317・クレーター
氷が張っていた。
庭に出来た小さな水たまりに。
とうとう冬が来たんだ!
あれ? 先週王都に行ってきたけど向こうはさほど寒い気がしなかったな。
旧都の方が多少とは言え南に位置してたハズだけど?
「ああ、旧都は盆地なんですよ。
夏は暑くて冬は寒いんです。他の場所よりね」
盆地? でも旧都の廻りには大きな山があるわけでもないし山に囲まれてもいない。
「王城の位置が一番低いんです。
傾斜が緩やかなのであまり気付きませんけどね。
要するにこの盆地は王城を中心に丸く落ち込んだような土地なんです」
な、なんかいかにも不自然な感じがするなぁ。
多少の起伏はあるけどこの国はほとんど平な印象なんだよね。
「旧都の場所は実は初代の国王・勇者オリーザが魔王と決戦をされた場所なんです。
ギリギリのところで逃げられてしまったんですがその後百年ほどは平和でした。
地形を変えてしまう程の戦いだったんです。
ココに本拠地をおいたのは多分魔王国に対する示威だったんでしょう」
地図を見せられた。
確かに王城を中心に真円と言っていいラインが引かれてたよ。
南の端に切れ目が描かれていて川のラインが引かれていた。
コレってもしかして人工な川なのかな?
「傾斜はさほどじゃあないですが中心に向かって水が集まったんです。
なので土魔法使い達や国王様が排水路を造ったんだそうで。
まあ……今の土魔法使い達じゃあ無理な気がしますけどね」
魔王と勇者の造ったクレーターみたいな物だね。
一体どれだけのエネルギーだったんだろう?
う~ん、そんな強力な魔王と戦ったのか……初代国王様。
でもまあ、オレって出番ナシ! なモドキで見習いな勇者なんだもんな。
そこまで大仰な戦いって無いよね……しなくてイイよね(汗)。
氷が張るくらいになったので冷蔵庫のための氷を造ってる氷魔法使いさんは少し
仕事が楽になったそうだ。
逆に言えば仕事が減ったって事だけど……
「今年の夏はアイスキャンディの仕事があったのでオカゲ様で懐が温かいんです。
多少仕事が少なくなってもご心配は要りませんよ。
お気遣い有り難うございます」
ふうん……多少はアイスキャンディも儲かってたんだね。
でもヒマになってるのか……
じゃあちょっとオレの遊び(笑。)の手伝いをしてもらおうかな。
オレが何をしようとしているかというと「リンク」だよ、「スケートリンク」。
冬っぽい遊びの定番! だよね。
スキーもそうだけどあいにくと旧都じゃあ雪はほとんど降らないそうだ。
夏にお子さまモニターズと水遊びをした場所を使う。
膝丈くらいの深さながらちゃんとプールだったからね。
水魔法で大量の水を出してソレを氷魔法で固めて貰う。
オレも出来るんだけどいささか経験が足りないんだ。
プールを一人で全部凍らせるには梃子ずりそうな気がしたんだよ。
二人でなんとか固めて表面を平に微調整した。
前世なら機械で削ってたりしたよなぁ。
そうしてあとは肝心なスケート靴!
ショートブーツはココにも有るのでブレードを錬金術で形成した。
靴底に取り付けたら出来上がり!
4回転半とかは無理だけどジャンプも回転も出来るんだよ。
久しぶりのスケートは楽しかった。
オレ一人で楽しんでたらミーアとトム・タムから「やってみたい!」と要望が。
うん……だからねミーア……
最初からスイスイとは行かないんだよ。
まずは立つ所からね。
手を繋いで上げるから……慌てない慌てない……
結局、ミーア達のコーチをするハメになったのでした。
お疲れさま~~。




