7 神技炸裂の巻 5
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
スターゲイザー:主人公達を地球から集団転移させた魔術師。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。
「馬鹿にゃ‥‥キラーが敗れた‥‥?」
信じられない顔をしてシャンマウが呻く。
地に落ちたイーグルをモニター越しに一瞥すると、スターゲイザーは乗機Sハンドレッドアイを王城へ向かわせようとした。
だがその行く手に立ち塞がる機体がある。
「おっと、させねーぞ」
Sサンライザーの操縦席で、サイシュウが睨みつけていた。
その目には普段の余裕は無い。
「悪いが反則能力全開でやらせてもらうぜ!」
サイシュウの頭皮が輝き出した。
『それを止める事はできないな』
そう言う割にはスターゲイザーは落ち着き、Sハンドレッドアイに長い杖を振り回させる。
先端の輝きが宙にいくつもの文字を描いた。
だが何をやろうと無駄な事。
サイシュウは持ち前の反則能力で、スターゲイザーの魔法技能レベルを消したのだ!
彼が望めば、いかな物でもこの世に存在しない事にできる。
‥‥筈だった。
だがどこからともなく飛んできた金槌が、Sサンライザーの頭に直撃!
衝撃でサンライザーは一たまりもなく倒れる。
「なにィ!?」
驚愕するサイシュウ。
そして通信機から、敵の涼しい声が届いた。
『止められないのは私の前に立ちはだかる事であって、私に向けられた能力なら止められるがな』
そしてサイシュウは、モニターに映る敵のステータスがいっさい変化していない事を知った。
何も消去できていない。
サイシュウの反則能力に不発や失敗など無い筈だ。成功判定が必要な物ではない。発動を選択すれば効果が発揮される物なのだ。
だが、サイシュウは‥‥以前にも己の反則能力が利かなかった経験がある。その時の事を思い出し‥‥
「まさか‥‥こいつもオレとの能力差がそこまであると!?」
『いや。そういうわけではない』
だがサイシュウの予想を、スターゲイザー本人が否定した。
ならば何故なのか。
『正確には、現実に干渉する私の反則能力が貴様のスキルと優先権を奪い合っている‥‥という所か。確かそちらは【望んだ物を消す能力】だったな』
そして自ら、己の能力を明かした。
『私は【望んだ事を起こす能力】だ』
「はあ!? なんでもありじゃねーか!」
流石にサイシュウもこれには驚愕。
思わず抗議の声を上げる。
だがスターゲイザーは「ふん」と鼻を鳴らした。
『異世界転移者の反則能力に向かって今さらだな。どいつもこいつも、スキルを手に入れたらなんだかんだ屁理屈をつけて拡大解釈、望み通りの事を実現しているだろう。私は面倒な言い訳を初めからしていないだけだ』
しかしサイシュウは納得できない。
「だがオレの能力を無効にして、自分だけ優先させるなんざ‥‥」
スターゲイザーは自信をもって、尊大に告げた。
『できるさ。むしろ優先権の奪い合いこそ、私の舞台のようなもの。この私のスキル‥‥【禁断の魔筆】ならばな』
その言葉とともに、Sハンドレッドアイの握る長い杖が輝きを放つ。
虹のような光彩を帯びた輝きを。
それはアイテム作成などで見る事のできる、異界流の輝きだ。
「ケイオス・ウォリアーの装備? そんな物があるなんて‥‥」
驚き、慄くソフィア。
しかしスターゲイザーは——
『いいや違う』
否定したではないか。
彼の乗機が杖を高々と掲げた。
『私の能力をケイオス・ウォリアーに装備させているからこの大きさになるだけだ。普段は生身サイズの杖として生身で装備している。半実体化してはいるが、本当はあくまで私の反則能力だからな』
「筆‥‥そう言えばさっきからあの杖を振り回すと宙に字が書かれるわね」
ソフィアはこれまでの戦いを思い出す。
『そうだ。私が書いた事が現実となる。そういう反則能力だ。そして書く以上、他者の能力よりも優先して実現するのだ』
絶大な自信をもって告げるスターゲイザー。
己の能力が他者より優位である事を、微塵も疑っていなかった。
「なんで‥‥?」
疑問を覚えるソフィア。
相殺するならともなく、なぜスターゲイザーの能力だけが通るのか?
その答えを、本人が惜しげも無く、隠す事もなく明かす!
『書いているからだ』
「は?」
ソフィアには、呆けた声を出す事しかできない。
そんな彼女に、スターゲイザーは至極当然の事のように告げるのだ。
『わからないのか。勝手に決めて口で言うだけなら誰でも何でも好きにできる。それだけなら、誰でもな』
ハンドレッドアイが杖の先をバエナガメランに突きつける。
『だが私は実際に書いている』
なるほど、よく見れば杖のデザインはどことなくペンを模した形をしている。
話ながらも、その先端は輝き続けていた。
スターゲイザーの声に力が籠った。
『頭の中でならばどんな優れた物でも生み出せよう。誰であろうとも。だが表現し、形にするというなら全く別の次元。断言しよう。脳内の名作は実際に書かれた凡作に及ばない——これは執筆を試みた事がある者なら必ず知っている絶対の事実だ!』
叫び、言い切る。
力強く。確信をもって。そうでなければならないと言わんばかりに。
そして、彼は声にさらなる力を籠めるのだ。
『だから私が書いた事は、他の反則能力で起こそうとした事を跳ね除けてでも実現される!』
設定解説
・書いているからだ
まぁどんな能力も発動した時点で「形にしている」のではあろうが、スターゲイザーの【禁断の魔筆】は+αがある事でその上を行く、とでも表現するべきなのだろう。
だが彼がこんな説明の仕方をするのも、彼の過去にちょっとした理由がある。
いずれ明かす日も来るだろう。多分。




