7 神技炸裂の巻 3
登場人物の簡易紹介(誰かわからない奴がいた時だけ見てください)
キラー:主人公。召喚された元高校生。クラスチェンジアイテムによりニンジャとなった。
ストライク:森で見つけたカメレオン。
サイシュウ:ダンジョンで出会い、仲間になった異世界の上級冒険者。
ソフィア:共に召喚された吉良の同級生。日米ハーフの少女。
ティア姫:吉良が身を寄せるハイマウンテン王国の姫君。
アリン:コリーン国の女騎士。クマ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
マンドリオ:ニスケー国の将軍。ゴリラ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
キャシャロット:カパード国でキラーに買われた元メイドの奴隷少女。マッコウクジラ獣人。
セファラス女王:カパード国の女王。ハダカデバネズミ獣人。キラー達に敗れて軍門に降る。
スフィル王子:アーマルベン国の王子。キラー達に加勢した縁で仲間に加わる。
シャンマウ:ウェスパレス国の女グラップラー。ネコ獣人。
高速飛行するCバエナガメランがハッチを開け、そこから次々と白銀級機が跳び下りる。
「ウェハッハー、騒がしいな。ガンギエイでもいるのか」
アリンがCクマーベアーの中から真魔怪大隊の軍を嘲った。
己の遥か頭上を越えて行く艦を尻目に、Cデッドギャングは降り立った機体へと身構える。
『“喧嘩”るのかよ? ハンパねぇぞ!』
操縦者の不良少年は吠えた。機体性能的には不利な筈だが、理解していないのか。よほど己に自信があるのか。
まぁどっちにせよ関係無かった。
キラーのSゲイルイーグルが、敵機の後頭部に必殺の足刀を叩き込んだのである。敵機は首を刎ねられた!
『ウギャァア!』
断末魔をあげる操縦者。倒れるデッドギャングを見下ろしながらイーグルが着地する。
キラーの声がエコー付きで響いた。
「邪道影殺拳(けん・けん・けん)‥‥」
キラーは皆と一緒には降りなかった。
艦が敵の頭上を越えてから、敵の背中めがけて急降下し、そのまま攻撃に移ったのである。
頭上も背後も人の死角である。そこから攻めるのは戦いの定石だ。
「いいのかそれ?」
呟く木戸に、モニター越しに頷くキラー。
そして味方に檄を飛ばした。
「残敵を掃討せよ!」
「「「オー!」」」
威勢よく叫び、味方一同は狼狽える真魔怪大隊の雑兵達に挑みかかった。
アリンのSクマーベアーが爪で、マンドリオのSヒババブーンがラリアートで、次々と敵を薙ぎ倒す。
逃げようとする敵機が酸素半減空間に囚われた。セファラス女王のSモールラットがそれらをドリルで貫く。
結界の外で浮足立つ敵機に、スフィル王子のSハンマーヘッドが槍を突き出した。貫きつつも頭突きを見舞い、的確に一機ずつ倒していく。
そこへ応戦しようとする相手へ、シャンマウのSマーシャルカラカルが跳びかかる。ネコ獣人のような姿の機体は、その敏捷性でもって凄まじい速さの蹴りを連続で繰り出し、次々と敵を仕留めた。
それらの遥か後方で、サイシュウのSサンライザーは腰を下ろして一服していた。一応、防壁の門の前に陣取ってバリアーを張っているので、敵の進入を防ぐ役目は果たしている。
肝心の敵は他国からの出向勢が倒して、来ないのだが‥‥。
「うわぁ、皆さんお強い」
「ナメた事してるバカもいますがね」
ブリッジでモニターを見ながら騒ぐ、シンディとキャシャロット。
既に敵数は半分を割り、残る敵機も腰が引けている。それを見たティア姫が艦外へ通信を送った。
「撤退してください。勝敗は決しました。逃げてください、お願いします」
だがしかし。
「敵の増援よ!」
戦闘MAPモニターを見て叫ぶソフィア。敵軍の後方に新たな部隊が現れたのだ。
その部隊から通信が入る。
『勝敗は決した、と言ったか。それはこの状況でもかな?』
増援の最奥から姿を現すのは――漆黒のフードローブを纏った、魔術師のような、死神のようなケイオス・ウォリアー。
『まぁ間違った予想ではない。こちらの勝利で‥‥ではあるが』
操縦者がモニターに映った。紫色のマントを羽織り、鉄の兜と仮面で顔を隠した魔術師が。
キラーが鋭い目でそれを睨む。
「スターゲイザー‥‥」
攻撃軍を率いているのは、敵の首領‥‥!
