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異世界無双禁止規定(ステージ オブ グラウンド)『緩』  作者: 浅葱
第1章 次元迷子の少年
24/30

第24話 ~ニケの消滅~

ニケが次元転移する部分は旧作と同じですね


 ガルが感じたこの層に残っている気配がタックとノン、ロロの3人しかなかった訳。


 それはイング達が降りて来るほんの数分前に遡る─────


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「じゃああの2人を無力化するか」

「罠や伏兵の可能性は?」

「いんや。人の気配なら向こうには2人しかいないから罠はともかく隠れている伏兵は無いね」

「よし、まだ周りに例のドラゴンや機械人形はいるかもしれないからそれには気を付けろよ」

 最下層の最深部にいると思われる2人を捕らえようとニケを含むSランク冒険者達はバレない様に近付いていく。


「タック、ノン達も行こうよっ」

「……いや、何か嫌な予感がするから俺はあえて(・・・)下がる」

「下がる?」

 だが、拙いけど罠師を自称するタックはここにきて敵が無防備(・・・)な事に違和感を感じていた。勿論、敵が何かをやっていてこちらに気付いていない可能性もあるが、自分達がダンジョン内にいる事は敵も知っている筈なのでこの状況で警戒が薄いのはどう考えてもあやしい。

 と、タックは考え、Sランク冒険者達にその可能性があると伝えたが、相手はタックより腕の立つ者達であり、全く聞き入れてもらえなかった。

 一応ニケだけは「警戒しておくよ」と言っていたが、他の人達と一緒に行ったら「結局意味無いやんけ!」とタックは心の中でツッコんだ。


 なので戦闘力の低いタックは進む事を止め、あえて引き下がる事を選びノンとロロに言う。

「う~ん……罠師のタックがそういうならノンも下がろうかなー」

「だねぇ~」

「いやいやいや、所詮俺の言う事だぞ?」

 するといつもは双子の姉貴分であるニケの味方をするノンロロだが、今回は何故かタックについて行くと言うので流石のタックも焦る。


 なのでその理由を聞くと、

「「タックの護衛~」」

「あ、そっすか」

 6文字で納得した。


 という事で3人は少し戻り、物陰からニケ達の様子を見ていた。


 そしてその事が功を指す。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 チャキッ!!


「動くな」

「「っ!?」」

 そして気配を殺し、見つかる場所の限界まで近付いたSランク冒険者達は息を合わせた様に一気に謎の装置を(・・・・・)弄っていた(・・・・・)少女の首に剣を添えて投降する事を進め、少女達は息を飲んだ。


「……その装置が別の世界に繋がっているのか?」

「ああ、そうだが何か?」

「………」

 ベレッカの首に剣を添えている冒険者が問うとベレッカは最初はビックリするも冷静に答える。その冷静さに冒険者は眉を顰める。

 ちなみにもう一人の部下の女の子にも剣が突き付けられており、2人の軍服少女の命運は冒険者達に委ねられた。


 と、この場にいた冒険者達はみなそう思った。


「……ああ、もしかして自分達が圧倒的に有利だと思っていたのか?」

「あ?」

 すると突然、剣を喉元に突き付けられている筈のベレッカが微笑み、剣を持っていた冒険者は怪訝な顔をする。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴg────────


「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」


 すると突然、小さな地響きが起き、その場にいたベレッカともう部下の少女以外の冒険者達が急に動けなくなった。文字通り口や目は勿論、指1本すら動かせない。


「私達を甘く見ていた様だが……貴様等がこの最下層に降りて来た時には既に罠を張っていたのだよ」

「まさか自分達が囮になるとは思いませんでしたけど」

「しょうがないだろう。もうここに残っているのは私達だけなのだからな」

「「「「「「「「~~~~~~っ」」」」」」」」

 ベレッカ達2人の体格を見て確かに甘く見ていた冒険者達は自分達の軽率な行動に悔いるも既に現場は【次元封鎖】になっている。ちなみにベレッカと部下の2人は次元封鎖の影響を受けないリングを持っているので普通に動ける。


