファルの単眼が、わずかに動く。


視線は、ヴェスパーから外れていた。


その先。


秋葉原の街を見ている。


ゼファルの赤い単眼が、ゆっくりと動く。


その視線は、もうヴェスパーを見ていない。


下。


秋葉原の街。


ネオンの光に満ちた電気街。


中央通り。


人々がまだ避難している。


ゼファルの機体がわずかに傾いた。


そして。


落ちる。


黒い影が、都市へ向かって降下した。


急加速。


空気が裂ける。


悠真が反応する。


「……待て!」


ヴェスパーが追う。


背部の光翼が強く輝く。


推力。


機体が前へ飛び出す。


だが。


ゼファルは振り向かない。


中央通りの上空。


黒い機体が静かに減速する。


そして。


拳を振り下ろした。


ビルの外壁へ。


衝撃。


コンクリートが砕ける。


外壁が崩壊する。


大量の破片が空へ舞い上がった。


ネオン看板が揺れる。


ガラスが砕ける。


街に悲鳴が広がった。


ゼファルは動かない。


ただ。


崩れる都市を、見ていた。


砕けた外壁が崩れ落ちる。


コンクリート。

鉄骨。

ガラス。


巨大な破片が空へ舞い上がった。


そして。


それらが重力に引かれて落ち始める。


中央通り。


ARC隊員の一人が、ふと空を見上げた。


「……おい」


夜空。


崩れたビルの破片が、無数に落ちてくる。


まるで都市そのものが崩れてくるような光景だった。


「瓦礫落下!」


無線が飛ぶ。


「中央通り上空!」


「回避!」


だが。


量が多すぎる。


ガラス。

鉄骨。

コンクリート。


無数の破片が、雨のように降り始める。


中央通りだけではない。


駅の入り口。

ビルの屋上。

裏通り。


避難していた人々が、空を見上げていた。


「落ちてくるぞ!」


夜空の高く。


黒い機体が静止している。


ゼファル。


赤い単眼が、崩れる都市を見下ろしていた。


次の瞬間。


巨大なコンクリート塊が、中央通りへ向かって落下する。


その瞬間。


夜空に、金色の光が広がった。


ハニカムドローン。


六機のドローンが高速で位置を取る。


中央通りの上空。


六つの光が線で結ばれる。


六角形。


それがさらに連結する。


巨大な光の格子。


スワームシールド。


その直後。


瓦礫が降り注いだ。


衝撃。


コンクリートが光の壁に叩きつけられる。


鉄骨が弾かれる。


ガラスが砕け散る。


激しい衝突音が連続する。


だが。


光の防壁は崩れない。


中央通りの上空。


金色の六角格子が、街を覆っていた。


その中心。


ヴェスパーが静かに浮かんでいる。


背部ユニットが展開していた。


四枚の光翼。


金色のエネルギー翼が夜空に広がる。


降り注ぐ瓦礫を、その背後で受け止めている。


中央通りの隊員たちが空を見上げる。


誰かが呟いた。


「……防いだ」


瓦礫の雨が、次々と弾かれていく。


夜のネオンの上。


光の防壁が都市を守っていた。


その上空。


ゼファルの赤い単眼が、静かにその光景を見ている。


そして機械の声が落ちた。


「非合理」


瓦礫の雨は止んだ。


金色の六角格子が、まだ上空に広がっている。


弾かれたコンクリートの破片が、路面を転がった。


ARC隊員たちは空を見上げている。


その中心。


ヴェスパーが静かに浮かんでいた。


背後の光翼が、夜の空に淡く輝いている。


隊員の一人が無線に叫ぶ。


「中央通り、被害軽微!」


「防護フィールドが瓦礫を防ぎました!」


別の隊員が周囲を見回す。


倒れた標識。


ひび割れたアスファルト。


それでも。


致命的な被害は出ていない。


上空の防壁が、ほとんどの瓦礫を弾いていた。


その時。


無線が入る。


「こちら秋葉原駅!」


「周辺建物に避難中の民間人あり!」


「落下物が路地にも飛散!」


隊員が顔を上げる。


中央通りの外側。


裏通り。


ビルの間の細い路地。


そこまでは、防壁が届いていない。


その瞬間。


遠くで、重い衝突音が響いた。


コンクリートが地面に叩きつけられる音。


夜の街に、悲鳴が広がる。


「裏通りだ!」


ARC隊員が振り向いた。


その方向を、ヴェスパーの黄金の複眼も見ていた。




中央通りから一本外れた路地。


ネオンの光も届きにくい、細い裏通りだった。


地面には割れたガラスが散らばっている。


数人の若者が瓦礫をどかしていた。


崩れた壁の下から、仲間を引き出そうとしている。


「引っ張れ!」


「もう少しだ!」


その時。


上空から、低い衝撃音が響いた。


若者の一人が顔を上げる。


夜空。


ビルの上階が崩れている。


その破片が、こちらへ落ちてくる。


巨大なコンクリート塊。


逃げ場はない。


「……やばい」


誰かが呟いた。


次の瞬間。


影が落ちた。


金色。


ヴェスパー。


路地の上空へ急降下する。


両腕が突き出される。


