第26話 『変化した日常』
どうも、こんにちは、アラタです。
皆さん、ご機嫌いかがでしょうか?
俺は、ご機嫌です。
今まで色々ありましたが、最高の生活を送っています。
今が間違いなく、人生の最高潮と言っても過言ではないです。
いやぁ、異世界に来て良かったー。
本当にそう思うね。異世界に来て、こんな生活ができるとは夢にも思わなかった。
あのスタートですよ?スラム、魔物の襲来、その他諸々、大変なことがありました。
それでも、今に辿り着けたのなら、なんも文句がないね。
「ここが俺の人生の終着点や〜」
そんな寝ぼけながら、寝言を言っていると。
扉からドンドンと音が鳴る。
今までの俺なら、睡眠を妨害されていたらキレているところだが、今はそんなことはない。
今の俺には、このベッドがある。これがあれば、他に何もいらない。
一瞬、ドアの音で意識が覚醒するところだったが、また、意識をベットに預けようとすると――。
「アラタにぃ、まだ起きてないの!もう昼だよ、ご飯の時間だよ!」
「ご飯?」
あぁ、もう飯の時間か。
でも、あまり食べる気分じゃないな。というか寝てたい。ずっと寝てたい。このベッドに身を任せていたい。もう離れられない。
俺はもう完全にベットに依存している。その自覚はあるが、もう無理だ。離れられない、離れたくない。
「もうちょっと寝てるから、ご飯は置いておいて、後で食べる」
「分かった、もう!おにぃに怒られても知らないんだからね!」
「ぅん」
なんか、最後に言われた気がしたか、もう意識は薄れていたので、何を言っているかほとんど分かんなかった。
まぁ、いいだろう。起きてから考えよう。
※ ※ ※ ※ ※
「おにぃ、アラタにぃ、起きてこなかったから先に食べよ」
「そっか、ありがとう。食べよっか」
この展開に慣れているのか、あまり気にせずに食事を始めた。
だか、少し悩んでいる表情を浮かべている。
「アラタのこと、どうするべきかなぁ」
「アラタにぃのこと?別にいいんじゃないかな、あのままでも、本人は幸せそうだし、会った頃には考えられないような表情しているしさ」
そうなんだよね。アラタの顔を思い出すと、いつも警戒していたというか、切羽詰まっていたというか。
ちょっと、刺々しい雰囲気があったからね。
今では、本当に同一人物なのか疑いたくなるほどに。
「でも、このままだとやっぱ良くない気がするよ、ずっと寝っぱなしだし、生活習慣が乱れている。何より、もっと有意義が時間を過ごさないと本人のためにはならないよね」
「そうかなー?本人は幸せそうにしているし、私はいいと思うけどね。金はまだあるんだし」
「金の問題だけではないよ。それに、国がいつまで生活の補助してくれるか分からない。一生養える保証もないしね。うん、やっぱりこのままでは良くないね」
アラタがこの生活を続けているのは良くないとシンは思っている。
国に依頼をしてアラタも生活の補助対象にできたが、それもいつまで続くかも分からない。
自分の力だけで生活できるようにしといた方が良いだろう。
今なら、色んな選択が取れる。
その選択を有効活用しないと嘘だよね。
「よし、決めた。アラタを学校に入れる」
「うーん、絶対入らないよ。前みたいに駄々こねられるだけだよ」
「今回は、もう言わずに学校に入れることにするよ」
「絶対アラタにぃ、文句言ってくるよ」
「それでも、構わないさ。アラタの人生が良くなるならね」
この選択が正しいか分からない。
恩着せがましい選択かもしれない。
でも、今のままではアラタの人生が豊かになるとは思えない。
今はこのままでも良いかもしれないが、この先状況が変わってくるかもしれない。
そのためにこの選択をした。迷う必要もない。
嫌われてしまうかも知れないけど、アラタの人生が豊かになるなら構わないよね。
「おにぃがそう言うなら良いけどさ、私は知らないよ?アラタにぃが文句を言って暴れても」
「えー、なんとかしてよー、テアぁ」
「知らなぁい」
知らないと言いつつ、いつも何とかしてくれるのがテアだ。
もし、僕だけでアラタを説得するのが難しければ、テアと一緒に説き伏せよう。
二対一だ、アラタも納得してくれるだろう。
学校に行けば、色んな人と出会える。
知識も得ることができる。
良いことだらけだ。行かない理由はない。
学校に行ける人なんて、数が限られているのだから、今行けるこの状況で行かないのは勿体ない。
そこは、アラタも分かってくれるはずだ。
それに、僕はアラタと学校に行きたかったしね。それも楽しみになってきた。
この選択はアラタのためと言いつつ、僕のためかも知れない。
今にしてそう思った。これからアラタと学校を通う未来が楽しみで仕方ない。




