313・アップルパイ。
リンゴのケーキと言ったらやっぱりアップルパイだよね。
でもココにはパイが見当たらなかった。
ピザパイは有ったけどね。
バターを練り込んで何層も何層も重なった「パイ」がなかったんだ。
バター……足りないのかなぁ?
「何代か前の勇者の助言で生乳を取るための家畜・オビスが普及しました。
それ以前は飼う農家は今よりずっと少なかったそうです。
量が増えれば加工して保存しようとする者も増えます。
バター・各種チーズ・ヨーグルトなどなど……
この国はオビスが他の国より多いんですよ。
バターが不足になったって話は聞いたことが無いですね」
それでもパイやパン生地にバターを練り込んだモノは見かけないからココには
存在しないと思って間違い無いと思う。
と言うことでレッツゴー! アップルパイ!
でも最初から大きなホールに挑戦して失敗するのも怖いのでハンバーガー屋さんの
長方形の油で揚げたタイプにしてみたよ。
勿論、パウンドケーキのように焼いたタイプのことも教えたけどね。
料理長さんはあっという間に両方仕上げちゃったよ。
は、早い!
「焼き上がるまでにこちらを揚げただけですよ。
食感がやっぱり違ってきますね。
バターを練り込んだだけで随分と別物になるんですねぇ。
いやぁ、面白いです。
バターはパンに塗るとか炒め物やソテーに使うんですけどコレも良いですね」
ペイストリーは焼菓子のことだと思って間違いないと思うけど料理も有る。
キッシュ・タルト・肉や魚なんかを入れたパイも有るんだ。
ミートパイは好物だったんだよ。
すぐ上の姉はお菓子作りが好きで散々試食をさせられたんだ。
でもパイでも甘くない料理系のパイの方がオレは好きだった。
がっつりお腹に溜ってくれる気がしたしね。
「なるほど……肉まんのように中に調味した具材を詰めるんですね。
そうか、生地にバターが入ってるから重めですがその方が良い人も居ますね。
ちょっとやってみますよ」
早い! 早過ぎる!
残り物をささっと調味して生地の残りに包んで試作なパイは完成した。
試食係は勿論! オレだ!
と思ったらいつの間に来たのかミーア達がじーっと見てたよ。
み、見られてると食べにくいよなぁ。
アップルパイを配って試作な料理パイを確保しよう!
でもアップルパイを食べながらコチラから目を離さないんだね……ミーア。
あーもうしょうがないなぁ。
半分分けてあげるから……料理長の味見用の分まで狙っちゃダメだってば!
そうしてみんなでメイド長に叱られたんだ。
だって食事の前にそんなに重めのお菓子やら料理パイなんか食べたら食事が
入るわけ無いよね。
まあ、料理長までお小言を喰らってたのはご愛敬だったよ。
「すいません……つい夢中になってしまって。
食事の方は今日は副料理長に任せる日だったんで油断してました。
大人と子供じゃあ胃袋から違うってことを忘れてましたよ」
う~ん……料理長のせいと言うよりオレのせいだよね。
ライア・メイド長さんそれくらいで勘弁してあげてくださいよぅ~。
ホール[Whole]全体の・すべての・全[総]
ケーキや食材等が、全形 (切らずに丸ごと) である状態。
ショートケーキのサイズに切られた個々は「ピース (piece) 」。
穴の[Hole]じゃあないですよ~。(笑。)




