第23話 ~ベレッカの先手~
今回は少し短めです
「全く、この状況でよくそんな事出来ますわね!」
「「は、はぁ……」」
ダンジョン内で正座しながらエミリアに怒られているイングと佐夜の2人。
「サヤ、何でエミリア怒ってるんだ?(小声)」
「さ、さぁ?(小声)」
おこなエミリアを余所に小声で何で怒られているのか分かっていない2人。どうやら気絶した所為で先ほどのアクシデントを覚えていない様子。エミリアもエミリアであえて2人がキスをした事を言っていないので余計何で怒られているのか2人には分からない。
まぁ、何が起きたのか教えると2人がダンジョン攻略どころじゃなくなるので教えなくて良かったけど。
「エミリア様、お説教はそこまでにしないともう1つの班との合流に間に合いません。急ぎましょう」
「え、あ、そ、そうですわね。思わずの展開に我を忘れてしまいました」
「まぁ、まさかあんな事になるとは誰も思いませんしね。気持ちは分かります」
((あんな事?))
騎士団長がプリプリ怒っているエミリアを宥めるが相変わらず何故怒られているのか忘れている2人は首を捻るしかない。
と、まぁ、こんな事している間にもう1つの班にいるニケ達はどんどん先行し、先に最下層にまで足を踏み入れていた。
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「───む? この先に誰かいる」
「ひゅう、流石獣人の聴力だな。よし、みんな止まれ(手話で後続に伝える)」
イング達が馬鹿やってる間にS&Aランク冒険者が多い班に就いたニケが最深部の奥で誰かがいる気配を感じた。多分気配というか会話しているのを聞いてるんだとは思う。ちなみに残ったメンバーで獣人&亜人はイングとガルとニケしかいないく、後は上の階層で脱出する者達の護衛についている。
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「───これでこの拠点にいた隊員は全員、ゼリアに送れたか……」
「後は勝手にセルニア王国に行ってしまったゴルド中将達だけですね」
「全く……先日のタイガ中将の失敗から何も学んでいないではないかっ」
「もし例の送還者がまだこの世界に残っているとなれば確実にニノマイ?。ですね」
「……合ってるのかその言葉は? それに、送還者の仲間かどうかは知らないが私達の様にこの世界の者ではない奴には会った」
「それって私達の様に資源を求めて転移して来た異界人でしょうか?」
「いやそいつはこの世界の者達と懇意らしいから私達とは違う立場だろう」
ニケ達が物陰に隠れるその先に、例の侵略者のゼリア軍が2人いた。
で、こっそり魔法で話を聞くとどうやら自分達がここに来たのと同時に自国にセウレン帝国で起きた異変と同様な事が起きている事と、それが一部の者達の勝手な行動だという事、そしてセウレン帝国の失敗を機に残っていた者達は2人を除いて既に撤退しているらしい。
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「……これは押収するチャンスだな」
「ああ、これなら2手に分かれたイングやエミリア王女達と合流する必要はないね」
「ちょっと拍子抜け過ぎるな」
「でも最悪な状況じゃなくてよかったわ」
Sランク冒険者達とニケが相手は2人のみと断定した事(他に索敵に引っかからなかった故)でニケ達は合流に時間を掛ける事で相手がこちらに気付いて逆に召喚する危険があると判断し、待機ではなく攻勢に出る事を選んだ。
──────異世界人に対するその判断と対応が間違っていた事を知らずに。
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ガル「ここが最下層か」
サラ・エミリア「「綺麗ですわね」」
マナ「……上層とは全然構造が違う」
騎士団長「というか声が反響するからあまり大きな声で話せないな」
佐夜「ここ、鍾乳洞がモチーフになってるのかー」
イング「サヤ、観光に来たんじゃないぞ」
佐夜「わ、分かってるよ」
ニケ達から遅れて十数分、イング達も別ルートから最下層に着いた。
ついさっき先に着いていたニケ達の時もそうだが、最下層はこれまでの階層と違い大きな空間と鍾乳洞っぽい幻想的な階層となっている。
ちなみにちょっと上の層までは何処にでもある暗くて周りが岩や石で出来ている普通の層で方向音痴はすぐ逸れたりする。
「にしてもニケ達がいる気配が無いな」
「どこかに隠れていたとしても奴の気配は消しても同じ獣人の俺ならすぐ分かる筈……なんだが、先ほどまであった奴の気配が突然消えた様に感じた」
「突然消えた?」
「まさか……殺された…の?」
ガルの発言にマナの顔が真っ青になる。
「いや、それだと気配は弱くなる筈だ。それに死んだとしても死体から出る気配はしばらく残るから急に消えたとなれば死んでいるという事は無い」
「「そっか……(安堵)」」
だがガルはそれを否定し、マナと佐夜が安堵する。
「けど急に消えたとはどういう事ですの?」
「さぁな。そこまでは知らんさ。が、俺が知っている気配はこの場では3つしか残っていない」
「3つ?」
「タックとノンとロロだ」
ガルがそう言うと皆「何でその3人?」と首を傾げた。




