その頃、別の場所にて 8
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。
シンディ:旅の途中で拾った、人造人間種族のメイド少女。
——真魔怪大隊、最大の基地——
砦の広い廊下を、スターゲイザーが足早に歩く。
帰還してすぐ、大きなダメージを受けた機体を修理にまわし、己は自室へと向かっていた。
その足取りは、彼が苛立っている事を露わにしていた。
廊下を歩く魔物兵どもも、不機嫌な彼を恐れ、びくびくと遠巻きにすれ違う。
さわらぬ神に祟りなし。
その筈なのだが、スターゲイザーの前に三人の人影が姿を現した。
顔は——シルエットになっていて、定かではない。
だが、魔物兵の類では無い。れっきとした人間である。
となると、スターゲイザーが他の世界から召喚した聖勇士となるが‥‥それらは大概が暴力的で不良めいた者達だ。中にはこの世界の野盗に感化され、ホッケーマスクやトゲ肩パッドで武装する者さえいる。
しかしこの三人にはそんな雰囲気は全く無かった。
「まさかあんたが逃げ帰って来るとはね」
溜息混じりに、一人が言う。
「次は俺が行こうか?」
別の一人が、軽く笑いながら。その笑顔には爽やかささえあった。
「‥‥」
最後の一人は、黙ったままだ。
じっとスターゲイザーを覗っている。
そんな三人に、スターゲイザーからの答えは——
「いや。攻撃は一旦中止だ」
やや苦々しくも、そう言い切った。
「へ?」
笑っていた者が、呆気にとられたような、拍子抜けしたような声をあげた。
「‥‥」
黙っていた者は、まだ黙っている。じっとスターゲイザーを覗いながら。
「ではどうする?」
溜息をついていた者はそう訊いた。
彼は「攻撃は中止」と聞いたのを「別の行動をとる」と解釈したのである。
果たして、スターゲイザーは‥‥
「シソウ国に連絡をとる。同盟は成立する、とな」
次の一手を明確に告げたのだ。
「ああ、予備のプランを採用ってわけか」
納得し、その者は再び笑った。
「多少遠回りになるが、慎重策の方が良いと、始めから思っていた」
溜息をついていた者には僅かばかりの批難があるようだが、その口調から、彼もまた納得している事は窺える。
「‥‥」
ただ一人、ずっと黙っている者がいるが。すぐに何かを言うつもりは無いらしい。
三人の影は姿を消した。
一人になったスターゲイザーは改めて歩きだす。
だが、行く手には先ほどの影の一人が‥‥。
「‥‥」
無言だった影である。
他の二人が去るのを待っていたのだ。
「なんだ?」
スターゲイザーが尋ねると、影はようやく、小さな声で訊いた。
「大切な人がいるのなら、まずその救出に全力をあげては?」
しばし、スターゲイザーは影を睨む。
だが言葉を選びつつ、静かに返した。
「できる範囲でやる。それはその程度の事だ」
影は‥‥窺うように訊いた。
「本当にそれでいいと?」
「くどい!」
思わず。スターゲイザーは荒い声をあげていた。
「‥‥」
今度こそ、影は消えた。
それ以上、何も言わずに。
スターゲイザーは杖を握りしめた。
乗っていたケイオス・ウォリアーが持っていた物と、サイズ以外は全く同じ杖。己の得た能力が物質となった杖。
手に力が籠り、ぎりぎりと握りしめる。
「今の僕がやるべき事は、手に入れられる物全てを手に入れる事だ。僕にはわかっている」
スターゲイザーは呟いた。
周囲には誰もいないが。はっきりと、そう言って聞かせたのだ。
設定解説
・しかしこの三人にはそんな雰囲気は全く無かった。
とりあえず三人とも黒いシルエットで覆われた半裸の屈強な男だ。
そう思っていてくださればまぁ間違いは無い。




