第2話 初めてのログイン
光に包まれていた視界が開け、じゃりっと足音が響く。
「おおー……」
私は感嘆の声を上げながら周囲を見渡す。ここは王宮の中庭だ。こう一気に世界が広がるのはゲームの始まりを実感できてワクワクする。
周囲には様々なプレイヤーが。ヒューマンにエルフにドワーフ、ワーウルフとワーキャットにナインテイルとミノタウロス。バードマンとハーピィと……初日なので多種多様の種族が集まっている。
確か、この中庭で一定人数集まるとイベントが始まる……と思ったら始まった。
ラッパの音が響き、バルコニーから国王様が現れ、私達に話し始めた。
どんな話かというと、このアストリア王国を覆っていた霧が突然晴れ、外の世界が広がったとのこと。
その外の世界調査を私たち冒険者に頼んできたのだ。
王様の話が終わり、解放された私たちはお城から出た。ここから自由行動だ。
早速、近くで待っているという、赤さんことスカーレットを探す。
「いたいた。やっほー、スカーレット」
スカーレットは簡単に見つかった。城門から少し離れた城壁に寄りかかってゲームウィンドウを開いて何やら操作している。
しかしまぁ、赤毛の猫なんてよく目立つ。しかも猫耳と猫尻尾が生えただけの一割猫な姿ではなく、猫がそのまま直立して二足歩行している九割猫な姿なので余計に赤い毛並みが映える。
私が手を振りながらスカーレットに近づく。スカーレットもこちらに気付き手を振り返した。
「やっほー、ハル」
「お待たせー……って、どうしたの?」
スカーレットはまじまじと私の姿を見てくる。
「いや……色合いが雀だなぁって」
「うん、雀チック」
「その言い方は気に入ってるわね」
「まぁね」
お返しとばかりに私はスカーレットの姿をまじまじと見る。
赤毛と白毛の撫でたい毛並み。魔法のローブを身に纏い、右手にはロッドを持っている。
確かワーキャットは素早く動ける魔法使い、といった感じだったはず。すばしっこく動き回り、かく乱しながら魔法を飛ばしてくるとか。
「で、なんかついてる?」
「ううん。とりあえず撫でたいなーって」
「ダメー」
「けちー」
こんななれ合いもいつものことだ。
「さて、早速だけど狩りに行こうか。まぁ、今はどこも混んでいるだろうけどね」
そんななれ合いを早々に切り上げ、スカーレットが提案してくるが。
「あー……ごめん。これからちょっとトレーニングルームに籠りたいかな」
「トレルに?」
「うん。空飛ぶ練習をしたいかなって」
「あぁ、バードマンやハーピィの華だからね」
「それもあるけど、流石に私も自前の翼で飛ぶってのは初めてなもので」
「それもそうか」
ぶっつけ本番で飛ぶのは流石に不安がある。ある程度は自由に飛べるようにしておきたいのだ。
「そういうわけで、どれくらいかかるかも解らないし……いきなり別々になっちゃうと思う。ごめん」
「しょうがないね。まぁ一応他にツテがあるから、気にしないでトレーニングしてきて」
「そうなの? 誰と?」
「それは後のお楽しみ」
「けちー」
私はスカーレットに軽く文句を言いながらゲームメニューを開く。トレーニングルームはメニューから自由に行き来できるありがたい仕様だ。
「それじゃ、引きこもってくるね」
「行ってらっしゃい」
私はスカーレットに手を振って光に包まれ、トレーニングルームへと移動した。




