第28話 ~転送(記憶消去済み)~
今回は長いです。分ければよかった……
「───って事で今さっき次元転移した人達の転移先の座標捜索をお願いね」
リオが到着する前に佐夜が次元転移してしまったので、とりあえずリオは暴走したエネルギーのお陰でステルス&ジャミングが晴れ、外界にいる透にゲートを遠隔にて強制的に閉じてもらう。
その後イング達に事情を聞いて異世界へ飛んでしまった2人と地上に転送された筈の中にニケという獣人がいなかったのでその獣人の事も含めて捜索をお願いした。
≪簡単に言いますね!? ただでさえステルス&ジャミングで拠点特定に時間掛かったのにその上ランダム転移したんですよ。少なくとも1日2日じゃ無理です≫
「あー、いいのいいの。むしろ先にリオ達以外の異界人がこの世界に残っていないか探してほしいの」
≪それはもしかして外殻修復の為の【次元界封鎖】ですか?≫
「うん。エネルギー暴走した状態でゲートがランダムで外殻に穴開いてるかもしれないからね。簡単に世界に出入り出来なくなる前に摘発しないと」
≪リオにしては聡明過ぎますね。……頭でも打ちましたか?≫
「失礼なっ。隊長からの受け売りだお!」
≪なるほど。隊長なら確かにそう言うでしょうね。では畏まりました≫
いつもは適当で行き当たりばったりなリオの冴えた提案に正気を疑っている透だが、隊長であるヴァンの受け売りだと分かってすぐに了承した。ヴァンの名を出した途端すぐに了解した透にリオはちょっと傷付いた。
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「よし、じゃあ後はここを潰して終わりだね」
「ちょちょちょちょ、ちょっと待った!」
「お、ちょっと待ったコール? 昔のネタなのによく知ってるねー」
「何の事だ!?」
事情を聞いたリオが何やら物騒な事を言い出したので思わずイングはツッコむとリオはリオでイング達には伝わらない返しをするので余計訳分からなくなる。
「ここを潰すってどうする気だ?」
「そのままの意味だよ。このゲートを周辺機器含めて完全に破壊するの。下手に修復されると後々困るしね~♪」
と、リオはスマホから何やら黒くて丸い球体みたいな物を出現させながら言う。その黒い球体からはバチバチと先ほどの漏電していたXEVエネルギーによく似ているが恐らく転移関係的な物だろう。リオも直接その球体には触れず取り扱いに注意している模様。
カチッ!
「あばばばばばばばばばb!!?」
「あ、言うの忘れてたけどこっちに来ないでね?」
「言うの遅!?」
ベレッカ達同様、小娘(?)1人とみて甘く見ていた騎士団員の1人がリオを捕らえようと背後から近付いていたけど、いつの間に仕掛けていたのか床の罠を踏んだ団員が電撃を喰らってアフロになった。ちなみに死にはしない程度の威力。
「貴様!?」
「だから作業の邪魔だからこっち来ないでってば。君もアフロになりたいの?」
「うぐ……っ」
迂闊に近付いた団員も団員だが、リオの仕掛けた罠に引っかってアフロになった団員を見て騎士団長が逆上しかけるが、リオに言われて引き下がる。
「貴女があの送還者だというのは分かりましたわ。ですが何故もっと早く来なかったのです?」
その代わりリオに声を掛けたのはエミリア。罠が作動する距離ギリギリで話しかける。
「ん? そりゃあここに来る途中で2体の恐竜に襲われてる冒険者達がいたからね。とりあえず恐竜を倒して事情を聞きつつ治療して地上に転送したんだよ。だからその分遅くなってもリオの所為じゃないもんね」
と、ゲートと周辺機器を破壊しつつ応える。
「あ、そういや地上に送った冒険者達とここから転送された人達には言ったけど君達の国に攻めて来たゼリア軍達は皆捕縛して元の世界に送還済みだから安心してね。全部確認はしていないけど死者は出てないっぽい」
「そ、そうですの……」
ついでにさっき言い忘れていたセルニア王国の事も伝えるとエミリアは深く安堵していた。
「あ、そういえばそんな事言ってたな」
「……サヤの件ですっかり忘れてた」
「「よかったねー」」
「「おいおい……」」
だが佐夜が消失した事で自国の安否の事をすっかり抜けていたタックとマナ、ノンロロにイングと騎士団長がツッコむ。
ボシュー………
「さってと。これで終わり。後はそこで気絶している人を元の世界に送り返せば完全コンプリート」
