第20話 ~その頃王都では~
書いては消して、書いては消してを繰り返している・・・・・・。
「……何で恐竜?」
イング達がダンジョン正面入り口からいなくなったタイミングで遺跡に来たリオは地下1層に転がる消えない恐竜の遺体を見て首を傾げる。
異世界といえばドラゴンやワイバーンが定番なのでわざわざ文明がある程度発達している世界に恐竜がいる事自体がおかしい。
という事はこの恐竜達がこのダンジョン産ではなく異世界から転移されて来た物だというのは分かるが、恐竜の大きさからしてどう見てもダンジョンの入り口よりも大きい上に、先日例のセウレン帝国に攻めて来た侵略者(ゼリア軍)達が転移されてきた座標とはまた違う場所な為、リオはすかさずエルシオンのオペレーター茨木透と相談する。
「────なのでそのダンジョン内、おそらく最深部に次元転移装置があり、おまけに地下で探知出来にくいのと同時に妨害電波の所為でこちらでも反応がありません」
「じゃあ前の座標はミスリードだったんだねー」
「ええ……次元迷子の反応が無ければ見逃していた可能性があるのでこちらの落ち度ですね」
「別にトールの所為じゃないから気にしなくてもいいんじゃない? 寧ろ見逃さなくてラッキーだと思えばいいよ♪」
「たまに貴女のそのポジティブさが羨ましくなりますね(悪い意味で)」
「そんなに褒めないでよ~」
「(別に褒めてはいませんが)。こほん……ではリオ、人手が足りない所すみませんが次元迷子の保護に加えてそのダンジョンの調査もお願いします。可能なら次元転移装置の破壊も視野に入れて下さい」
「あいあいさー」
見えない相手に向かって敬礼し、リオは俊足で下層へ向かった。
「くかかかかかかかかかかっ!!」
「っ!?」
いや、向かおうとしたが階段の手前で何かが横入りし、リオは前方跳びの三角飛びして衝突を避けた。忍者の如く。
そして階段前で横入りしてきた魔物とは─────
「くかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかかっ!!(威嚇)」
「シカ!?」
鹿だった。しかも魔物じゃないごく普通の鹿だ。
その鹿が何故かリオの進路を塞ぐように威嚇している。
「周りは恐竜(死体)だらけなのに何で平然とシカがここにいんの?」
「くかかかかかかかかかかっ!!!」
首を捻るリオの前でシカが何かを訴える様。
これは威嚇というより────
「────お腹でも空いてるのかな?」
「くかかかっ!!」
リオを見て害は無いと思ったのか今まで恐竜の死体に隠れていた鹿は「その通り!」と言わんばかりに鳴く(?)。
「でもリオが持ってるのはピザまんだけだし………食べる?」
「っ」
リオの手から差し出されたピザまんを見て鹿は堪らずそのピザまんを咥えてひったくりそのまま去って行った。
「……というかピザまん、鹿が食べても大丈夫なのかな?」
犬猫はともかく鹿は何を食べたらダメなのか、リオには流石に分からない。
「………ま、いっか」
一体何だったんだろうと思いつつ、リオは下層へ向かった。
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「……よもやこの世界の者、しかも王家の者が異世界の者と組んでいたとは」
その頃セルニア王国、王城の謁見の間ではエミリアの父、つまり王様や宰相達、所謂お偉いさん方が多少の怪我を負いつつも、王城へ乗り込んで来た侵略者達とそれに通じていた隣国の第2皇子を睨む。
「タイガの奴が送還された後、まだ送還者共が残っていると思って警戒していたが……どうやら杞憂だったな」
偉そうな軍服を着た眼帯の男が葉巻を吸いながら安堵した様に煙を吐く。
「おい貴様等、こんな事して何の目的d────」
ダァン!!!
「───ぐわぁ!? あ、足がぁぁぁぁっ!!?」
「「「「「っ!?」」」」」
ゴルド中将のそのセリフにより場の空気が少し和らいだのを見計らって宰相が問い詰めようとしたがいつの間にか手にしていた銃でゴルド中将は宰相の足を撃ち抜き、現場の空気が再び緊張感に包まれる。
「目的など言わなくても分かるだろう。一々聞くな騒がしい」
「いや騒がしくなったのは撃ったからでは?」
「……何か?(ギロリ)」
「何でもないですぅ!!」
足を打ち抜かれてぎゃあぎゃあ騒ぐ宰相に騒ぐなとか無茶言うなとばかりにセウレン帝国の第2皇子がツッコむが睨まれて押し黙る。だって撃たれたくないから。
「さて、そろそろ後方のアンドロイド部隊も王都に着くだろう。その際には住人や騎士達に抵抗しない様、王様にはそう言ってもらおうか」
「やはりそれか……」
ゴルド中将に言われ、王様は先日侵略されそうになった隣国からの報告を聞いて納得する。
断ればこの地が地獄になると。
「さぁ、答えを聞こうか?」
「ぐ……っ」
銃口を向けられ王様は決断を迫られる。
「わ、分かった。要求に応じy────」
王様は少し周りを見渡し、このままだと自分はともかく、家族や周囲の人々を巻き込む事を恐れ、ゴルド中将の要求に応じようとした。
その時───────
「その必要は無いぞ!!」
「「「「「「っ!?」」」」」」
謁見の間の上、つまり屋上から男の声が聞こえ、皆は釣られて上を見上げる。当然ゴルド中将や部下達も上へ銃口を構える。例の送還者の可能性があるからだ。
「ぬふぁっ!!」
ドカンッ!!
