第29話 ~事後報告~
前回とうって変わって今回は短いです。
「ただいまー」
「おー、遅かったな」
「隊長~、疲れたぉー」
「いや、風呂上がりの俺に汚れたまま抱き付くなっ」
「むー失礼な!」
「だから抱き付くな!?」
先に艦に帰って風呂上がりのヴァンが帰って来たリオを労うが、薄暗い地下ダンジョンに潜っていたから気付かなかった汚れがちょこちょこあり、いつも通りヴァンに抱き付こうとして止められるが、結果的に背後を取られてせっかく風呂に入ったのにヴァンは汚れた。
「え、何ちょっと!? にゃあああああ!?」
まぁ、背後から抱き着いたリオのその背後にはいつの間にかハーマンが待機しており、ヴァンに抱き付いているリオの首根っこを掴み、良い笑顔で風呂に投げ込んだ。
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「ふぃ~。良い湯、か、なぁ~♪」
ハーマンによって風呂の湯船に投げ込まれたので服ごとずぶ濡れになったリオは洗濯乾燥機に濡れた服を入れ、私服でブリッジに戻る。
「お、やっと戻ったな」
「おかえりなさい」
「たたいまー」
ブリッジに入って来たリオを出迎えたのはオペレーターをしていた透と義信。リオは2人にミネラルウォーターのペットボトルを差し入れしつつ開いている椅子に座ってアイスを食べながらレニアナから次元転移したと思われる3人の捜索マップモニターを眺める。
「なぁリオ。何で規定通り【次元転移装置】を破壊しなかったんだ? ヴァン隊長が上に上手くいい訳出来なかったらヤバかったんだぞ?」
「あはは……。そこは【絆】の可能性に賭けてみた。ってとこかな?」
「なんだそりゃ。まぁ、今は次元界封鎖で誰も出入り出来ないが、アレが残っている事であの世界でまた侵略事件が起きたらお前の所為だからな」
組織のルール上、次元転移が可能な装置(機械・魔術等)は基本破壊、または完全封鎖が主なルール。破ると最悪追放、または死刑に当たるがリオは出会って間もない人間の為に何のメリットも無いリスクを犯したのだ。その事に義信は憤る。
「分かってるよそんな事。それでもリオはあの2人に賭けてみたの」
「賭け……ですか?」
何現地人に感情移入してるんだと言わんばかりの顔をする透にリオは半ば諦めていた様なアンニュイ顔で次元転移してしまった佐夜というあった事の無い子の事を思う。
といっても当事者であるイングと佐夜は出会って約2ヵ月ちょっとしか経っていない程度の絆なのだがリオはそこん所ちょっと勘違いしている模様。
「……どうでもいいがリオ。とりあえず始末書は書いておけよ」
「ええぇ……(>_<)」
「当然です」
合理的ではなく私情で次元転移装置を残した事は当然そう簡単に許される事ではなく、一応ヴァンが事情を上司に話してはいるが、何故装置を残したのかリオはそれを始末書に書かなければならない。
「ま、いいけどね」
と、リオはリスクよりメリットの方が多いと感じたのか、平然として始末書をPCで打ち始めた。いやそこは手書きじゃないのか。
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「イング、いつまで寝てるのー?」
「ちょっと待て、今着替えてる!」
リオやヴァン達がイング達の世界【レニアナ】から出て行った後、記憶処理で異世界人に関する情報の全てを消されたイング達はいつも通りの生活を送っていた。
ちなみにニケに関しては何か行方不明扱いになっているらしい。
「うしっ、これでいいか」
身支度を整え、イングは机の上にあるアクセサリーに目を付ける。
「………」
そのアクセサリーはイングだけでなく他の誰に見せても欲しいと言われんばかりの出来栄えで、まるで神が造ったかの様な装飾やデザインをしている。勿論誰にもあげたりはしないイングなのだが、イング自身、何時、誰にどこで貰ったのか全く身に覚えがなく、王都や帝都、はたまた色んな商店などに聞いても誰も分からないらしい。
ちなみにその素晴らしく見惚れするくらい出来栄えの良いアクセサリーを求め、色んな者が奪いに来ていたが、何故か何かしらの保護が掛かっているのかイング(及びその周辺)を襲おうとしていた者達は皆、何かしらの不幸にあったらしくイング達には何の影響もなかったし、当然イング達も何も気付かない。
「………」
だがイングはそのアクセサリーを何故か手放す事が出来ず着替えの時以外は常に肌身離さず身に着けている。まるで大事な人に護られているかの様に。
そして当然の様に誰から貰ったのか忘れてしまっているアクセサリーを首から掛け、イングは本校へと向かった。
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そしてとある異世界にて──────
「……こ、ここは?」
誰かに運んでもらったのだろうどこかの宿屋で佐夜は目覚めた。
次回はイングの過去回想にて1章の終わりです。
旧作から色々省いた佐夜との思い出回になるかと思います。




