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今 11
『希望』のガーベラ。『感謝』のカスミソウ。『門出』のスイートピー。まだ、胸を張ってこの花をお墓に供えられはしない。でもいつか……いつか、笑顔であなたの思い出を語りたい。
ねぇ由梨奈、と呼びかけられる。
「どうして、この花を?」
「家にあったから」
「そうなんだ。……プランターもないベランダで花が育つとは知らなかった」
皮肉っぽく言った愛美は、それ以上は追求せずに笑った。
ありがとう、愛美。
私が自然に感情を顕していた頃。私はあの頃が懐かしい。まだ、1ヶ月も経っていないのに。
そして同時に――あの頃に戻りたい。
また自然に笑えるようになるまで、霧生のお墓参りはしない。笑顔になれたら、話そう。
すべてを。……ものすごく、恥ずかしいけどね。




