過去 11
「え、生け花してたの? 神納さんが?」
「うんそうだよ。ってどんな反応だおい」
「いや、別に」
「似合わないって言えよバーカ」
そういうことでしょと私は拗ねる。1年を締めくくるイベント、卒業式は明日だ。そして卒業式の準備に駆り出された私たち2年生は、出席番号でそれぞれの持ち場を決められていた。
私は来賓者の控室に花を置いていく係。2人いたら十分とばかりに、私と霧生が担当だ。
まぁ、あれ以来ぎすぎすしてる女子と一緒にやるよりは遥かにマシかな。
「それ、直すの?」
「そりゃ生け花してたし。それにこれは変だよ。バカみたいな生け方」
「わー、ひっど。手伝う?」
「いや、手伝うとこはない」
「ハッキリ!」
だってホントにないし。そう言いつつ、手を動かす。すぐに綺麗に生けて、指定された場所に置く。
「これ、なんの花?」
「スイートピー。オシャレだね、卒業式にこれか」
「ん? なんで?」
ああ分かんないか、と口を開く。まぁ分かる人の方が少ないし。
「スイートピーの花言葉は、『門出』だから。卒業式にはピッタリでしょ」
「へぇぇぇ」
ものすごく感心された。……ま、まぁよかった。ここまでいい反応とは思わなかったけど。
「他に、なんかいい花言葉ないの?」
「んー……」
おばあちゃんに色々教えてもらったよね。なにがあったかな。
「あ。カスミソウとかガーベラとか。カスミソウは『感謝』で、ガーベラは『希望』だね」
「へー!」
そこから、なぜか興味を持ったらしい霧生にひたすら花の説明をし続けた。男子のくせに。まぁでも……こうやって話に興味を持ってもらえるのって、嬉しい。




