第22話 ~イングの目的~
在宅ワークがしんどい
「もごご、もごごごんごご。んももももっ」
「いや、何言ってるのか分かんねーよ!」
「そ、そりゃ顔面全部に包帯巻いたら喋れないでしょww」
エレベーター内に飛んで来て爆発した機械人形の爆風で顔面から引き摺る様に吹っ飛んで来たタックは当然顔に大きな怪我を負い、一応回復で治して貰ってはいるが魔力消費を抑える為最低限の治療しかしてもらえず、痛みが残てる為顔面に薬草を張って包帯をグルグル巻きにしているので、まるで幕末漫画の志々○誠だ。
佐夜もフォローは入れるが正直笑いを抑えきれない。
何で今こんなに和んでいる(?)のかというと、只今下層はおそらく敵は全滅していると思われるが煙が超充満していて魔法使い達が風魔法を用いて換気中。ちなみにイングは魔力量が少ないので参加出来ない。
「んんんんん。んんごごももも、んんおおあ!!」
「……ごめん。何を言ってるのか全く分からない|(笑)」
「もがぁー!!」
もがもが言ってるタックに普段笑わないマナも笑いを堪え切れない様だ。ちなみに何を言ってるのか作者にも分からない。
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「これで亡くなった奴以外の手当ては以上か!?」
「はい、危篤状態になってた人も何とか一命を取り留めてます!」
「正直あの子のストック魔法(?)ってのが無かったらもっと死亡者が増えてたな……」
「意外と便利ですねコレ」
「可愛い上に魔法を開発するとか天才じゃないか」
「ぼ、僕声かけてみようかな?」
「ばっかおめぇ。あいつは男だぞ?」
「うぇぃっΣ(゜Д゜)ゝ!?」
「ゴメン私も知らなかった……可愛すぎるでしょ」
「お、男に負けた……orz」
「ど、どんまい(>_<;)」
その頃、魔力切れで回復魔法が使えない人達の代わりに佐夜が例のストック魔法(回復・癒し)で重症&危篤患者を優先に回復させている。
一方で魔力回復で休憩&軽傷者の手当に当たっていた騎士や冒険者達は忙しなくストック玉を使って癒していく佐夜を見て一喜一憂(?)していた。
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「事前の情報だとあと1~2階層降りれば最下層に着くらしいが……」
「正直、怪我人の方々が多すぎて人手が足りませんわね」
「かといってここに放置する訳にもいかんしな」
「いっそ一旦戻りますか?」
「でもあまり時間を掛け過ぎるとまたあのドラゴンがリスポーンするかもしれないよ?」
「「「「「う~~ん」」」」」
こっちではエミリアと騎士団長、ランクの高い冒険者達が話し合っているがこっちも怪我人が多いので、戦える人を分けてしまうとこの先危険なのだ。
かといって残りはあと1~2層で最下層に着く。これまでの戦闘を踏まえると撤退は簡単だが再び攻略しろと言われたらキツイ。それならこのまま下層に行くのもありだがそうなると話がループし、皆悩む。
「どうだい? 話は纏まった?」
話しがループしているとさっきまで壁をガリガリ(爪とぎ)していたニケがエミリア達の元にやってきた。
「そろそろ出発か?」
今度はさっきまで軽い睡眠を取っていたガルも起きてストレッチしながらやって来た。するといつの間にかニケとガルに続き獣人やエルフなどといった比較的動ける亜人達が続々とエミリア達の元にやって来ている。
「やはりこれしかない……か」
「……ですわね」
「致し方ない」
「「「「「「('ω')?」」」」」」
わらわらやって来た亜人達を見て調査隊のトップ達は盛大に溜息を吐いた。
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「……で、その結果タフな獣人や魔力がまだ残ってて動ける奴が行く事になった訳か。主に俺達が」
「そりゃあそうだろうね。一応軽傷なSランク冒険者達とか騎士団の人達とかも来てもらってるけど」
会議の結果、骨折や動けるけど重症気味な冒険者&騎士、魔力切れで貧弱な魔法使い達は地上に戻る事になった。ここにも一応護衛(という名目)としてノンロロやアルケシス以外の生徒達が一緒に就く事になり、下層に行くのはイング達含め百数名となる。
ここからは話し合いの結果、通常ならダンジョン内をくまなくマッピングしながら調査する所だが、この人数だとこころ持たないので一気に最深部まで行く事となったので皆、2手に別れて走りながら下層へ続く階段を捜索している。
ちなみにイング達側でこっちにいる知ってるメンバーはガルとサラとエミリアだ。あ、当然佐夜もこっちにいる。
「それにしてもイング。お前急に気合入ってないか?」
「そ、そんな訳ない。俺ぁいつも通りさー(゜_ ゜;)」
「………(ジト目)」
何故か沖縄の方言みたいな喋り方で目を逸らすイング。それを見て佐夜はジト目で見ながらも既にイングの考えを悟っている。
