8 夢幻の双刃の巻 6
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。
シンディ:旅の途中で拾った、人造人間種族のメイド少女。
城と森の間の荒野で、互いに駆け寄り間合いを詰める二機の人造巨人。
ハイマウンテン勢最強の二機の戦闘が始まった。
ニンジャ型機・ヒエイマルが、日輪の頭部を持つ侍・Sサンライザーに挑む!
突進しながら手裏剣を投擲するヒエイマル。
さらに抜群の機動力を活かし、サンライザーの周囲を、円弧を描く軌道で走って手裏剣の雨を見舞う。
予想以上のスピードに、荒野の縁で観戦している仲間達も驚く。
「は、速い!」
「ゲイルイーグルも大概な高機動機だが、あれは明らかにそれ以上だにゃー」
スフィル王子が目を丸くし、シャンマウは感心する事しきり。
四方から無数の手裏剣を浴びるサンライザー。
全身をズタズタにされるしかない‥‥筈だったが、機体の周囲に光のカーテンが生じる。
そのバリアにより、手裏剣はことごとく蒸発してしまった!
『無駄だ。まだまだこの程度じゃ話にならねーよ』
サイシュウが嘯くや、サインライザーの頭部が輝き、太い熱線が発射される!
軌道の先を読んで放たれた熱線は、ヒエイマルを捉える完璧な位置とタイミングで撃たれた。
だがヒエイマルが虹色に輝くと、その姿が幾重にもぶれて分散する!
分身の術——熱線はその一つを撃ち抜くが、それは影の一つに過ぎない。機影は光となって散る。
残るヒエイマル達は抜刀し、周囲から雪崩を打つように飛びかかった!
だがサイシュウは全く動じなかった。
『厄介なモノは無しにしてもらうぜ』
その頭皮が輝く。
するとヒエイマル達が一瞬で消え去った——残るはただの一機だけ。
間髪入れずに刀を一閃させるサンライザー。
今度は分身できず、ヒエイマルはその一撃を受けて吹き飛ばされる!
胸部の装甲は無残にも大きく裂かれ、火花が散っていた。疑いようのない大ダメージである。
キラーの肩でストライクが体色を赤く変化させていた。
空亡の獣人であるサイシュウの反則能力により、ヒエイマルの分身能力は消されていた。
分身が消されたのではない。分身を発生させる能力が消されたのである。
キラーの危機に、マンドリオは溜息をついた。
「やはりまだ荷が重いのですかな」
ソフィアは焦りながら地団太を踏む。
「ああもう、何でも消し放題って、ちょっとズルくない?」
「ほんとダッセーHAGEですね」
ゲソを齧りながらジト目でサンライザーを睨むキャシャロット。
デバフも立派な間接攻撃ではあるのだが、彼女はサイシュウが気に入らないのでそこら辺はどうでもいいのだ。
『外野うるせーぞ』
サイシュウの苛ついた声が通信機から漏れた。
それを聞きながら——キラーは思った。
(荷が重いというのは、間違っていない)
と。
しかしヒエイマルを踏ん張らせ、再び立ち上がらせるのだ。
(だが容易い相手だけの楽な道のりでは‥‥俺の欲しい物は手に入らない)
傷ついた機体を、一体化した操縦者の闘志が後押しし、その動きは力強い‥‥!
手に持つ刀をヒエイマルが再び構えた。
早朝の空に暗雲が立ちこめ、稲妻が落ちる!
それを受け止めた刀が電撃を纏った。
「邪道雷刃剣‥‥!」
眩く放電する刀を構え、ヒエイマルは跳ぶ。
だが単身で跳び込んでは格好の的だ。
サンライザーは迫るヒエイマルへ熱線を放った。
今度こそ撃ち抜く——と見えた、熱線を浴びる刹那、ヒエイマルは再び虹色に輝き、二体に分身した!
『なにィ!?』
消した筈の能力を使われ、驚愕するサイシュウ。
「転否先杖の術‥‥!」
キラーの呟きとともに、サンライザーの左右からヒエイマルが同時に稲妻の剣を見舞った!
サンライザーの周囲に光のカーテン——バリアが展開する。
しかし稲妻の剣はバリアを切り裂き、サンライザーの装甲に食い込んだ!
『チィ! オレのバリアを破れるか! それに消した筈の分身が、なんでだか!』
激震する操縦席で叫ぶサイシュウに、キラーは通信を送る。
「俺は忍者、ヒエイマルもまたニンジャ。どちらの能力を消そうとどちらもがバックアップとなり、消された方へデータを再度書き込む」
生きているニンジャロボ・ヒエイマルに、上位達人レベルの忍者・キラーが乗るからこそ可能な術!
だがしかし。
『ははっ! やるな! でもよ!』
サイシュウは笑った。
次の瞬間——ヒエイマルの片方が消えた。
そして、残るヒエイマルの握る稲妻の剣も!
サイシュウは笑っていた。
『悪いな。消去が繰り返せないと言った覚えも、二つ以上は無理だと言った覚えも無いぜ!』
サンライザーのモニターにはヒエイマルのデータが映っていた。
操縦者・キラーのステータス画面からは【分身】の技能が消されていた。
機体・ヒエイマルのステータス画面からも【分身】の技能が消されていた。さらに武器欄の【ニンジャ刀】も!
「ブサなうえに敵を下げる戦い方とか、本当に生きてる価値ないのう」
セファラス女王が心底嫌そうな顔でこぼす。
外野はおいといて、サイシュウは叫んだ。
『そして食らえ! ディスインテグレートフィンガー!』
原子分解の光がその掌に宿り、サンライザーが貫手を打ち込む。
最大の攻撃が炸裂し——ヒエイマルが貫かれた!
設定解説
・ブサなうえに敵を下げる戦い方とか、本当に生きてる価値ないのう
なおこれを言ってる本人の得意手も、地形を書き換えて敵の戦闘力を激減させる技である。
他人への批難は自分を対象としない‥‥これは世の中でよく見る光景だ。




