302・技術移転。
「絵本の他にもこの国で出来る物が有ったら教えて貰えると嬉しいわ。
戦争の影響はこの国にもあったのよ。
多少でも取り戻せるなら……ね」
簡単に言ってくれるねぇ。
技術移転しろ! って打診かね? コレって……
でも援助の恩は有るけど簡単に頷く訳には行かない。
国力が落ち込んだのはこの国よりオレ達の国だ。当事国だったしね。
なによりオレってそんなコトを決定する立場じゃあないもんな。
子供にそんなことを言われても困りますよ~。
「なるほど……ちゃんと逃げ方を知ってるのね(笑)。
前世の記憶が有るって聞いた時にはホントにそんなコトがあるのかって思ったけど
まるきり嘘って訳じゃあ無いのね。
どういう条件ならあの宰相はコチラの希望を叶えてくれると思う?」
予想は出来ますが決定事項は私の範疇じゃあありませんよ。
彼はお国第一の男です。
神殿に嫌われようが勇者や軍に煩がられようが気にも止めません。
この国に恩は感じているようですから完全に拒否はしないと思います。
でも今すぐ全部は無理ですしある程度国力が回復するまでは認めないでしょうね。
錬金術ならサンプル程度……あるいは単品くらいは出来るでしょう。
量を造って商売するとなると職人が出来る技術に整えてその技術を磨かせないと
いけません。
あの贈答品はほとんどが国で一番の錬金術師の作品です。
職人に大量生産させるべく特訓中なモノなんです。
宰相が了承してもコチラに技術移転出来るまでにはかなりの時間が掛かると
思いますよ。
「ふぅ~ん……そこまでバラされるとは意外よねぇ。
この国でその錬金術師を引き抜くなんて思ってないの?」
あー……なるほど……そう来たか。
自前の錬金術師でなんとかして下さい。
贈った品をサンプルにすれば腕の良い方ならなんとかなると思いますよ。
単品の製作くらいならね。
たとえ勧誘されても彼女は結婚したばかりです。
新婚さんの幸せに波風を立てないでいただきたいのですが?
「ほら! またオリーザの情報が漏れてるわよ。
そういうことは隠しておこうとか思ってないの?
結構、機密情報だと思うんだけど(笑)」
この程度のことならコチラの国の情報収集ですぐに判明することですよ。
特に隠そうとは思ってませんしね。
独占を禁止する法律も特許に関する法律も存在しないもんな。
まるきりのコピーは嫌われるという暗黙の了解のようなモノが有るだけだからね。
オレと話して色々情報を集めたのはこの国の王妃様だった。
結局この国では職人を何人か派遣して技術を学ばせることにしたようだ。
勿論見返りもある。
もう暫くの援助の延長ということらしいよ。
有り難いね。
宰相閣下のお仕事はまた増えたみたいだけどね(笑)。




