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7 神技炸裂の巻 6

登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)


キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。

ストライク:森で見つけたカメレオン。

サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。

ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。

ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。

スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。

アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。

セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。

スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。

シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。

『私が書いた事は、他の反則能力(チートスキル)で起こそうとした事を跳ね除けてでも実現される!』

 スターゲイザーの声に力が籠った。

『頭の中でならばどんな優れた物でも生み出せよう。誰であろうとも。だが表現し、形にするというなら全く別の次元。断言しよう。脳内の名作は実際に書かれた凡作に及ばない——これは執筆を試みた事がある者なら必ず知っている絶対の事実だ!』


「‥‥なんで小説か何かを書く時の話になってるの?」

 怪訝な顔で首を傾げるソフィア。

 そのすぐ側でキャシャロットも同じ角度で首を傾げる。

「ペンの形をした能力だからですかね?」


 だがしかし。

 戸惑う者も多い中、そうではない者もいた。

 Sサンライザーが、がっくりと膝をついているではないか‥‥!

「サイシュウさん‥‥?」

 スフィル王子が、ただならぬ気配に不穏な物を感じながらも通信機ごしに呼び掛けた。

「ダメだ‥‥この反則能力(チートスキル)の上にはいけねぇ‥‥!」

 操縦者サイシュウからの声は、深い絶望の底から響いてきた。



 サイシュウはスターゲイザーの能力と、その自信を認めてしまった。

 抗う気力を失っていたのだ。


 何故か?

 誰が知ろう、その理由——サイシュウ自身、遠い遠い昔、小説の執筆に挑戦した事があったからである!


 それは地球という世界での、彼が学生だった頃の思い出。

 インターネットを介して投稿した、彼の数少ない精一杯の全力。

 もちろん目なんか全く出なかったけど、彼にとっては細(ささ)やかに煌めく、懐かしい思い出だった‥‥。


 そしてそれがどんなに小さくちっぽけであろうと、彼は彼自身の微かな輝きを、自ら否定はしない。

 できない。

 だから、彼はスターゲイザーの能力【禁断の魔筆(アストラルフォージ)】を認めてしまった。

 そうするしかなかったのだ。



 まぁ膝をつくサイシュウは他所に、スフィル王子は倒れた乗機からスターゲイザーに食ってかかる。

「思った通りの事が何でも起こせるって、そんなの神様じゃないか!」

 言われたスターゲイザーは——堂々と、傲慢に言い放った。

『そうだ。これは神の力だ』


「え? はい?」

 相手が何を断言しているのか、わけがわからないソフィア。

 だがスターゲイザーは自信をもって告げる。

『先の魔王軍により、神々最大の園は壊滅した。幾柱もの神が命を落として、な。今やその園は放棄され、誰もいない。倒された神々の血を吸った戦いの跡があるだけだ』


 この場にいる者のほとんどにとって初耳の情報。

 インタセクシルには神々が集う聖域があり、それは先の魔王軍により壊滅した。

 この突拍子もない話をいきなり聞かされ、ほとんどの者は困惑するばかりだ。

 しかし、スターゲイザーは相手の戸惑いなど全く意に介さない。


『私はそこへ行った。辿り着いた。神々の滅びた国の、戦いの跡に。いまだ多くの神々の血と怨念が夥しく残る地に』


 彼の言葉は、周囲の者に聞かせるたというより、己へと語っているかのようだった。


『そこに残る血痕から神力の残滓をかき集め、自らへ吸収し、私はこの反則能力(チートスキル)を得た‥‥いや、造り上げた。辿り着く事自体が難行であり、この身に神の力を宿せるかどうかは賭けであり、流れ込む力に命の危険を感じもしたが‥‥私はこの世界で己の意を通せる力を得た!』

 Sハンドレッドアイが杖を高々と掲げる。杖の周囲には虹色のオーラが揺らめいていた。



 己のみが意を通し、望みを顕現させる力。

 神のごとき、は当然。

 まさにこの世界の神々から創り出された力なのだから‥‥!



「ど、どうするのよ、これ‥‥」

 もはやソフィアには慄(おのの)く事しかできない。

 キラーは地に伏し、サイシュウは膝をつき、他の者もとうに倒されている。

 もはや烏合の衆となっているハイマウンテン勢を前に、スターゲイザーは高らかに叫んだ。


『私は宣言する。この地を私が掌握し、頂点に立つ事を! ヘイゴー連合は消滅する。新たな国を私が興すからだ!』


 己が王となり、新国家を建てる。

 それがスターゲイザーの目的だった。


「そんな‥‥一体、何が目的で?」

 ソフィアがそう訊いたのは、本心から興味があったから‥‥ではない。

 半ば反射的なものだ。野望を剥き出しにした男への。


 そんな彼女の半ば呆けたような声に、スターゲイザーは「ふん」と小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。

『目的? それが聞きたいのか。まぁいい、教えてやろう‥‥』

設定解説


・遠い遠い昔、小説の執筆に挑戦した事があったのだ


サイシュウはかつて、21世紀の地球で暮らす少年だった。

ゲームとアニメとマンガとネットサーフィンが大好きな根暗な少年で、アニメ原作者の作品に影響されて自身もネットの無料小説サイトに投稿していた事がある。

1回更新ごとに片手の指で足りるPVしか出せず、客観的には散々なだけの結果で終わった。


しかし、どこかで見たような主人公が息をするだけで女にモテモテになり敵を一方的に無敵スキルでワンパンしていく転生ファンタジー全99話を最後まで書ききった事は、地球での数少ないかけがえのない思い出の一つなのだ。


その後、事故にあったクラスまとめて異世界へ転生し、その世界で空亡の獣人として生まれ変わり、かつてのクラスメイトが転生した連中に「前世の仕返し」をし続けながら旅をしているうちに、このインタセクシルへ召喚されてしまったのである。


自分が最終話まで書ききった小説は、陽の当たる場所へ出なかっただけで絶対に面白い‥‥と、彼自身は今でも信じている。

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