ブリッジに緊張が走る。
その時、ソフィアの側にあるモニターが点灯した。そこに青い顔をしたサンタナ王が映る。
「今、同盟国の友軍達から連絡があった。その、こちらへの援軍は‥‥よこせないと」
「なんですって!? 見限られたんですか!」
ソフィアの権幕に、サンタナ王は「あ、いや‥‥」とたじろぐ。
「そうじゃないんだ。こちらに向かっては来てくれたそうなんだが、途中でスターゲイザーの部隊と遭遇してしまって‥‥ことごとく壊滅させられたそうだ」
見限られたわけではなかった。
蹴散らされただけなのだ‥‥!
「なんと!? 我がニスケー国の軍もですか?」
驚愕するマンドリオからの通信に、サンタナ王が焦った声で返す。
「ああ、スターゲイザーの破壊魔法で一蹴されたそうだ」
戦艦Cランバーダックを修理して出撃したニスケー軍だったが、敵首領の放つ核撃魔法で艦が轟沈。残りも次々と魔法を撃ち込まれて敗退した。
「ではアーマルベン国の軍もですか!?」
驚愕するスフィル王子からの通信に、サンタナ王が言い難そうに返す。
「ああ、元々海軍中心の国だから、陸軍は全然だったと‥‥」
主力の海軍でさえ敗れたのに、その半分にも満たない戦力の陸軍しかないアーマルベン。ちょっと荷が重すぎた。
「ではカパード国の軍もか!」
驚愕するセファラス女王からの通信に、サンタナ王が溜息混じりに返す。
「ああ、地下からの奇襲が失敗したから手も足も出なかったと‥‥」
元々資金繰りに失敗して困窮している国の部隊が、得意手を見抜かれていたのだからどうしようもない。
なお手の内がバレていたのは、ちょっと前まで真魔怪大隊と内通していたからである。
ここら辺を責任者で張本人の女王が認識していないのは驚愕に値しよう。
「じゃーウェスパレス国の軍もかにゃー?」
首を傾げるシャンマウに、これはソフィアが溜息混じりに返す。
「彼らは別の場所で足止め部隊と戦っているでしょ‥‥」
そもそも遭遇していなかった。よってそこだけ除外。
「では我が優越なるコリーン国の軍もか!」
半ば怒鳴るようなアリンからの通信に、サンタナ王が目をそらして返す。
「‥‥一番あっさりやられたらしい」
「誰だそんな報告をした奴は! おのれレイシストめ! ヘイトは魂の殺人だぞ!」
今度は本当に怒鳴るアリン。とはいえ温情的な報告をした所で、半数はワンパンで吹き飛ばされて残りの半数は総崩れで逃げ帰った事実は変わらないのだ。
『後はこの都を落とすだけだ』
ハイマウンテン勢の通信が聞こえたのかそうでないのか。スターゲイザーがそう呟き、ゆっくりと前進する。
それはまさに、この国への死刑宣告だった‥‥。
設定解説
・半数はワンパンで吹き飛ばされて残りの半数は総崩れで逃げ帰った
部隊の半数を一撃で沈める奴を相手に戦闘を続行するのは、普通に考えて自殺に等しい。
次の一撃で全滅させられた所で、別に味方の誰の助けにもならない。
情けないが正解、という選択肢もこの世には存在するのだ。