落下してきたコンクリート塊を、そのまま受け止めた。


衝撃。


路地のアスファルトが砕ける。


だが。


瓦礫は止まった。


若者たちは呆然としている。


ヴェスパーは何も言わない。


静かにコンクリート塊を脇へ押しのける。


逃げ道が開いた。


その中の一人。


背の高い男がヴェスパーを見上げていた。


数秒。


そして。


舌打ちする。


「……くそが」


ヴェスパーは振り向かない。


すでに再び空へ上がっていた。


夜のネオンの上。


黄金の機体が、戦場へ戻っていく。


裏通りには、崩れた瓦礫と沈黙だけが残った。




上空。


ネオンの光の上で、ゼファルが静止している。


赤い単眼が、ゆっくりと下を見ていた。


中央通り。


金色の防壁。


スワームシールド。


その下で、ARC部隊が動いている。


そして。


裏通り。


ヴェスパーが降下し、瓦礫を止めた。


すべてが、ゼファルの視界の中にあった。


赤い単眼がわずかに動く。


機械の声が、静かに響いた。


「行動パターン確認」


数秒の沈黙。


「自己保存より他者保護を優先」


中央通りの上空。


ヴェスパーが再び浮かび上がる。


黄金の機体。


その姿を、ゼファルは見ている。


そして。


「非合理」


短い言葉。


だが、その声には微かな間があった。


赤い単眼が、わずかに細くなる。


「興味深い」


都市はまだ混乱の中にあった。


崩れたビル。


割れた窓。


中央通りの上空には、金色の防壁が広がっている。


そして。


その中心。


ヴェスパー。


黄金の機体が、ゼファルの前に立っていた。


逃げない。


退かない。


街と、ゼファルの間に立っている。


数秒の静止。


赤い単眼がヴェスパーへ向く。


機械の声。


「障害確認」


次の瞬間。


ゼファルが動いた。


急加速。


黒い機体が一直線に突進する。


拳。


ヴェスパーが横へ滑る。


衝撃波が空気を裂く。


反撃。


スティンガーブレード。


刃が振り抜かれる。


火花。


ゼファルの装甲が削れる。


だが止まらない。


ゼファルの腕が振り払われる。


衝撃。


ヴェスパーの機体が弾き飛ばされる。


ネオンの光の上で、再び二つの機影が交錯する。


戦闘が再開した。




HIVE管制室。


ヴェスパー。


ゼファル。


二つの機影が再び交錯している。


だが。


リゼリアの視線は、そこではない。


画面の端。


ゼファルの背後。


歪曲球体。


黒い球体が、夜空に静かに浮かんでいる。


戦闘が始まってから、ずっとそこにあった。


消えない。


解析画面に、新しい波形が表示された。


研究員が声を上げる。


「……反応が続いています」


リゼリアが振り向く。


「まだ?」


研究員が頷く。


「はい」


「歪曲反応が途切れていません」


モニターのグラフが更新される。


歪曲球体から、一定の波形が伸びている。


途切れない。


まるで。


どこかと接続され続けているかのように。


リゼリアの目が細くなる。


「……閉じてない」


モニターの向こう。


秋葉原の夜空。


ゼファルの背後で、歪曲球体が静かに脈動している。


リゼリアが低く言った。


「解析を続けて」




黒い機体が突進する。


拳。


空気が裂ける。


ヴェスパーが横へ滑る。


攻撃を紙一重で回避する。


そのまま回り込む。


前腕装甲が開く。


スティンガーブレード。


刃が閃く。


ゼファルの装甲を掠める。


火花。


だが、浅い。


次の瞬間。


ゼファルの反撃。


蹴り。


衝撃。


ヴェスパーの機体が弾き飛ばされる。


夜空に火花が散る。


機体が回転する。


背部の光翼が噴射する。


推力。


ヴェスパーが空中で姿勢を立て直す。


黄金の複眼が前を捉える。


ゼファルはすでに目の前にいた。


赤い単眼が光る。


次の瞬間。


拳が振り抜かれる。


衝撃波。


ヴェスパーが後方へ押し出される。


だが。


その後ろには、街がある。


ネオンの街。


駅。


ビル。


そして、まだ避難している人々がいる。


ヴェスパーは退かない。


再び前へ出る。


ゼファルと街の間に立つ。



いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


現在、別作品として

『不遇スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する』

というダンジョンファンタジーも連載しています。


意味不明と言われたスキル【球術】で戦う主人公と、鍛冶職の少女がダンジョンを攻略していく物語です。


もしよろしければ、そちらも覗いていただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします。

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