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319・北への帰省。

 神殿に出かけたらいつもとなんだか雰囲気が違った。

なんだか落ち着かない……ザワザワとした感じかな? 


「長老方の中でも一番お歳を召した聖痕をお持ちだったあの方が故郷に戻りたいと

言い出されたんです。

移動自体は転移陣が有りますから簡単ですが……

あの方の故郷って北の国との国境に近いんですよ。

これから寒くなるのにどうしてそんなことを言い出されたのか……

旧都ここの方が安全でずっと過しやすいと思うのですが」


いつもの訓練と施術のお手伝いを済ませて最長老様に面会をお願いした。

神殿長も同席されていたよ。

コレは帰郷には反対で行かないように説得でもされてたのかな?。


「神殿長も引き留めてはくれるのだが私はもう寿命の先が見えた気がしてね。

どうせ死ぬなら故郷で死にたいと思ったんだよ。

もう故郷には一族の者は誰も居ないんだ。

仕事の関係で王都や旧都ここに移住してるんだよ。

それでも最近北の故郷を夢に見るようになってしまってな」


せめて春までお待ちになってからとは思われなかったんですか? 

これから冬がやってきます。

お体に触りそうな気がしますが……


「何も無いような田舎だがそこに住んでいる者は居る。

そういう知己から最近地区担当の神官が亡くなったのを知らせてきたんだよ。

あとどれくらい生きていられるかはハッキリしないが短くてもほんの暫くでも

あの故郷に居たいと思ってしまったんだ」


寒くても帰ったら死ぬだけかもと思っても帰りたいと……

これは引き留めるのは難しいよなぁ。


なので一時的な帰省をしてみるということにしたらどうだろうと提案した。

一番寒い時期を除けば寒さの体への影響を抑えられるかも知れない。

なにより故郷を恋しいという最長老様の気持ちを緩和できるかも……


神殿長様は所属の変更も故郷の神官への転任も認められないと言った。

でも一時的な帰省なら何も問題は無いらしい。


旧都ここの神殿は最長老様の家です。

あなたがココに居られることでこの神殿が安定していることを忘れないでください。

この神殿の者達だけでなくこの国の者全員の安定の為でもあります。

帰省はお認めしますが必ずお戻りになっていただきたいです」


故郷を出てアチコチを修行しながら巡られて老境になってからは旧都に

居るのだそうだ。

村や街の神殿を担当されたこともあると言う。

でも故郷にはほんの数度帰っただけだったらしい。


「故郷に帰ると自分が弱くなる気がしてね。

旧都で重職を勤めるようになったら帰るヒマも無くて……

若い神官も育ってくれたからもうお役御免でもいいんじゃあないか……とね」


でも何もされていなくてもそこに居るというだけで存在価値のある方というのは

確かに居ると思う。

この方は確かにそう言う方だとオレでさえ感じるのだ。

だからこそこの方の願いは叶えて差し上げたいと思ったんだよ。


行く先が寒い北の故郷でも……確実に迫っているだろう「死」でもね。

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