と、あっという間にあれだけあった色々な装置は全て【疑似ブラックホール】で破壊&吸引しそこにはもう何もない。
「じゃあこれでリオは艦に帰るけど、良かったらついでに地上に送ってあげるけどどうする?」
このダンジョンに残っているのはあとイング達のみ。元々は異界人の捜査だったがそれも不本意だが一応完了した為、残っていても意味は無い。寧ろここから歩いて地上に戻るのも面倒くさいだけだろう。
「ええ、お願いしますわ」
代表してエミリアがお願いする。
「ちょっと待ってくれ!」
「お、またもやちょっと待ったコー」
「それはもういい!」
「(・ω・)@」
だが嫌な予感がしたのかイングがちょっと待ったをかける。
「さっきサヤとゼリア人(?)とニケを捜索するって言ってたろ? ゼリアの奴とニケは元の世界に帰すと思うからともかく、サヤは会ったらどうするんだ?」
「会ったらって……そりゃ元の世界の座標を探して帰すよ?」
何言ってんの?みたいな顔をして当然の事を言うリオ。
「だったらサヤの世界について起きた事を教えてやる」
「起きた事?」
普通に元の世界に帰しただけでは佐夜はまたあの真っ白な世界に1人残される事になる。だからイングは出来るだけ正確に佐夜について知っている限りの情報をリオに教える。容姿は勿論、何でこの世界に落ちて来たのか等々。
閑話休題(という名の事情聴取)─────────
話を聞くに辺り、そこにはイングの佐夜へのやや特殊な(?)感情も勿論入るので最初はメモを取りながら聞いていたリオだったが、途中から段々どう聞いても「惚気じゃん……」と、人目を憚らずイチャイチャするバカップルを見て砂糖を吐く非リア充みたいな死んだ目になる。
つまりリオがイングに対して何が言いたいのかというと、
「ぶっちゃけ、君、その子が好きなんでしょ?(断言)」
「っ!?」
リオにそう指摘されたイングは何故か衝撃を受けた様な劇画顔になった。もしかして自覚無かったのか少しよろめく。
タック「自覚無かったのかよ!?」
ノンロロ「「無かったんだね~」」
マナ「……これだから鈍感男は」←ちょっと違う
エミリア「まぁそこがイングの良い所でもありますし」
イング「酷いなお前等!?」
仲間達からも「何を今更……」的な顔をされる。
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「でも、ん~、そっかぁ……(・∀・)」
話を聞く限り自覚は無かった様だがどう考えてもイングという少年は佐夜とかいう少女(?)の事を好いている。なのに何故かイングは友人だ親友だとか頑なに言っている。
その2人が微妙にくっ付かない謎を最初リオは『いずれ元の世界に帰るから恋愛はしない』と思っていたが、佐夜の元いた世界は何かしらの異常で停止している以上、佐夜という少女は半ば帰還を諦めている節をリオは感じた。
なので互いに互いを大切に思っているのにくっ付かない別の理由。
それはつまり、
「その佐夜って子。男の娘でしょ?」
「「「「「っ!?」」」」」
って事だ。あえて佐夜の性別を教えなかったイング達一同だが、リオは直感で当てる。
といってもリオと同じ種族(?)だし。
「なるへそね。ならこれは悲恋かなぁ……」
佐夜とイングとの関係を知ったリオは悲しそうな笑顔をする。
「こほん。じゃあみんな、地上に送るから纏まって纏まってー」
「これでいいのか?」
「うん。ばらけると転送するのに手間が掛かるからね」
「その子はどうするんですの?」
「当然元の世界に帰すよ」
騎士団長とエミリアに促され、一同は一ヵ所に固まる。
・・・・・・・・・・・・。
「……ねぇ、イング」
「……何だ?」
転送開始するその数秒前、リオは何か複雑な感情に苛まれているイングに対して話しかける。
「もし……もし君と佐夜って子の絆が本物なら、いずれその子と再会出来るかもね。……君次第だけど」
「え? ちょ、待てよ。それって──────」
リオはイング次第で佐夜と再会出来るかもと言った。やろうと思えばイングを『佐夜に会わす為無理矢理外界へ連れ出す』っていう手も出来るのだが、世界条約上、特殊な事情も無く私情のみで外界へ連れ出すのは規約違反なのでただの1構成員であるリオの権限では勝手に連れ出す事は出来ない。
だからリオに出来るのは頑張れと提言する事だけ。
そして聞いたイングもイングでリオの妙な言い回しに違和感を感じ、聞き返そうとしたが、
