301・オリジナル。
目の前に並んだ女性達にビビったね。
王太后様と同じくらいの方から最年少は五・六歳に見える方まで勢揃いしてたよ。
贈り物を選ばれたのはルゥナ王妃様なのでオレに苦情を言われても……
「別に苦情を言いたい訳じゃあないわ。
むしろお礼をルゥナ王妃様に伝えて欲しいのよ。
どれもこれも全部とっても素敵だったんですもの。
もっとあるなら分けて欲しいと思っただけよ」
「あのね! 私、絵本がもっと欲しいの!
キレイで楽しくて……もっともっと読みたいの!」
「もう! だから順番よ! 順番!
アナタは一番ちいさいんだから一番最後って言ったでしょ!」
あー……ソレは反対だと思いますよ。
小さい子のほうが我慢してられないんだ。
お兄ちゃんやお姉ちゃんは我慢させられるのに不満でも我慢できるんだよ。
ハッキリ言って小さい子って自然そのものに近いんだ。
まあ、その辺りに親や兄・姉たちは振り回されるんだけどね。
絵本はこの国にも商人達が輸出させていただいてますがソレに何か不備でも
ありましたでしょうか?
「ルゥナ王妃様の贈って下さった物はココに商人達が運んできた物とは別物よね。
だから最新の作品だと思ったのよ。
新しい……そう! 最新の物が欲しいの!
まだ誰も持ってない最新作が!」
随分と力が入ってるなぁ。
別の国とはいえ文化的な差はあまり感じなかったからこの国でも作ろうと思えば
絵本なんて簡単なんじゃあないだろうか?
皆様、教養もお持ちのようだし自作なら思い通りの作品になると思いますが?
「お話を自分で作れ! ってこと?
作れても絵なんかは無理だわ。
あんなキレイな絵を描けって言われても……」
我が国の絵本も下絵は文を書いた人が作ったりしますが仕上げは本職の画家です。
肖像画・風景画・静物画とそれぞれ得意な分野があるようで共同作業で仕上げたり
してますよ。
印刷しやすいようにシンプルな絵にすることもあります。
まあ、プロに頼まなくても自作となればソレは世界で一冊だけのオリジナルです。
同じモノをたくさん作るのは商売に出来ますがオンリーワンなモノって貴重です。
とまあ、せっせとおだてつつオネダリばっかりしてないで自分達でなんとかしろ!
って方向に誘導した。
献上するのを断りたいわけじゃあないよ。
むしろせっせと献上したいくらいなんだ。
マスコミってほどのモノはないからほとんど全部が口コミだからね。
王家の方が欲しがるモノって知られれば大きな宣伝にもなるだろうし。
それでも「オリジナルの勧め」をしたのは「独占」は排除したほうが良いからだ。
独占が独善にならないと誰が言えるだろう。
子供のための絵本でも「本」なんだ。
自国独自の物をやっぱりソレゾレで持つべきだと思う。
それに競争相手が居た方がお互いの為に良いのは自明の理なんだしね。
「言いたいことは分かったわ。
確かにそうね。
ルゥナ様はこの国の出身の方だけどもうオリーザの王妃様なんですものね。
オリジナル絵本……やってみせましょう!
でもソチラの最新本はやっぱり欲しいわ。
献上でなくてちゃんと対価を支払うから優先で廻してくれると嬉しいんだけど」
末の姫のご希望もあって王家の女性達は頑張りました。
オリーザにできてアーリウムに出来ないはずは無い! と対抗心も湧いたようです。
キレイな仕上がりのアーリウム国製の絵本はルゥナ王妃様に届けられました。
実家の国から来た絵本を王妃様は喜ばれたそうです。
よかったね。