「このままこの銃で貴様等を撃ち殺してもいいが、流石に弾の無駄使いな上に全員を殺すまでに時間が掛かりすぎる。……ならこうするしかない」


 ポチッとな(装置にあるとあるボタンを押した模様)


「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」


 シュン─────────────────


 ベレッカがとあるボタンを押した瞬間、その場にいた冒険者達は皆、消えていなくなった。と、同時に次元封鎖も解かれる。


「ふぅ……襲って来るのが分かっていたとはいえ、緊張したぁ」

「次元封鎖に使うエネルギーが溜まるのもギリギリでしたからね」

「後少し遅れていたらと思うとな」

「ですね」

 危険因子を排除出来た事で2人は安堵した。


「───なるほど。つまり今が攻め時って事だねぇ」

「「っ!?」」

 だがその直後、ギリギリ次元封鎖の範囲外から完全に気配&姿を消していたニケが2人に突貫する。ベレッカ達も伏兵の可能性は考えてはいたがまさか直後に襲ってくるとは思っておらず、2人共回し蹴りで吹っ飛ばされる。


「───さて、本当なら捕縛して話を聞くだけだったんだけどね。目の前で仲間が消えたんじゃ話が変わるね」

「くっ!?」

 最初は穏便に済まそうと考えていたニケだが、流石に目の前で仲間を消されたのではそうはいかない。静かな殺気を放ちながらベレッカの細い首を片手で掴む。


「ふ、ふふふ……」

「……何がおかしいんだい」

 どう見ても不利なのはベレッカなのだが何故かここでもベレッカは冷静にニケを見る。ベレッカの首を掴んでいるニケも先ほど2人が言っていた『【次元封鎖】を掛けるには時間が掛かる』というのを聞いているのでその罠は無いとは思いつつも、いつでもこの場を退く体勢を取る。


「予想通り掴んだね。首を」

「っ、まさか!?」

 だが掴んだベレッカの首に巻かれているチョーカーに仕込まれていた微弱性の毒によりニケは即効性の麻痺に掛かってしまった。尚、この毒は触るだけで効果が出るらしい。

 といっても持続時間は長くはなく、効果時間は約1分。

 しかしこの状況だと致命的。

 ニケはまさかの罠で膝を着く。


「さて……、麻痺が解ける前に何とかしないといけないが流石に次元封鎖は使えない。どうしたものか……」

「少佐、ならば飛ばせばいいのでは? 人一人を異世界に飛ばすだけならそこまでエネルギーはいりませんし」

「それはそうだが……」

 ベレッカの部下ルソワの提案にベレッカは即決出来ない。


 というのも先ほど飛ばした冒険者達は消滅した訳でも異世界へ飛ばされたわけではなく次元封鎖で拘束し、転移場所を地上に固定してダンジョン外へ飛ばしただけなのだ。そしてその分のエネルギーは先ほど使ってしまい、溜まるのに時間が掛かる。そうなるとグズグズしてる間にニケの麻痺が回復し、逆に捕まるだろう。

 しかし次元封鎖も転移指定に使うエネルギーよりは使用する量を遥かに抑えられる1人分の異世界転移ならすぐに飛ばせる。


 けど自分達が異世界に行くのならともかく異世界人を飛ばすとなれば流石に抵抗があった。


「うぐぐぐ……っ」

「少佐、早く決断をっ」

「ちっ……恨むなよ!」

 そしてそうこう悩んでいる間に30秒が経過し、徐々にニケの身体が動くようになるのを見て危惧したルソワはベレッカに決断を迫り、このままでは時間切れで殺されるのを恐れたベレッカは次元転移装置のボタンを押し、


「─────っ」

 碌に動けないニケはゲートに吸い込まれ、ベレッカとルソワは一緒に飛ばされない様、物に捕まってゲートが閉じるのを待った。


 そしてやがてゲートは閉じ、ようやくベレッカとルソワは安堵し、その様子を遠距離かつ望遠鏡で見ていたタックとノンロロ達は震えていた。



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