答えは単純。良い意味で手柄が欲しいのだ。
イングは見た目はエルフなのに魔力値が少なく風系の魔法が一応使えるが何発も使えない。エルフなので筋トレしても筋力が上がりにくい。
その為イングは小さい頃からクラスメイトに馬鹿にされていて若干イジメみたいな事をされていた。エミリアとのいざこざもその頃が原因だった(今は解消)。
そして今、イングの他に色んな意味で劣等生になった5人(マナ、タック、ニケ、ノン、ロロ)と一緒にアルケシスという名で分校(扱い)になっている。
そんなアルケシスが本校の連中(イング達をバカにしている人達)を見返す為には手柄を挙げるのが一番だったからだ。
そうすれば本校の連中を見返せるし何よりイングの所為で分校に配属された父親を本校に戻す事が出来るかもしれないから。
と、佐夜は以前にニケからそう聞いている。
だってイングはこういうの絶対話さないし。
「サヤさん、サヤさん」
「ん?」
佐夜に問い詰められたイングは少し走る速度を速め、先頭の方に行くと今度はエミリアが佐夜に追いついて話しかける。
「ちょっとイングを誘惑して脱力させてください」
「なっ……何でだよっ|(小声)」
何用かと思ったら急に変な事言いだしたエミリアに思わず大声でツッコミそうになる佐夜は何とか声を抑えて聞き返す。
「先ほどサヤさんも感じたのでしょう? イングは今、アルケシスやリンドさんの為に手柄を欲しています。それ故に緊張で力み過ぎ敵とぶつかった時に失敗するかもしれないのです」
「だから脱力させるさせる為に俺に誘惑しろと?」
「ええ、イングと和解したとはいえ今の私ではイングを止める事は出来ないので」
「いや、それは分かるけど何で俺なんだ。男だぞ俺?」
「……その見た目で男とか仰るのですか?」
「ぐはぁっ!?」
言葉の槍で突き抜かれた佐夜は芸人の様なダメージを受ける。だって見た目は完全にポニテの女の子だし(胸は無いけど)。
「このままだと最深部でイングが何かやらかさないかと思うとハラハラするので早急にお願いしますね」
「お願いしますっておいっ、言いたい事だけ言って下がるのかよっ」
文字通り佐夜に伝える事だけ言って後方に下がったエミリアにツッコみたいが確かに意気込み過ぎているイングを見て溜め息を着いた。
「……はぁ。もう………ったく」
少し色々と考えた佐夜は嫌々ながらも少し走る速度を速め、先頭組にいるイングの元に追いついた。
「ん? どうしたサヤ?」
「~~~~~~~えいっ!」
「っ!?」
「「「「「え!?」」」」」
佐夜を見てハテナマークを浮かべるイングを見て佐夜は少しげんなりしつつ、周りに他の人がいる状況に羞恥心で恥ずかしがるもエミリアが言っていた『気合が入り過ぎてやらかすかも?(ちょっとニュアンスが違う)』という言葉で佐夜は思いっきりイングの背中に跳び付き、首に手を回す。まるで彼女が彼氏に跳び付くかの様に。
「な、いきなり何すんだサヤ!?」
「うわ、暴れるな!? 落ち着けっ」
「走ってる時に飛び掛かれたらビックリするだろ!」
「そりゃいきなりで悪いと思うけど、とりあえず止まるかスピード落とせー」
イングが走っているので佐夜の細い腕でイングの首が締まりつつある。
「ちっ。しょうがねーな────────っ!?」
「っ!?」
「っ、うをっ!?」
このままだと他の人達にも迷惑が掛かりそうなのでイングは仕方なく急に速度を落とす。すると急に速度を落とした反動で佐夜の唇がイングの頬に触れ、思わずビックリしたイングは足がもつれて盛大にコケた。
当然佐夜も一緒にもつれて投げ出されるがそこはイングの機転で佐夜の腕を掴み佐夜が飛んで行くのを防ぐ。
どさっ─────
「君達! 大丈夫─────だな……」
先頭でもつれてコケた2人を見てその後ろを走っていた騎士団長が心配して声を掛けようとするが2人を見て溜息を吐く。
「……何でこんな状況でイチャついているの?(多少イラつく)」
「あらあら~(微笑ましい目)」
「こ、こんな所でするなんて///|(赤面)」
「「「「きゃああああ~~~(顔を手で押さえる女性達)」」」」
「「「「ちっ、もげろ!(嫉妬に駆られる男性)」」」」
そして後続の騎士や冒険者達ももつれて倒れて目を回しつつ、見事なタイミングでキスしてる状態の2人を見て生暖かい目と嫉妬の目をしている。
エミリア「ゆ、誘惑して落ち着かせろとは言いましたが……誰がキスまでしろといいましたかー!!」
サラ「うわぁ(顔真っ赤)」
ガル「……やるなぁイング」
そして後続で成り行きを見守っていたエミリア達も抱き合って倒れて目を回している2人を見て怒ったり赤面したり感心していたりしていた。
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「む!? 何か今、ラブコメっぽい匂いがした!?」
その頃6階層でマッピング&調査していたリオもラブコメ臭を感じていた。