「「「「「「っ!?」」」」」」
だが声に反してアクションがあったのは上ではなく横からで、強襲を仕掛けてきたのは筋肉ムキムキのマッチョなスキンヘッドの大男。おまけに上記の効果音からお気付き通り、壁を壊して入って来たのだ。
「ちっ……やはり送還者がいたのか!」
と、念には念を入れていたゴルド中将達はセルニア帝国で失敗したタイガの二の舞にならぬ様、磁力で無効化出来ない武器に変更して一斉射撃を狙う。
「撃ぇ!!」
「むんっ!」
ダララララララララララララララ───────
対するマッチョ男は全身を護る様に腕をクロスしガードする。
「う、撃ち方やめい!」
全弾撃ち切ってでも倒すつもりだったが謎のマッチョ男は血どころか傷すら付かないので慌てて止める。おそらく銃では倒せないのだろう。ゴルドは次の策に出る。
「っ!?」
それは人質として有効な王様を盾に取る方法だ。ゴルドは膝立ちしている王様の背後に一瞬で周り、チョークスリーパーで王様の首を絞める。この際銃やナイフを突きつけるとかは取らず、『首絞めで殺すぞ』と示している。
これなら例えゴルドが頭部を撃ち抜かれたとしても死後硬直で王様も絞殺される様に組んでいる為、相手は迂闊に攻めて来られない筈。
「ふふふ。送還者よ、この王様がどうなってもいいのか?」
「うぐ……っ」
「「「王!」」」
ジリジリと締められる王の首を前に王家の者達は助けたくてもゴルドの睨みやこちらに向けているゼリア軍達の銃口の所為で動けない。
「ふぅ……久しぶりに弾幕を浴びたわ。………ん?」
そんな中、呑気に弾幕を浴びた感想に浸るマッチョ男【R・ハーマン】は首絞めされてる王様とゴルド中将を見て眉を顰める。
「おいおい。そんな締め方では墜とすのに時間掛かるぞ?」
「んな!? く、来るな!」
王の首を絞めるゴルドを見て何を勘違いしたのかハーマンはゆっくりゴルドの元に歩み寄る。ゴルドの方もハーマンの意図が読めないので迂闊にチョークを解くわけにもいかず、ジリジリと後退る事しか出来ない。
部下の方もハーマンを撃とうとするも射線上に上司がいるので撃てない。ならとナイフなどで襲い掛かるが裏拳などでワンパンで沈められる。
だったらと念の為の最終兵器である機械人形をも起動して襲い掛からそうとするも、どこからか発射された弾によって動力部に不具合が出て動かなくなった。
「あ、そうだ。ここに向かっていた兵隊や兵器などは皆、既に無力化して捕縛済みだぞ」
「んな!?」
と、ゴルドと王様まで後3メートル位まで近付いた所でハーマンがそう言うとゴルドは一瞬だが油断してしまう。
「ふん!」
「がはぁ!?」
その隙を見逃さないハーマンは一瞬でゴルドのチョークを無理矢理解き、頭部のツボを押す事(頸動脈ではない)でゴルドの意識を刈り取った。
「………さて、後は」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
そしてほぼほぼ敵を全滅させたハーマンは城に敵を招き入れた張本人の隣国の第2皇子の方を向くと当の本人は化け物を見るかの様に悲鳴を上げ、気絶した。
「全く…やれやれ」
と、呆気なく鎮圧に成功したハーマンは髪の無い頭部をカリカリ掻くとスマホを取り出してアルシオンへ連絡した。
ちなみに王都前まで来ていたゼリア軍達はもれなくヴァンによって既に無力化していて何人かはアフロになっていた。
構成は既に出来ているのに上手く言葉に表現しにくいな。これも海外出張の弊害か!?
んなわけないか。
ではまた。