シュイン─────────────
ここでタイムアップ。リオとルソワを除いた一同は地上───それもダンジョンの入り口ではなく王国の門の前に転送した。勿論、先に送った冒険者達や地上で待機していた騎士達も一緒に転送している。
ちなみにその際、転送と共にとある処置も施されている。
それは、
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シュイン───────────
「……ん? ここは門の前?」
「………何でここにいるんだろう?」
「「あれ??」」
「zzz……」
門の前に転送されたイング達。……だが少し様子がおかしい。
「姫様!」
「あら? どうしたんですの?」
エミリアの方も門番の騎士達がやって来て事情を聞かれる。だがエミリアも同行していた騎士団長達も記憶がやや朧げになっていて今日一日何をしていたのか全く覚えていないらしい。
それは先に転送されてきた冒険者達も同じだが、更に言うなら転送の際、この世界に住む全ての者達全てが『異界人に関する事全て』を忘れていた。
故に門番達や国のお偉いさん方も冒険者、騎士団長達、エミリア達生徒一同が何処に行っていたのか分からずに皆首を傾げていた。
その後魔法や催眠術などで記憶を探ってみるがやはり何も分からず、この件は『(日本語でいうと)神隠し』事件として語り継がれる。
「俺は………」
そしてイングは何か大事な物を忘れている様な虚無感に襲われる。
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「さて。消したと見せかけた装置を戻しますかね」
そしてダンジョンに残ったリオは先ほどブラックホール(っぽい物)で消したと見せかけたゲートと装置を元に戻し、艦にいる技術班にお願いして修復してもらった。
その理由はこの世界に何かあった時、異世界へ脱出する為。
リオが艦に戻った後『次元界封鎖』をして誰も出入り出来ない様にするが、万が一この世界に何かあった時、封鎖と記憶操作が解ける様に設定してあるので後はこの世界の人達に任せるのだ。
あ、ちなみにゼリア軍のルソワは既に送還済み。
「後は簡単にこの場所が発見されない様にこの2つ上の階を最下層に仕立て上げればオッケーかな?」
1つ上だと攻略された時、勘ぐられて探られる可能性はあるがそれはフェイク。本当の最下層には更に簡単には来れない様細工しておき、その上に最深部の装置部分も厳重に隠し、見つけるには記憶を取り戻すしか方法はない。
「うん。これでようやく帰れるかな」
といってリオも転送で艦へと帰って行き、ようやくこの世界に平和が戻った。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・。
「行きましたの?」
「ああ、嫌な予感がしたから転送されるギリギリで地面に潜った甲斐があったな」
イング達が転送され、例の怪しすぎる少女も帰った数十分後、念の為潜り続けたサラとガルは地面の中から何故かリオの長々しい説明を聞いていた。
実は上記で書いてある説明文はナレーション的なアレではなくほぼ全てリオが独り言で喋っていたのだ(勿論リオ口調)。
なのでどう考えてもガルとサラが転送されていない事を悟っている節がある。なのにリオはそれを見逃した上で長々とどうすればいいのかを語っていたのだ。
「それでこの後どうするつもりですの?」
この世界で唯一佐夜や異世界人の事を知るのはこの2人だけとなったが、この後の事はノープラン。
明らかに見逃された事を考えると何かしらの意図があるのだろうが流石に次元転移装置を手堅く隠された事を見るに今ここを解放したら駄目なのだろう。
「とりあえずイング達が記憶を取り戻すまで静観するしかないだろう」
「……ですわね」
流石に全員の記憶を消せばいざ誰かが何かしらの違和感を感じた時、何かのアクションを起こしてもおかしくは無い。完全に記憶を取り戻してもいないのに下手にここを掘り起こされたら元も子もないからだ。
故にガル達は静観し、イング達が自力で記憶を取り戻し再びここを訪れるまでっここを護っていくだろう。
「異世界……か。いつか俺も行ってみたいものだ」
その呟きはサラにも聞かれずに虚空へと消えて行った。
次回で1章は完結です。
結構ガバガバですが足りない部分の補足は伏線という名の後付けになりますがご了承ください。
ではまた




